『たまには』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
いつもより早い時間に目が覚めた。
「お姉ちゃん?」
昨日から泊まり込んでいる姉の姿がないことに気づき、首を傾げつつ起き上がる。
姉のことだから、朝ごはんを作っているのだろうか。キッチンに視線を向ければ、摺りガラス越しに動く影が見えた。
耳を澄ませば、物音と共に微かに話し声が聞こえてくる。
誰かと電話をしているのだろうか。まだ半分寝ている頭で考えるが、そうではないと思い出して苦笑した。
去年知ったことではあるが、自分にはもう一人の姉がいるらしい。
普段は結われ見えない姉の後頭部。そこにある口は、母の胎内で人の形にならなかったもう一人の姉の名残らしい。
辛党の姉とは対照的に、自分と同じ甘党のもう一人の姉。食いしん坊で少し抜けている彼女は、姉というよりも妹のようだ。
最初こそ理解が追い付かず驚きはしたものの、それ以上に姉の暴走を止めることに必死で、気づけばすんなりと受け入れることができていた。
「――から」
「それは……でも……」
何を話しているのだろうか。気になってベッドを抜け出し、キッチンに続く扉にこっそりと近づいていく。
「だから、あの子が好きなのは……私が……」
「そんなこと……違うわ、わたしの……」
声を潜めているせいで、近づいてもはっきりとは聞こえない。
扉を開けて何を話していたのかを聞くのは簡単だ。けれども中断した話を、二人は大した話ではないと誤魔化して教えてくれないことがほとんどだ。
小さく溜息を吐く。二人がいつも何を話しているのかずっと気になっていたが、今回も聞けないのだろう。
仕方がないと頭を振り、扉に手をかける。一呼吸おいて、できる限り普段と同じように意識しながら扉を開けた。
「おはよう、お姉ちゃんたち。朝から何を話しているの?」
「ひゃぁっ!」
「っ、おはよう」
二つの声と共に、甘い匂いがした。視線を向ければ皿の上のパンケーキと切られた果物が目につく。今日の朝食は姉特製のパンケーキらしい。
「ごめんね。煩くて目が覚めちゃったかな。この馬鹿が余計なことばかり言うから」
「余計なんかじゃないわ。重要なアドバイスよ」
「余計でしょ。何年この子のお姉ちゃんをやってきていると思ってんのよ。この子の好みは、私が一番知っているんだから」
「甘いものが食べられないのに、ちゃんと分かるわけないじゃない。ここは同じ甘党のわたしの言うことを素直に聞いていなさいよ」
「あの……本当に何の話をしているの?」
声を控える必要がなくなったからか、遠慮なく言い争いをする二人に呆れ交じりに呟いた。
ボウルの中の生クリームを泡立てている手を止めることなく話し続けられるのは、さすがと言うべきなのか。
半ば現実逃避をしていると、姉はどこか必死な顔をして問いかけた。
「パンケーキには生クリームがいいわよね!?」
「へ……?」
「違うわ。チョコクリームが一番よ」
「はい……?」
何を問われているのかすぐには理解できず、首を傾げる。
パンケーキ。生クリーム。チョコクリーム。問われた単語を頭の中で繰り返し、キッチンを見回して思わず溜息を吐いた。
つまり二人はパンケーキに乗せるクリームについて争っていたというわけか。
「ほら、あんたが変なことを言うから困ってるじゃない。そもそも料理のできない母さんに変わってこの子の食育をしてきたのは私なんだから、あんたの出番なんて最初からないのよ!」
「困ってるのは、あなたが自分の意見を押し付けようとしているからでしょう?辛党が甘党の気持ちなんて分かるわけないんですもの。きっとずっと困っていたんだわ」
「あの、ね。お姉ちゃん……」
激しさを増す二人に、恐る恐る声をかける。
途端に静かになる二人にどこか申し訳ない気持ちになりながらも、ここは正直に話すべきだと静かに口を開いた。
「私、パンケーキで一番好きなのは、バターとはちみつをかけたやつかな」
「バターと……」
「はちみつ……?」
愕然として立ち尽くす姉に、ごめんと小さく呟いた。
「この前見つけた喫茶店で食べたパンケーキが美味しすぎて……そこからバターとはちみつ派になりました」
確かに姉の作るパンケーキは絶品ではあるが、今のブームは喫茶店で食べたパンケーキだ。
正直な意見ではあるが、ボウルを置き俯く姉を見て少しだけ後悔する。
小さい頃から色々と世話を焼いてくれた過保護気味な姉だ。もしかしたら傷ついたのかもしれない。
溜息を吐いて、動かない姉に近づいていく。今一番好きなのは喫茶店のパンケーキではあるものの、姉の作るパンケーキが嫌いになったわけではない。そう伝えようとして、ふと姉が小さく何かを呟いていることに気づく。
「お姉ちゃん?」
「――なる」
眉を寄せ、耳を澄ませる。聞こえる声は二人分。何かを話しているのだろうか。
「バターは何とかなる。なんだったら作ればいいし。後ははちみつ……」
「簡単に決めてはだめよ。はちみつは、花の種類によって味が違うんですもの。パンケーキに合うはちみつを選ばないと」
「どちらにしろ、今からじゃ無理ね。こうなったら喫茶店に強襲をかけて」
「ちょっと、犯罪行為は止めて。あと、生クリームをそのままにするのはもったいないから、勝手にパンケーキに乗せて食べるからね?」
思わず口を挟んでしまったが、二人の話は止まらない。けれどボウルを再び取り、てきぱきと朝食作りを再開し始めた。
器用だなと半ば感心しながら、傍目には独り言を言っているように見える姉を見る。何かとお互いに文句を言い合っているものの、本当はとても仲がいいのだろう。
羨ましいなと思うと同時に、寂しくはないのだろうかと不安にもなる。話すことはできても、見ることも触れることもできないのでは、何だか空しくはならないのだろうか。
そんなことを思っていると、ふいに姉の下ろした髪が揺らいだ。息を呑んで見つめていれば、その揺らぎの中でぼんやりと姉に瓜二つの女性の姿が浮かぶ。
姉と同じように真剣な顔をして、でもどこか楽しそうに話している。じっと見ていれば視線に気づいたのか、こちらを見て笑いながら消えてしまった。
寂しくはなさそうだ。小さく笑い、姉を手伝うため食器棚を開ける。
「まだ寝てなよ。出来たら起こしてあげるから」
「目が覚めちゃったから気にしないで」
姉が気を利かせて声をかけるが、それに首を振ってそのまま食器を取り出していく。
目が覚めたというより、賑やかすぎて眠れそうにないのが本音ではあるが。それを口にすれば今度こそ落ち込むだろうことが分かるため、笑って誤魔化した。
「やっぱり一度その喫茶店に行ってみないと……」
「そんなんじゃだめよ。おねえちゃんが一番って思ってもらうには……」
「――まあ、たまにはいいか」
一人暮らしだと、静かなのが日常だ。だからたまにはこうして騒がしいのも悪くない。
姉たちの会話を聞きながら、そう思った。
20260305 『たまには』
たまには帰り道で自販機でなんか買っちゃお!
今日は俺頑張っちゃったからご褒美ご褒美〜
…………この自販機、猫自販機だ。
猫の尻尾の匂い味ってどんな味……?
猫の頭の匂い味って何……?
なんとか匂い味しかないじゃん!!!
#たまには
『たまには』
たまには
何もしない日があってもいい。
頑張らない日があってもいい。
人はずっと走り続けるように
できていないから。
止まる時間も、
ちゃんと生きている時間。
たまにはケーキを買って行こう
たまには晩ご飯に誘おう
たまには2人で映画を観よう
たまには言葉を信じてみよう
たまには昔の話をしよう
晴れた空に星は見えないように
見落とした日々のあれこれを
たまには抱きしめてみよう
なんかさ、最近危うくなると、なんかに助けられてる感じするんだよね。
昨日もさ、うっかり電車にカバン忘れちゃったんだよ。大切なもの入っててね、大慌てさ。気づいたのが駅から出てバスに乗ろうとした時で。後ろから「すいませーん!」って声かられて振り向いたら、知らない人がボクのカバン持って走ってきたんだよ。びっくりしたけど、ホント、ありがたかったなあ。
あとはさ、うっかり赤信号渡りそうになった時。疲れすぎてぼーっとしていたんだよね。横断歩道に一歩足を踏み出そうとしたらさ、目の前をなんかシュッて通ったんだよね。紙飛行機だったんだけどね。近くにいた子どもが紙飛行機飛ばしたんだよ。その子は親に、危ない!って叱られていたけどさ。あれは渡っていたら、危なかったよ。よくダンプカーが通る道だったからね。ああ、命拾いした。
他にも、ちょこちょこ上手くいかないなあみたいなときに、なんかに守られてる感じするんだよなあ。ホント、ありがたいんだけど、なんだろうなあ。
んー、そろそろ、ばあちゃんの命日だな。そういや、しばらくお墓参りしてないなあ。たまには、まとめて休みをとって田舎に帰るか。団子屋の看板見たら、ばあちゃんのみたらし団子思い出したよ。甘くてもちもちで、旨かったなあ。また、食べたいなあ。ばあちゃん、優しかったなあ。
また会いたいなあ。
いやぁー母と都内のホテルニューオータニのアフタヌーンの食事、風景そして満面な笑みで楽しかったわぁー
普段食べられないものそしてお姉さんが私のためにサプライズしてくれて本当に反応も濃かった。memories
たまには
たまには良いじゃないか、こんな投稿でも
こんなに簡素で中身のない、薄っぺらい投稿でも
…たまには、良いんじゃないかな
【3/6】
たまには散歩に行って新しい発見をしよう
きっとよい1日になると思うから
たとえば、とっても美味しいごはん屋さんが見つかるかも
『たまには』
気分転換に本でも読もうとリビングに向かうと、彼女がマグカップを両手で包み込んでソファに座り込んでいた。
「なに飲んでるんです?」
「んー?」
嗅ぎ慣れない匂いにつられて、彼女のすぐ隣に擦り寄り、マグカップを覗き込む。
見た目は具のない味噌汁だが、ほんのりと魚介系の香りがした。
もしかして、新たな味噌汁の配合に挑戦したのだろうか。
「インスタントの味噌汁。カニだしの味噌汁って初めて見たから買ってみたんだけど、れーじくんも飲む?」
なんだ、インスタントか。
淡い期待は打ち砕かれ、味噌汁への興味を失った。
「いえ、今は遠慮します」
「そ?」
他愛のないやり取りをしたあと、彼女は再びマグカップに視線を落とし、ハフハフと息を吹きかけた。
俺はそんな彼女の太ももを拝借して横になる。
本を開いたとき、彼女の手が俺の頭に触れた。
「れーじくんが甘えただ」
「たまにはいいじゃないですか」
「別に? 珍しいなって思っただけだよ?」
まろやかに笑う彼女に、俺は本から目を離した。
うわ。
下から見上げる彼女が新鮮すぎて、うっかり胸が締めつけられる。
視線を上げるだけでこんなにもかわいい御尊顔を拝めてしまうのだから、読書に集中できる気がしなかった。
「そうですか?」
「意外と甘えベタじゃん」
そう、かなあ?
イマイチ彼女の言い分にピントが合わない。
彼女に甘えてムチャな要求は押し通しているつもりだ。
つい先日だって、散々、彼女の歯を磨きたいとごねたばかりである。
全然、許してくれなかったのは残念ではあったが。
そんな俺の反応に、彼女はあきれた様子でため息をついた。
「人の言葉尻を都合よく変換して、ダル絡みはしてくるのにね?」
どうやら、俺のなかでの甘えは彼女にとってはワガママの域を越えていたらしい。
越えていたところで、基本的にはなんでも受け入れてくれるから、認識にズレが生じてしまったようだ。
「なんでそんなひどいこと言うんですか。ダルくないです」
グリグリと彼女の腹に額を押しつけ、拗ね散らかす。
「はいはい。ごめん、ごめん」
「いくらなんでも軽すぎません?」
「悪いとは思ってないし」
「なら最初から謝らないでくださいよ」
「折れてる素振りは見せておかないと、ダルさに拍車がかかるじゃん」
「ちょっと」
2回もダルいとか言うのやめろ。
すっかり俺に対するあしらい方が雑になってしまっている。
それでも、彼女が楽しそうに笑うのだから、俺も絆されるほかないのだった。
たまには辛い現実をわすれて
稲妻酒(日本酒)と甘いものをぶっ倒れるまで食っちまえ
甘味主義雷電より★
たまにはさ
深く息を吐いて、吸って。
好きなビールでも飲んで、
夕焼けをみながら
休んでみてもいいんじゃない?
実は今、身内が病院に入院している。
深刻な話ではないんだけど、お見舞いに行くたびに疲れてしまう。
お見舞いの時間制限があるから長居しているわけでもないのに、いつも帰ってきたらグッタリしてしまう。生気を吸われているんだろうか。
もうすぐ退院しそうではあるけど、退院したらしたで、まぁ色々と別の大変な事もありそうで。
たまには何も考えずに、のんびりしたいねぇ。
「たまには」
今日は君が僕よりも遅く帰ってくる日だ。いつもは僕の方が後で、君が暖かなご飯を作って待っててくれている。
せっかくの機会だし、たまには僕がご飯を作って君を驚かせようかな。
たまには
全世界を敵にして、寝返って、貴方と私。
貴方の軌跡、過去。
それくらいしたって、足らないくらい。
欲望。
ビルの最上階、太陽の沈む時刻に二人の男女が視線を交わしている。
「沙彩ちゃん、話って何かな?」
僕は聞いた。
「風雪さん、大好きです。私と付き合って下さい」
沙彩ちゃんは唐突に告白した。
まさか女性から告白されるなんて想像もしてなかった。
彼女は後輩で、仕事を優しく教えたのが功を奏したのだ。
ついに僕の良さが分かってくれる人が現れた!
辛い事が多い人生だったが本当に生きてて良かった。
だか、、僕には淑恵という妻と生まれたばかりの赤ちゃんもいる。(テ−マ:小さな命を読んで下さい)
不倫はまずい!
こんな自分と結婚してくれた妻を悲しませる事になる。
二人の女性と付き合えるほど器用じゃない!
それに浮気がバレたら淑恵に殺される!
結論が出た。
「沙彩ちゃん、とても嬉しいんだけど、妻と子供がいるからごめんね。あと2年早く出会えたら付き合えたんだけどね…。さよなら…」
僕は泣きながらその場を走り去った。
沙彩ちゃんはポカンとして、立ち尽くしている。
たまにはじゃなくいつもいつでも
貴方の感触 思い出す
#たまには
—一等の勇気—
商店街で買い物をすると、福引券を二枚渡された。一緒に買い物にきた、弟と一回ずつ引くことにした。
「くそー、ダメか」
「ドンマイ」
弟は白色を引いた。六等のポケットティッシュだ。
どうせ私も当たらないだろう、と思ってガラガラ回した。
「おめでとうございます! 一等のテーマパークペアチケットです!」
鐘の音と共に、おじさんのどデカい声が商店街に響く。周りにいるお客さんから拍手された。
視線を集めて、若干恥ずかしい。
「姉ちゃんすげえ!」
「たまには、いいこともあるもんだね」
おじさんから二枚のチケットを手渡され、私たちは家路についた。
「姉ちゃん、だれ誘うの?」
弟が興味深々で聞いてくる。
こんなにすごい物がもらえると思っていなかった私は、返答に窮する。
「うーん、どうしよっかな」
パッと思い浮かぶ人は何人かいるが、一人に絞れなかった。
「友達に聞いてみようかな」
私はそう言うと、弟は眉をひそめた。
「それって好きな人と行くやつじゃん。友達じゃなくて、好きな人誘えばいいのに」
「好きな人なんかいないし」
「嘘だね。最近スマホの通知ばっか気にしてんじゃん!」
私には返す言葉がなかった。
実は好きな人はいる。だが、好きな人を誘う勇気が私にはなかった。
「別に違うし……」
「ふうん」
帰ってベッドに寝転がり、考えた。
卒業式まで、あと一ヶ月。彼と進路が違うことはわかっている。
「ふぅ」と小さく息を吐いた。
たまには、勇気を出してみよう。
指をフリックして、文字を打ち込む。
『〇〇のペアチケット当たったんだけど、一緒に行かない?』
震える指で、送信ボタンを押してみた。
お題:たまには
たまには
たまには思い出してよ
夢見る度に鮮明で
目を覚ますのが惜しいほど
あなたの声も髪も指先も
全部覚えてるあたしが今日もいる
そんなはずないって分かってる
それでも待ってるのは何でだろう
待ち続ければ報われるなんて
そんな期待はもう捨てた
それでもあたしの心は全部
あなたにあげてしまったから
心に触れたあなたの熱が
あたしを溶かしてくれたから
これ以上ないって思えたの
このまま朽ちて逝こうとも
この想いだけは
たまには思い出してね
あなたの事が大好きな
あなたが愛したあたしの事を
部屋に残るあなたの影
息遣いすら聞こえた気になった
捨てればいいはずのあれこれが
今日もあたしに問い掛ける
ほんとにこのままでいいの
あなたの部屋にはもうあたしは居ない
服も歯ブラシもきっと全部捨てたよね
新しい歯ブラシが増えてたら嫌だな
あたしに触れたあなたの指先が
一瞬の遊び心じゃないって分かってる
あなたと巡った季節の数で
あなたを知ることができたから
このままがいいの
あなたを好きでいたい
泣きながら抱きしめた
そんなあなたの腕の中で
これ以上ないって思えたの
このまま朽ちて逝こうとも
この想いだけは
愛だけは
だからたまには思い出して
あなたが選んだこの愛を
☆ .*ーーーーーー ーーーーーー *.☆
まだまな板と包丁使ってくれてるのかなあ
なんて思ってます
よく喋る人だった
愚痴や下世話という文化をよく知られていたような
それらの羅列が絆だとかな証ではなかったことも、ついこの頃知った
なら、なんだったんだろうと過ぎた嵐を窓の遠くから眺める
張り詰めた水素を掃き溜めに捨てただけだったのかと、素朴に思案している
あまり喋れない性根だった
厳密に言うと、言うべきでないこと程よく口走ったような
ぎちぐちとゼンマイを快くない拍で回す脳だった
嫌なことを都度吐きなさいと言われたので、試したこともあったが、上手くは立ち行かなかった
どうやっているの?と聞こうともしたが、やはり舌が回らない
極寒に這う心地と似ている
夢を見るのだ
苦しまない世界で貴方に刺し殺される夢
虚空とよく語り合う
面白かったのに、貴方だったらば
この目の前が、質量を持って見えないのだから、貴方に絶望の餞しか手渡せないのだ
奇っ怪種々雑多な夢を見ている
夢の貴方に夢を見ている
刃を向けようとも“大好きな君に”と涙を流さない貴方の夢に酔っぱらう
覚めたと聞いた世界を冷めて感じている
喚かないでよ、励まさないでよ、泥土に塗れて飽き飽きだから
いい所なんて無いようにってさ努めてるのさ。何一つ分からない貴方に世辞の一つさえ似合わないだろ
たまにはね、都合の悪いフィクションだとか見させないで
たまには自分の部屋のドアをノックしようと思って、
手の甲で3回コンコンと鳴らした。
するとノックが返ってきた。
いるとしたなら座敷童子か悪霊か、
それともクローゼットのモンスターか。
だが考えるほどの事でもないと悟り、
そっとドアの前を後にした。