時間の流れを残酷に感じる。私が会うことができなかったその分、祖母がきちんと小さくなっている。ひとりで暮らす祖母と、全てを捨てて生活できたらどんなに良いか。しかしそんな甲斐性も度胸もない私は、時間が丁寧に教えてくれる祖母の持つ“限り”を見つめ、ほんのときどき寄り添うことしかできぬ己の無力さに身勝手ながら傷ついている。それでも、ひとつでも後悔が残らぬよう、黄昏れに立つ彼女の手をぐっと引き寄せる。そのたびに祖母は笑って「冥土の土産」と繰り返す。私はあといくつ、彼女の土産を増やせるのだろう。
【たそがれ】
10/1/2024, 11:41:08 AM