今でも、はっきりと覚えてる。
あなたの横にいる時間は、〔ゆずの香り〕がした。
名前も、顔も、声も、触れ合った感触も、何一つとして覚えてない。
だけどなぜか、あの人の甘酸っぱいゆずの香りだけが、頭から離れないの。
(彼女)
…
「人ってね、死んだ人の声から忘れてくんだよ。それで、匂いは、最期まで覚えてるんだって。でも私は、あなたのことを全て覚えとくから。安心してね。」
『へぇ…、そうなんだ。俺も、絶対覚えてるから。俺がお前より死んでも…な。約束な。』
(過去の会話)
…
いつの日か、あの人と交わした何気ない会話。
俺の声はもう忘れてんのかな。
あいつ、もしどっかで次の人生を歩んで生まれ変わっていたとしても、俺の匂い、覚えてくれてんのかな。
あいつが病気死んで、もうすぐ20年か…
はは(微笑)、時が経つのは早いなぁ。
お前のこと、まだ何一つだって忘れられてないよ。。
(彼氏)
…
ゆずの香りを嗅ぐだけで、なぜか少し、胸が痛い。
(彼氏・彼女)
12/22/2022, 2:06:43 PM