『みかん』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題みかん
みかんって冬に食べるけど、ここ何年か食べてないなぁ。
家には買って置いてあるけど、白いとこしっかり取って、皮も出して食べるのなんだかめんどくさくて…
とはいえ、香りも落ち着くし色も元気色で好きなものであることは変わらない。ひさしぶりにテレビを見ながらパクって食べてみようかな。
「筋を全部はがして食べないと気が済まないから、アタシはみかん1つ食べるのにとても時間がかかるの。」
すっかり暖房と手垢でぬるくなった1個の果物を、もう40分もちちくりながら、
同室の女は細くてたるんだ青白い足を膝を揃えて抱き寄せて、背を丸めて手元のみかんに目をむけたままそう言った。ことごとく自我の強い女だ。
「まあ君の気が済むなら、別にそれでもいいんだ。」僕はぶっきらぼうに、彼女の方を見ないようにしながら言った。
ぬるくてまずいみかんを食おうと、それが手垢で汚れていようと、みかんの白い筋にこそ栄養があろうと、彼女は気にしない。そういう「より良さ」みたいなものを全部無視してこの女は生きているからだ。
やってる事は全部無駄だと伝えたところで、「私は腐ったみかんだからこのくらいがちょうどいいのよ」と吐きダコと根性焼きだらけのガリガリの手で、不幸に向かって一心不乱なのだからもう放り出してしまいたくなる。
それだのに今年もこの女と暮らしてしまった。
それくらいにはこの女と同類なのだろう自分の生きづらさも、この女自体も、全部、年末年始の厄祓いで祓ってしまえれば楽なのになあ、と消えたくなった。
それでも明日はやってくる。来年ものこのこやってきてしまう。
息の詰まるような暖房の暖かさに、僕はまどろんで目を閉じた。
(お題:みかん)
みかん
冬になると1度は買う。
昔は箱で買っていて、
いつでも食べられたから、
ついつい食べすぎて
黄色くなるよ。とか言われてたっけ。
また買ってこようかな。
黄色くならない程度にね。
paki
『みかん』
こたつの中で足の先が触れ合いながらテーブルの上にあるみかんを手に取る。食べ終わった後、どっちの手が黄色くなるか勝負をするのが毎年の恒例行事。今年は勝たせてもらおうかな。
______やまとゆう
「みかん」
甘いみかんもあれば、酸っぱいみかんもある
時には甘酸っぱいみかんもある。
不思議だよね、お日様の浴び方や、高い位置にあるか低い位置にあるかで味が変わるのって。
個人的な意見だが、みかんは人間の恋愛に少し似ている気がする。人間も好きな人と居る時は甘い恋をしたがる。
けど、喧嘩をするとちょっとトゲがあるかのように苦しむときもある。
人間はその2つを持ち合わせながら恋をする。
結局甘酸っぱい恋が1番いい。
よく言うよね 喧嘩するほど仲がいい。って。
みかん
”年末年始は絶対に家から出ない”
二人の間に何年も置かれたルールは、制定されてから一度も破られたことが無い。
ただ、2年目に
尚、初詣は良しとする
が追加されたのは目をつぶるとしてだ。
理由は簡単
年末年始は2人で振り返り新しい1年も共に良いものにする
そのために設けられた2人だけの時間だ。
だから数日間家に籠るための買い出しには余念が無い。
数回に分けて大量に買い込み、この日はこれ、この日はこれ、と計画を立てて
足りないことの無いように、とはいえ余らせてもしまわないように慎重に買い込む。
のだけれど…
「みかん買いたい」
「え、珍しい、どしたの?」
みかんの山を目の前にして立ち止まる貴方
今までみかんを買う年は無かった。
確かにお正月と言えばこたつにみかんだけれど。
「なんか食べたくなっちゃった」
そう言う貴方はそのままみかんが何個も入った袋に手をかけた
「待って待って、そんなに買うの?多くない?」
「なんで?」
だってこっちは別に要らないし。
全て計画されてるから、みかんを買うと予定が来るって余ってしまいそうだし
「悪くなったらもったいないし、1個でいいんじゃない?」
「でも、食べたくなった時に家から出られないのは悲しいじゃん」
この人はそんなにもみかんが好きだったのだろうか
数年一緒にいるけれど、見たことない一面だった
結局こちらは食べないから、自分で管理することを約束して袋に入った沢山のみかんを買うことにした。
ただでさえ物の多い冷蔵庫の中に堂々と仲間入りしたそいつは結構邪魔。
まあでも、あんなに食べたそうにしていたし、きっとすぐに無くなると鷹を括ったのが30日
そして今日は所謂三が日最終日だ。
「ねえ、みかん1個も食べてないでしょ」
「あ、忘れてた」
普段買わないものだから、食べるところが存在すら忘れていたらしい
他のものは順調に我々のお腹に収まっていくのにみかんだけが減らない数日は地味にストレスだったのに、「忘れてた」らしい
「悪くなる前に自分でちゃんと食べ切るって約束した」
「でもまだ大丈夫でしょ?」
「あと1、2個ならまだしも全部残ってたら悪くなるまでに食べきれないじゃん」
自分で言いながら、良くない流れだと気づいた
貴方もそれを察したのか、次何を言うべきか吟味して一時の沈黙
その沈黙を破ったのは貴方だった
「よし、炬燵出そう」
「え、今?」
「今」
「もうお正月終わるのに?」
去年寝落ちばかりで身体に悪かったから、と今年は出さなかったそれを、こちらの質問にも答えずに急ぎ足で探しに行く背中を見送った
数分も経たずに見慣れたそれを持ってきて、ホコリを拭いて設置完了
まるで実は出したかったかのように
「ここ座って」
「ええ…」
「ほら早くー」
部屋を暖かくしてるから、わざわざこたつに入る理由なんてないのに、腕を引かれて指定された位置でこたつに入る
中は室温と変わらなかった
「これ、電源ついてる?」
「ついてないよ」
「もう、つけるからね?」
「コード持ってきてないから、つかないよ」
「へ?」
何も変なことはしてません。と言いたげな顔でキッチンに向かった貴方の思考が読めなかった
謎すぎる
何年も一緒にいるのに、何がしたいのかさっぱり
みかんを買いたいと言い出したりこたつを出すと言い出したり、大分貴方をわかってきたと思っていたのに
実はまだまだ何も知らないと言われているように少しショックだ。
「はいこれ」
「これって…」
渡されたのはさっきまで冷蔵庫に居たそいつ
「食べないって…」
「これでも?」
そう言うあなたの手はゆっくりと私の口元へと誘われていた、その手にはいつの間にか1口大になったみかん
「まあ、それなら…」
私の嫌いな筋も綺麗に取り去られたみかんは何だかんだいっても美味しかった
結局その後、こたつにみかん威力は絶大で
物の2日で全て無くなったのは秘密にしておきたい。
こたつに入り、みかんを剥く。
向かいでは彼女がみかんを横一列に並べている。
「何やってるの」
そう尋ねると、彼女はにやりと笑った。
「問題。みかんを並び替えてできる甘いものって何でしょう?」
「……甘味?」
「正解!」
「甘いものが食べたいの?」
「正解! 甘味処とか、行きたいな~」
「甘味処って、本当はあまみどころって読むんだよ」
「えっ!? 知らなかった!」
「じゃあ甘いもの食べますかー」
こたつから立ち上がり、剥いたみかんを彼女の口に突っ込んだ。
「このみかん甘い!」
今度はこちらから彼女に問いかける。
「問題。みかんを並び替えてできる家って何でしょう?」
「……民家?」
「正解! 甘味処じゃなくて、民家――家であんみつとかどうですか? 作るよ」
「あんみつ! 食べるー!」
みかんを手に持って、彼女は嬉しそうに飛び上がった。
『みかん』
「みかんって美味しーよね!」
去年の冬、私の親友は言っていた。私もそれに頷き、ひとつ口に運ぶ。甘酸っぱい果実を噛み締めて飲み込む。
私と親友はみかんが大好きだった。毎年2人で冬にこたつに集まって食べるみかん。あれほど美味しいものは無いと思っていた。
今年はみかんを食べる気にならない。親友は食べているのだろうか?とりあえず皮を剥く。
口に放り込むと涙が出てきた。親友にも食べてもらいたい。そう思い、1つのみかんを渡す。
「今年のみかんも美味しいね」
彼女の眠る墓に投げかけた。
Theme:みかん
「桃栗三年柿八年」という諺には続きがあることを最近知った。
地域によって違うらしいのだが、私が聞いた続きはこんなものだった。
「桃栗三年柿八年、梅は酸い酸い十三年、梨はゆるゆる十五年、柚子の大馬鹿十八年、みかんのマヌケは二十年」
果樹が実を結ぶまでは時間がかかるのだなと思いつつ、言葉がだんだんと辛辣になっていくのが気になってしまう。
「柿八年」までは「知識や技術は一朝一夕で身に付くものではない。年月をかけて努力することが大切だ」という意味で人を励ましたりすることにも使われている。
しかし、柚子以降はただの悪口ではないか。
冬はこたつでみかん、晩夏から秋は秋刀魚に青いみかんと、1年の半分をみかんを楽しみに過ごしている私には「何で柑橘類はそこまで言われなきゃいけないんだ」と少々不服を覚えてしまう。
少し悔しかったので、みかんの収穫までにはどの程度の時間がかかるか調べてみた。
みかんは種から育てるのではなく、苗木から育てるらしい。品種によって収穫までにかかる時間は様々だが、温州みかんであれば5年目以降から実がなるようになり、収穫と呼べるくらい実がつくのは10年程度かかるという。
あの諺ができた頃には、みかんの収穫は20年規模の一大プロジェクトだったのだろうか。
人生の3割程度(あるいはそれ以上?)の時を費やし、ようやく実を結ぶ。
あまりの長さに馬鹿馬鹿しいと投げ出したくなってしまうかも知れないが、それでも諦めなければいつかはきっとたくさんの実を結ぶ。
みかんの収穫には今は20年もかからないようだが、そこまでの品種改良にも時間がかかったことだろう。
先人の偉業に感謝しつつ、今日も食べきってしまったみかんのストックを買いに行く。
みかんは嫌い。
途中だし
中途半端だし
この話も
完結しない。
わからない…
無題
『死にたいくらいなら、死ぬ気でやればなんとかなる』
なんてバカなことを平気で言う人間がいる。
死にたいのにやる気なんかでるもんか。
『自殺は生きたくても生きれなかった人への冒涜だ』
なんてバカなことを平気で言う人間がいる。
世の中には死にたくても死ねない人がいるのに。
『死ぬな、生きろ』
笑わせるな。
生きたい人に『死ね』と言っているのと同義であることを自覚してないのか?
『死にたいなら死ね、さっさとやれ。できないんだろ? だったら黙って大人しく生きてろ』
畜生。
畜生。
畜生。
きれいに剥けると気持ちがいい
栄養があるとわかっていても
薄皮やスジは取りたくなる
裸のオレンジに心が弾む
半分に分けてから
ひとつずつ口に放る
甘くておいしいな、とか
ちょっと微妙だな、とか
感想を浮かべながらも手は止めない
なくなれば即座に次を手に取り
気づけば夢中になっている
これを「好き」というのかもしれない
~みかん~
「みかん」
炬燵でみかんは冬の風物詩で
冷凍みかんは夏の車内の風物詩だった
「みかんといえば、『陳皮(ちんぴ)』とかいうミカンの皮を乾かした生薬と、『オレンジフラワー』だの『オレンジピール』だののハーブティーか?」
昔スーパーで試食配ってたねーちゃんが、カマンベールにオレンジマーマレードのせて渡してくれて、それは美味かったわ。
某所在住物書きは賞味期限間近なマーマレードの瓶を眺めながら、これをどう処理すべきか思考していた。
「『ミカン科』のグループで言えば、レモンもミカンで山椒もミカン。カレーリーフもミカン科だとさ」
意外と仲間は多いようだが、で、その「みかん」で何書けっていうんだろう。物書きは相変わらず途方に暮れて、ため息を吐く。
「『マーマレード 活用法』で調べたら、照り焼きとかマーマレード焼きとか出てきたわ。……パンだのチーズだのに使うだけじゃねぇのな」
――――――
今年も残すところあと少し。皆様、大掃除等々、進んでいますでしょうか、そうですか、失礼致しました。
今回は「みかん」のお題に苦戦した物書きが、こんな苦し紛れをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。
某稲荷神社敷地内の一軒家に、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
そのうち賢く美しい母狐は近所の茶葉屋で店主として、優しく穏やかな父狐は某病院で漢方医として、
それぞれ労働して、納税して、コンコン、人の世を見続けてきたのでした。
今日は漢方医の父狐、自宅の庭に作っているハーブガーデンだか、薬草園だか、ともかく不思議な不思議な「狐の薬」の材料をどっさり植えている場所に、
ひとつ、病院のお給料で買った苗を、それはそれは大事そうに植える作業をしておりました。
ミカン科ミカン属、ウンシュウミカンです。
冬の寒さに負けぬよう、ちょっと大きめの苗木です。
それは漢方「陳皮」を実らせる木であり、ハーブティーに用いられるオレンジピールとオレンジフラワーの木でもあり、
すなわち、これが元気に育って実をつければ、茶葉屋の母狐もきっと喜んでくれるのです。
温暖化により、ミカン栽培の北限が段々変化してきて、今では宮城県なんかでも栽培されている、なんて言われている昨今。
都内でも何件か知りませんが、それでもミカン園があるというウワサ。
宮城や都内で育つのです。なんなら父狐が育てられぬ道理は無いのです。
『まぁ、なんて素晴らしい!』
コンコン父狐、母狐が喜んで自分をグルーミングしてくれるのを、想像してひとりニッコリ。
『さすが私の夫です。花が付いたら花を摘んで、実が付いたら皮を丁寧に干しましょう』
わぁ、わぁ。君がそんなに喜んでくれると、私もお小遣い、頑張って奮発した甲斐があるよ。
みかんの実がどっさり付いたら、あまずっぱい果汁で鶏肉を焼いて、照り焼きたくさん作ろうね。
ぶんぶんぶん、ぶんぶんぶん。コンコン父狐は嬉しくって嬉しくって、頭の中が幸福で、化けて隠してた尻尾がコンニチハ。
猛烈な勢いで、わんこのように振っています。
だってコンコン父狐、1■■■年に母狐と結婚してから■■年、ずっと母狐を愛しているのです。
まさしくこの、みかんの花言葉のひとつのように、純粋に、ただただ純粋に、家族の幸せと平和を願っているのです。
「何やってらっしゃるの?」
ほら、尻尾をビッタンビッタン振りながら苗木を植えている父狐のところに、母狐が音を聞きつけて、やってきました。
「あら、みかん?」
とうとうペッタン狐耳まで幸福に畳んでしまった父狐に、母狐、冷静に言いました。
「植え付け時期確認なさった?」
一般的に、みかんの植え付けは、3月中旬から4月中旬が適期とされているそうです。
いま、我が家には
一箱のみかんがある。
玄関の隅に置いて、早く食べなきゃ
ダメになっちゃうよなぁ
と、思いつつ。
ふと、箱をのぞくと少し減り
また、のぞくと半分ほどに。
子どもたちが、コタツでみかんを
している。
心配しなくても、大丈夫そうだね。
【お題:みかん】
「みかん」
ナイフもいらず 持ち運ぶのにも便利
皮ごとパクッと食べられる
炬燵で喉が渇いたら飲み物のかわりに
風邪予防のビタミン対策にだってなる
なんて優秀なみかん きみは素晴らしい
みかんはみかんでも皮の剥けないみかんってなーんだ?
ふとテーブルを見るとそこには灰かぶったみかんが置いてある。とうに腐ってしまったみかんを貰った日も思い出せない。何もかもここで起きた日々を私は思い出せずにいる。
すっぱいの苦手芸人としては
みかんを食べるのも一苦労なんだけども
美味しいかつ甘いみかんを食べれた時に脳汁出るぞ
飛ぶぞあれ
年末年始
大晦日
お正月
お年玉
冬は楽しい行事だらけ
冬は寒い
寒い日は布団の中から出られない
こたつの中も暖かい
だから出られない
こたつと言えばみかん
こたつで食べるみかんは最高
(*`ω´)b
お題〚みかん〛