『もしもタイムマシンがあったなら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「もしもさ、過去か未来に行けるとしたら何がしたい?」
「…あぁ、昨日のドラマにタイムマシンが何とかってやってたな」
「見てないの?語りたかったのに」
頬を膨らませ不機嫌さを露わにする彼女に溜息を一つ吐く。
「残念でした…で?過去か未来に行けたらだっけ?そっちはどうなの」
「私?そりゃあもちろん、未来に行って宮司様とどうなっているか見に行く」
当然と笑う彼女はこの前の連休で出かけた先でいい出会いがあったらしい。とても生き生きとしている。青春だな、と微笑ましく見守りながら、次の授業まで少し寝ようと机に伏した。
「ちょっと。答えたんだから、寝ないで答えてよ」
「えー?」
体を揺さぶられながらそう言われてしまえば、このまま寝る事なんて出来やしない。仕方なしに顔だけを彼女の方へと向けた。
「そうだねぇ……過去に行って会いたい人は、いるかな」
それだけを呟いて、今度こそ寝に入る。さらに詳しく聞き出そうとする彼女の声は、聞こえないふりをした。
「夕食の時間ですよ」
静かな声に目を覚ました。
体を伸ばして欠伸を一つする。頬についた畳の跡や乱れた髪をそのままに、与えられた部屋から出る。
相変わらず辛気臭い場所だ。そう思ってしまうのは、この寺で行われた事を知っているからか。それとも寺の裏にある池の底に沈んでいるものを知っているからか。
ちゃんと歩きなさい、と誰かが嗜め。
法師様に失礼のないようにね、と誰かが囁く。
そんなこと分かってる、と声に出さずに呟いた。
「変わりはありませんか」
「はい。何も」
二人きりの夕食後、茶を入れながら住職に尋ねられる。
それに何もないと答えるが、ここに連れられた時点で何かがあった事は彼にも分かっているはずだ。
「少なくとも、私自身には何も。いつもの発作が起きたくらいです』
父がどこまでを知って住職に話しているか分からない。当たり障りのない事実だけを報告し、手渡された湯呑みに口をつけた。
ちゃんとお話ししないと駄目でしょう、と背後から声がする。
法師様、この子の偽物が出た様ですよ、と影が告げる。
法師様、法師様、法師様、法師様。
私のものではない、私にしか聞こえない四つの声が慕う様に目の前の住職を呼ぶ。
「貴女のそれは特殊なものなのですよ。いつもの事だと甘く見ては行けません」
「申し訳ありません、住職様」
静かな、穏やかな声。心配そうに曇る表情。
誰からも好かれる、優しい住職。
友人である父は知らない。おそらく住職自身も覚えてはいない。
遠い昔、この場所で法師だった住職が行った事。国のためと大義を抱え、たくさんの孤児を人柱や生きた形代として使い潰した過去を。法師のためと呪を胎に施し、呪いを撒いた少女達がいた事を。
私と四人の声だけが覚えている。
私だけが住職を今も憎んでいる。
「どうかしましたか?顔色が優れないようです」
「いえ、大丈夫です…少し疲れているので、これで失礼させて頂きます」
これ以上住職の顔を見れず、部屋を出る。
思い出す必要のない記憶に、頭が痛くなりそうだ。
声は聞こえない。
心配しているのか、呆れているのか。
自分や他の子らにされた事を分かっていても尚、声は住職を慕い続ける。孤児だった自分達には他に選択肢はなく、そもそも彼に拾われなければ飢えて一人死ぬのを待つのみだったからだ。
愛されて、必要とされて死んでいける事が幸せだと誰かが言っていた事を覚えている。
それでも。
例え皆が納得していたとしても、どんな大義名分があろうとも、私だけは住職がした事を許せない。許してはいけない。
ふと、ここに来る前にした友人との会話の内容を思い出す。
もしもタイムマシンがあったなら、過去に行けるとしたら。
そんなの、やる事は決まっている。
法師様に出会う前の自分を連れて、どこか遠くに逃げるか。或いは。
いっそこの手で してしまうか、だ。
「……っ?」
ぐにゃりと歪む視界。いつもの発作だと気づいた時にはすでに、体は床に倒れ込んでいた。
目の前が青く、碧く、黒く塗りつぶされて。
息が出来ない。もがく事も出来ずに沈んでいく。
誰かの声。泣くような、嘆くような。
「彩《さい》っ!?」
どこか遠くで、法師様が。
昔の、何も知らないで笑っていた私の名を呼んだ気がした。
20240723 『もしもタイムマシンがあったら』
「私は幸せ者よ。こうして皆に愛されているのだもの」
人柱に選ばれた少女は、幸せだと微笑う。
「どっちみち死ぬんだからさ。それなら大切な人の役に立ちたいだろ?」
形代としてその身を苛む厄に苦しむ少年は、それでも役に立てるならばと笑う。
「法師様のためならば」
「法師様の邪魔をするやつなんて、いなくなってしまえばいい」
「大丈夫ですよ。法師様の敵はすべて呪いますから」
「ねぇ。次は誰を呪えばいいの?法師様」
呪いを唄う少女達は、皆口を揃えて法師様のためにと嗤う。
最後まで笑みを絶やさず。
最期まで死を厭わず。
「終わりは変わらない。一人孤独に飢えて死ぬか、皆に愛され看取られて死ぬかならどちらを選ぶかなんて決まっているだろう?蕾にもならず枯れるより、花咲いて散っていく方が素敵だと思わないかい?」
そう言って頭を撫でてくれたのは誰だったか。顔も思い出せないその人がくれたのは、優しさと慈しみだけだった。
「咲き終えて散った私をお願いするよ。他の散った子と同じように沈めて」
形代として生きたその人は、それだけを残し。しばらくして尊き方の厄を引き受け、散っていった。
散ったその人を棺に収め、沈めていく。
荼毘には伏せない。生きた形代はその身に溜めた厄が還らぬよう、封をされて水の底に留め置かれる。
法師様と二人。法師様と共に御務めを終えられた皆を見届けるのが、私に与えられた役目。
沈んでいく誰よりも優しかった人を見送り、ただ祈る。
「彩《さい》。儂を許すな」
祈る私に、法師様は告げる。
「どんな大義を掲げようと、皆が許そうと、儂の行いは外法でしかないのだ」
「はい。法師様」
頷いて、法師様の望む答えを口にする。ただの気休めにしかならず、本心ではない言葉と知りながら、法師様は何も言わず。優しく頭を撫でる、その手の温もりに目を伏せた。
一人きり。皆花咲いて、散っていってしまった。
法師様ももういない。
水面を見つめ、見届けた皆の最期を想う。
この水の底に沈むのは、人柱の腕。形代と呪いの亡骸。そして法師様。
合わせて三十。私を入れて三十一。
あぁ、と納得する。
法師様のくれた『彩』の意味。最後に施された最大の外法。
「許すな」と言った、その言葉の真意。
ようやく法師様の望みが。
法師様を許さず、憎む事が出来る気がした。
法師様はいない。昨夜、御祈祷半ばで亡くなられてしまった。
だからきっと、この術は完成していない。
それでも、と。
例え不完全であろうと、今ならばあるいは。
数は揃い、この身に負の想いを抱き。条件の揃った今ならば。
一歩足を踏み入れる。
恐怖はない。一人ではない事を知っている。
だから大丈夫。
口元に笑みを浮かべ、目を閉じて。
ただ、沈んでいく。
20240724 『花咲いて』
「もしもタイムマシンがあったなら」
「前回までのあらすじ」────────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!
そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!
それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。
もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。
どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。
そうそう、整備士くんや捜査官くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かったよ。
712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くした彼は、ただただ泣いていた。ずっと寂しかったよね。今まで助けられなくて、本当にすまなかった。
事情聴取は無事に済んだ!その上、ボクのスペアがきょうだいを苦しめた連中を根こそぎ捕まえてくれたからそれはそれは気分がいい!
だが、実際に罪を犯した以上、きょうだいは裁判の時まで拘留されなければならない!なぜかボクも一緒だが!!
……タダで囚人の気分を味わえるなんてお得だねえ……。
牢獄の中とはいえ、随分久しぶりにふたりの時間を過ごせた。小さな兄が安心して眠る姿を見て、今までずっと研究を、仕事を続けてきて本当によかったと心から思ったよ。
きょうだいのカウンセリングの付き添いがてら、久しぶりにニンゲンくんと話をしたんだ。いつも通り話がしたかったけれど、そんなことはできなかった。
ボクの心は、ボクの気持ちは紛れもない本物だと信じて欲しかったけれど、受け入れてはもらえなかった。
機械のボクはもう、キミに信じてもらえないみたいだ。
ボクはともかく、きょうだいはちゃんと話を聞いてもらえたようだからよかったよ。
……さて、することも終わったから独房に戻らなければ!
────────────────────────────────
ボクはニンゲンくんからの激しい拒絶を受けて、少々落ち込んでいた。きょうだいのカウンセリングを見守るのが今日の仕事のはずなのに、ぼーっとしていてはいけないね!!!
さてさて、様子はどうだろうか?
面会室の方を見やる。きょうだいがこっちを向いて壁を叩きながら何か言っているのが見えた。
これはいけないなぁ……。ボクとしたことが、カウンセリングが終わったことにも気付かないなんて!!!
「⬜︎⬜︎!ごめんごめん!もう終わっていたんだね!うまくお話しできたかい?」「んー!」
「いっぱいおはなちきいてもらったの!」
「よかったねぇ!それじゃあ、そろそろ戻ろうか!」
「……。」「……?どうかしたかい?!」
「⬛︎⬛︎ちゃん、げんきないのー?」
「え……?ボクはいつだって元気だよ?!ほら!!!」
「んー。⬛︎⬛︎ちゃんもおはなち、しよう?」
「カウンセラーさんを引き止める訳にはいかないよー!きっと彼女も他のお仕事があるからね!!」
「⬛︎⬛︎ちゃんは?」「?」「おちごと。」
「ほかのおちごと、ないのー?」
「……ないわけじゃないが、ボクは優秀だから問題なしさ!!」
「ほら、もう戻ろうね?」「ん〜……。」
無数のカメラに見張られながら、ボクたちは牢獄へと戻る。
その間、小さな兄はボクの顔をずっと見つめていた。
「⬜︎⬜︎、どうしたんだい?」「だっこ!」
「抱っこ?はいはい!」「んー!」
嬉しそうにボクにくっついてくる。
そうだった。キミはとっても抱っこされるのが好きだったね。
「ご機嫌だねえ!!!」「んー!だっこ、うれちい!」
「よーしよしよし!」「えへー!!」
「もう着いたよ!」「ただいまー?」「そうだねー!」
「やぁ!マッドサイエンティストとその兄、無事に帰還!」
「どうも、お疲れ様です。」
「そういえば、キミのことはどう呼べばいいんだい?役職の名前か、それともコードネームの方が良いだろうか?」
「好きにお呼びいただいて結構です。」
「困るなあ!ヘンな名前で呼んでも怒っちゃ駄目だからね?!」
「う〜む……。本来であればむしろこちらがそう呼ばれるのに相応しい立場なのだが……。」
「972号くん!……っていうのはどうだろうか?」
「972号くん、ですね。かしこまりました。」
「あぁ、よろしく……。」
自分にくん付けするんだ……。まあいいか。
「そうそう、ついでに聞いても良いかな?」
「はい、なんでしょう。」
「この部屋への物の持ち込みは許可されているかい?」
「基本的に私物の持ち込みは禁止されておりますが、何か事情があってのご確認なのでしょう。」
「キミは話がわかるねえ!!」
「ところで、どのような物を持ち込まれたいのでしょうか?」
「持ち込みたいものは……。」
「……なるほど、分かりました。相談の上、その結果をご連絡いたします。」
「ありがとう!助かるよ!」
「それじゃあ、よろしく頼んだ!」
ボクはきょうだいを連れて部屋に戻る───
「あ、あの……。」
「ん??」「ご兄弟は別室にお入りいただくのが決まりです。」
「わかっているのだが、多分きょうだいは昼寝をすると思うんだよ。だからもしできればボクの部屋に入れたいんだ。」
「昼寝、ですね……。」
「あと、そもそもこのおちびはひとりが苦手だから、せっかく独房を用意してもらっておいて申し訳ないものの、この壁をブチ抜いて貰えないかなあ??」
「この壁をブチ抜く、ですね……。」
「こちらの件も相談いたしますので、少々お待ちください。」
「色々と悪いねえ!」
「あとはよろしく頼んだよ!!」
「かしこまりました。」
「ほら、おにーちゃん!キミは向こうのお部屋に行こうね!」
「えー?やだ!」「窓があるからお話もできるよ?」
「んー……。ボク、いいこになりたいから、がまんしゅる!」
「偉いねえ!!」「いいこ?」「良い子だよ〜!!」
「わ!わ!いいこ!ボク、いいこ!!」「嬉しそうだねえ!!」
「いいこ!ていってもらえたの!うれちい!!」
ボクはご機嫌なきょうだいと一緒にしばらく話をした。
こんなふうに楽しく話をしたのも、本当に久しぶりだ。
とりとめもない、ちょっとしたことを嬉しそうに聞いてくれる。そうだ。ボクはこんな時間を、こんな家族を、こんな笑顔を、心から望んでいたんだ。
「えへ!⬛︎⬛︎ちゃんもうれちそーなの!」
「そりゃあ嬉しいに決まっているよ!!!だって、キミとこんな話をしたのは700兆年以上振りだからねえ!!!」
「よかったー!さっきの⬛︎⬛︎ちゃん、ちょっとげんきなさそーだったから、ちょっとしんぱいだったの!でも、いまはねー!げんき!ボクもうれちい!」
「おや!かなり長い時間だったがひとりでお部屋にいられたね!!!立派だよ!!!」
「わ!わー!ボク、もっとえらい!いいこ!!」
「失礼します……。」「よしよし!!!」「あの」「わー!」
「えーっと……。」「うん?……あ、おや?!!いつの間に?!!」「先程からずっとおりましたが……。」
「せっかく来てくれたのに済まないね!……で、結果はどうだった?教えてくれたまえ!」
「そうですね。まず、持ち込みをご希望の物品に関しましては、我々の付き添いと確認、また個数制限がございますが持ち込みは可能との判断が下りました。」
「また、この壁をブチ抜くのは不可能ですが、」「だろうね」
「同じ部屋に移っていただくことに問題はございません。但し、ご兄弟への細工は禁忌です。」
「いやぁ……本当に助かるよ!!!どうもありがとう!!!」
「ただ、ボクがここから出る間、子守が必要なのだよ。どうしたものか……。」
「ご心配なく。ご兄弟の様子は僕の知り合いに見させるので安心してください。」「手間をかけさせるねぇ、申し訳ない!」
「ところで、キミの知り合いっていうのはどんな方なんだい?」
「もうすぐこちらに着く頃かと……あ、どうも。お忙しいところすみません。突然で申し訳ないのですが、この子の面倒を少しだけ見て頂きたくご連絡差し上げました。」
「あぁ……ってあれ?!この前のちっこいおにーちゃんじゃん!昨日振りぐらいー?!なんでこんな所に呼ばれたんかと思ってたらおにーちゃん、ここに収容されてたのか!!」
「えーと、サイレンしゃん?」「よく覚えてたな!さすがはおにーちゃんだけあるわ!」「よーし、抱っこだ!」「えへー!」
「マッドサイエンティスト!おちびのおにーちゃんの面倒は見とくから、用事はちゃっちゃと済ませてこいよー!」
「ありがとう!だが、なぜキミがここに?」
「あーそうそう!最近教育係みたいなことしててさ、子どものこと勉強しねーといい教え方が出来なさそうだから、そーいう関係の仕事してるヒト達に教えてもらってんの!」
「んで、たまたまなぜかここに呼ばれたワケ!呼ばれたんはマジで偶然!だと思ってる!」
「ほう……キミが勉強……あっいやよろしく頼むよ!!!」
「ほーら!生身のサイレンお兄さんがおチビちゃんのお世話をしてあげよう!」「えー?おしぇわじゃなくてだっこがいい!」
「はいはい……。」
゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
「……マッドサイエンティストさん、こちらのお部屋のものを持ち出されるのですね?」「ああ、そうだよ?」
「随分と長い間使われていないようですが……?」
「……10,000年前に持ち主が亡くなったからね。今はボクが管理しているのさ。時々掃除には来ているんだよ?なのでそこまで汚くはないはずだ!」
「それじゃあ、ちょっと手伝ってもらうよ?」
「ええ、準備はできています。」
「ただいま、お父さん。」
「今日はちょっと必要なものを取りに来たんだ。絵本とおもちゃと、それから……これだ。」
「972号くん、問題がないかどうか確認してくれたまえ!」
「はい……どれも問題ありません。」
「よかった!」
「ちょっと量が多いから……よっと!キミも少し持ってくれないかい?」「かしこまりました。」「ありがとう!」
「……お父さん、今日はありがとう。また来るね。」
「……にしても、ここから牢獄までちょっと距離があるね。何かいい移動手段はないかな?」
「残念ですが、特殊な技術の使用は禁止です。」
「そうだねえ!ボクは囚われの身だものねえ!!!」
「ご理解頂けて助かります。」
「重いなあ!!!仕方がないが運ぶしかないね!!!」
「もう少しですので頑張ってください。」
「あああ……。」
「やっと着いた……。ただいま……。」
「やっと帰ってきた……。おかえり……。」
「ねー!もっとだっこちてよー!!」
「もう夕方だよ!ごはんを食べて眠ろう!」
「そっかぁ……サイレンしゃん、ありがと!またね!」
「また、か……。じゃあ、今日はこの辺で……。」
「僕もこれで失礼します。」
「ふたりとも、本当にありがとう!!!」
「みんな、ばばーい!」
彼らは部屋から去っていった。
「⬛︎⬛︎ちゃん、どこいってたの?」
「ふふふ……!キミの好きな絵本を取りに行っていたのさ!」
「あ!これ!たいむましんのえほん!」
「懐かしいなぁ……。」
「ねぇ⬛︎⬛︎ちゃん、たいむましん、あるの?」
「宇宙に対して使用出来るものはあるよ!……だが、宇宙管理機構に対して使用することは厳禁だ。」
「なんでー?」
「考えてもみてよ!そんなものが使えてしまえば宇宙は大混乱に陥るのさ!」
「仮に邪悪な心の持ち主がいたとしよう!そいつがボクたちに対してタイムマシンなんか使ったら何がどうなるか分からない!それこそ……全てを乗っ取られる可能性すらある!」
「うーん。こわいの……。」
「でも、⬛︎⬛︎ちゃんは、たいむましんあったらつかう?」
「もちろん使うよ!」「⬛︎⬛︎ちゃん、わるいこ!」「違うよ!」
「もしもタイムマシンがあったなら、ボクは真っ先にキミを助ける!!!ウイルスをすぐに除去して、そしてそいつを作った連中を根こそぎ……ねぇ?ふふふ……。」
「いいこー!でも、わるいこー!ちょっとこわいの……。」
「罪は裁かれるためにあるのだよ?ボクがキミを救えたのなら、キミは罪を犯さずに済んだ。そうだろう?」
「うん……でも……。ねこしょぎ?どーしゅるの?」
「罪を償わせる!!!それから……彼らには牢獄で未来永劫ウイルスを作らせ続けて、それを参考にボクはセキュリティシステムを構築する。」
「これ以上誰も傷つけないためにね!」
「というかねえ、ボクが悪いことをするわけがないだろう?!!だってボクは、可愛くて優秀な公認宇宙管理士だからね!!!」
「よかったー!⬛︎⬛︎ちゃん、いいこなのー!」
もし仮にもっと邪悪なことを考えていたとしても、口にも顔にも出さないよ?だってこんなに見張られている空間で不穏なことを言えば、ボクまで何かしらの罪に問われるかもしれないからねえ?
……なーんてね!冗談だよ!
ボクはきょうだいを助けるためにお父さんと一緒にここまで研究に研究を重ねたんだ!それを無碍にはできない!!!
3人でまた、一緒に過ごそうって約束したんだ。博士が亡くなってその夢は叶わなかったが、それでもこれからをきょうだいと一緒に過ごすことが出来る。
「ねぇ、⬜︎⬜︎?」「んー?」
「キミはとってもいい子だよ!」
「でもね、もしキミがいい子じゃなくても、何にも出来なかったとしても、ボクはずーっとキミのことが大好きだからね!お父さんだって、キミをずっと愛していたよ!」
「このことは絶対に忘れないでね……。キミがボクとお父さんに、とても愛されている、ということを。そして、これからもそれは変わらないことを。」
「うん!」「ボクも⬛︎⬛︎ちゃんと、おとーしゃんのこと、だいしゅき!これからもずーっといっちょにいるのー!」
きょうだいは安心しきった顔で笑っている。
「あ、そうそう!これ、覚えているかい?」
ボクはきょうだいにぬいぐるみを渡す。
どこかの宇宙の可愛らしい生き物を模ったものだ。
「あ!これ!1しゃいのおたんじょーびにもらったの!ボク、このこだいしゅきー!」
「これからはこの子も一緒に寝ようか!」「んー!!」
小さな兄は本当に嬉しそうな顔でぬいぐるみを見つめている。
ボクも嬉しい気持ちを抑えられず、きょうだいを抱きしめた。
「んー!んーんー!」
小さくて柔らかくて、温かい。
これからはボクが兄を守らなければ。
そう決意して、ボクは純粋無垢なきょうだいの頭を撫でた。
もしもタイムマシンがあったなら
もしもタイムマシンがあったなら、現代の知識をフル活用して、過去の人々にとって偉大な人になってたくさんの人から尊敬されて穏やかに愛されて…そんな人になってみたい。後世の人からも敬愛されるような人になりたい。人格者…?みたいな。例えば卑弥呼様や安倍晴明のような…?そんな風に。
「もしもタイムマシンがあったなら、」
そう呟いた青年の細い腕に、持っていたアイスクリームが液体となってドロドロと流れていく。
「君は、何がしたい?」
『えっ、あ、その、えーっと。』
いきなり話しかけられたものだから、僕は狼狽した。
そもそも、タイムマシンなんてあるはずの無い物のことなんて、上手く想像することができない。
「まぁ、ゆっくり考えれば良いさ。夏は長い。」
そう言って優しく微笑んだ青年の肌は、夏に似合わない色白で、首元まで伸びたおかっぱ頭は体格と相まって彼を女性らしく見せた。
『あの、!』
その先の言葉は出なかった。彼が僕の言葉を待つ数秒が嫌に長く感じた。言葉は出てこないのに、出さなければならないこの状況に、苦しい、そう思った。
そんな苦しみを察したかのように、少しづつ、雨が降り始めた。
「行こう。僕のうちがこの近くにある。」
青年に手を引かれて歩いたあの道は、けものみちのようで、この先に本当に人の住む家があるのかと彼を疑った。でもそんな疑いもすぐに晴れ、二階建てだが小さな家に、足を踏み入れた。
「お風呂に入っておいで、雨に濡れて風邪をひくといけない。」
「…それとも、一緒に入ろうか?」
『えっ!?』
「冗談さ」
どうやら僕はぼーっと立ち尽くしていたようで、彼にからかわれてようやく目が覚めた。
お互い風呂に入ったあと、客間らしき場所に通され一緒にはちみつの入った紅茶を飲んだ。自分の話、家族の話、過去の話、未来の話。沢山話して、あっという間に時間が過ぎた。
それから毎日のように、彼のもとへ通った。けものみちは日に日に草木が生い茂って狭くなって行ったけど、どんなに服が汚れても気にならなかった。帰り際には、はちみつの入った紅茶を飲ませてもらった。どんなに暑くても、それが僕らにとってのさようならだったから。
8月31日、夏休み最終日。
「もう夏が終わってしまうね。」
『平日には来られないけど、土日は毎週来るよ。』
「……もしもタイムマシンがあったら、君は何がしたい?」
『僕は……』
僕は答えられないまま、その日は家へ帰った。
次の週の土曜日、彼の家へ続く道はもうなかった。
町の人に聞こうとしても、僕は彼の名前を聞いていなかった。
それから10年、僕は18歳になった。男にしては細身で色白。ボサボサの髪の毛を美容院でおカッパに整える。鏡に映る自分を見てふと思った。
「もしもタイムマシンがあったなら。」
《巡り逢うその先に》
第2章 ⑩
主な登場人物
金城小夜子
(きんじょうさよこ)
玲央 (れお)
真央 (まお)
綾乃 (母 あやの)
椎名友子 (しいなともこ)
若宮園子 (わかみやそのこ)
大吉 (だいきち)
東山純 (ひがしやまじゅん)
向井加寿磨 (むかいかずま)
ユカリ (母)
秀一 (義父)
桜井華 (さくらいはな)
大樹 (父 たいじゅ)
高峰桔梗(たかみねききょう)
樹 (いつき)
柳田剛志 (やなぎだたかし)
桜井大樹(さくらいたいじゅ)
横山雅 (よこやまみやび)
京町琴美(きょうまちことみ)
倉敷響 (くらしきひびき)
葛城晴美 (かつらぎはるみ)
犬塚刑事 (いぬづか)
足立 (あだち)
黒鉄銀次 (くろがねぎんじ)
そして、もうひとり。
「はじめまして、私、高知県警から来た...」
「犬塚じゃないか」
声を掛けたのは柳田剛志だった。
「どうして高知県警のお前がここにいるんだ」
犬塚は驚いた。こんな小さな子に知り合いはいない。ましてや呼び捨てにされる覚えもない。だが、どこかで会ったことがあるような気もするのだが。
「君は?」
「はぁ、俺がわからないのか?」
横山雅にヒジテツを喰らわされ剛志は我に帰った。
「あっ、す、すいません人違いでした。僕は柳田剛志です。小夜子さんの弟のクラスメートです」
「そうですか。わかりました。改めまして、私は高知県警の犬塚といいます。サイクルショップ田中さんの詐欺事件のことで金城小夜子さんにお話しを伺いたいのですが?」
「なんだって!それは企業詐欺のことか!高知からわざわざ福島までお前が来たってことは、まさか黒鉄銀次が絡んでるのか?」
「剛志ちょっと落ち着いて」
雅に言われて、しまったと思ったがもう遅い。
「どうして君が黒鉄銀次のことを知っているんだ。しかも、私はまだ名前も言っていないのに?」
すかさず雅が間に入った。
「すいません犬塚さん。どうぞ先に小夜子さんと話しをして下さい。私たちは廊下で待ってますから」
雅は剛志の腕を引っ張って廊下に出ていった。
剛志は混乱していた。今まで雅にすらバレずに隠してきたのに、だが、黒鉄銀次のことだけは放ってはおけない。
「剛志、私に隠し事してるわね。全部話して」
「言ったところで、信じてはもらえないと思う」
「見損なわないで、たとえ剛志が宇宙人だとしても私の気持ちは変わらないわよ」
雅の真剣な眼差しには少しの濁りもなかった。
「わかった全部話すよ。僕は桜井大樹の生前の記憶を持ったまま生まれたんだ」
「生まれ変わりっていう事?」
「そういう事なんだ、ゴメン」
「ならよかった」
「よかった?」
「うん、だってもし宇宙人で、いずれM78星に帰るって言ったら、
私そこでやっていけるか不安だったんだもん」
「僕がM78星に帰るって言ったら一緒に行くつもりだったのか?」
「当たり前でしょ」
ドアが開いて犬塚が出てきた。
「今の話しは本当なのか、君が桜井さんの生まれ変わりだっていうのか」
「そうだ」
「そんな事信じられるか」
「犬塚の奥さんの名前は春江さん娘は夏希、今年で中学3年生かな」
犬塚は驚いた。どうして自分のこじん情報を知っているんだ。
「息子が5年生になりました」
「そうか、よかったじゃないか息子を欲しがっていたからな」
「本当に桜井さんなんですか?」
「さっきからそう言っている」
「こんな非現実的なことを警察官の私が認めることは出来ない。だが、桜井さんの言葉は、信じられます。だから、私がここに来た経緯を説明します」
犬塚はサイクルショップ田中が詐欺にあって、その裏に黒鉄銀次がいるという情報を得て福島まで来たと伝えた」
「そうか、で、奴の居所は掴んでいるのか?」
「それは、華さん達が当たっています」
「華が警察官になったのか」
「はい、今は捜査一課の刑事で私のバディです」
「そうか」
「そしてもうひとり、桜井さんが身を挺して守った夫婦の娘さんも警察官になり、華さんの家で一緒にいます」
「そうか、他にもいろいろ聞きたいことがある。今晩一杯飲みながら話そうか」
「何言ってるの、剛志はまだ小学生でしょ」
「あの、桜井さんこちらの方は奥さんですか?」
「そうです」雅はキッパリと答えた。
つづく
もしもタイムマシンがあったら、貴方は過去に戻りたい?それとも、未来に行ってみたい?私は過去に戻りたい。過去に戻って、人生もう一度やり直したい。こうすれば良かった…。あぁすれば良かった…。間違った選択ばかりしてきた私の人生。辛いことだらけの私の人生。
過去にも未来にも行きたくない。
過ぎたことをやり直さなくていいし
これから起こることは想像するだけでいい。
「ねぇ、綾瀬くん。もしもタイムマシンがあったなら、君は何をしたい?」
博士が突然そんなことを尋ねてくるのでギョッとする。
「……完成しそうなんですか?タイムマシン」
「いやぁ、全く!身近な人の想いとか聞いたら、なんか上手くいくかもなぁと思ってさ」
「なんですかそれ」
(なんだ、やっぱり完成は無理なのか)
このダメ博士の助手を始めてもうすぐで5年になる。
-5年前-
何もかも上手くいかなくて、全てを捨てて夜道で泣きじゃくっていた時、声をかけてきたのが博士だった。
「働き手がないなら、うちで働いてみない?ちょうど助手が欲しかったんだぁ〜」
自販機で買ったお茶を差し出しながら、ヘニョっとした笑顔で笑う博士を見て、居場所を求めていた私は深く考えずに着いていくことにした。
その後、後悔することになるんだけど。
博士とは言っても発明が趣味のニートみたいなものだから、業務の半分はシール貼りなどの内職だった。
発明品も、すごく聞こえやすい糸電話とか、空を飛べる道具(失敗作)とか、自分そっくりの人間型ロボット(動かない)とか。
とにかく失敗作ばかりで、博士としてダメダメだ。
それでも驚くほど人がいいから、なんだかんだ5年も助手を続けてきた。
様々な失敗作を生み出してきた博士だけれど、3年ほど前のある日を堺にタイムマシン作りに没頭し始めた。
何があったのかは教えてくれなかったけれど「どうしても作りたいんだ」というので、黙って手伝うことにした。
そして今に至る訳だけれど、どうにも上手くいかないらしい。
「タイムマシンがあったらしたいこと、ですか」
「なんでもいいんだよ?過去に行きたいとか、未来を見たいとか!」
「うーん、強いていうなら「未来が見たい」ですかね」
「未来かぁ、どんな未来?」
「未来の博士の様子が気になるので。現状あり得ないですが、はたまた世界に認められる発明家になっているかもしれませんからね」
「あははっ、それは愉快な未来だねぇ」
そうやって博士は、いつもの人のいい笑顔で笑う。
「……そういう博士は、タイムマシンを作って何がしたいんですか?」
ずっと気になっていた疑問。今なら教えてもらえるような気がした
少し間をおいて、博士がぽつぽつと語りだす。
「僕はねぇ、3年前のとある日に戻りたいんだ」
「とある日?」
「5分でも1分でもいいからあの日に戻って、どうしても会いたい相手がいるんだ」
何がしたいのかは教えてくれなかったけど、博士の悲しそうな目線はいつもデスクに置かれている黒猫の写真に向けられていた。
(……これ以上、聞かない方がいいよね)
なんとなく、博士の会いたい相手を察した私は、これ以上の追求はしないことにした。
「それじゃあ、頑張って完成させなきゃですね」
「だね〜。今日も頑張るぞー!」
そう言って博士は、真剣な眼差しで発明に取り掛かるのだった。
お題『もしもタイムマシンがあったなら』
夏空の遠き彼方に月は在り。兎も涼み、今宵は冷たし。
「タイムマシン?」
「ああ、そうさ。
もしこの飴を舐めたら一度だけ、未来でも過去でも、好きな時に飛べるとしたらどこに行きたい?」
平和な昼下がり、涼しい大也のラボでお嬢とアイスを食べながらそんね他愛もない会話をする。
お嬢はアイスを咥えながらうーんと考える。
「そうね、先週お気に入りのマグカップを割ってしまった瞬間に戻りたいわ」
「なんだか意外だねえ、もっとこう……何年前のこの時に戻って誰かを助けたい、と言うかと思ったけれど」
「過去に戻って救いたい人なんて大勢いるわ。
その中から誰か一人なんて選べない。
それに今は幸せだから、このままでいいの」
私はまだお嬢の過去に何があったか詳しくは知らないが、お嬢の表情を見るに思い浮かべた「救いたい人」はどうやら二人や三人で済まないほどいるらしい。
「お嬢にそんなに想って貰える彼らはとても幸せ者だね。彼らもきっと今のお嬢を見れば安心するよ」
「……本当にそうならいいのだけれど。
ところで玄蕃はいつに戻りたいの?」
「うーん、この間お嬢を殴ってしまった時、かな」
「いつまでアレを引き摺ってるのよ……戦いに事故はつきものなんだから私はもう気にしてないわ」
お嬢はふふ、と笑いながら垂れそうなアイスを手を添えながらまたひと口かじる。
「あ」
「どうかしたのかい?」
「アイス、当たりだわ」
「おや、後で店に交換しに行こうか」
お嬢は袖を捲りながら嬉しそうに当たり、の文字をこちらに見せる。
確かに、今は彼女にタイムマシンは必要なさそうだ。
もしもタイムマシンがあったなら
中学3年生のあの教室に戻りたい。今も楽しいけど、学生生活で1番楽しかったのが中学3年生だった。過去と同じ日々でいいから、もう一度、あの青春の場所でみんなと口を大きく開けて笑いたいな。
もしもタイムマシンがあったなら
─いつに戻りたい?
自分に問いかけてみた。
私、今の生き方がいいと思えてる。
こんな風に思える日がくるなんて。
自分がやってみたいことをやって
それなのに満たされなくて苦しかった。
自分は空っぽの何も無い意味のない存在で、
生きるのも面倒で
死ぬのは怖い
一緒にいる人、環境でこんなにも考え方が変わるなら、また何度だって後悔するし、きっとタイムマシンが使えたらいいのにって思うこともきっとある。
けれど束の間のこの今、
私満たされてる。
私も、こういう風に人を愛せるようになりたい
あなたにとても惹かれる
行動が、読めない。
私が誰かのために、
それが、たとえ何も報酬がなくても、
それでもいい、と思える献身を自然に引き出すあなた。
人を真に思いやるとはなにか?
まだまだ未完成すぎるから
私がもとに戻りたいところなんてないし
その過去まとめて全部私を形作るのならば
何ひとつ後悔ないかな。
そう思えるほどの出会いだった。
少しでもなにかあったら、出会ってすらいない。
奇跡の連続で君に出会って
君と恋に落ちて
愛するとは何か、ようやく掴めそうだから
私はこの今を手放したくないし
あなたに愛される私でありたいとがんばれる。
もしもタイムマシンがあったなら
趣味ができる時間のためにお金を稼ぐ
友達に会いに行く
身内を守る
他は別にいいかなぁ
未来や過去に行き来できる乗り物があったらどうするか。
宇宙へと飛び立つ乗り物があるのだから、時空間移動する機械があってもいいのかもしれない。
問われた戯言の質問に、思考するが歴史家に高値で売り渡す。という返答しか出てこない己に夢がなさすぎやしないかと、心中で息を吐く。
いや、歴史家だけではなくとも、見逃したものを見るというのはいいかもしれない。
自分を見ることができるのなら、あの時どんな顔をしていたか、見てみたい。
少し曖昧ではっきりと用途が思いつかずに、質問者へと水を向けると意外な回答があった。
必要とする人間に譲る、と。
自身と似た回答に、なぜかと問う。
時間を遡れたって、目の前の相手と過ぎた時間を共に過ごすことはできないのだから。
そんな返答に、高値で売らない時点で自分とはだいぶ違ったな、と眩しさに目を細めた。
もしもタイムマシンがあったとしても、
過去に行くことは絶対ない。
過去なんて、一回きりでええねん。
もしもタイムマシンがあったなら
パラレルワールドに迷い込む
ここはどこだろう
水色と銀色の光が乱反射して景色は回転している
自分は無重力空間に漂っているだけだ
大丈夫、私はここにいる
流れに身を預けるのも悪くない
現在でも過去でも未来でもないこの世界に
しばらくタイムスリップしていたい
『もしもタイムマシーンがあったなら』
過去も 未来も 現在も
今この瞬間に同時に存在しているって
言う人もいるらしい
刹那の中に永遠が在るんだって
だとすれば 僕らは
既に タイムマシーンに
乗っていることになるね
前世の私と貴方は、
どんな輪廻転生を繰り返してきたのか見てみたい。
この縁をより確かなものだと、確信するために。
そして未来を私達で作っていく。
もしもタイムマシンがあったなら。
『もしもタイムマシンがあったなら』
〜もしもタイムマシーンがあったなら〜
このテーマは2回目だ
その時に戻りたいかと聞かれたら
私は嫌だと答える
だって過去の自分があるから今の自分があるから
タイムマシーンなんていらない
だから今の幸せを大事にしたい
もしもタイムマシンがあったなら
過去に戻って幼き日の思い出に浸りたい。