『たとえ間違いだったとしても』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あいつは必ず、俺に向かって「背中に触れてくれ」という。
そう言われて背中に触れる。服越しから手を当てているのに、骨の形がはっきりと伝わってくる。その骨も折れそうなほど細い。体温も低い。いつ死んでしまってもおかしくない、枯れ木のような頼りない背中。
その背中に触れるたび、いつも「明日死ぬかもな」と想像してしまう。明日にはもう触れることができないかも思ってしまう。気分が悪い。
そもそも人の手が触れること自体、今のあいつには堪えるはずなんだ。死にゆく人間は生きている人間の刺激に弱い。耐えられない。本当は声を聞くのも、衣服に触れられるのも辛い。誰かが自分の背中に触れるだなんてまっぴらごめんだ。あついし、骨が立って痛む。いつだったかあいつがそう言っていた。
それなのに、あいつは俺に触れるようにとせがむ。背中に手を置いて欲しいという。
「君が自分の背中に触れてきた時、じんわりと触れてもらったところから、あたたかくなるのが好きだ。自分の身を案じてそっと大事に触れてくるところが好きだ。それだけで、自分は生きていてよかったと思えるよ」
あいつの肩から力が抜ける。ふっと、どこかへ消えていくような力ない後ろ姿が見えた。
「たとえ、これが生きるためには間違いであったとしても、明日死んでしまったとしても、それでいい。それがいいんだ」
あいつは勝手なやつだと思う。
抱きとめられず、添えるしかできない、それ以上はいけないと思っている俺の気持ちなんかちっとも知らないで、この世の誰よりも幸せなんだとあいつは小さく笑うのだから。
身分違いの恋って大変だね、と思った。今読んでる漫画の話。私は恋愛なぞ出来ないので、恋愛漫画で十分である。独身生活を謳歌するぞ〜!と決心を固めたところで話を戻す。
自分の判断に確証が持てないことが多いだろうに、御曹司が庶民の子と生きていくことを選び、生家を去っていった。これからは君と一緒にいるよ、って感じで話は締めくくられた。ハッピーエンドのように見えるが、これから二人は波乱万丈の人生を送りそうで恐ろしい。
御曹司、働けるか?もし庶民の子に捨てられたら生きていけるのか?って心配しちゃう。
だから、誰でもいいからこの二人の話の続きを書いてくれ。ハッピーエンドというのなら、二人が幸せに暮らし、相手を案じながら死にゆく時まで。
たとえ間違いだったとしても
「たとえ間違いだったとしても」
誤解だったと
理解はしても
好きと言われりゃ
気にもなる
陰で見守り
数日過ぎて
咲いた笑顔に
ほっとして
失敗と感じる
境界線は、どこだろう。
それが、過ちであったんだと
時が経つにつれ自分の中で
染み入るように気付く時もあれば
その場で、分かる事もある。
そして時には…
時には、たとえ間違いだったとしても
間違いだという自覚があったとしても
進まねばならない、道もある。
全て捨ててしまえと。
【お題:たとえ間違いだったとしても】
たとえば、本当に押したかったボタンよりもひとつズレた結果の自販機ジュース。連続購読中の新刊を買って帰ったら、本棚に並んでいた同じ背表紙。人間である以上誰しも一度は体験した事があるのではないだろうか。……いや、少し主語が大きすぎた。自分の現状を憂うあまりセンチメンタルになってしまっている。それは認めよう。
そこでわたしは漸く、スマートフォンの画面から顔を上げた。陽当たりのいいキッチンで動く広い背中を見ると、童話のキリギリスが思い起こされた。対してわたしは怠惰なアリである。視線を下げてもまだ寝巻きで、今日も寝癖が元気に頬へ下りてきてる。
「ねぇ、フレンチトーストはメープルでいい?」
思考に沈みきっていた間に、彼は調理を終えていたらしい。ほかほかと湯気を上げる黄金色のモーニングメニューに、思わず顔が綻んだ。
「ありがと。……」
彼がわたしを選んだことが、未だ何かの手違いだと思う時がある。というか、度々ある。
「もう。また悩んでるの?」
「! ……だってあなた、あの人の事好きだったじゃん」
自分でもわかるくらい拗ねた声が出た。どうやら思う以上に拗らせていたらしい。あまり目を合わせたくなくて、逃げるようにオレンジジュースの入ったコップを手にする。見かねたのか彼がやんわりと持ち上げようとする手を制した。
「きみを選んだことが間違いなんて、思った事ないよ。誰よりも心動かされるひとだって気付けた後から僕は、誰よりも幸せなんだから」
『それは消せない』
哀しみの毛布の中 心だけが泣いている 羽根を広げるのは今じゃない 鶫が私にそう告げた 消しゴムの消しかすばかりが増えてくよ 消えない消えない消えない 消えないじゃなくて消せないんだ そう気づいた朝 鶫は既にいなかった もう春なのにあの子は口を噤んだままだ
誰かにとっては正しくて、誰かにとっては間違い。
正義を貫こうとすることは、誰かを悪とすること。
苦しいことは無限にあるのだろう。
昔ほど視野は狭くない。だからこそ、見たくないものも見えてしまう。知りたくないことも知ってしまう。
正しいか間違いかの基準で判断出来るのは、実はほんの僅かで、
見えないところに、見たくない隠されたところに、間違いを一応良しとするものが押し込まれている。
誰かにとっての間違いを貫くことが、大切な人にとって正しいのなら、最後までやり抜くしかない。
一応良しとされているのなら尚の事。
苦しいことは逃げ道がないこと。
けれど、孤独ではない。
大切な存在がいることが幸せだと思う。
そのためにまだ頑張れると思えるなら。
たとえ間違いだったとしても
君と2人で生きること死ぬこと
それを否定されたくはない
7 たとえ間違いだったとしても
うさぎ「追いし」かの山、って歌、てっきりうさぎが「美味しい」んだと思ってた。そう言ったら「実際においしいよ。学生のころメキシコで食べた」と夫に言われた。私はメキシコのうさぎを食べたことのある人と結婚したのか、と思ったら、なんだか面白くて笑ってしまった。夫は不思議そうな顔をしている。その日のアボカドサラダはなんとなく、メキシコの味がした。
あいつがこいつの事を好きってことはわかっていても
俺は恋のキューピットになることは無かった。
あいつは俺の親友でこいつは俺の幼馴染だ。
キューピットになることは無かったって言うか
ならなかった。
あいつも俺も好きだったから
でも俺は彼女に告白することも、
手助けすることもなかった。
告白なんてしたら関係が崩れていくような気がして
あいつは彼女に告ったらしいが振られてしまったらしい
俺はあいつが振られるなんて驚いた。
勉強も運動も気づかいも出来るあいつを振るなんて
ありえなかったから。
心の中では、少しホッとした自分もいた。
それでも俺は彼女に告白することは無かった。
この選択が
たとえ間違いだったとしても
俺は彼女とのこの関係からの
終わりを告げることは無い。
それは、今もこの先も変わらないと思う
─────『たとえ間違いだったとしても』
通じない言葉
傷つけあう日々
恋の終わりの直前
小さなカード
アクアマリンの指輪
どこか他人行儀になる思い出たち
伝えた言葉も
過ごした時間も
あのときの精一杯
たとえ間違いだったとしても
わたしはわたしのまま
前を向いて歩こう
#たとえ間違いだったとしても
たとえ間違いだったとしても
先に謝る方が、ずっといい。
先に感謝する方が、ずっといい。
プライドやしがらみなんて手放して、
相手の目を見て伝えよう
ありがとう
ごめんなさい
正しいことをしている
私にとってはね
誰から見たらそれは違うと言える
下手したら全員だ
だから
たとえ間違いだったとしても
この先の人生が
あと何十年続こうとも
あなたに会うことは 二度とないの
結ばれる恋では無いけれど 愛し合ってたよね?
出会ったのが そもそもの間違いだった って
どれだけ 泣いたか 知らないでしょ?
癒してくれたのは やっぱり時間でした
あの恋愛で 得たものはたくさんあったみたい
今は あなたの幸せを切に願っています
#たとえ間違いだったとしても
たとえ間違いだったとしても
何かしら
得るものはあって
たとえ遠回りでも
そこを通らなければ
知らなかった景色もあって
たとえたとえと
痛み隠して
あれこれ言い訳しても
もしももしもと
選ばなかった道を
思いあぐねて悔いてみても
何を選んだって
どの道
同じように思うのよ
「 たとえ間違いだったとしても」
【たとえ間違いだったとしても】
たとえ間違いだったとしても
この気持ちは「恋」がいい
あなたの笑顔は私の中で
前へと進む力になるから
たとえ叶わぬものだとしても
この気持ちは「恋」がいい
届かぬ想いは形を変えて
新たな何かを創り出すから
他の誰にも認められなくても
この気持ちは「恋」がいい
求めるものなど何もなくて
ただ好きでいたいだけなのだから
いつも何処かで誰かのために
頑張っているあなたのことを
今も 今までも これからもずっと
心の中のお守りとして生きていく
たとえ間違いだったとしても
この気持ちは「恋」がいい
私はここにいる。
たとえそれが間違いだったとしても。
ウクライナ人の友人に国外退避を提案したとき、彼女は強い意志をはらんだ声でそう言った。凛としていた。命と尊厳について、私は何もわかっていなかったのだ。
己を恥じた。言葉を失う私に、一転して優しい声で言う。
ありがとう。もし私があなたの立場でも同じことを言ったと思う。わがままでごめんね。
逆の立場だったら…
そうだとしたら、私はその時どう言うのだろうか。彼女と同じ覚悟ができるのか、私にはわからなかった。そして、それが本当に間違っているのかどうかも、今はまだわからない。
─たとえ間違いだったとしても─
あの日の選択は間違いだったのだろうか。
君を止めるのが正解だったのだろうか。
君があの日、
『親を殺したい。』
なんて言わなければ、
こんなに悩まなかったのだろうか。
一般的な正解は【止める】なんだろう。
ただ僕は、君の親の醜さを知っていたから。
だから止めるという選択肢が、
君を傷つけるナイフのように見えたんだろう。
君の親は、君を虐待していたから。
一番痛い、言葉のナイフで。
たとえ君が死んでも、親のせいにはならないから。
だから君は、“責任から逃げようとした”
親を殺したいと言ったんだろう。
あの日、僕が止めたら君は自殺していただろう。
この選択が正解じゃなくても、たとえ間違いだったとしても、
君には楽しい人生を送って欲しいから。
だから僕は、君を止めないよ。
私には分からないままだった
この先がどうなるかなんて
それでも前に進む貴方は言った
「一緒に行こう。さあこの手を取ってくれ」
不安げに彼を見上げながら差し出された手を伸ばす
貴方について行くから
たとえこの選択が間違いだったとしても
「やっぱこのアプリ、いわゆるエモ系のお題頻出説は可能性高いな……」
間違いだったとしてもって、「間違い」はどこまで行っても、すなわち「間違い」であろう。
前回の題目到着→迅速投稿はどこへやら。今日も某所在住物書きはいつも通り、首筋をガリガリかき頭を抱えて、うつむいたり、天井を見上げたり。
「ランダムなお題に即興で物語書いて執筆スキル上げよう、と思ってアプリ入れたが、このまま続けていくと、比較的、いわゆるエモネタ文章の執筆トレーニングになりそうなのかな」
不得意ジャンルへの偏りを、不得意科目克服のチャンスとすべきか、ここが潮時とアプリを消しても良い口実か。物書きはため息を吐き、ポテチをかじる。
――――――
都内某所。春到来の歓喜も完全に過ぎ去り、最大9連休となる今月末から来月初週に向けて、
報道機関は特集を組み、商業施設は感染症の拡大を不安視しつつも来客と来福を待ちわび、
かつて二次創作の物書き乙女であった社会人2名は、とある焼肉屋の個室で語り合っていた。
「ふと、ね。アレ見て分かんなくなったの」
きっかけはその日突然呟きアプリに浮いてきたトレンド語句。「解釈違い」。
「同カプ解釈違いの呟き、メッチャ多かったじゃん。本当は皆自分のヘキ以外読みたくなくて、他の人が書いたSSも漫画も、特に夢小説なんて、全部ヘイト対象だったのかなって」
私がT夢書いて上げて、解釈爆撃食らったのも、私が全部間違ってたからなのかな、みたいな。
付け足す乙女は元夢物語案内人。昔々、心無い批評家による批判と指摘の集中砲火に遭い作家を辞めた。
「わかるー」
返す社会人はかつての薔薇作家。キャラ付け左右の位置同軸違軸、諸々の論争に疲れ果てて、今はイメージカプ非公表の概念アクセサリー作家として、戦火遠い穏やかな界隈で静かに過ごしている。
「でも、たとえね、たとえ間違いだったとしても、私ちょっと物書きやって良かったと思う」
薔薇作家は微笑み、肉と肉と肉を金網に上げた。
「良いことあった?」
「うん。物書きして、筆折らなきゃ、概念アクセに手は出さなかったなって。……15日と16日にハンドメイドマルシェに店出したの話したっけ?」
「話した。そこそこ儲かったって」
「顧客情報だからアレだけど、『日頃世話になってるひとに、礼がしたくて』ってお客さん来たの。『頑張り屋で真面目で優しいやつだから』って」
「ふーん」
「筆折って概念アクセに来たから、あのお客さんのお手伝いできたんだろうなって。そう思って」
「その客の話、ちょっと詳しく聞いても良い?」