星乃 砂

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《巡り逢うその先に》
        第2章 ⑩

主な登場人物
 金城小夜子
     (きんじょうさよこ)
   玲央      (れお)
   真央      (まお)
   綾乃   (母 あやの)
 椎名友子  (しいなともこ)
 若宮園子 (わかみやそのこ)
   大吉    (だいきち)
 東山純 (ひがしやまじゅん)

 向井加寿磨 (むかいかずま)
   ユカリ      (母)
   秀一      (義父)

 桜井華   (さくらいはな)
   大樹  (父 たいじゅ)
 高峰桔梗(たかみねききょう) 
   樹      (いつき)

 柳田剛志 (やなぎだたかし)
 桜井大樹(さくらいたいじゅ)
 横山雅  (よこやまみやび)

 京町琴美(きょうまちことみ)
 倉敷響  (くらしきひびき)

 葛城晴美 (かつらぎはるみ)
 犬塚刑事    (いぬづか)
 足立       (あだち)
 黒鉄銀次 (くろがねぎんじ)

そして、もうひとり。
「はじめまして、私、高知県警から来た...」
「犬塚じゃないか」
声を掛けたのは柳田剛志だった。
「どうして高知県警のお前がここにいるんだ」
犬塚は驚いた。こんな小さな子に知り合いはいない。ましてや呼び捨てにされる覚えもない。だが、どこかで会ったことがあるような気もするのだが。
「君は?」
「はぁ、俺がわからないのか?」
横山雅にヒジテツを喰らわされ剛志は我に帰った。
「あっ、す、すいません人違いでした。僕は柳田剛志です。小夜子さんの弟のクラスメートです」
「そうですか。わかりました。改めまして、私は高知県警の犬塚といいます。サイクルショップ田中さんの詐欺事件のことで金城小夜子さんにお話しを伺いたいのですが?」
「なんだって!それは企業詐欺のことか!高知からわざわざ福島までお前が来たってことは、まさか黒鉄銀次が絡んでるのか?」
「剛志ちょっと落ち着いて」
雅に言われて、しまったと思ったがもう遅い。
「どうして君が黒鉄銀次のことを知っているんだ。しかも、私はまだ名前も言っていないのに?」
すかさず雅が間に入った。
「すいません犬塚さん。どうぞ先に小夜子さんと話しをして下さい。私たちは廊下で待ってますから」
雅は剛志の腕を引っ張って廊下に出ていった。
剛志は混乱していた。今まで雅にすらバレずに隠してきたのに、だが、黒鉄銀次のことだけは放ってはおけない。
「剛志、私に隠し事してるわね。全部話して」
「言ったところで、信じてはもらえないと思う」
「見損なわないで、たとえ剛志が宇宙人だとしても私の気持ちは変わらないわよ」
雅の真剣な眼差しには少しの濁りもなかった。
「わかった全部話すよ。僕は桜井大樹の生前の記憶を持ったまま生まれたんだ」
「生まれ変わりっていう事?」
「そういう事なんだ、ゴメン」
「ならよかった」
「よかった?」
「うん、だってもし宇宙人で、いずれM78星に帰るって言ったら、
私そこでやっていけるか不安だったんだもん」
「僕がM78星に帰るって言ったら一緒に行くつもりだったのか?」
「当たり前でしょ」
ドアが開いて犬塚が出てきた。
「今の話しは本当なのか、君が桜井さんの生まれ変わりだっていうのか」
「そうだ」
「そんな事信じられるか」
「犬塚の奥さんの名前は春江さん娘は夏希、今年で中学3年生かな」
犬塚は驚いた。どうして自分のこじん情報を知っているんだ。
「息子が5年生になりました」
「そうか、よかったじゃないか息子を欲しがっていたからな」
「本当に桜井さんなんですか?」
「さっきからそう言っている」
「こんな非現実的なことを警察官の私が認めることは出来ない。だが、桜井さんの言葉は、信じられます。だから、私がここに来た経緯を説明します」
犬塚はサイクルショップ田中が詐欺にあって、その裏に黒鉄銀次がいるという情報を得て福島まで来たと伝えた」
「そうか、で、奴の居所は掴んでいるのか?」
「それは、華さん達が当たっています」
「華が警察官になったのか」
「はい、今は捜査一課の刑事で私のバディです」
「そうか」
「そしてもうひとり、桜井さんが身を挺して守った夫婦の娘さんも警察官になり、華さんの家で一緒にいます」
「そうか、他にもいろいろ聞きたいことがある。今晩一杯飲みながら話そうか」
「何言ってるの、剛志はまだ小学生でしょ」
「あの、桜井さんこちらの方は奥さんですか?」
「そうです」雅はキッパリと答えた。

           つづく

7/23/2024, 11:10:35 AM