ストック

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Theme:みかん

「桃栗三年柿八年」という諺には続きがあることを最近知った。
地域によって違うらしいのだが、私が聞いた続きはこんなものだった。

「桃栗三年柿八年、梅は酸い酸い十三年、梨はゆるゆる十五年、柚子の大馬鹿十八年、みかんのマヌケは二十年」

果樹が実を結ぶまでは時間がかかるのだなと思いつつ、言葉がだんだんと辛辣になっていくのが気になってしまう。

「柿八年」までは「知識や技術は一朝一夕で身に付くものではない。年月をかけて努力することが大切だ」という意味で人を励ましたりすることにも使われている。

しかし、柚子以降はただの悪口ではないか。
冬はこたつでみかん、晩夏から秋は秋刀魚に青いみかんと、1年の半分をみかんを楽しみに過ごしている私には「何で柑橘類はそこまで言われなきゃいけないんだ」と少々不服を覚えてしまう。

少し悔しかったので、みかんの収穫までにはどの程度の時間がかかるか調べてみた。
みかんは種から育てるのではなく、苗木から育てるらしい。品種によって収穫までにかかる時間は様々だが、温州みかんであれば5年目以降から実がなるようになり、収穫と呼べるくらい実がつくのは10年程度かかるという。

あの諺ができた頃には、みかんの収穫は20年規模の一大プロジェクトだったのだろうか。
人生の3割程度(あるいはそれ以上?)の時を費やし、ようやく実を結ぶ。
あまりの長さに馬鹿馬鹿しいと投げ出したくなってしまうかも知れないが、それでも諦めなければいつかはきっとたくさんの実を結ぶ。

みかんの収穫には今は20年もかからないようだが、そこまでの品種改良にも時間がかかったことだろう。
先人の偉業に感謝しつつ、今日も食べきってしまったみかんのストックを買いに行く。

12/30/2023, 5:40:21 AM