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もしもタイムマシーンがあったなら

 もしもタイムマシーンがあったなら、もう一度あの時に戻りたい…。貴方が…貴方が死ぬ間際に。戻らせて。
あの時貴方は幸せそうに、この世に悔いを残さず死んでった。でも、それは私にとっては最悪だった。
静かな病室、消毒の独特な香り、窓際に置いてある一輪の花。落ち着いた雰囲気が貴方の最期にとても似合っていた。近頃の貴方は元気がなかったもの。こんな日が早く来るなんて心の何処かではわかっていた。私達二人は幼い頃からの幼馴染カップルだった。お互いがお互いに愛し合っている…この時まではそう思っていた。私は、愛が重たい。親が私を産んでから早く死んでしまったから、両親からの愛を知らない。だから、自分は他人を愛すことでしか満たされなかった。だけど、貴方はこんな自分を愛してくれて…自分のワガママも聞いてくれた。
貴方の手をとり、撫でながら私は花をみて「綺麗。」と言ったら、貴方は「…嫌い。」。そう言うから、なんで?と聞き返そうとあなたの顔に視線を移すと、貴方が見ていたのは花ではなくて、"自分"だった。驚いて、「花のどこが嫌いなの?」そう聞けば、「お前だよ…お前のことが大嫌いだったんだよ。なんで彼女づらしてんだよ。俺の最期になんでお前がいるんだよ。お前はずっと勘違いしてんだよ。」と病気のせいでなのか、震えながら自分に言ってきた。自分は訳が分からなくて混乱してしまった。そしたら彼は、自分の手を振りほどき倒れた。
ピコーンピコーンと病室でアラームが鳴る。お医者さん方が来る。自分が病室から出される前に覚えていたのは、あなたの部屋にある花たちだった。
自分の近くを通る看護師が一人、「あの花たちはみんなご自分で選んでましたよ。綺麗ですね。」と自分に言ってきた。そうだったんだと思い好奇心で、花言葉を検索してみた。貴方の部屋にあったのは、黒のバラ、スノードロップ、キンギョソウ、ロベリア、黄色いカーネーション。それぞれを調べてみると、「憎しみ」、「あなたの死を望みます」、「でしゃばり」、「悪意」、「軽蔑」。だった。貴方は、自分が来ていることを知っていたんだ。今までは、狸寝入りしていただけだったんだ。きっと、喋りたくないからこうやって花言葉を通して伝えてたんだ。言ってくれればよかったのに、今までこんなに貴方に対してしてきたのに…私は涙が溢れた。



もしもタイムマシーンがあったなら、貴方が死ぬ時に戻って聞きたい。なんで、私を勘違いさせたままにしておいたの?私に、話しかけてくれた看護師は浮気あいてじゃないの?そうでしょ?あの花が飾られ始めたのは1週間前でしょ?その時のあなたは元気だったわよね?ご自分で選んでましたよ。って、一緒に行かなきゃわかんないじゃない…
私は過去に戻って、貴方を殺したい。

7/22/2024, 1:14:40 PM