『ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ゆずの香り
ゆずの香りのめぐリズム買った。
すごい良い香りで絶対に寝る。
いびきをかきながら。
鍋の蓋を開けると
暖かな水蒸気と共に
品の良さそうな柑橘の香りが立ち込める
豊かなゆずの香りを胸いっぱいに吸い込むと
忙しなく走り抜けたいつもの通学路が脳裏にあらわれ
同時に隣の席にいた女の子の青白い手がよぎる
ハンドクリームが好きなその子は冬になるといつもこの香りをまとっていたっけ
それにこの匂いは実家の庭でもよく嗅いだ覚えがある
傷んだゆずを収穫し、湯船に浮かべて遊んだ幼少期の自分が楽しそうに笑っている
ひとつの香りに呼び起こされた
たくさんの思い出に浸っているうちに
気づけば湯気は薄れ
大好きなあなたが作ってくれたゆず鍋が私を待っていた
またひとつ
私の脳内のゆずの香りフォルダに
新たな思い出が加わることへの充足感に包まれながら感謝の気持ちを込めて手を合わせた
近所でもらったゆず
今日はお風呂に浮かべてみよう
ちゃぷちゃぷ ぷかぷか
足先から手先まであたたまる
頬が赤くなるのがわかる
贅沢なお風呂時間
ゆずの香り。
最近は、鼻が詰まっている。冬の花粉だかなんだか知らないが常に右か左かの鼻がムズムズして、乾燥なんてものまで押し寄せてきて、窒息気味の毎日だ。しかも、感染病なんてものまで流行っていては、鼻が効かないだなんて大ぴろげには言えっこない。それがさも、大地を歩く人間の数が億を超えるのが当然かのように、コンテンツを消費して一日を終えることに違和感を覚えないのが当然かのように、普通のことになりつつある日常の一つであっても何も問題が無いのだ。
香りなんてものに取り憑かれて、分かってもいない匂いを愛想良く笑いながら褒め称える君は、私にとって宝物だ。柑橘系の強く甘い臭いも、丸まった靴下からする強く漂う匂いも、どちらも比べようがなく好きだ。
今日も疲れた。ゆずの香りに包まれて、こんな文章を書くぐらいには、疲れている。
ゆずの香り。
今日は冬至。
お風呂に入って
ゆずの香りに
包まれる。
ゆずの香りは
癒されるね。
明日からの
私が
元気になりそう。
ゆずの香り
心の底から嫌いだ。これには昔の体験に起因している。幼い頃、おやつを食べようと思った私はあゆの形をしたそれが机の上にあることに気づいた。固くて厚めの焼いた皮で餡と牛皮を挟んだようなそれは、期間限定・柚子の味と書いてあった。私はそれを泣きながら食べた。だって、その甘いあゆは柚子の香りが強すぎて、食べる度に複数箇所で爆発しているようなきすらする。さわやかを遥かに超えた香りが私を責めて、胃の中に押し込んでもいつまでも存在を主張した。そしてまだ主張している。私はそれが嫌いだ。香りを思い出すたびに涙が出てくる。もう私はそれを無視することすらできないし、嫌いだと言うことしかできなくなった。
ぷーかぷかっ ぷーかぷかっ
お風呂いーぱいのきいろぉー
白い肌 火照ったまんまるの顔
黄色のゆず
ゆずの香りより爽やかで甘酸っぱい笑顔
みんなで奏でる沢山の音色
こーんなパステルな世界線に私も入りたい
[柚子のかおり]
柚子のホットドリンク
お鍋に柚子こしょう
柚子といえば、入浴剤の香り。
だった僕の世界を変えてくれた人。
柚子の味の飴玉を舐めながら、携帯で撮ったあの日の写真を見返している。
すっかり君の好みに毒されてしまったようだ。
浴槽にゆずが浮かんでた。
今日は冬至か。
良い香りで、ぽかぽか温まった。
恋をした。初恋だ。
初恋は実らないと言う。
僕の場合も、そうなのかもしれない。
同じクラスの女の子。
背が小さくて、中学生なのにツインテールなんかしちゃってて、回りから、あざとい子、と半分いじめみたいなことをされている、とても可愛らしい女の子である。
最初は恋だなんて思わなかった、ただ可愛いな、と、思っていたくらい。
体育祭の終わり、彼女はみんなの打ち上げに、一人だけ声がかからなかったらしく、後ろの窓際の席で、ただ座っていた。
「ユウカ、先に打ち上げ会場行っちゃうよ~」
「うん、すぐ行く~」
それだけ返して、教室には僕とその子だけになる。彼女は僕の方には目をくれず、ただぼんやりと外を眺めていた。
「ワタナベさんは、行かないの?」
意を決して、僕は声をかけてみた。
すると、ようやくこちらに顔を向ける彼女。
「……私は呼ばれてないもの、私の分は人数に入ってないよ!」
少し高い可愛らしい声で返してくれた。
「全員強制参加じゃないのか~、じゃぁ、僕も行かないことにしようかな」
そう言って、僕はスマホをタップする。その行動に、大きな彼女の目が更に大きく丸くなっていた。
「……なに?」
「あ、いや、そんな簡単に断っちゃうんだ、って」
「ワタナベさんだけ呼ばれてないから行かないとかおかしいし、乗り気でもなかったし」
そこまでいうと、彼女はボロボロと泣き始めていた。
「えぇ!? 僕、なんかした!?」
「ユウカちゃんは、優しいね!」
泣いているのに笑顔の彼女。眉毛はハの字で口角は下がっているはずなのに、笑顔にみえた。
僕はこの時、その不思議な感覚に陥る。
可愛らしい、だけじゃくて、守ってあげたい、側にいてあげたい、と。
ひとしきり泣いた彼女は、はー、と息を吐いて口を開く。
「ユウカちゃんが男の子だったら、惚れちゃうところだったかも」
ごめん、僕はそんな君に惚れちゃいました。
「これ、打ち上げの変わりにはならないと思うけど、のど飴あげる」
彼女は、飴を渡してくれた。ゆずのど飴、すぐに袋をあけて舐めてみる。
甘酸っぱくて、爽やかな味。僕はこの胸のときめきを落ち着かせるため、一つため息をついた。
【ゆずの香り】
ゆずの香り
今日って冬至だったんだ
何にもしてない…?
ううん、毎日ゆずの入浴剤のお風呂に入ってる
今日はそれを冬至だからってことにしよう
ゆずの香り
わたしは、ゆずの匂いは独特で少し苦手です。
元々、嗅覚が敏感なのもあるかもしれない。
でも、毎年ゆずをお風呂に入れています。
不思議なんです。
お風呂だと、ゆずの匂いなんて気にしません。
この季節になると、お風呂を入るのが
一層楽しくなります。
私の母はゆずが大好きだった。
基本的に料理にはゆずを入れていたし、自分で作ったりもしていた。
私はゆずの独特な味が嫌いだったから疑問に思って、母に聞いてみた。
そしたら、「ゆずの香りが好きなの」って切なそうな顔して言うもんだから、私は察した。
きっと随分前に亡くなった父が関連しているんだろうと。
理由は聞かなかった。いや、聞けなかった。
けど、私もゆずの香りを愛そうと思った。
「ゆずの香り」
今日は冬至かぁ。
ゆず湯に浸かって、南瓜の煮物をたべて、、
ゆず湯に浮かんでいるゆず、湯に浸かりなが
らついつい搾ってしまう。
凄い匂いになるよ。変な声がでてしまう。
でも今日はゆずも南瓜もわすれました。
明日に実行します。搾ります。
ふわっ
ふわっ
ふわっ
悪戯に鼻をくすぐる、君の香り
ああ、もう、集中できない
オンボロブ風呂 おばあちゃんち
いまはきれいなっちまったオンボロ風呂
あみあみのなかにゆずいれて
ピリッとくるわ ぐにゅっとさわるわ
いたいいたいとあえぐあね
にぎにぎわらうわたし
「あらやだこの子ゆずくさい!」
冬至のお風呂に浮かぶゆず
いつもとは少し違う匂いが浴槽の中に広がる
毎年この日だけはゆずの香りがして、好きだった
彼が、居なくなるまでは
今日冬至!
すっかり忘れてた…
毎年ゆず湯と南瓜たべてるのに
お刺身ビールで浮かれてる場合じゃなかったよ
形を保つことのできない物体 舂く事を願って
樹木が生えている庭園で、私はただ一人
日が指しているのかも分からないまま
水を落とし、手押しポンプから
ぽたぽたと垂れてくるまま
手をぎゅっとして ありもしない思い出を甦らせていた
夜の庭園は静かに眠っているように居た
風の声が聞こえた 私は一人ではないのだ。
物語の家を想像している
コロニアル様式の家。
ベランダで私は優雅に朝食をとっている
そしてそのまま、グリーン山脈の湖に浮いている落ち葉を見て、私は本を読むのだ。
茶色とか、白とか、様々なお城をみて周る
煙突に憧れるままに 私はサンタに恋をする
雪の降る十二月 私は雪を待つ事もなく
その庭園でそぼそぼとしていた。
仲間はいるのだ。
熊と、うさぎと、ペンギン。
の人形が椅子に座っている、机を囲んでいるのだから
そして、私は買い置きしていたパンを頬張りながら
サンタに恋を綴っているのだ。
凍えている手を摩る、一人が居る。
ゆずの香り
懐かしいな。ゆずまのの香り。
昔の実家には、柿とゆずの木があった。
冬になったら、両方の木から果実がたくさん出来て、
嫌になるくらい食べたり、果汁を絞ったりした。
父さんと一緒に高枝鋏を使って果実を取った。
あの頃を思い出すと、みんなの笑顔を思い出す。
ゆずの香りがするとあの楽しかったときを思い出す。