『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
黄昏時。
空が染まり、僕の影が落ちる。
静まり返る世界に寂しさを覚えた。
コン、コン、と離れていく足音。
綺麗な輪郭の影が動く。
「まったねー!!」
きっと、地球最後の日も寂しい思いは出来ないな。
たそがれどきのいま
あなたの影は長く美しく
あなたの足元を彩る
いつかあなたの影などではなく
日に照らされた横顔を見られる
そんな時が来るのでしょうか
たそがれ
裸足で歩くアスファルトは、思った以上に不快だった。石のゴツゴツとした感じが足に刺さって痛いし、実際小さな石はいくつも足裏に刺さったのでその度に払って取り除かなければならなかったし、何より西日に灼かれてとても熱い。まるで鉄板の上を歩いているみたいだ。
それでも裸足で歩き続けるのには理由があった。単純な話、靴がないからだ。靴がないのは裸足で困っていた女の子にあげてしまったからで、彼女の靴は脆い作りだったのかヒールが折れて使い物にならなくなっていた。どうやらこれから恋人とデートだったようで、けれど近くには靴屋がなく、困り果てて泣きそうになっていたので差し出したのだった。
いいんですか、と何度も聞かれた。わたしはそれに何度も頷き返した。母からのお下がりで、実はサイズが合わなくて捨てようかと思っていたんです。前者は本当だったが後者は嘘だった。そうでもしないと、目の前の女の子は靴を受け取ってくれる様子がなかった。幸い、靴は彼女の足のサイズにぴったりだった。
そしてこれもまた幸いなことに、誰もわたしの足には気付かなかった。一人二人くらいはぎょっとする人がいるかもしれないと思ったが、誰もが皆自分や家族や恋人や友人のことに夢中で、通行人Aのことなど視界の端に留めようともしなかった。おかげでわたしは、何かしら声をかけられることも無く帰路を辿れている。
信号が赤になり、わたしは立ち止まる。暮れかける日が街をオレンジに染め上げ、わたしさえもその中に取り込もうとする。
ふと足元に目をやると、オレンジはきちんと足を侵食していた。まるで夕日の色の靴みたい。元々履いていた靴とは似ても似つかないし、今日着ている服にも合わないけれど、悪くは無いと思う。
ずっと昔、黄昏を盗んだ人がいた。
世界中の人があんまりにもその光景に思いを馳せるものだから、自分のものにしてしまおうと思ったのだろうか。そんなことをしたって何も変わらないことくらいわかってたと思うけどね、泥棒も。
でも、誰の心にも平等に残り続ける黄昏が羨ましかったのかも。何となくそういう気持ちになるのは理解できるかな。
まぁ黄昏泥棒がロマンチストかどうかなんてどうでもいいんだ。
今私たちはこうやって美しい夕日を拝むことが出来ている。
なぜかって。
そう時も経たないうちに、黄昏は返ってきたんだ。
数日黄昏を見れなかった人々は、それはそれは喜んだよ。帰ってきた夕日は、さらに美しさを増していたそうだ。
実を言うと、黄昏が盗まれたのはこれが初めてじゃない。時代の節々に盗まれては、すぐに返されている。盗んだ泥棒だって、誰1人として捕まっていないんだ。
さっき夕日は美しさを増して帰ってきたって言ったろ。あれは幻覚でも、夕日好きのフィルターがかかって盲目にさせていたのとも違う。
本当に、美しくなっていたんだ。
私は思う…というか確信しているんだけどね。黄昏泥棒はみんな、あの夕日の贄になったって。
神秘的で謎めいていて、近くて遠い光。
多分もっともっと昔は、泥棒だけじゃなくて、色んな人を取り込んでいたんじゃないかな。それこそ科学なんてものはなかったわけだし、気象を神の御心だって信じてた。
人間は今よりもっと太陽に近い存在で、文明が発達するにつれてその距離は遠のいた。
しかしいまだに、あの夕日に惹かれる人は後をたたない。今でもずっと、私たちを呼んでいる。
…どこに行くのかって
野暮なこと聞かないでよ、ほんと
まだわからなくていいよ
僕たちはずっと、たそがれにいるから
『たそがれ』より
今日はなんだか疲れたな窓をいつも見上げると空が元気に笑ってるいつもの私は笑っているのかな明日も笑顔を意識しよ。
お題「たそがれ」
グラデーションがかかった空の下を
何も考えずにゆっくり歩く。
俗に言う「黄昏時」
風もひんやりしてきたのを感じながら、1日にあった出来事を思い起こして歩いていく。
ゆっくりゆっくり時間の流れを感じながら___
明日はどんな空が見れるだろう。
わたしのいえは
がっこうから
でんしゃと バスをのりついで
30ぷんもあるいて
やっと かえれるところだった
でも
いえにつくと
だれもいなくて
いつも
たそがれだけが
わたしをまっていた
それは
かぞくみたいな かおをして
あたりまえに しょくたくに すわり
わたしを なかせたり
ぼんやりした かおにしたり
にかいから
とびおりたくなるように させたりして
わたしを こわがらせた
でも
あるひ
とつぜん
いなくなって
いまでは
たまにしか
かおをみせない
さわると
ちょっとひんやりとして
なまあたたかい
こなっぽいやつ
たそがれ
いまはもう
こわくない
もっとこわいものがあることを
しったから
#たそがれ
早く帰らないと
この時間じゃないと会えない人がいる
僕は家路を急ぐ
オレンジ色の空
川辺りの景色
夕日を背に君と出会う
今度こそ声を掛けようと
何度も思っているのに勇気がでない
また今日もここで黄昏れる僕
たそがれ時の恋を。
あの時の光景が浮かぶ。
僕が、大学に進学した時の事だ。
独りの少女が夏の空を見上げていた。
僕は、その人のことを知っている気がした。
否、確かに知っていた。
あの子は、あの時の無口で愛想がない子だった。
僕は、驚き声をあげる。
『君は、転校したんじゃ、』
そう言うと、彼女は軽く笑みを浮かべ。
『戻ってきたんだ』
自然と、僕は涙が出てくる。
僕は、彼女に言いたかったことを言うのだった。
『突然でごめん、僕、君のことを好きなんだ。だから』
そう言うと、彼女はまた軽く笑みを見せ。
『私も』
そう言うのだった。
たそがれ時に僕らは結ばれた。
たそがれ
悠久と言えず、刹那とも言えない終わりが見えたと思いきやまだ先が続いてたり、幸せだと信じていたものが急に終わりを告げる暇もなく終わったりして、酷く息苦しい世界で生きるしかなかったが、死ぬのも自由らしい。
けれど、地獄には落ちたくないな。
出来れば……天国に行きたい。
それは、当たり前のことだと思う。
けれど、自分は分からなかった。黄昏みたいに、あやふやでイライラしてもやもやして感情が忙しい。
今日は一段とだ。
けれど、幸せそうに生きるしか無いんだよ。
君も、分かってくれるよね
だって、この分からない世界を生きている君なら
この苦しみが、わかると思う
いや、分からなくても良い。この文章を目に通しておいてくれたら、私は嬉しい。
その瞬間から、私は黄昏ではなくなるのだから。
誰かの目に通る事は、存在を認められることだ。
苦しくても、みてくれるだけで良い。
それだけで、分からない状態が少しでも和らぐから…
たそがれ
ブロック塀の上でただ一匹、たそがれている痩せた野良猫。
険しい顔で、どこか淋しげな顔で、丘を見下ろしている。
帰る場所がないんだね。
愛してくれる人がいないんだね。
一人惨めに、夜を越すだけなんだね。
私と一緒だね―。
小さな名もなき三毛猫を見ていると、なぜだか涙がとめどなく流れてくる。
たそがれ。
一日の終わりか、始まりか。
沈み行く夕陽に感動できる心を持っていて、よかった。
それさえ無くなれば、何のために生きているのか分からなくなる。
ああ……
夜が始まりでもいいかもしれない。
心も体も闇夜に溶かし、静寂の世界へ。
わたしは、降り立つ。
#たそがれ
いつか、またいつか
会える日を待っている。
黄昏時にみた母の背中が
とても小さかった。
たくさんの心配も迷惑も
受け止めてくれた母の背中に
声を枯らすほどありがとう。
目の奥にいる
私を見つめる私
慣れない世界で邪魔をする
彼女は少し保守的なのかな
誰かの喜びは
私の喜びとは違う
わかっているけど
あなたの視点を共有されると
自分のために選んだ道でも
自分の選択を疑ってしまう
誰のためでもないはずなのに
話についていこうとしてる
ああ、こんなに難しいなんて
誰の目も気にせず
自分の心に
書き下ろすだけのことが
#たそがれ
たそがれ時
そこに立ってた君は誰
顔がうっすらで見えないの
君は誰
思い出せないの
大切な人だったのに
どうして
涙が零れるの
今日も会えなかった
会いたい人に
彼が転勤になって1ヶ月
仕事の帰り道
ふと思い出したんだ
あの時、確か私を見て
微笑んでくれたよね💕
それだけが私の心の支え
今日もいつの間にか過ぎていく
セツナイ時間
『たそがれ』
冬になるにつれ、夕方がすぐに薄暗くなる。
学生には門限があるだろう。だが、最近はすぐに薄暗くなるので、門限が短くなってとても悲しいだろう。私はあまり遊ばないので、門限が短くなっても、何も思わない。だが、悲しい。友達がいない証拠だからだ。
今日の黄昏時の空はとても美しかった。
雲がなく、月が出て、遠くには富士山のシルエット。
ああ、もう秋だなと思った。
夏にはない、この乾いた空気、心地良い気温。
外に出たくなる季節。
後ろに流した髪の上に、夕陽が滑っていた
最後に酌み交わした酒と
365日前のたそがれを
グラスに混ぜて一気に呷る
いくら飲んでも、酔いは訪れない
分かち合う相手がいなければ
そもそも唇につけるべきではない
探しに行こう
心地よい酩酊を、共に味わう為に
緋色をまとって
たそがれ
車窓から見える夕方と夜の狭間。
街には少しずつ明かりが灯り始めた。
高層マンション、一軒家、アパート…
明かりの数だけ人生があるんだな。
そう思うだけで世界が少し愛おしくなってくる。
最寄り駅に着いて美しい空を見上げて歩き始める。
「おかえり」
横を見ると暗がりから父の顔が見えた。
同じ電車だったのだろう。
私も、おかえりと返した。
今日の出来事を話しながら夜に浸った道を進みだした。
こうして1日が終わっていく。
あの明かりへ私も帰っていく。