『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今までのあれこれ 全部 詰め込んだ鞄
棄てようとすれば いつでも棄てられる
けれど 未だ 大事に抱えて持っている
死に損なった体 生きようとしたのかな
例えば誰かと交換 代わりに過ごしても
すぐ嫌になるのは多分 偽物 船の喩え
僕のままじゃなきゃ 欲しくもないから
知識
人望
会話力
役職
魅力
応用力
すべて
ないものねだり
すべて
少しずつ持っているもの
「おれね、ほんとは魔法使いなの。」
橋の上で川を眺めていたら、隣にいる入江が言った。
唐突だったが特に驚くことでもない。
魔法使いなんて意外とどこにでもいるし、入江の持つ独特な、淡いドロドロとしたバリウムのような雰囲気から、そうなのではないかと予感はしていた。
「どんな魔法が使えんの。」
率直に気になったことを聞いてみると、入江は俺がそう言うだろうと分かっていたように眉を寄せて笑った。
笑ったというか微笑んだ。
俺は入江が心から楽しそうに笑っているところを見たことがない。
そいつはそっと俺の方へ手を伸ばし、左手の付け根に触れる。
互いの胸の高さまで腕ごと持ち上げると、もう片方の手で俺の肩から手のひらまでをなぞった。
何かが通り抜ける感覚がしたけど、嫌な感じじゃない。
血とはまた別の似通った液体が、肉の内側から汚れを洗浄していくような気分。
夏の暑い日に麦茶が喉元をくぐっていくあの感じ。
俺は手首のボタンを外してシャツを肘上までめくった。
「おあ、すっげえ。」
きれいな日に焼けた肌色が出てきた。
何がすごいかって、そこにあった筈の紫や赤黒に染みる点々の痣が消えていたのだ。
何年経っても色褪せないものもあったのに。
「回復魔法?すげえじゃん、ヒーラーじゃん。」
傾いた夕日に腕をかざし、くるくると回っていろいろな光の差し加減から見てみる。
そしてちゃんと幻ではないことが分かる。
魔法使いは案外どこにでもいると言ったが、俺自身はこうして間近で魔法を見る機会は今までになかったので、初めての体験に心の内が興奮した。
入江は相変わらずにこにこしていた。
「ヒーラー、ヒーラーね。たしかにいい響きだけど、ほんとはちょっと違う。」
「じゃあなんなの。」
「修復魔法。」
〈俺〉
高校生。入江の友人。不幸を不幸と思えない精神性を持つ。
〈入江〉
高校生。修復の魔法が使えるらしい。
ないものねだり
ないからほしい
あったらいいな
ないものねだり
4月からは、高校生
普通は、高校生活に胸を膨らませるだろう
だが、私は期待も、希望も抱いていない
私が、高校生活へ抱いている気持ちは、
絶望、不安、嫌悪感、
そんな、どす黒いもの
私は、楽しく高校を過ごせるのだろうか
後悔ばかりが募っていく
ないものをねだれば「わがまま」だと言われ
あるもので済ませば「手を抜くな」と言われ
/お題「ないものねだり」より
ないものねだり
(本稿を下書きとして保管)
2024.3.26 藍
ないものねだり
自分にないものを
持っている人に
嫉妬する…
絶望感…
自己否定…
消えたくなる
何もいいところなくて…
自信なくて
比べて悩む
悪循環のループ
抜け出せなくて…
ないものねだり
あなたにはなれないの…
気付いて…
自分に問いかける声…
こだまする
泣き崩れ…
絶望…
ないものねだり
ない物を欲しがること。
実現できないことを無理に望むこと。
そっと辞書を閉じた。
改めて意味なんか調べるんじゃなかった。
無理に望んじゃいけないことなのかしら?
あの人の心をこちらに向かせることは。
私の我儘なのだろうか。
我々が何をした。
奈落の底へ押し込められ2000年。
ようやくだ。
我々の汚名を濯ぐのだ。
光を。
「ないものねだり」
【ないものねだり】
ないものねだり、挙げたらキリがないね。
頭がよかったら、容姿が優れていたら、運動神経がよかったら、お金持ちなら、優れた特技があったなら⋯⋯
あの子みたいに愛嬌があれば、話術が出来たら、ファッションセンスがあれば、健康ならば⋯⋯
人によって求めているものは違う。
だけど、生きてきた中で何度も思う事、ないものねだり。
きっと、これからもあるだろう。
今までの人生で一番強く「〇〇が欲しい」って思ったのは、たぶん小学1年生ぐらいの時だろう。当時の自分はショベルカーが凄く好きで、図鑑とかおもちゃをたくさん持っていた。ある日、色んな重機が展示されているイベントに連れてって貰い、親と一緒に歩き周っていたら売店があって、そこには精巧に作られたショベルカーのおもちゃが売られていた。自分はそれがどうしても欲しくて親に目茶苦茶ねだったけれど、値段が高過ぎて駄目だと言われた。負けじと駄々をこねたり大声を出したりしたけれど結局買って貰えず、泣きながら腕を引っ張られて帰った。今となってはショベルカーなんてもう1ミリも興味ないのに、今でも少し欲しい気持ちが残っているぐらいだから、本当に欲しかったのだろう。
「絶対負けねえ」
頭とか、身長とか、テクニックとか…、力だっておれよりあるんだよ。
なのによー。なんであんなに、あいつは自信なさげなんだ…!?って思うんだよなー。
でもやっぱり身長!あんなにデッカいのは天性のものだとしてももはやズルい!!ズルすぎる!!フジクジラと合体したいくらいに!!
あー、なんかサメの一種なんだって。おれにその分の高さがあればナー、なんてな!笑。
でもあいつは、もう取り返しのつかないことをしてしまったのであった…。
や、そんなことはしてねーけどな!流石に笑
ただ、あいつが頑張りたい、負けたくないって思うようになったくらいなんだけどな!笑
てかもともと負けず嫌いだったらしいし。
ほんとにな、すごいんだよ。
「おれに無い物、全部持ってる。」
_2024.3.26.「ないものねだり」
#ひなた.
一応、"同クラのサッカー部の友達くんと一緒に帰っているところ"を想定して書いてみたけど、どうぞご自由に色のうるさい#全身ミカン野郎に話しかけてあげてね。
今日、離任式がありました。異動か退職か分かんないままなんスけど、私の部活の顧問の先生がいなくなることが分かり…。
泣いた。あなたのハートで慰めて。
僕はお金がない。いつも万引きをして生活をしている。じゃないと、生きられないから、仕方がない。
もっとお金がほしい。ちゃんと働くから、もっと長く生きたい。
ないものを願ってもしょうがないが、僕はもっとお金が欲しい
「ないものねだり」
ないものねだり
あの子が羨ましい
あの子みたいになりたい
あの子っていいよね
でもあの子だって
きっと僕達の何かを
羨ましがってる
なりたがっている
〝ないものねだり〟
「私、アンタみたいに頭の回転早くないからさ、
そういうとこ本当に羨ましいってか尊敬するわ」
親友か、突然嬉しいことを言ってくれた。
「照れるな〜。でも私も、アンタの素直なとこ、
すごい尊敬してるよ」
それに、そういうこと言いるのもすごいなって思う。
ないものねだりじゃないけど、私も真似したいとな。
〝好きじゃないのに〟
「俺さ、お前のことが好きだ。お前の明るいとこ、
優しいとこ、笑った顔、全部好きだ。
俺と、付き合って欲しい」
「えと、その…いつ、から?」
「文化祭の時、一緒に実行委員やっただろ。
その時から、気になってた。返事が難しかったら、
まだ待つから、答えが決まったら教えて欲しい」
…友達が待っているからとはいえ、
駆け足で離れたのは良くなかったかな。
でも、アイツは…。
「あっやっときた!なんかあった?」
「うん、ちょっと呼び出し食らっちゃって。
待たせてごめんね」
「いーのいーの!さっ帰ろう」
言えなかった、あなたの元彼に告られたよ、なんて。
「そういやさ、新しい彼氏出来た?」
「いや、全然。ま、別れたことは後悔してないけどね」
「そっか…。その、早くいい人見つかるといいね」
「ありがと!アンタも見つかるといいね!」
翌日、学校に行くと、
アイツは他の女子と談笑していた。
私に告白したくせに、他の子と話すんだ。
他の子の前でもそんなふうに笑うんだ。
…ハッとした。
好きじゃないのに、好きになっちゃいけないのに、
親友の元彼なのに、なんでこんなこと考えてるんだろ。
なんで、胸が痛むんだろう。
ないものねだりしてること、分かってる。隣の芝は青く見えるってやつだよね。本当は今手にしているものが素晴らしい。
#ないものねだり
寂しくなったり羨ましくなったり
挙げ句の果てには虚しくなるって分かってる
それでも欲しがってしまう
欲しい欲しい欲しいと求め彷徨ったものも
いつかは忘れてしまうのに
ないものねだり
血と土埃に塗れたその混乱の中で、彼女の声は晴天を通したようによく聞こえた。小柄な身長は、十重二十重の敵陣に囲まれて既に見えない。
鎧を通して腹から染み出す血が、幾筋も血溜まりに向かって川を作る。あ、オレ、とうとう死ぬんだ。そう思った時。
「うわっ……馬鹿、何やってんの!?」
さっきまで姿が見えなかった彼女の声が、すぐ傍で聞こえた。
目を開けると、鎧も兜も何処かへすっ飛んでいった生身の彼女が覗き込んでいる。身を守るものを全部無くしているというのに、何故か自分よりも五体満足だ。何となく安心して、溜息をつく。
「うるせえ、後ろから不意打ちされたんだよ。多分そろそろ死ぬ」
「はあ?背中の傷は剣士の恥だって知らないの?ていうか、わたしには出血してるの後ろじゃなくて前に見える」
早く起きな、と腕を引っ張られる。痛い。
文句を言おうとしたその時。彼女の姿は、ふっと掻き消えた。霞む視界には青空が見えて、ただそれだけだ。……ああ、夢か、或いは幻覚だったのか。
目を瞑れば、かつての彼女の姿が思い浮かぶ。どんな劣勢も一迅の風さながらに現れては戦況をひっくり返す常勝将軍。彼女は、ずっと自分の光だった。
だから隣に立てた時は、信じられない心地がしたのだ。でもそれももう終わる。既に戦力差は十倍近い。彼女がこの最果ての地に辿り着いた時には、手遅れだった。
「でもよ……お前には、『常勝将軍』で、いてほしいんだ」
ほとんど陥落したこの地で、一部だけ敵兵の集団がある。前方、距離五十m。そこにいるのだ。一瞬だけ見えた彼女は、ちゃんと鎧も兜も身に着けたままだった。
美しい鬼神のように剣を振るう彼女に当たらないように、傍に落ちていた半ばから折れた槍を人生最後の力で振りかぶって投げる。
ずぶり、という音の後、その集団から細い人影が飛び出した。
「ありがと」
恐らく誰に向けたのかも分かっていないだろうその一言だけを残し、彼女は敵兵の馬を強奪して手綱を打った。
さよならだ、オレの常勝将軍。
彼女は振り返らない。いつものことだ。けれど、ずっと。
運命に抗うその背中が自分を振り向くのを、オレは今か今かと待っている。
今、ほしいものがある。
でもそれは形として存在してない。
いつも優しくて、暖かくて、なんか頑張れてしまう。
でもそれが存在している可能性は極めて低い。
私が欲しいのは、
慰めてくれたり、励ましてくれたり、
温かい手で自分の背中を押してくれる、
『あなた』です。
#ないものねだり