『どこまでも続く青い空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
飼ってた鳥が逃げ出して何日か経った。
一瞬だった。
鳥かごのドアを開けたらバッと飛び出し、ピューッと窓から飛んでった。
あまりの速さに思わずあんぐりと口が開き、逃げられた悔しさや悲しさよりも、鳥の判断力と行動力の高さに感心してしまった。
鳥かごから見えた空はあいつにとって自由そのものだったのだろうか。
まあ……空は人類にとっても自由の象徴でもある。
空に恋焦がれる歌とか物語とかそういうのは世の中に星の数ほどある……はず。
今頃大空で自由を謳歌してるんだろうな、とどこまでも続く青い空を眺めていると……
あっ!?
……つがいになって戻ってきた……
どこまでも続く青い空。それを映す美しく凪いだ水面。そこに立ってる自分。
ここ最近良く見る夢の風景だ。
この世界では、あらゆるものが静止している。水面に立っている意識はあれど、私の存在はどこか曖昧で、世界の一部として溶け込んでいるような感覚だった。
たったひとりなのに、孤独感もない。あるのは、爽やかな開放感だけ。眠る前のことも思い出せず、私はただ、青い世界だけを見つめている。
電子音で目覚める。目に飛び込む灰色の天井。カーテンの閉められた薄暗い部屋。
スマホのアラームを止めて、重い身体を起き上がらせる。時刻は午前5時。
ひとまずカーテンを開ける。夢の中とは対照的に、どんよりとした曇り空が見えた。
梅雨の朝だ。今日も雨かな、とひとりごちる。
頭は締め付けられるように少し痛い。低気圧のせいだろうか。夢の中の開放感は嘘みたいだった。
部屋の電気を点けて、伸びをする。今日も1日やるしかない。小さく覚悟を決めて、1日の始まりを受け入れた。
昼休み、食事のために会社近くのカフェに訪れた。窓の外は、今朝の予想通り雨が降っている。
ため息が出た。夢のように晴れ渡ればいいのに、と思う。
午後のために、私はひとり、淡々と口に食べ物を入れていく。
食べ終わって、会計をして、店を出た。
傘を差して雨の中を歩く。
信号待ちの時、横断歩道の水溜りをボーっと見ながら、パタパタと傘に当たる雫が立てる音を聞いていたら、ふいにそれが止んだ。
傘を閉じながら空を見上げると、雲の隙間から日が差してきていた。
視線を下に戻せば、車道の信号が赤になって歩行者信号が青になるまでの間、一瞬、水溜りの水面が凪いで、雲間から現れた青空を映したのが見えた。
歩行者信号が青になって、私以外の人は歩き出した。青空を映した水面は乱されて、先ほどの青さは儚く消える。
それでも、その一瞬の奇跡的な青さは、私の目に焼きついていた。
それは私に、雲の向こうにはあの夢のような青空があることを、思い出させてくれた。
清々しさを胸に、私も歩き出した。
平和
戦争終了
対話
理解
それが、どこまでも続く青い空。
またしても1,400字超
──────────────────
【どこまでも続く青い空】
背の低い藪が点在するだけの荒野。そして、どこまでも続く青い空。隠れる場所なんてありゃしない。私は必死に走った。けど、振り切れるはずがなかった。
何せ、今私を追いかけているのは竜である。
どうしてこんなことになったかと言えば、ついさっき火竜の寝床に忍び込み、そこに落ちていた鱗を何枚か失敬してきたからだ。
仕方ないじゃない。お金が必要だったの。
馬鹿な家族の借金のせいで、このままだとどこかに売られるかもしれないのよ。
なんで私が?
借金した本人が身売りしなさいよ!
口から心臓が飛び出しそうなくらいに走って、でもやっぱり無理だった。巨大な竜の身体が影を作る。上空から赤い火竜が降りてきた。
もうだめだ。この竜に獲物を甚振る趣味がないといいけど。せめてひと思いにやって欲しい。
「ご、ごめ……ごめん、なさい!」
前言撤回。
覚悟を決めるなんてできなかった。
気付けば必死に謝罪していた。
怖くて、怖くて、許して欲しかった。
「う、鱗、返す。返すから……!」
両手で握り締めていた鱗を差し出せば、火竜が私の前で首を傾げた。
『要らないの?』
「……え?」
今、喋った、のか?
この火竜が?
『それ、ゴミだから全部持ってっていいよって、言おうとしたら急に走り出すし』
「…………え?」
それって。ゴミって……この鱗?
『焦ったよ。君、真っ直ぐ森の方に進もうとしてるんだもん。ジャイアントグリズリーの巣があるから、危ないよ?』
「…………え」
私が危険地帯に入り込もうとしてたから、止めに来た、のか?
この火竜が?
『僕、人間と話すのはすごく久しぶりなんだ。怖がられてるから、仕方ないけど。別に食べたりしないのに』
「……そう、なの……?」
この火竜は人間を食べないと言う。
鱗はくれるみたいだし。
追いかけて来たのは、私を止めるためで。
もしかして良い人……いや、人じゃないけど。
『あ、ちょっと待って。話づらいよねぇ』
火竜の身体が虹色に光り、輪郭がぐにゃりと歪んで、小さくなった。
光が消えたら、そこにいたのは若い男……
「ちょっと! 服を着なさいよ、服を!!」
なんで全裸なのよ。お前は野生動物か!?
野生動物だったわ!!
「そっか。人間は布を纏うんだっけ。今、魔力で何か作るから、ちょっと待って」
少し待ったら、なんかずるずると身体にシーツを巻き付けたみたいな姿になっていたけど、布と服の区別がついていないのか。そうなのか?
「どうして鱗が欲しいのか聞いてもいい?」
「えっと、それは……」
私は火竜に全て話した。
借金のこと、家族と上手くいっていないこと、身内が馬鹿すぎること、身代わりで売られそうになっていること、この鱗が高く売れること。
話し出すと止まらなかった。
誰かに愚痴を聞いて欲しかったのだ。
火竜は親身になって聞いてくれた。
泣き出した私を慰めてくれた。
「でも、君が借金を返してあげる必要はないんじゃない?」
「売られちゃうのよ!?」
「逃げればいいよ。僕が守ってあげる」
「…………え?」
「その代わり、友達になってよ。話し相手が欲しかったんだ」
「本当に守ってくれるの?」
「うん」
「でも……」
私は周囲を見回した。荒野である。
火竜が住処にしている岩山が見える。
うん……何もない。
「あのね。私は人間だし、ここでは暮らせないわよ?」
「そうなの? じゃあ、僕が町に行くよ」
え。こいつが?
もしかして、私が面倒を見るのか?
ああ、でも。売られるよりは……
……と、いうのが馴れ初めなのだと、この国を守る守護竜の妻でもある巫女は、恥ずかしそうに語った。
俯いて、地面ばっかり見てしまう時
見上げると、
どこまでも続く青い空。
なんにも言わないけど、
ただそこにあるだけで、
自分の抱えていた、辛かった世界は
なんてちっぽけなんだって、
悩みなんて、なんとかなるよねって
何度も助けてもらった。
同じように、
つまずいた時に、あの子の背中を
どうか押して欲しいと思う。
どこまでも続く青い空
終わりを求めて光を辿り
終わりのないことに絶望した
目を焼くような青
どこまでも続く青い空
真っ白の入道雲。
響き続ける蝉の声。じっとりと暑く、逃げ水を見る。
ぽたりと落ちた自分の汗をみて、水を取らなければと意識する。
途端に乾く喉が、茹だる気温が、意識を白く染め上げていく。
のを根性で耐える。
日陰に入らなければ。
時折虫の死骸が転がるアスファルト。
蟻の行列が細々と続き、かつて生き物だった物体を運んでいる。
じわじわじわじわ体力が削られる。
当たり前だ、こんな暑い夏の日、外で、いや待て。
なんで長袖なんか着てる?
この間衣替えがあったから?この真夏に?
学校に通っているわけでもないのに。いや通ってた。ずっと。
喪服じみた色彩の制服から解放されたじゃん。いつから?
単位制の、高卒資格をとるための学校に、あれ?
「お嬢?」
思い出した。
俺は学校の登校日の帰りだった。お嬢が一緒だから石蕗さんが車出すって言ってたんだけど、どうにも予定が合わなかったから電車に乗って帰る、その途中。だった。はず。
電車には乗った。電車乗るの初めてではしゃぐお嬢が3回改札に引っかかって涙目だったのは覚えてるから。気丈に振る舞ってたけどちょっと泣きそうだったなアレ。その後ホームでアイス食いながら電車待って、電車きたから乗った。そこまでは思い出した。
その先がわからん。
みんみん鳴く蝉がうるせぇ。
何かがおかしいと気付いたけどそれは何にもならなかったらしい。ただ暑さを倍に感じてる気がする。だって長袖だし。
脱ぐか?とりあえず日陰。暑い。全裸になりたい。
とりあえず俺って今どこにいんの?
電車乗った瞬間俺だけ誘拐された?それとも白昼夢みたいに意識だけもってかれてんの?それによって今ここで全裸になるかならないかが決まる。
ごじつかひつしむす
離れてたってこの空の下で繋がってるんだ
つったって、物理的距離があれば人間徐々に
心を繋ぐ線が細くなっていって、
気付かんうちに切れてるもんでさぁ
補習作業しようにも材料がないってんで、
久々にあっても話題は合わんし感覚もズレてるしで
補習作業のつもりが裁断式だったりする
太い線が一本でも残りゃ人生めっけもんさね
#どこまでも続く青い空
もうこの世界にいることがつかれてしまった。
全てが嫌になった。
でも、助けを求めたって誰一人助けてくれない。
一日一日生き生きと広がっているあの空すら嫌になる。
握り潰してぐしゃぐしゃにしたいくらい。
でも、そんなこと思ってるくせに毎日毎日必ず空を見上げて「綺麗だな」なんてこと思い続けている。
そんな自分が不思議で仕方ない。
だけど最近気がついたことがある気がする。
あの空は、僕に向かってとあることを伝えてるのではないかと。
どこまでも続く青い空は、僕に向かって「広く羽ばたけ」なんて言ってくれているような気がする。
僕は、気が付かない間に勇気を貰っていたから空がずっとずっと好きなのだろうか。
違ったとしても、青い空には意味があり、青い空は一人一人に向かって優しく見守ってくれていると僕はずっと感じるだろう。
どこまでも続く青い空は、僕にとって勇気をくれる大切なものなのかもしれない。
ドアを開けきみを連れて飛び出した だって今日は冒険日和
「どこまでも続く青い空」
小説
千ゲン
遡ること三十分前。
「あ゙ーーーー……」
俺は乱暴に頭を掻き回す。アイデア作りの作業に手をつけ始めて早数時間。目の前には白紙の紙一枚。今日までにこれを終わらせないと、この後の作業が滞る。その事実が俺を更に焦らせた。
「千空ちゃ〜ん、捗ってる〜?」
ゲンは間延びした声で俺を呼ぶ。
「…捗ってるように見えっか」
「いーや全然。だからさ千空ちゃん」
「あ?」
「丘に行こうよ」
そして現在。俺たちは小高い丘の上へ来ていた。ゲンと二人並びながら、どこまでも続く青い空をぼんやりと眺める。流れる雲を目で追っていると、視界の端から腕が伸びていることに気がつく。横を見るとゲンが空を指さしていた。
「ねー千空ちゃん、千空ちゃんは何で空が青いと思う?」
「あ゙?空が青いのは、あの太陽の光が地球の大気を通過するときに波長の短い青い光が散乱して…」
「わーっ!違う違う本当のこと聞いてるんじゃなくて」
「?」
「想像してみてよ」
ゲンは立ち上がり、クルクルと踊るように俺の周りを歩き出す。
「実は空には大きな鏡があって、海の色を映してるから青い、とか。神様が絵の具を間違えて垂らしちゃって青くしちゃったとか……それだと夕焼けの説明がつかないか」
ゲンは再び俺の横に座ると、空が青い理由を想像して様々なことを話し続けた。いつもは事実に基づいた証明出来ることばかりを考えているせいか、その柔軟さは中々新しい視点だと思った。本当に楽しそうに話すゲンを見て、俺は思わず目を細める。俺たちの目の前に広がる空と海は、共に青く、深く、そして美しく輝いていた。
「まぁ科学の大好きな千空ちゃんにはちょっと退屈だったかなー」
「…いや、たまには空想話もいいもんだ…。…あ゙」
「えっ、なになに」
「ククク…全部お前のお見通しって訳か…」
「えっえっ」
「てめぇの空想話が俺のグダった脳みそにテコ入れやがったんだ。しっかり手伝ってもらうぞメンタリスト」
あんなに時間をかけても進まなかったアイデア作りが驚く程スムーズに想像出来る。やるじゃねぇかゲン。百億万点やるよ…!
俺はいやいやと駄々をこねるゲンの首根っこをしっかりと掴むと、ズルズルと引きずりながらラボへと戻っていった。
学校での帰り道。
疲れた。けれどそれ以上に頑張ったと思える道
見上げたら鮮やかさに負けないぐらい頑張りたいと思える。
この空を見たらまた頑張ろう
シアンしか使わず空を塗っていた私の無恥を溶かす夕焼け
題-どこまでも続く青い空
私は昼間に見える青い空はあまり好きではない。朝とか夕方なら別に良いけれど、あれを見ると、「お前は活発に動かなければいけない」と責め立てられるような感覚に襲われる。曇りぐらいがちょうど良い。
どこまでも続く青い空
君と一緒に見上げたい。
『 どこまでも続く青い空』
どこまでも続く青い空
頑張ります、という決意とともにライブ配信は終了。私はいいねボタンを押して視聴を切り上げる。コメントはしない。伝えたいことは山ほどあるけれど、正しく言葉にするには字数が足りない。省略すれば曲解される。それがネットの世界だと思っている。だからいいねで代替する。数千のうちの一つ。どこの誰が押したかなんて、わかりっこない。ファンと推しの関係はいつだって一方的だ。UDPは高速だが信頼性にかけるプロトコルだって、どこかの誰かが言っていた。
いつも別世界のような気がしていた。今日、この国のどこかで夢舞台に立つ人がいる。でもそれはあくまでスマホの中の世界で、私との繋がりに欠けていた。推しの活動は事実に過ぎず、私の中の何かを変えることはない。そういうものだと思っていた。
どこまでも続く青い空を見上げた時、そんな諦観はあっさりと解けた。推しはきっとこの空を見上げるだろうと思った。私と同じ空を見て、夢への一歩に震え、それでも足を踏み出そうとするのだ。それは確かな未来として私の目に映った。
同じ空の下で、戦っている人がいる。そう思うと、体の底からみなぎってくるものがあった。決して一方的な関係なんかじゃない。少なくとも、私たちはこの空で繋がっているのだから。
どこまでも続く青い空
今の職場に行きたいと思ったのは場所が「高台」にあるから…と私の身近な人達のほとんどが好んだそれをもてなす仕事だったから。
それに関わったことがない私はそれがどんなものかよく知らない。だから、どれくらい魅了されるものなのか知りたくもあって志望した。
入ってまだ数ヶ月。
何となくわかるのは、それが本当に好きな人はほんの一握りなのでは?いうこと。
ほとんどの方はお付き合いの延長と認識しているように思われる。
私も若い頃から何度も何度もお誘いを受けた。「無理です無理です」といつも断っていたが嫌でも、ただのお付き合いでも無理してやっておけばよかったのかなと思う。
広げた人脈で人生が変わったかもと思う。
ただ根っこは不器用で人付き合いも苦手。最初は上手くいってもその内その輪から脱落するんだろうなとは容易に想像がつく。
だから、自分の好きなことをしよう。ということで…
再び推し彼のライブに申し込んじゃいましたよ!
高台の職場から見える、どこまでも続く青い空を見ながら、当選します様にと祈る私でした。
最後雑end
この青空に祈ろう。
この試練を乗り越えられますように。
乗り越えられたら、私は自分を認めてあげられる気がするから。
決して簡単ではないけれど。
絶対できると信じて、まずは一歩踏み出してみる。
#どこまでも続く青い空
【どこまでも続く青い空】
あの日、当たり前のように
明日が来るとそう思っていた
その全てが奪われた日
一瞬にして日常が非日常へと変わった日
3.11 東日本大震災
親戚の家に、仮設住宅に、県外に
避難した人々
毎日のようにテレビで報道される故郷
誤解や誤った情報で差別され、
心にもないことをいっぱい言われたこともある
あれから何年もの月日が僕らの中を過ぎた
家に戻った人、避難先で友達が出来た人
未だに家に帰ることが出来ない人
沢山の人達がいる
今はまだ会うことが出来ないけれど
どこまでも続く青い空の下
きっと、僕らは繋がっている
花束抱えて
海へと向かった
最初で最後の
他愛ない約束をしよう
きっともう 会えないから
僕たちはいつも
叶わないものから 順番に愛してしまう
#どこまでも続く青い空(お題無視)