『ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
柚子の香りがしたから
きっと君だと思って目をさましたんだよ
どうして君はいつもいい香りがするのか聞こうと思って
聞こうと思ってたんだけど
ゆずの香り
「しあわせって何だっけ」
って歌があったよね
お鍋にポン酢
冬至に柚湯
寒い日の柚子茶
ささやかな「それ」を拾いながら
冬を行く
元カレと再会できる飲み会。
会いたかった。
久しぶりに、話したかった。
奥さん身籠ったって。
良かったね。
結婚して、私にも子どもがいる。
それなのに、、いや、それだから?
もう1人のロールが見え隠れする。
「奥さんとこの子どっちが好き?」
いらぬ質問が飛び交う。
別に聞きたくない。
でも、期待してる自分がいた。
「奥さん」
「そりゃそうでしょ」
っていいながら、少し傷つく自分がいた。
「家庭とこのコミュニティは分けたいんだよね」
だって。そういうことか。なるそど、こっちだって、それだ。
ゆずの香りは癒される
名前や見た目も可愛い
…と思っていた
自分の中の常識が覆された
お店にはゴツいグレープフルーツが
…何か違う
そこに居たのは可愛くもないユズだ
どうしてそうなった…
経験は無いが可愛いかった子が
楽しみにしていた同窓会で再会した時に
衝撃的な変貌だった様な気分だった
せめて中身だけは…
ゆずの香り
その匂いがすると
あゝ冬がどんどん深まっているなぁ
そう感じる。
なぜなら、子供の頃に柚子湯と言うものに冬になると入っていた記憶があるからだ。
とても温まる。
そんな記憶だ。
それはとても懐かしいと感じるものだろう
ゆずの花言葉って、健康美、汚れなき人、なんだって。
あまりにお風呂を彷彿とさせてくれる。
そう言って啜ったうどんはゆずの香りがした。あれ??
お題 ゆずの香り
ゆずの香りが
ふわりと香る
そういえば、
君からはいつも
りんごの香りがしてたね
あの頃は私もりんごの香りで
染まってた
だけど、
今は違う人の香りで
染まっていくんだね
なんだか寂しいなぁ
なんて思っちゃったな
ゆずの香り
冬の おひさまの香り
ほかほかの マフラー
湯たんぽの しあわせ
****
大空
ほら
きこえてくる
そりの音
雪夜の空の
藍色の
鈴の音
ゆずの香り
近所の農家の人からゆずを貰った。おばさんは、余り物なのよ、なんて言いながら微笑んでいたけれど、今日が冬至だということをわかっていて、私に差し入れてくれたのだと思っている。
私は普段、蜜柑など、柑橘類の食べ物を食べない。
おばさんは、ゆず湯にでもどうぞ、と言ってくれた。仕事が忙しくて風呂に浸かる余裕もないことさえも見抜いているのだろうか。こうも長く付き合いを続けていくと、色々なことがわかるようになっていくのだろうかと考えたら、なんだか、人間は不思議だ、と思う。
家に帰ると、まだ皮を剥いてすらいないのに、ゆずの甘酸っぱい香りが部屋の中に広がった。
いつかの歌人が、蜜柑の香せり冬がまた来る、と詠んだように、おばさんからゆずのおすそ分けを頂くと、冬の香りと言うのか、冬だ、という気分になる。
ゆずは蜜柑ではないけれど、あの甘酸っぱい匂いには似たような、親子の匂いがする。
実も美味しいけれど、最後まで楽しめる果実だ、なんてことをふと考える。ゆずの皮を湯船に浮かべると、大海原に浮かんだ孤独の船みたいで、なんだかとても面白い。
今日は久しぶりに仕事が休みだ。久しぶりにゆず湯に浸かって、のんびりと冬を越すことにしよう、と考えた。
来年もまた、あっという間に終わってしまうのだろうか。早くも来年のゆず湯のことを考えてしまった。
冬の夜、雪がしんしんと降る田舎の夜の一幕である。
さぁ〜奮発するわよ
お料理に使いたいところ
ゆずをまるごとお風呂にドボン!
冬至だものね
ゆずの香りにつつまれて
ベッドに入りましょう
夢も見ないでぐっすり寝てね
温まりながら、香るその匂いにふと小さく息を吐く。
新しい年まで、あとすこし。
◎ ゆずの香り
ゆずの香りを漂わせ
我が物顔で街を歩く彼女は
恐れなど知らない
それは強さか若さか
あるいは愚かしさの現れか
真ん中を歩く彼女は
後ろの私を気にしてか
時折に振り向いて
そんな価値は無いよと
苦笑する己には
真ん中を歩く資格は無いと悟って
汚れなき人
後ろから見守らせて
汚れなき人
愚かしいままでいて
汚れなき人
振り返りはしないで
汚れなき人
そこから消えないで
何れ、背が視界から消えても
ゆずの香りにて思い出させて
#ゆずの香り
ゆずの香り
ゆずの香りって嫌いなんだよね、呟くようにそう言えば、あなたはいたずらっ子みたいにニヤニヤしながら、何で、と聞いてきた。
だって、いつもゆずみたいな香りがするんだもん。あなたのそばによるとふわっと香って、その長い髪の毛からも香るそのにおいはきつすぎることなく、彼女らしいといえば、彼女らしい香りだった。
そんな答えにあなたはますます笑みを深める。
「まだ、私のこと大好きじゃん」
そう言ったあなたに呆れながら思う。本当に嫌いなら、会ったりなんかしないよ。友人であり、元恋人でもあるあなたのことをまだ嫌いにはなれないから。せめてあなたを思い出させるようなものは避けたいの。
今でも、はっきりと覚えてる。
あなたの横にいる時間は、〔ゆずの香り〕がした。
名前も、顔も、声も、触れ合った感触も、何一つとして覚えてない。
だけどなぜか、あの人の甘酸っぱいゆずの香りだけが、頭から離れないの。
(彼女)
…
「人ってね、死んだ人の声から忘れてくんだよ。それで、匂いは、最期まで覚えてるんだって。でも私は、あなたのことを全て覚えとくから。安心してね。」
『へぇ…、そうなんだ。俺も、絶対覚えてるから。俺がお前より死んでも…な。約束な。』
(過去の会話)
…
いつの日か、あの人と交わした何気ない会話。
俺の声はもう忘れてんのかな。
あいつ、もしどっかで次の人生を歩んで生まれ変わっていたとしても、俺の匂い、覚えてくれてんのかな。
あいつが病気死んで、もうすぐ20年か…
はは(微笑)、時が経つのは早いなぁ。
お前のこと、まだ何一つだって忘れられてないよ。。
(彼氏)
…
ゆずの香りを嗅ぐだけで、なぜか少し、胸が痛い。
(彼氏・彼女)
ゆずのかおりはいい匂いがする。疲れた体や心を癒やしてくれるような優しくていい匂い。私もそんな素敵な人になりたいな
テーマ:ゆずの香り #40
※この物語は#20からの続編です
「ミデルは、これからどうしたい?」
僕は話し終わった彼女に問う。
「僕はもっとこの国のことを知るために、その……」
「『地下牢に行きたい』でしょ」
僕の心の内を読むように言ったミデルは、目を閉じた。
「ラクラ、気を遣わなくていいんだよ」
ミデルは、目を開けた。
「過去を知ったからって、今不幸なわけじゃない。私は今幸せだし、自分のしてきた選択に後悔はない。だからそれでラクラの選択肢を狭めたくない。私のことはあまり考えないでほしい。ラクラはやりたいことやって、知りたいこと知るべきだって私は思う」
ミデルは、真剣な眼差しを向けていた。
なんて情けないんだろう。ミデルを見て僕はそう思った。王宮にいたときのあの天真爛漫な僕はどこへおいてきてしまったのだろう。
何も考えずに突っ走る。そうやってきたじゃないか。
ミデルと会えたのだって、元はと言えば僕の自由な行動のせい…いや、おかげなのだから。
「ごめん、そうだよな。僕はこの国を変えるんだ。みんなが笑顔で暮らせる、自由で平等な国に!!」
僕がそう言うとミデルは微笑んだ。
「兄ちゃんたち、旅してんのかい?」
僕たちは帰る途中、小屋の住民の男に声をかけられた。もちろん僕たちはローブを深く被り、ミデルもいつも通りの黒い手袋をしていた。
「よかったら泊まっていく? もう日が暮れちまうよ」
僕は戸惑った。知らない人の家になんて泊まったことがない。ミデルを見ると彼女は最初は無反応だったが、頷いた。
「じゃあ、一晩だけ泊まらせてください」
僕がそう言うと男は頷いた。そしてすきっ歯を見せて笑った。
「お風呂まで入らせてくれてよかったな」
僕は部屋に入ると、寝巻き用のローブに身を包むミデルに言った。
「ゆ、」
「ゆ?」
何故かわなわなと肩を震わせているミデル。
「ゆ、ゆずが浮いていたぞ」
僕はミデルの言葉に頷いた。
「ゆず風呂なんて聞いたことが僕もない」
僕も知らないというとミデルはキョトンとした目で僕を見る。
「ラクラでも知らないことがあるのか」
「当たり前だよ。僕よりも知識がある人はたくさんいるよ?」
僕がハハハッと笑いながら言うと
「ゆずを風呂に浮かべるのは、今日が冬至だからだよ」
話を聞いていたのか、男が部屋に入ってくるなり言った。
「とうじ?」
「冬至はな? 夜が一番長い日のことを言うんだよ、お嬢ちゃん」
男はミデルに近づき言った。ミデルはひぅ、という変な声を上げ、僕の側に寄った。
「温まれたかい?」
男は僕に目を向けるとニィっと笑った。
「はい、ありがとうございました」
僕がお礼を言うと男は急に僕の顔をまじまじと見て
「おや、兄ちゃんの顔。どっかで見たことあるような…」
そう呟いた。僕の温まった体から冷や汗が出てくる。
「そうですか? まぁ、どこにでもいるような顔ですし…」
そう誤魔化すと僕のことが王子であることを思い出す前に早く出て言ってほしいと願った。その願いが届いたかのように男は
「まぁ、疲れているんだから早めに寝ろよ」
そう言い残し、部屋を出て行った。
「ふう…」
僕が一息つくと、僕の腕にぐっと重石がかかっているような感覚がした。それはミデルの手だった。カタカタと震えていた。
「大丈夫?」
僕が彼女の震える肩に触れる。
「怖かった……」
僕にもたれてくる。
「やっぱり、泊まらないほうが良かった?」
彼女は震えながらも首を横に振る。
「新しいこと知ることできたから」
彼女の体からほんのり、ゆずの香りがした。
「ミデル、おやすみ」
少し経って、ミデルの震えも収まったため布団を敷き、僕たちは寝ることにした。隣に寝ることはお互い慣れた。
「おやすみ、ラクラ」
僕たちはそう言って目を閉じた。
悲劇が待ち受けていることを何も知らずに。
冬至がやってきた。
柚子湯に入り食はなんきんとこんにゃくだ。
この日が来ると来年が近く感じると共に寂しくも感じる。寒さで人恋しくなるように、冬至でこの1年が恋しくなる。
春夏秋冬を振り返りながら、私はゆずの香りを楽しんだ。
『ゆずの香り』
2年前、私は少しの間親戚の家で過ごしていた。
そして、仕事へ行く途中にいつもゆずの香りがする女の子とすれ違っていた。
家がゆずの農家なのかな?
と思い、私は彼女の香りに癒され、毎日仕事場へと向かう。
私がその時住んでいた地域はド田舎で、周りはほとんど畑や田んぼが広がる。唯一ある幼稚園から中学校までは場所は少し離れているとはいえ、エレベーター式だ。
しかも、駅から絶妙に遠く、徒歩で行くと1時間は余裕で超え、地域の子供らは自転車や、自動車を使い駅へと行く。
そんな中、私はバスで駅まで向かっていた。
彼女とすれ違うのはバス停までの道のりだ。
いつも、その子の目は遠くを見つめていた。
どこにも焦点が合わず、目も1度もあったことがない。
ただ単にボーッとしているだけならいいのだが、何となく気にかかっていた。
親戚に聞くと、どうやらその子には弟がいたみたいだが、生まれつき体が弱く数年前に亡くなったらしい。
その子はその日からずっとあんな感じだそうだ。
私は彼女になにか出来ないか。
でも、突然何かしたら怪しまれるし、何より気を使われるのはきっと楽ではないだろう。
私は色々と考えたがただ、すれ違う度に会釈するだけにした。
最初の1、2週間は相手から認知されなかったが、1ヶ月辺りから目が合い、彼女も会釈するようになった。
何となく、心を開かれた気がして嬉しかった。
そんな何の変哲もない毎日が続き、彼女はある日を境に笑顔で挨拶してくれるようになった。
子供の笑顔は無邪気で癒され、私の心は温まった。
私はその後、再び転勤することになり、その地を離れることになった。
今日で最後だな。
と思った日は、たまたま彼女は通らなかった。
私は少し寂しい気持ちになり、その地を去った。
私はいつの間にかあの暖かいゆずの香りを求めるようになり、いつの間にかゆずを育てていた。
そして、徐々に肌寒くなり、雪が降り積もる少し前あたりの時期。
ゆずの木に実がなる度に、私は毎年思い出す。
ゆずの香りがする、彼女のことを。
「あの……すみません。」
ゆずの木に水をやっていた時、家の前から可愛らしい声が聞こえてきた。
「はーい。」
「──さん、ですか?」
「……?」
「えっと、その、私………。」
彼女は黙り込んでしまった。
声は震えていて、心做しか目に涙が溜まっていた。
でも、私は彼女の雰囲気、彼女からする香りを忘れるわけなかった。
「……中に入る?
私も、君とずっと話したかった。」
「………!!
はい!」
彼女はパッと花が咲くような笑顔になり、ほんのりと頬が赤く染った気がした。
そして、彼女は軽い足取りで私の家へと上がって行った。
私の家が彼女のゆずの香りで満たされるようになるのは本当に一瞬だった。
一年で最も長い夜
白い湯気とゆずの香りで満ちた浴室
湯船に深く身体を沈めて肺一杯にゆずの香りを吸い込む
-ああ、冬の匂いがする
爽やかな香りが私の中をゆっくりと巡り、強張った心を解きほぐしていく
昼の世界はとても明るく、そして厳しく立ちふさがる
優しい夜に包まれて私は私を取り戻す
一年で最も長い夜は始まったばかり
ゆずの香りは、冬至のゆず湯より。
年の終わりを思うとともに、
新たな年をひた思う。
指先までをも凍てつかせるほどの
寒く、凍える夜に、
熱く、芯をも温めるあの湯は、
ゆず無しでは、成せないものだろう。
あぁ、今年も終わる。
ゆずの香に年を思い、
また、一年を終える。