『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
時間の流れを残酷に感じる。私が会うことができなかったその分、祖母がきちんと小さくなっている。ひとりで暮らす祖母と、全てを捨てて生活できたらどんなに良いか。しかしそんな甲斐性も度胸もない私は、時間が丁寧に教えてくれる祖母の持つ“限り”を見つめ、ほんのときどき寄り添うことしかできぬ己の無力さに身勝手ながら傷ついている。それでも、ひとつでも後悔が残らぬよう、黄昏れに立つ彼女の手をぐっと引き寄せる。そのたびに祖母は笑って「冥土の土産」と繰り返す。私はあといくつ、彼女の土産を増やせるのだろう。
【たそがれ】
あ 今日も暑かった
い まったく
あ ようやくだよね
い 飲み行きましょ
あ おー
い 1日で1番幸せ感じる
あ ほんと
『たそがれ』
夢のあと、黄昏草に口づけた。
/お題「たそがれ」より
こちらとあちらの境界が曖昧な時間。
さあ、早く帰りなさい。こうして忠告を受けている間に。
私があなたをあちらに連れていきたくなる前に。
向こうから歩いて来るのは誰だろう
夕闇せまり顔が判らん
金木犀の香る夕暮れ裏通り
居酒屋付近は焼き鳥混じり
#たそがれ
僕は学校の授業はだいたいたそがれている。先生が何を喋っているのか、今教科書のどこのページを見ているのかも分からないくらいたそがれている。たそがれると、気持ちが落ち着く。本当に楽になる。
でも例外もある。それは内山の授業だ。これは、どこのページを開いているか、何を内山が喋っているかなんてわかっていて当然。これがわからないと、多分、人生終わる。全神経を集中させ、周りの音を遮断し、一語一句聞き逃すことなく授業を受ける。本当に疲れる。
あのシワクチャやろうが。
少し暗い黄昏の中。
自転車を走らせる。
夕方の生温い空気を掻き分けて進む。
オレンジに染まった海を見ながら。
この時間が好きだ。
「たそがれ」
私が1日の時間の中で最も好きと言って過言ではないのが、黄昏時だ。
燃えるような夕焼けから、段々と静かな夜に変わっていく様子は、終わりの前の、最後の足掻きのように感じる。
ある日部活が終わって昇降口を出たとき、思わず「あっ」と声が出るほど美しい夕焼け空が広がっていた。
周りのみんなもきれいだと思うのは同じだったようで、「きれい」と口々に言いながらスマホを取り出して写真を撮っていた。
私もこの景色を切り取りたいと思って真似して撮ってみたけれど、なんだか違うような気がした。
写真も確かにきれいだったのだけれど、私が美しいと思った夕焼け空ではないような、そんな気がした。
写真は嫌いではないし、美しいと思う写真にも何枚も出会った。
けれど、撮影した人が感動して、シャッターを切ろうと思ったその瞬間は、もっと美しかったのだろうなあと思ってしまう。
もしかしたら、レタッチする前は、私が写真で見るのとは違った景色が広がっていたんじゃないか、と。
テレビのCMを見ていたとき、「AIが笑顔にしてくれる」「半眼をなおしてくれる」「被写体の大きさを変えられる」「背景を変えられる」と謳っているスマホを見て、写真ってなんのためにあるんだっけ、と考えてしまった。
笑顔じゃないのも、半眼なのも、被写体の大きさも、背景も、全部込みで切り取りたかった瞬間だったのではないのだろうか。
最近は黄昏時に外にいることが少ない。
「おいで、夕焼けがきれいだよ」と雨戸を閉める前にわざわざ私を呼んでくれた母は、今では夕焼けが見える時間に帰ると「もっと勉強してきなさい」と言う。
今度の休日は、窓から外を見てみようかな、と思ったけれど、多分次の休日はずっと先だ。
※たそがれ
たそがれに うなだれるは サラリーマン
酒を片手に 明日を 憂う
まず憂うべきは
己の行動であることも 知らずに
安酒で悪酔いする輩が多いからね
そういう奴は絡み酒が多くてね
欧米のように超強化規制して欲しいんだ
道端で飲んで車道で寝てんじゃねーよ
第肆作「たそがれ」
夕暮れ時、本日の終了へと時が進む。
宵闇とともに溺れる。鬱たる感情。
明日が来ればリセットされたる鬱。
鬱たる感情を含んだ微睡み。
その感情を抱え、今日もまた1日生きる。
(中学時代、学校が辛くて仕方なかった自らを思って。)
あなたが西陽に隠したその顔を、
たとえあなたを傷付けてでも見たかった。
それが何かの答えになるような気がしたから。
たそがれどき、あなたが待つ駅へ急いだ
あなたはもういないけど、あの頃の笑顔が焼き付いたこの駅は私の宝物
怒り、憎しみ
私たちは感情を表に出してはいけない
秘密こそがこの任務の鍵だ
でも何故だろう
貴方と過ごす度、何かが生まれている気がする
人に干渉してはいけないとわかってる
でも「明日何しようか」って
君と話したいんだ
黄昏時の窓を眺めながら
踊る軋むベットで
考えてしまう
たそがれ
綺麗な夕日を見てぼーっとする
そしたら大好きなあの人に名前を呼ばれた…。
なんて妄想、少し頭に残ってしまう。
明日のあの人は何をしているのかな
好きな人、できてないといいな…なんて
想いを胸に今日もあの人に伝えられない
どうすればいいのかすらもわからないこの心が
どうも焦ったくて
あーぁ…
いつになれば私、伝えられるんだろうな
「げほっ、げほっ!うぇえ…よく吸うよなぁこんな煙ったいの」
初めて吸った煙草のケムリに咽せて涙が出た。恨めしげに睨んでも赤い点からは細い煙が立ち上るだけで、諦めたように空を見上げた。
現在時刻はたそがれ時、荒野の夜はすぐに冷えるから寝床選びが肝心だ。今回は運が良く、小さな無人小屋を見つけられた。久々に屋根と壁がある所で寝られるなんて贅沢だ、と相棒のバイクを撫でて喜んだ。
そんな感じにテンションが上がったからか、普段は吸いもしない煙草にチャレンジした結果がコレだ。憧れの人の仕草を真似したかったが為に買った煙草は、思いの外苦かった。
「街まであとどれくらいかな…」
もう一回、煙草を吸ってみる。今度は短く吸い込み、口に含んだ煙を細く吐き出した。苦い。でも、少しだけ近づけたような気がしないでもない、かも。
あの人もこんな感じだったのかな。
顔はイイのに声がうるさくて、金勘定はやたらと早い人だった。でも、誰よりも周りを照らしてくれた人だったな。
「…明日は少し早めに出るかぁ」
ぎゅ、と地面で火を押し潰し、水の入ったアルミ缶の中に放った。口直しにドロップ缶から飴を出して舐める。
それでも苦い味は、あの人のようにしばらく残っていた。
何もかも上手くいなく、全てのことが嫌になった。 そんな日に公園のベンチに座っていると、上から葉っぱが落ちてきた。気になって手に取ると“貴方の思い通りに”ただそれだけが書かれていた。それは普通の葉っぱよりも分厚くて、意外とやわらかくて、軽い。 最初は誰かのイタズラだろうと思っていたが、その日から本当に自分の思い通りになる日が続く。だって、テストだっていい点がとれるし、友達関係だっていい。家庭内の環境もよくて、なりたい自分になれる。それから月日が経ちある日の夕方。例のベンチに座っていると、また上から葉っぱが落ちてきた。手に取ってみると、“貴方は大丈夫”と書かれていた。意味が分からない。その時は何のことか分かりもしなかった。今思えば、私や他の人のために神様が与えてくれたものなんだと考える。昔のことは覚えていないがこの物語はよく覚えてる。本当のことは誰もわからない。
そう、これはたそがれ時にあった、ある物語。
私はたそがれ時の時間が好きだ。緋色と青色のハーモニーがとても素晴らしく感じる。また、心も穏やかになり、ストレスを軽減してくれるように感じる。私は色々な場所でたそがれの太陽を見てみたい。
夕焼けであたりをオレンジ色に染めていた。
丘の上で、あたり一面を見渡す。
雲が流れ、星々が現れ始める。
夜がやってくる。
“たそがれ”
思えば僕はあの日からずっとお前に救われていた。端から見ればお笑いで天下を取るというお前の無鉄砲な夢に振り回されていたようだったと思う。実際、大変じゃなかった訳ではない。時には疲れてお前を恨んだりもした。ただ、苦労だけじゃなくてしっかり楽しかったのも確かだ。
今になってこそ分かるが、僕はきっとお前に手を引いて貰うくらいが丁度いいんだろう。昔からテンプレのような夢も意思もないつまらない人だったから。
つまりな、お前が手を引いてくれないと僕が困るんだよ。
「いつまでたそがれてんだよ。お笑いで天下取るんだろ?お前が笑えてなくてどうする」
僕の声に反応して君はゆっくりと赤い空か。
「……大炎上してるんだ、もう無理だろ。お前も、俺の夢に巻き込んでごめんな」
気味が悪い。そんなしょぼくれて勢いのないお前は見たくもない。だから、さっさと目を覚ましてやらないと。
「その炎上は事務所の不手際だろうが。大体、お前の夢がお前一人のものだと思うなよ。僕だって嫌だったらここまで来ずにやめてるさ。」
僕の言葉にお前は目を見開いた。だろうな、僕だってお前がこんな情けない姿になってなければ言うつもりなかったんだよ。
「ほら、帰りにコンビニよってつまみと酒買って帰ろう。世間への釈明はその後だ」
「……」
「今日は特別に奢ってやる」
「…っははっ!そうだなぁ、俺、お前と見たい映画があったんだ、それも見ようぜ!」
「あぁ、いいぜ。先に寝るんじゃねぇよ」
「あたりまえだ!」
ほら、やっぱりお前はそのくらいおバカで明るいのがちょうどいいんだ。
たそがれ
たそがれどき
人生の、ではなく
いずれ訪れるであろう
この星の
黄昏時に
知的生命体は存在しているだろうか
ちきゅうと呼ばれていた過去を
この星は覚えていてくれるだろうか