『もしもタイムマシンがあったなら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
もしもタイムマシンがあったら、未来と過去が同じになってしまう。
「もしタイムマシンがあったら」
タイムマシンがあったら、過去や未来じゃなく並行世界にも行けるのだろうか。
いじめられなかった世界線。
第1志望に受かった世界線。
今でも忘れられないあの人と結婚した世界線。
もし、行けるのなら今の世界線から抜け出したい。
もうこんな人生嫌だ。
並行世界にいる自分を殺して、今度こそ人生を謳歌するんだ。
幸せになりたい。
【もしもタイムマシンがあったなら】
タイムマシンがあったら、未来に行って
私がどうなってるか知りたいな
幸せに過ごせているだろうか
家族との仲は良くなっているのか
私の隣には誰がいるのか
今好きな人の隣には誰がいるのか
すごい気になるよね
だから未来に行きたいな
過去に行っても
姿は今のまんまじゃん?
だから世間に顔は出せないかなって
【もしもタイムマシンがあったなら】
私はそれを壊すでしょう。
未来なんて見えなくて良い。
過去なんて変えなくて良い。
君がいる今を
ただ守りたいんだ。
もしもしタイムマシンがあったなら
私なら絶対過去に戻る。
小学3年生になる前にスポーツ少年団入るのだけは考えろって言う。
体力はつく。運動も得意になる。痩せる。
ただ、入ったら毎日死にたくなるよ。毎回の練習でしごかれ、殴られ、馬鹿にされる。今日は誰の番か、ずっと怯えながら練習行くことになる。私の番じゃないことにほっとして、そんな自分が嫌になる。痛くて、怖くて、自分でも何に泣いてるのか分からなくなるくらい泣くことになるよ。
どっちを取りたい?
入っちゃった後に戻るなら外部の誰かに助けを求めよう。私も手伝う。親はダメ。自分の時もそうだったって言うだけだから。「でも、選んだのは自分でしょ?」「じゃあ辞める?」って言われたら私の性格だと辞められないよね。選んだのも私。楽しかったことを思い出して辞められないのも私。学校もダメ。親に伝わっちゃうから。学校にチクったことを怒られるのも怖いよね。少年団の親とか上手くなりたいチームメイトに何言われるかわからなかったからね。
小学生の私ができることで唯一考えられるのは、学校で配布されたどこかの機関からの悩み相談のプリント。折って手紙にしたらそのまま投函できるあのプリント。ずっと棚の教科書と教科書の間に挟んで、何度も書いては消して、泣いて、元の場所にしまって……。匿名って書かれてたけど、私が書いたっていうのがバレるの怖くて、辞めて何年も経ってから捨てた。中学生の私が見つけて捨てたはず。確か、体罰受けてるなんて書けなくて、兄弟がウザいとかそんなしょうもないことも書こうとしてたのも覚えてる。
もうどうしようもなかったら、私が確実に殺してあげる。
中途半端にやって生き延びないように、生き延びて、恥かかないように、迷惑かけないように。貴女が死んだら私も死ぬと思う。貴女にだけ痛い辛い思いをさせてしまうのはごめん。一緒に死のう。あれから10年以上経った今の私も無性に死にたくなるんだ。こんなことしか思いつかなくてごめん。私を救いたいけど、最終手段がこれしか思いつかない。ごめんね。
とにかく貴女を助けたい。
こんな人間になってしまう前に、止めたい。
こんなつまらないこと書くつもりなかった……これに関することを思い出すと、泣きそうになりながら駄文をつらつらと書いてしまう癖辞めたい。まだ、過去に縛られてる。無駄に自分で自分を傷つけてしまう。自分傷つけて、「私、可哀想」を何度も繰り返す。忘れたい。たまに夢に出てくる。自分って何だろうって考え始めると、必ずこのことを思い出してしまう。小学生の頃の記憶を全て消し去ってしまいたい。
学校のチャイムが鳴り、古文の教師が補習の終わりを告げる。
教師の言っていることが何一つ理解できなかったが、いつもの事なので気にしない。
あの言葉がかつて日本で使われていたとは驚きである。
昔の人は、よくあんな言葉で会話するものだ。
私はそんな地獄の補習がひと段落付いたことに安心感を覚える。
だが油断は出来ない。
補習自体はまだ半分しか終わっておらず、休憩が終わればまた地獄の時間が始まるのだ。
次の補習は宇宙人の言語、数学である。
日本語でも難しいのに、宇宙人語は無理なんだよ。
せめて人間の言葉にしてくれ。
それにしても、と思う。
今日は夏休みだと言うのに、なぜ私は学校で補習を受けているのだろうか?
私の立てた予定では、今頃は恋人の拓哉とデートしているはず……
そして私たちは砂浜を、手を繋いで歩く。
そして人影のない岩陰で、拓哉は私の耳元で『咲夜、愛しているよ』と囁くのだ
それを聞いて私は――
そうなるはずだったのに!
なんでこうなった?
なんで私はこんなにもバカなんだ。
でも言い訳はさせてもらう。
私は努力した。
拓哉と過ごす時間を増やすため、必死に勉強した。
なんなら拓哉にも勉強を乞うた。
だが、結果は赤点。
現実は非情である。
「おい、すげえツラしてんぞ。
彼氏に会えない禁断症状か?」
話しかけてきたのは、私と同じ補習者の桐野。
不名誉なことに中学からの幼馴染で、その時からずっと同じ補習を受けている。
ロマンスが起きそうなシチュエーションだが、彼にはとくに特別な感情は無い。
私には卓也がいるからだ。
ちなみに、こいつはそこそこ勉強できるくせに、いつも出席日数が足りなくて補習を受ける羽目になっているアホである。
まさに才能の無駄遣い!
なんでこんな不真面目な奴が頭がよくて、一応授業には出ている私の方がバカなんだ!?
なぜ、コイツは私が今一番欲しいものを持っている!?
その頭を私に寄越せ!
私の方がうまく使える!
不公平だ!
「おい、なんで顔がさらに険しくなるんだ?」
「世界は不公平に満ちていると思ってね」
「よく分かんないけど、俺には関係ないよな?」
「桐野、お前を取り込んで全てを知識を得る」
「前からおかしいと思ってたけど、別の方向でさらにヤバくなってる。
拓哉を呼ばないと収集付かないな、コレ……」
「拓哉?
ああああ拓哉ぁぁぁぁ会いたいよー」
「情緒が不安定過ぎる……」
私の目から、とめどなく涙が溢れる。
今まで我慢してたのに。
せめて補習が終わるまでは泣くまいと誓ったのに……
桐野のせいだ。
「泣くなよ」
「桐野のせいだ」
「なんで俺!?
いや俺のせいか……
それはともかく泣きやめよ。
他の奴らも驚いているだろ」
「私、頑張ったのに、頑張ったのに」
「ああ、わかるよ。
俺も頑張ったのにダメだった」
「あんたの場合は自業自得だろうが!」
「理不尽」
「拓哉に会いたい」
私は机に突っ伏す。
涙が止まらない。
その時、教室がざわめく気配を感じた。
そして桐野が「救世主が来た」とつぶやいたのが聞こえた。
もしや拓哉の事か?
私が顔を上げると、そこにはまさに拓哉がいた。
「咲夜、泣いてるけど何かあったのか?」
「えっと、あくび。
昨日寝れなくって」
「コイツ、寂し――ゴフ」
余計なことを口走りそうになった桐野を、殴って口封じする。
これだから桐野はバカなんだ。
「それで、拓哉はなんでここに?」
「差し入れしに来たんだ。
ほらカフェオレ」
「ありがとう」
拓哉は、私が好きな砂糖マシマシのカフェオレの紙パックを差し出した。
ここにくるまでに、コンビニで買ってくれたのだろう。
とてもありがたい。
勉強で疲れた頭が、糖分を欲しがっていたのだ。
これで、残りの補習を頑張れる。
「補習、頑張れよ」
私がカフェオレを飲み始めたのを見て、拓哉は笑う。
拓哉の笑顔を見て、私は気づいた。
私が本当に欲しかったのは、桐野の頭なんかじゃない。
なんでこんなものを欲しがっていたのか……
過去の自分が恥ずかしい。
私が今一番欲しかったもの。
それは、拓哉の笑顔だった。
そのためならば、この地獄の補習、乗り切れる!
「授業を始めるから、全員席に着け。
楽しい楽しい数学の時間だ」
ゴメン数学は無理。
『もしもタイムマシンがあったなら』
とりあえず未来に行って、明日の試験の回答を盗む。
もしもタイムマシーンがあったなら
もしもタイムマシーンがあったなら、もう一度あの時に戻りたい…。貴方が…貴方が死ぬ間際に。戻らせて。
あの時貴方は幸せそうに、この世に悔いを残さず死んでった。でも、それは私にとっては最悪だった。
静かな病室、消毒の独特な香り、窓際に置いてある一輪の花。落ち着いた雰囲気が貴方の最期にとても似合っていた。近頃の貴方は元気がなかったもの。こんな日が早く来るなんて心の何処かではわかっていた。私達二人は幼い頃からの幼馴染カップルだった。お互いがお互いに愛し合っている…この時まではそう思っていた。私は、愛が重たい。親が私を産んでから早く死んでしまったから、両親からの愛を知らない。だから、自分は他人を愛すことでしか満たされなかった。だけど、貴方はこんな自分を愛してくれて…自分のワガママも聞いてくれた。
貴方の手をとり、撫でながら私は花をみて「綺麗。」と言ったら、貴方は「…嫌い。」。そう言うから、なんで?と聞き返そうとあなたの顔に視線を移すと、貴方が見ていたのは花ではなくて、"自分"だった。驚いて、「花のどこが嫌いなの?」そう聞けば、「お前だよ…お前のことが大嫌いだったんだよ。なんで彼女づらしてんだよ。俺の最期になんでお前がいるんだよ。お前はずっと勘違いしてんだよ。」と病気のせいでなのか、震えながら自分に言ってきた。自分は訳が分からなくて混乱してしまった。そしたら彼は、自分の手を振りほどき倒れた。
ピコーンピコーンと病室でアラームが鳴る。お医者さん方が来る。自分が病室から出される前に覚えていたのは、あなたの部屋にある花たちだった。
自分の近くを通る看護師が一人、「あの花たちはみんなご自分で選んでましたよ。綺麗ですね。」と自分に言ってきた。そうだったんだと思い好奇心で、花言葉を検索してみた。貴方の部屋にあったのは、黒のバラ、スノードロップ、キンギョソウ、ロベリア、黄色いカーネーション。それぞれを調べてみると、「憎しみ」、「あなたの死を望みます」、「でしゃばり」、「悪意」、「軽蔑」。だった。貴方は、自分が来ていることを知っていたんだ。今までは、狸寝入りしていただけだったんだ。きっと、喋りたくないからこうやって花言葉を通して伝えてたんだ。言ってくれればよかったのに、今までこんなに貴方に対してしてきたのに…私は涙が溢れた。
もしもタイムマシーンがあったなら、貴方が死ぬ時に戻って聞きたい。なんで、私を勘違いさせたままにしておいたの?私に、話しかけてくれた看護師は浮気あいてじゃないの?そうでしょ?あの花が飾られ始めたのは1週間前でしょ?その時のあなたは元気だったわよね?ご自分で選んでましたよ。って、一緒に行かなきゃわかんないじゃない…
私は過去に戻って、貴方を殺したい。
我ながら身勝手である
とんでもないクソ野郎だとも思う
それは多分
過去であっても未来であっても
変わらないことなのである
だからどうぞ
期待しないで、何も望まず
大人になってくださいな
『もしもタイムマシンがあったなら』
テレビに写っているアニメで、ふと、「タイムマシンがあったら俺は何がしたい」という自分に対する疑問を抱いた。
タイムマシンがあったなら俺は何がしたいんだろう。
過去に行きたい?未来に行きたい?
どっちなんだろう。
あるアニメが流れるテレビを他所に、俺はその疑問について頭を回転させた。その間は天井を見たり、歩き回ったり、テレビを見たりと、とにかく動いている。
「タイムマシンかぁ……」
特に、過去で大きなヤラカシをしたというわけでもなければ未来に不安を抱いているわけでも、未来を見たいわけでもない。
それくらい、平凡で何事もなく生きてきた俺にとってはタイムマシンなんていらないもの。
だけど好奇心で、いらないものだけれどタイムマシンには乗ってみたい。なんていう人間によくある願望を抱く。
するとーー……なんて、都合のいいことは起きない。
「まぁ……俺にとってはいらないな」
呆れたような言葉を吐いて、俺はテレビをもう一回見る。
するとまた、テレビにはタイムマシンのシーンが流れている。
END
もしもタイムマシンがあったなら、
死ぬ一年前に行ってみたい。
最後の一年くらいは心置きなく過ごしたい。
もしかしたら、今がそうなのかもしれないけど。
仲良し三人組だねと言われてきた小学二年生の時。
三人組だったのに、私以外の二人が不登校になった3年生の時。
新しい友達と仲良くしだした四年生の時。
二人のうち、ひとりは学校に戻ってきたけれど、あの時みたいに本心で笑い会えなくなっていた。
きっと、ずっと休んでいたのだから不安だっただろうに、おはようすら言えなかった私を殴りたい。
「Yちゃんが休んでたあいだ、ずーっと心配してたよ。おはよう!」そう、明るく言えたら良かったなあ。
それに、五年生になった途端、クラスの男子が荒れ始めたね。わたしなんか、頭の上に消しカス乗せられたよ。
殴られそうになった。
何もしてないのに嘘を言われた。
足太いって言われた。
定期的に休むようになった。
水槽にものを投げられた。
足を蹴られた。
そして、掃除の時、私が雑巾がけしてるのに邪魔してきた男子がいたね。そしたら、Yちゃん。
「あんなの気にしなくていいよ」
そう笑ってくれたね。
ごめんなさい。
私、何も言わなかったのに。
ごめんなさい。
こんなのでごめんなさい。
過去に戻って、あいつら全員の顔殴って、Yちゃんを抱きしめてあげたいよ。
Yちゃんだって、嫌なことされてたのに。
許して。
助けてあげたかった。
殴っていいかな。
殺していいかな。
悪口言っていいかな。
警察に突き出していいかな。
全部全部、考えたよ。
でも、何もしなかった。
偉いよね。
褒めてくれるよね。
でも、私が褒める側になりたい。
過去に行って、沢山褒めて、今に戻って、またあの時みたいに笑い会いたいなあ。
「もしもタイムマシンがあったなら」が今日のテーマだ。
もしもタイムマシンがあったら、やはり過去の自分に助言をしに行きたい。中学入学直後に陸上部に入部しようとしている自分を捕まえて「つらいだけだからやめとけ、美術部か文芸部あたりにしとけ」と言いたい。しかしいきなり現れた「未来の自分」を名乗る奴なんて、中学生の自分から見ればただの他人だから、忠告が聞き入れられることはないだろう。
それなら自分のことは諦めて、他の時代を見学に行きたい。未来を知るのは怖いから、過去を見たい。江戸時代に侍が刀を差して歩いているのを見てみたいし、平安時代に本当に十二単衣を着ていたのか見たいし、弥生時代の農業を見たいし、縄文時代の集落も見たい。ティラノサウルスに羽毛が生えているのかも見たいし、プテラノドンが飛んでいるのも見たい。そして最後に、動物が陸上に進出するよりも前、植物だけが陸にあった時代が見たい。
生命は海で生まれ、植物が先に陸に上がり、植物の出す酸素がオゾン層を作り紫外線を遮ることで、やっと魚が陸に上がることができるようになったという。だから魚が陸に上がる前、陸地には一面に植物が生い茂り、それなのに虫も動物もまったくいなくて、ただ風が吹くだけの、とても静かな時代があったはずだ。それが見たい。
もしもタイムマシーンがあったなら
もしもタイムマシーンがあったなら私は過去に行くだろう。昔泣くことしかできなかった自分に「大丈夫だよ」と伝えたい。どんなに助けを求めても誰もが見て見ぬふりをした。そして大人は全員通り過ぎていった。汚いものを見るような目をして。それからだ。口が悪くなったのも態度が悪くなったのも自分を守るために仕方がないことだった。毎回「その態度は何だ」と言われるが、見て見ぬふりをしたお前らが悪い。でもそんな私を変えてくれた。私が先生に説教をされて機嫌が悪かったとき幼馴染のあなたが「本当にそれが素のお前なの」と言った。その時私は自然に涙が出た。ずっと気づいてほしかった。苦しくて辛かったときに求めていたものをあなたがくれた。あなたは私が泣くとおろおろしていたので私はすぐに涙を拭って言った。「ありがとう」と。
未来を見るのは怖いので過去に行きたいけど行きたい時期が見つからない
タイムマシンの開発計画が本格的に動きだしたことを知らせるニュースが流れた。
もし、タイムマシンができたら。
お前が死ぬ前に戻って、
お前を脅かすものを全部消して、
今に戻って、
元気に生きてるお前と一生幸せに暮らすんだ。
まあその前に、何十年分か稼がないといけないけどな。大丈夫、まだ若いから。
…コーヒー淹れるの、上手くなったんだ。
お前のために練習したんだよ。
オレなら、毎日、完璧なコーヒー淹れてやれる。
だからさ、
【もしもタイムマシンがあったなら】
#もしもタイムマシンがあったなら
給料日前の銀行の金庫に忍び込んで、諭吉を袋いっぱい詰め込んで戻ってくる。
①あっ、あのっ、ちょっ、防犯カメラがあるんですかっ、そんなっ、ちょっとした出来心でっ、
②待って、手袋と覆面とでっかい袋買ってくる
あっ、レシートください。
③透明マントとか無いんですかっ、ええっ、なんで無いの、これじゃ只の盗人じゃん。
④大人しく観光でもしますか
「もしもタイムマシンがあったら」
昭和30年代~平成元年。高度経済成長期の時代。
写真集で幾度無く見ている時代。
本当に写真集のような光景があったのか見たい。
証券取引所でバブル崩壊の瞬間で証券紙が散乱した床を見てみたい。
ノーチラス号とニチモやLSの当時のプラモメーカーや
当時の雑誌や漫画を見たい。
SUBARU360を見たい。
当時のニュース番組を見たい。
欲望が溢れ出してくる時代でもある。
人間像や政治像など、
良いところも悪いところがはっきりしているようでしていない。
あの頃、あの時代、
不便でありながら満足していたかもしれない時代
ちょっとだけ格差が浮き出してきた時代に
タイムマシンがあったら行ってみたい時代だけど、
帰って来れる保証は…?
昭和以外なら、大正・明治かなぁ…?
「ごめんね」
「いや、こちらこそ、困らせちゃってすみません」
好きだった年上の人に振られてしまった。
自宅近くのごはん屋さんで、たまたま隣の席になった彼とは、お店で会うと話すようになった。
8つ上の大人の男性。
大学生の私は、相手にされなかった。
「もし、私が椎名さんと同じ歳だったら、私のこと好きになってくれましたか?」
「ごめんね」
曖昧な返事をするずるい人。
そういうところも、好きだった。
「また、ご飯食べてくれますか?」
「もちろんだよ」
そう言って優しく笑う彼。
しばらく忘れられそうにないけれど、もう彼を困らせたくないから、しばらくは私1人で抱えようと思った。
もう少しだけ、好きでいさせて下さい。椎名さん。
〜 椎名side 〜
未来に希望がたくさん詰まっている彼女。
30代に差し掛かる僕には、眩しかった。
「椎名さん、おやすみなさい」
無邪気に笑うところとか、ご飯を頬張って幸せそうに食べるところとか、真っ直ぐすぎるところとか、僕の方がやられていた。
手を振って僕と反対方向に歩く彼女の背中が、小さくなっていく。
もしも、同じ歳だったなら
もしも、同じ歳に戻れたなら
「すきになってたよ、きっと」
彼女の背中が消えてから、僕は足を動かした。
《もしもタイムマシンがあったなら》
「タイムマシンなんて、あっても使わないさ」
もしタイムマシンがあったらどうしたい?
SF好きな俺が聞いてみたら、友人はつまらなさそうにそう返した。
視線が何故かいつもより痛い。
「そんなモンあったって幸せになれやしねぇだろ」
「言い切ったな。なんでだよ?」
「あー?そりゃあお前……」
俺から視線を外して、そいつは言った。俺もまた、すぐそこの景色を見る。
廃墟と荒野。寂れたそこには、生命の気配はひとつもない。
「身をもって知ったからな」
「質問を変えようか。タイムマシンを使った感想は?」
「笑える」
「……マジでどうしよう」