四片

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〝ないものねだり〟

「私、アンタみたいに頭の回転早くないからさ、
そういうとこ本当に羨ましいってか尊敬するわ」
親友か、突然嬉しいことを言ってくれた。
「照れるな〜。でも私も、アンタの素直なとこ、
すごい尊敬してるよ」
それに、そういうこと言いるのもすごいなって思う。
ないものねだりじゃないけど、私も真似したいとな。


〝好きじゃないのに〟

「俺さ、お前のことが好きだ。お前の明るいとこ、
優しいとこ、笑った顔、全部好きだ。
俺と、付き合って欲しい」
「えと、その…いつ、から?」
「文化祭の時、一緒に実行委員やっただろ。
その時から、気になってた。返事が難しかったら、
まだ待つから、答えが決まったら教えて欲しい」
…友達が待っているからとはいえ、
駆け足で離れたのは良くなかったかな。
でも、アイツは…。
「あっやっときた!なんかあった?」
「うん、ちょっと呼び出し食らっちゃって。
待たせてごめんね」
「いーのいーの!さっ帰ろう」
言えなかった、あなたの元彼に告られたよ、なんて。
「そういやさ、新しい彼氏出来た?」
「いや、全然。ま、別れたことは後悔してないけどね」
「そっか…。その、早くいい人見つかるといいね」
「ありがと!アンタも見つかるといいね!」
翌日、学校に行くと、
アイツは他の女子と談笑していた。
私に告白したくせに、他の子と話すんだ。
他の子の前でもそんなふうに笑うんだ。
…ハッとした。
好きじゃないのに、好きになっちゃいけないのに、
親友の元彼なのに、なんでこんなこと考えてるんだろ。
なんで、胸が痛むんだろう。

3/26/2024, 12:21:57 PM