『それでいい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君は僕に「好き」と伝えてくれないけれど、
奇跡が起きたら壊してしまいそう。
だからずっとそのままで居てほしい。
#それでいい
「それでいい」
「それがいい」
「それでもいい」
「それもいい」
一文字違うだけでまるで意味が違ってくる。
学校の委員会で、アルバイトの面接で、今の職場で。
私を選んでくれた人は、どの言葉を呟きながら判子を押したのだろう?
END
「それでいい」
お題『それでいい』
朝、屋敷の窓という窓を開けることから俺の一日は始まる。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込めば、ほんのりと薔薇の香りがした。眼下ではアモンが薔薇の手入れをしている。
2階の廊下の窓を開けるために主様の寝室のドアをノックした。相変わらずお寝坊をしているようだ。
「さあ、空気の入れ替えをしますよ」
そう声をかけて部屋に入れば、フェネスは主様の布団に突っ伏して寝ていた。飛び起きたフェネスの顔には布団皺と、口の端に涎の跡が。どうやら昨夜も主様の寝かしつけをしていてそのまま一緒に眠ってしまったようだ。
「は、ハウレス、おはよう……つい眠ってた」
「よく寝ていたみたいだな、フェネス。起きたついでに主様を起こして差し上げてくれないか?」
顔を真っ赤に染めて己の行動を恥じているフェネスだったが、俺はそれでいいと思った。主様はまだ10歳だ。ひとりで眠るのは寂しいだろう。
妹のトリシアが同じくらいの年頃だったとき、身を寄せ合い、寒さを凌ぎながら微睡んだのを思い出した。
昔っから言われるこの言葉。
「なんか変。」
私のどこが変なのだろう。大人も口を揃えてこう言う。
「なんか変。」
「普通じゃない。変な人。」
たったそれだけ。それ以外は何にも言わない。どこが変なのか聞くと、「夏月ちゃんの個性があるから、私達に解決法は言えないよ。」という。
何が言えないだ。変だ変だと言い続けてからかいたいだけではないのだろうか。そう思えてくるぐらい言われてきた。
見た目は、茶髪のポニーテールで、今年から履いていいことになったズボンを履いている。それ以外はみんなと同じ制服だ。着崩したりはしていない。ちなみに私は女子である。
今日から、学年が上がって高三になる。また、変って言われそうだな。
教室に入ったら、チャラそうな男子達が「確かに変だ!」と言って笑っていた。周りを見ると、猿みたいにいつもキーキー騒ぐウザい女子達がピースしていた。私に向かって。
流石にイラッと来たので、言い返した。
「変だと言うなら、お前らも変だな。普通は人それぞれだから違ってて当たり前だろ。」
これに腹を立てたピースしてきた女子達とチャラそうな男子達がこっちに来た。単純な奴ら。こんなことに腹立つなんて。
その女子達のリーダー格みたいな人が胸ぐらを掴もうとしたけど、サッと避けた。今度は男子達が捕まえようとしたけど、それも軽々とかわす。
実は、自慢じゃないけど力と運動神経が周りよりズバ抜けている。だから、昔から喧嘩は強かった。
「この変人!なんで動くのよ!」
「動かないと殴られるし。そっちの人数が多いから余裕だろ。」
この言葉で、更に怒り出した女子達がヒステリーを起こす。同じ女だけど、これはないわ。男子達も暴言をたくさん吐き出した。
「女なのによぉ、喧嘩してるとか意味わかんねー」
「それな!口調も男っぽいし、それで女子とかありえねーわ」
「自分は女子ですぅ〜って言いたい系?もしかしてオカマ?」
「それは傑作だわ!お前天才か?」
男子達がケラケラ笑っている。今まで変だ言われてきた理由が分かった。女なのに、男みたいだから。だが、それはどうでもいい。頭に血が登って、今にも怒りが爆発しそうだ。周りの奴らのクスクスと笑っている声が聞こえてくる。
……今すぐ、全員殴ってやりたい。チャラい男子達に殴ろうとして拳を振りかざした。
「変じゃないよ。」
突然、聞いたことのない凛とした男子の声が後ろから聞こえてきた。びっくりして殴る寸前で拳を止めた。後ろを振りかえると、芸能人にいそうな顔立ちのいい男子が立っていた。嫌な笑い声に包まれていた教室に静寂が訪れた。そして、その静寂を男子達が破った。
「はぁ?こんな男っぽいやつのどこが変じゃないんだ?」
「そ、それな!水原君もこんな変なやつのどこが変じゃないの!?」
「みんながよく言う、秋村さんの個性だし、今どき男らしい女らしいなんて関係ないでしょ?それに、ズボンは今年から女子も履いていいことになったの知らない?あと、今のは完全にいじめだから、ちゃんと心から秋村さんに謝れよ。」
水原というやつが少し睨むと、みんな謝り出した。謝られても、やったことは変わらないし許すつもりもない。チャラい女子達と男子達は渋々誤っていたけど、どうでもいい。
ふと、時計を見るともうすぐチャイムが鳴る時間になっていたので、席についた。しばらくしたら、チャイムがなったので、チャラい女子達と男子達は慌てて座っていた。
昼休み、校庭の隅にある木陰で弁当を食べ終わってゆっくりしていると、水原が来た。
「いたいた。秋村さん昼休みになるとすぐいなくなって見つけるのに時間がかかったよ。」
「何のよう?」
「秋村さんと話がしたくて。隣座っていい?」
「構わない。」
水原が隣に座ると、購買で買ったらしきメロンパンを食べ始めた。少ししてから水原は質問しだした。
「秋村さんって……名前なんていうの?」
「夏月。秋村夏月。」
「へえ。名前は秋と夏が入っているんだ。」
「まぁ、その影響で夏と秋は好きだけど。」
なんだか、答えっぱなしなのは嫌だ。腹が立つ。私も質問仕返した。
「じゃあ、お前の名前は?」
「水原瑛人。」
瑛人って言うのか、こいつ。ふと、気になったことを質問した。
「何で私のことかばったんだ?そしたら、お前にも被害が及ぶかもしれないだろ?」
瑛人は何言ってるの、と言いたげな顔をしたあと、こう話出した。
「男、女……関係ないでしょ?自分の好きなこと。あと、いじめられているのに見捨てられなかったし。」
「いじめられているつもりはないけど。」
「でも、あそこで止めておかなかったら夏月さん殴ってたでしょ。」
図星をつかれてぐうの音も出ない。
「夏月でいい。さん付けだと方苦しいし……。」
「じゃあ、これから夏月って呼ぶね。あと、俺のことも瑛人って呼んで。」
「お……え、瑛人」
満足そうに頷くと、満面の笑みで、
「それでいいよ。その方がいい。これからよろしくね!」
と瑛人が言った。
……こんなこと初めてだ。今までは、変だ変だ言われてきたのに。とても、嬉しかった。顔が熱い。風邪でも引いたのだろうか。
今年はいい一年間になりそう。
春の日差しが私達を見守るように包みこんでいた。
『それでいい』
そう言われるのが嫌だった。
たぶんそれを妥協されているような気持ちになったからだろう。
お前ならそのくらいだ、暗にそう言われているようで素直に受け取れたことはない。
こんなに頑張ったのにと主張するつもりはけれどない。
悪気がないのはわかっているし、なんならこっちを認めているつもりなのもわかってたから。
それでもなんだか、言われることが嫌だった。
こういうとき『普通』なら泣くんだろうか。
見下ろしてる姿を見つめながらそう感じている自分がひどく冷淡に思えた。
別れの言葉をと言われても、なにを言えばいいのかなんてわからない。
そうしてる間にも時間はなくなっていっているのはわかってる。
それでも泣くでもなくすがるでもなく、ただ見つめているだけだった。
大切な人だと思っているなら、もっとこう、あるんじゃないのか。
そう『普通』と思うものと比べようとするのをやめろと何度も言われていたけれど、こんなときまで変えられない。
それどころじゃないのに、自分がどんどん嫌になる。
そのとき、もう開かないと思っていた目がこちらを見て口を動かした。
「 」
ここでもまたその言葉。
なにをしても、しなくてもお前はお前だ。
ああ、わかってる、わかってるんだよそんなこと。
土壇場まで世話をかけるなんて、情けない。
そう思った時、自然と口が父さんと相手を呼んでいたけど、その先に何を言えばいいのか、やっぱりわからないままだった。
私だけを見て。
それでいい。
他の人は見ないで。
置いていかないで。
睡蓮が枯れて、寒風が吹きおろし、桜の蕾が膨らむ
再生の春、柔らかい印象だが、草花は猛々しく伸び、動物は繁殖に勤しむ
例に漏れず人間も、自然界の時計が体内にある
空を見て、、春のまどろみに溶け込んでその存在が薄まっていけばいいのに
無常の世に儚さを求めるが、世を俯瞰する気力などなくその一部として輪郭を溶かしながら時の清流に消えて行く
それでいい
諦めとか妥協とか、全部引っくるめてハハ、という声になって消えた。カラカラと開いた扉の奥から「もう閉店だぞー」という声がして、金色の頭が顔を出す「って、なんだお前か。どうした、こんな時間に」烏養は私を見てそのままレジまで降りてきた「ごめん、お店終わってんのに」「それはいいけどよ、まあ座れ」きっと何か察してくれた烏養が店の椅子に腰掛ける。「いいか」とタバコを取り出すので、小さく頷く。カチ、とライターの音と葉が燃えるチリ、という音だけが店中にこだまする「浮気されてた」ああ、もう涙は枯れたと思っていたのに、言葉にすると溢れてくる。零れてしまわないように息を止めたのに、パタパタと大粒の雨が降る。目に止まるのは自分の薬指に光る約束の証、世界で1番幸せだったのに「相手の子、妊娠してるの」烏養はどんな顔をしてるんだろう、止まらない涙を見られたくなくて、顔を上げられない「別れよう、だって。申し訳ない、だって」ロボットみたいに、あたえられた言葉だったみたいにツラツラと話せるのに、息ができないくらい苦しくなっていく「えーほんと、だっさいんだけどー」ほらまた笑えてくる。烏養は黙ったまま、鼻を掠めるタバコの匂いが妙にホッとする「まだあんだろ」俯いた頭がグッと押し込まれ、わしゃわしゃとかき混ぜられる。堰を切ったように溢れ始める、全部全部全部「おーし、泣け泣け、全部吐き出せ」
もう未練なんてないと思っていたのに、そんな顔をするな。今度はお前を攫う覚悟ができてしまう。でも今は。
それでいい
『それでいい』
それでいいよりも
それがいいの方がいいのかもしれないけれど
あなたの将来に関して
私は何かを言える立場じゃないから
あなたの決めた道を応援するよ。
あなたと一緒の大学がいいけれど
あなたの行きたい大学でいいと思う。
それがいいよりも
それでいい。
ある森には、怪物と呼ばれる生き物がいた。
彼はその名の通り、醜く、誰もが見れば震えあがるような見た目をしていた。
だが、そんな見た目とは裏腹に、彼の心は清らかなもので、慈愛に満ちたものであった。
しかし、そんな、見た目と心の相反などを人は知るはずもなく、皆、醜い恐ろしい彼を罵り、虐げ、恐れた。
人々に恐れられている怪物は、自身の醜さを痛いほどにわかっていた。
そして、そんな醜い自分が美しいものに触れることが出来ないことも同じ程理解していた。
だから、森の中で小さな少女と出会った時、彼は慌てふためいた。
恐ろしい自分の姿を彼女がみてしまえば泣いて収集のつかないこととなると思ったからだ。
姿を隠して逃げてしまうことも一瞬頭をよぎったが、動揺してしまっていても、迷い込んだような姿の少女を森の中で一人きりにしてしまうのも気が引けて、どうしようかと暫く悩みこんでいたら目の前の少女は口を開いた。
「お兄さん、なんでこんなところにいるの?」
その疑問にはかつて自分を恐れた人たちのような恐怖は滲んでおらず、ただただ純粋な疑問の意思しか込められていなかった。
驚いた彼は、思わず彼女に話しかけてしまった。
「僕が怖くないの、、?」
少女はまた迷わず言った。
「なんで怖いの??」
人として扱われることは久しかった。
生まれた時から奇異な見た目をしていたせいで、親からは化け物と呼ばれ、道を歩けばこっちによるなと恐れられてどこからか石を投げつけられた。
「僕の姿気持ち悪いでしょう?」
そんな経験もあって、彼は目の前の少女が不思議でならなかった。
自分でも醜い見た目であることは自覚している。身内にすらこの容姿は忌避された。であるからこそ、少女の純真無垢な瞳が初めて見るもので、初めて向けられるもので、彼は混乱したのだ。
「見た目は怖いかもしれないけど、わたしと同じ人じゃない。何も怖くないわ。」
見た目に似つかないような、少しませた喋りをする彼女であったが、彼はそんな言葉に人生で初めて救われたような心地がした。
それからというもの、なぜだか少女は彼と仲良くしたがり、迷い込んだはずのその地に足繁く通うようになった。
村の人間に見捨てられた彼は、畑などを自力で揃えて、自給自足で生活をしていた。そのため、彼女の遊び場としては適している場所でもあったのだ。
二人は良き友人として数ヶ月ともに幸せな時間を過ごした。
だが、そんな安寧も一瞬にして壊されることとなった。
村人が、怪物が少女を誑かし、家に招き入れてよからぬ事をしようとしていると算段をつけ、少女を救うために、彼を襲ったのだ。
硬い木の床に頭を押し付けられ、大きな身体に数人の男がのしかかり息ができず、朦朧とした意識の中で彼は思った。
やはり、少女と出逢わなければ良かったと。
自分が襲われたことで優しい彼女は自分のせいだと罪を背負うと彼は考えていた。
だから、彼は叫んだ。
自分は少女を食おうとしていたと。
もう少しで上手くいったはずなのにお前らが台無しにしたと叫んだ。
そうすると、彼に襲いかかる男たちの手は容赦のないものとなった。
残虐な場面を少女に見せることはしまいと、彼女は別の村人に抱えられ、去っていた。
それでいいと思った。
自分は変わらず化け物で、怪物のままで彼女がまた平穏な暮らしに戻ればそれでいいと。
薄れる意識の中、怪物と呼ばれたひとりの青年は自分に言い聞かせるようそう思い続けた。
自分は怪物のままで、綺麗なものには触れずに汚さない方がいいと。
仕方ない。これが僕の人生だと割り切った。
でも、それでも、村人に抱えられていく彼女が去り際、こちらを見て苦しそうに泣き、僕の名前を叫び呼んだあの顔は、悲しいことに、どうにも、忘れられそうにないのだった。
―――怪物の正体
お題【それでいい】
自分が思うがままに行動する
それでいい
周りにとらわれることなく行動する
簡単そうで難しい
これができたら最高だ
それでいい、なんて何様なんだろう
自分は人にあまり言われたくないな。
自分はこんなひねくれてていいのか?
それでいいのか。
ところがどっこい。
拳が、一発、とんできた。
今にも君に背を向ける、その良い角度で殴られた。
思ってないだろ、それ、だって?
台詞が嘘くさいだって?
脳筋め。
そんなの殴る前に言え!!
「それでいい」
何かしようかな、なんて公園のブランコを漕いでたら偶然演奏者くんを見かけた。
ピアノからは少し離れているから、あまりこっちの方までは来ないんだろうと予想してたから少し驚いた。
彼は公園から道を1本挟んだ団地の端に生えている色とりどりの花にそっと触れたり、眺めたりしている。
なんだかとってものどかで、ボクに向ける表情とはまるっきり違う。
別に違和感はない。
というか、ボクに対してあんな態度とってきた方がよっぽど面食らう。
例えば、彼に「演奏者くん、こんな所で奇遇だね?」なんて声をかけたとする。
いつもなら彼は「⋯⋯なんだい、邪魔者」とか「僕に話しかけてくるなんてどんな心境の変化だい?」なんて聞いてくる。
ところが今日に限って「ああ、権力者。いい天気だね」とか「きみに会えるかなと思ってこっちに来たんだ」とか言ってきたら。
⋯⋯⋯⋯なんか気持ち悪いな。
この世界に来た迷い子とかにはそういう態度を取ってるのを見たことがある。彼は迷い子をみんな外の世界に返してあげたいタイプだから、印象もなるだけ優しくなるように気をつけている、みたいに見える。
それと同じ態度をされたら。うん、なんか気持ち悪い。
ボクは彼の唯一の敵にならなきゃいけない。
だからそのためにボクは彼と仲良くなってはいけない。
ボクはブランコを漕ぐのをやめて、公園を出たところで彼に向かって声をかけた。
「やぁ、演奏者くん。ピアノを弾いてないなんて珍しいね?」
いつものように距離が近いわけじゃない。道を1本挟んでいる彼の心情を空気として読み取ることはできない。もしも心穏やかそうな彼から、バカみたいに明るい声が返ってきたら。
彼は振り向きもせずに答えた。
「なんだい、どこに居たって僕の勝手だろう」
ああ、良かった。いつもの彼だ。
それでいいんだよ、それで。
『お前は彼女つくんねーの?』
……まあ、肝心の相手にその気が全くないからな。
作ろうにも作れないよ。
「今のままの関係が好きだからいいかな」
そう、今のままの関係、それでいい。
それがいい。
明日は彼の誕生日。
おめでとうって
メッセージ送る勇気はないけれど
そっと心の中でお祝いするね。
いつかもう一度、おめでとうって伝えられる日が
くればいいな。
それでいい
何となく…だけど…こんな何気ない日常が、幸せに感じるから…私の隣には、あなたがいて、優しい時間が過ぎている…目を見張る様な出来事は無いけれど、一緒に食べるご飯、何となく過ごす夕方のひと時、2人で見上げる星空…そんな時に、あなたの何気ない仕草に、ドキドキしてしまう一瞬…穏やかな毎日が、一番の幸せだと感じている…
それでいいの。
あなたはあなたのままで。
いてくれてありがとうね。
毎日頑張って生きているあなたに
幸せが訪れますように。
他人と意見が違う
考え方が違う
自分は間違っているんだろうか。
いや、それでいい。
それでいい。それでいいんだ。
同性愛者だからって、
性同一障害だからって、
障害があったって、
なんにも悪くない。
それでいいんだ。
自分は自分らしく生きればいい。