人さがし

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─どうして─

朝起きて、リビングへ向かった。

タイミングが悪かったのかな。

否、でもいつか面と向かって言われてたんだろう。

リビングからは父と母の声。

喧嘩をしているようで、その内容は私。

喧嘩はよくあることだった。

私のせいで起きる喧嘩も、よくあった。

またか、と思って終わるのを待つ。

でも一向に終わる気配がない。

勇気を振り絞って、ドアノブに手を掛けたその時。

「どうしてあいつを産んだんだ!」

父の怒鳴り声。それに続いて、

「私だって産みたくて産んだんじゃないわよ!」と母の声。

まるで鈍器で頭を殴られたようだった。

その後の会話は上手く理解出来ず、私の頬には涙が伝っていた。

「…嗚呼、そっか。私って要らなかったんだ。」

私の嘆きは、両親の怒鳴り声に搔き消されて、

そこにはただ一人、何も出来ずに立っている私しか居なかった。

1/14/2024, 10:13:42 PM