『どうして』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
どうして、と思っていながら、
貴方のことばかり考えてしまう。
なんで、と思っていながら、
貴方のことばかり追ってしまう。
貴方と私の距離は遠すぎて届かない。
届けようがないの。
何一つ近いものがなくて、
貴方は私に出逢えない。
私ばかり貴方から貰ってばかりなのに。
そう思い込んでいるだけなのかもしれない。
どうして、貴方なの?
なんで、貴方なの?
嗚呼、好きになるってこういう感情なのか。
■テーマ:どうして
どうして、って言われても、困る。
世の中には、理由が分からなくともそこに存在するものはあるし、物理はその事実の根拠を見つかるための学問ではあるが、未だ解明されていない謎も多い。
そもそも私たちを構成する最小単位の原子だって、なぜ陽子と中性子から成り立つのか、なぜ電子がその周りをうろうろしているのか結局のところ分かっていないし、理由は分からなくとも、とにかくそこに「ある」ことを前提として話が進められる。
それならその「よく分からない原子」で構成されている私たちだって、なぜ存在が成り立ってるのか、どうして命が宿っているのか、考えるより、まずそこに「ある」ことを認めてしまった方が良い。
「本当にそうですかね」
「そうだよ。考えるだけ時間の無駄だ」
「ふうん。ところで先生」
真田は背中に回していた手を出した。手には四角い包み。
「今朝三時からめちゃくちゃ頑張って作ったこの弁当を、ただ毎週3コマ授業で顔を合わせるだけの先生に渡しますね」
「え、なんで」
「なんでじゃないですよ。理由なんて考えてもしょうがないんですよね。事実として受け取って下さい」
真田は僕に弁当を押し付けて、足早に去って行った。
【お題:どうして】
わたしときみがとなりにいる、
わらっていられる、
そんなのは夢物語で
わたしは御伽噺のお姫様にはなれない。
なのに、どうして、
きみといる時間はこんなにも
目まぐるしくかがやくのだろう。
なのに、どうして、
わたしはいつまで経っても諦めきれないのだろう。
ずっと夢の中にいるのはわたしで、
夢うつつ、現実との境目は見て見ぬふりして
狡賢く手を離せずにいるのは
わたしだってことくらい、わかっているのに。
ずっと忘れないでほしいけど
きっと無理だろうから
オーバーな表現のラブソング、毎年冬に流れる映画、コンビニのアイス、ちょっといいシャンプーの香り
全てであたしを刻みつけたい
【どうして】
新年会での出来事。
会が始まるやいなや新人の田中くんは進行役の幹事長を蹴り飛ばすと宣言した。
「これからテーブルクロス引きをします」
そして田中君は実際に各テーブルを回ってテーブルクロスを引きまくった。
しかし成功率は極めて低く、テーブルの料理は床に飛び散り悲惨なことになっている。
その惨状を目の当たりにした田中君は言った。
「料理が足りなくなってきたので厨房から持ってきます」
田中君が厨房に消えた後、私は心配になってきたので厨房を覗きに行った。
すると。
「何だこの料理は!」
シェフに文句をつけつつ、料理を床に叩きつけている田中君がいた。
厨房は台風が通り過ぎた後のようになっていて、下っ端の職員は血まみれで磔にされている。
─流石にやり過ぎだ。
私は田中君に注意した。
「め!」
すると田中君は不本意な顔をしながらも大人しく会場に戻って行った。
今回の騒動は酔った新人がちょっとヤンチャをしたということでそれなりに社内で話題になった。
補足をしておくと田中君は社長の息子である。
ちなみに田中君に注意をした私はクビになった。
知覚した。
眼前の衝撃に脳が強いられた。
焼きつくような感覚が全身にわたる。
今すぐ逃げろという信号が本能となって己を急かしている。
だが動けない。
指先一つも動かせない。
額に突きつけられた冷たい鉄の凶器に、理性が凍っている。
——なぜなんだ。
嘘と言い聞かせるには無理があった。
これから親友に殺されるとは、彼が想像できなかったのだから。
【どうして】
どうして愛や幸福が真理でありえよう。
宇宙空間に放り出されれば、無機の世界では生きていけない。そこには見えないエネルギーが吹き荒ぶ空虚しかない。
だから、生命の営みはこの星に存在する条件のなかに、幸福はこの世界でお互いを慈しむ機会にしかない。
恋人が死んで以来なんだかツイていない。
注文した荷物が輸送しているトラックごとダメになるし。
買い物帰りにマイバッグごとひったくりに会うし。
挙げ句、郵便配達してもらったばかりの絶景スポットで有名場所のペアチケットを封筒から出す際破ってはいけない所をピンポイントで破ってしまった。
ほんとどうしてだと毎日俺は苛ついてばかりいる。
もう直接ヤろう。そう決心した夜入念に準備してから眠ると死んだ恋人が出てきた。
「ねぇ、お願いもうやめて。考え直して。」
「どうして君がそんなことを言うんだ。君は被害者だ。君は何も悪くないのにアイツは君を殺したんだぞ。」
俺は悲しげな彼女を抱きしめた。愛しい彼女の苦しみを少しでも分かちあいたかった。きっと優しい彼女はアイツの事を同情しているんだろう。
「大丈夫だよ。確かに注文した毒薬や、購入したばかりの包丁や、自殺に見せかけようとした計画とか振り出しに戻ってばかりだけど、次こそ必ずアイツを地獄に落とすから。」
俺の言葉に彼女の白い頬に涙を流れた。
ああ、どうして笑ってくれないんだ。
〈どうして〉
どうして泣くの?
どうして悲しんでるの?
どうして?
行動しなかったのは自分だよ?
過去を悔やんでるの?
なんで?
そんな行動をしたのは自分だよ?
君を見守る役を命じられた僕は
一切君のことが理解できない。
─────『どうして』
どうして
そんなことをするのだろう
このやり方の方が
スムーズに進むのに
そう、
私にとっては
そのやり方が
一番しっくりくる
でも、
隣にいる人や
向こう側にいる人にとっては
他のやり方が
しっくりくるのかも
人それぞれの生き方なんだね
どうして君が死ななくちゃいけなかったのか。
この世界は、人間が棲まう人間界と、魔族が棲まう魔界に分かれていた。
魔界には人間界を侵略しようとする悪しき魔王がいた。そして、人間界にはその脅威から人間界を守る力を持つ聖女がいた。
魔王と聖女は同時期に現れ、自分の役目を終えれば消える。そう言い伝えられていた。
ここ何百年は平和だった。
しかし、魔王が世界に現れたことが分かり、人間界に激震が走った。
一番大きな国の偉い王様がお触れを出し、早速聖女探しが始まった。まさかずっと一緒にいた君が聖女なんて思いもしなかった。
聖女だと分かってすぐに君は魔界へと向かった。みんなの願い通り人間界を救い、そして、死んだ。
聖女なんて体の良い生贄だ。そんなことにも気付けなかった。人間界を救うなんて格好良い役目だと素直に羨ましがった。
どうして君が死ななくちゃいけなかったのか。
世界に平和がもたらされた? 君はいないのに?
聖女なんて関係ない。世界なんてどうでもいい。君がいなければ、この世界に意味はない。
君の犠牲の上に成り立つ、この世界が憎い。
剣を携え、城へ向かった。
『どうして』
どうしてだ。
どうして明日が受験日なんだ。
もう明日だなんてびっくりすぎるよ。
あと全然勉強出来てないよ。
グループワーク面接とか気が引けて気が引けて仕方ない。
どうやったら...猫飼えるかな...。
『どうして』
どうして_19
私は“君と”夜空に浮かぶ星を
眺めたかったんだ。
それなのに
どうして “君は”星になったんだ。
どうしてこんなことになってしまったのか
考えても分からない調べても分からない
どうしたらいいのか分からないまま
生きていかねばならない 強くありたい
─どうして─
朝起きて、リビングへ向かった。
タイミングが悪かったのかな。
否、でもいつか面と向かって言われてたんだろう。
リビングからは父と母の声。
喧嘩をしているようで、その内容は私。
喧嘩はよくあることだった。
私のせいで起きる喧嘩も、よくあった。
またか、と思って終わるのを待つ。
でも一向に終わる気配がない。
勇気を振り絞って、ドアノブに手を掛けたその時。
「どうしてあいつを産んだんだ!」
父の怒鳴り声。それに続いて、
「私だって産みたくて産んだんじゃないわよ!」と母の声。
まるで鈍器で頭を殴られたようだった。
その後の会話は上手く理解出来ず、私の頬には涙が伝っていた。
「…嗚呼、そっか。私って要らなかったんだ。」
私の嘆きは、両親の怒鳴り声に搔き消されて、
そこにはただ一人、何も出来ずに立っている私しか居なかった。
#8 【どうして】
「どうして?」
なんて、じぶんでも分からない。
でも、それはきっと必然的
「どうした?」
赤えんぴつが落ちて、折れた。とおもう
「どうして?」
音が、きこえたから。でも、ただそれだけ
「どうする?」
ただ、拾えばいい。こたえは、下にある
でも、おもった。どうしても。
下をみなければ、こたえがあるなんて
そんな"じじつ"は、「ない」かもしれない
「どうして?」
赤えんぴつは、浮いているかもしれない
赤えんぴつは、まん中から、折れたかもしれない
「どうした?」
だけれども、こたえの"じじつ"は、なくとも
赤えんぴつがある、という
"じじつ"は、かわらない
「どうする?」
拾うことに、するだろうね
「どうだった?」
なかった
「どうして?」
なんて、じぶんでも分からない。
でも、それはきっと必然的
ねぇどうして?
どうして人は傷つけあうの?
ねぇどうして?
どうして地球を傷つけるの?
ねぇどうして?
どうして私たちは彷徨うの?
傷つけて傷ついた心の持ち主
枯れ果てて無機質な土の上
求めるものも分からずに彷徨う
濁った空に月が嘲笑う
終焉という名の時代が音を立てて始まる
ねぇどうして?
どうしてこうなってしまったの…
もう手遅れだ、死神のノックが聞こえる
どうして
親に連れられて、妹と共にホームセンターに行った。好きなのを選んで、と言われて、それぞれ一本ずつ手に取った。トマトの苗だ。ちゃんと自分で育てるんだよ、と任された。
二ヶ月経つと、二本ともにきれいな実がなった。早速収穫して食べた。美味しくできたね、と両親は笑顔を見せたが、妹の口数は少なかった。
次の年もまた、ふたりでトマトを植えた。できた実を食べると、やっぱり妹は静かになった。気付いた母が、声をかけた。
すると、どうしてお兄ちゃんのはこんなに美味しいの、と小さく答えた。
ズボラな僕は、しょっちゅう水やりをサボっていたが、妹は毎日欠かさずやっていた。今度こそはと、2年目はより多く水やりをしていた。
残念ながら、トマトにはそんなに水は必要ないらしい。でも、小さな妹にそれを話してもわかってもらえるかどうか。
来年はサボらずにやろう。たくさんやろう。
「どうして?」「なんで?」って
そんなこと、聞かなくていいのにね
人の考えに入り込みたくて
人の気持ちを常に理解していたい人
ほんとに分からない
聞かれるこっちは迷惑なんだけどな
人を殺しました。相手は同じサークルの先輩です。
理由はよくある普通なものでした。
私の家はお世辞にも裕福とは言えないもので、私がこうして大学に通えているのも必死に勉強して学費免除の資格を得ることができたからです。
本来ならばサークル活動などに割ける時間はありませんでした。ですので、今私がここに居るのは全てあの男のせいだということなのです。
私は田舎から出てきて間もない世間知らずでしたから、騙すのはとても簡単だったことでしょう。私としてもあのような馬鹿な男の馬鹿げた話を鵜呑みにしてしまった己の愚かさを悔やんでいます。
しかしもう手遅れです。縁を切ろうとしても直ぐに捕まってしまう。そして何度も繰り返すうちに私に逃げ場はなくなってしまいました。
このままじゃいつか私が殺される。そんなのは嫌だ!こんな男に殺されるくらいなら!
そして私は男を刺した。初めは心臓を狙おうかと思ったけど失敗した時が恐ろしかったので腹、主に鳩尾の辺りを刺すことにした。何度も何度も、何度も何度も何度も…
もう私に生きている意味はありません。人殺しがのうのうと生きていられるほど、この国の人間は優しくありませんから。中身を入れ替えたポットを持ってきて中身をあちこちにばら撒くそしてマッチに火をつけ…
どうして?どうして助けようとするの?
「わけなんているのかよ?人が人を助ける理由に、論理的な思考は存在しねーだろ?」
「だからアンタは黙って俺に助けられてろ!」そう言った君の顔が忘れられない。
#どうして