しるべにねがうは

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どこまでも続く青い空

真っ白の入道雲。
響き続ける蝉の声。じっとりと暑く、逃げ水を見る。
ぽたりと落ちた自分の汗をみて、水を取らなければと意識する。
途端に乾く喉が、茹だる気温が、意識を白く染め上げていく。

のを根性で耐える。

日陰に入らなければ。
時折虫の死骸が転がるアスファルト。
蟻の行列が細々と続き、かつて生き物だった物体を運んでいる。
じわじわじわじわ体力が削られる。
当たり前だ、こんな暑い夏の日、外で、いや待て。

なんで長袖なんか着てる?

この間衣替えがあったから?この真夏に?
学校に通っているわけでもないのに。いや通ってた。ずっと。
喪服じみた色彩の制服から解放されたじゃん。いつから?
単位制の、高卒資格をとるための学校に、あれ?

「お嬢?」

思い出した。
俺は学校の登校日の帰りだった。お嬢が一緒だから石蕗さんが車出すって言ってたんだけど、どうにも予定が合わなかったから電車に乗って帰る、その途中。だった。はず。
電車には乗った。電車乗るの初めてではしゃぐお嬢が3回改札に引っかかって涙目だったのは覚えてるから。気丈に振る舞ってたけどちょっと泣きそうだったなアレ。その後ホームでアイス食いながら電車待って、電車きたから乗った。そこまでは思い出した。
その先がわからん。

みんみん鳴く蝉がうるせぇ。
何かがおかしいと気付いたけどそれは何にもならなかったらしい。ただ暑さを倍に感じてる気がする。だって長袖だし。
脱ぐか?とりあえず日陰。暑い。全裸になりたい。
とりあえず俺って今どこにいんの?
電車乗った瞬間俺だけ誘拐された?それとも白昼夢みたいに意識だけもってかれてんの?それによって今ここで全裸になるかならないかが決まる。

ごじつかひつしむす

10/23/2024, 12:30:07 PM