『それでいい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ぼくにとってきみという男は絶対なんだ。美醜も善悪もきみ次第。「自分がないやつだな」と顔をしかめる人がいるのも事実だが、それは間違った認識だ。きみはぼくの確固たる意志の下でのみ絶対的な存在となり得るのだから。
「ねえ、見て」
昼下がりの美術室にきみと二人。美術部員たちために設けられたロッカーを物色していたきみが一冊のスケッチブックを手にこちらに駆け寄って来る。表情にも声音にも一つも邪気がなかった。この部屋のすべてがきみのものであるかのように思えた。
「悪趣味だと思わない?」
そう言いながらきみが差し出すスケッチブックにはきみの横顔が繊細なタッチで描かれていた。美しい絵だった。
「きみのファンなんだよ、きっと」
「“にわか”ファンだね」
目の前に転がっていた絵の具の束に手を伸ばすきみ。君が選んだのは赤色だった。
「あんまりいい気分じゃないや」
無垢さを保ったまま、きみの横顔に赤色を塗りたくり始めたきみ。ぼくは黙ってただじいっとその光景を眺めていた。持ち主のことを思うといたたまれない気持ちになるけれど、きみが気に入らないのならしょうがない。
「悪いことしたかな」
「別にいいんじゃない?それで」
健気な美術部員には同情するけれど、きみにとって好ましくない人間ならば、それはほもうぼくにとって尊重の対象ではないのだ。
"それでいい"
昼過ぎ、春物の靴を買いに来た。
既に選んで会計を済ませたらしい飛彩が歩いてくる。
「まだ悩んでいるのか?」
「ん……」
正直、サイズがある物ならどれでもいい。だがこの棚にある靴全て、サイズがある。
もういっそ指差しで選ぶか。どれにしようかな神様の……。
「これはどうだ?いつも履いている物と似たデザインで良いと思うが」
真ん中の段の、俺の右側に鎮座していた靴を手に取って提案してくる。
確かに今履いている靴と似たデザインで、履きやすそうだ。それに、近くに置いてある靴達と比べて軽そうでもある。
「じゃあそれで」
しゃがんで飛彩が手に取った靴と同じ番号の、自身に合うサイズが記された箱を手に取って立ち上がる。
「……本当にそれでいいのか」
訝しげな顔を向けて聞いてきた。
「どういう意味だ」
「そのままの意味だ。貴方はこだわりとか、重要視する所とか無いのか」
「ねぇ。『これがいいな』って選んでも、サイズが無きゃ意味ねぇだろ」
「確かにそうか」
俺の言葉に頷きながら、小さく呟く。
足のサイズと身長は比例している。
身長が平均より高いので、見本としてディスプレイされている物はまず小さくて合わない。
なので、気になるデザインの物を見つけてもすぐには手に取らず、棚の下に積まれている箱から合うサイズの物を探さなければならない。
だが、平均より大きなサイズは無い場合が多く、 探す手間がとてもかかる。
だから、こだわりなど無い方がいい。
「この棚にある靴は全部サイズがある。だから迷ってたんだよ」
そこにお前が提案してきた、と続けると、少し俯かせていた顔を上げてこちらを向き、俺が手に持っている箱を一瞥する。
「なら、本当にこれでいいんだな?」
「あぁ」
お前が選んでくれた物だし、とギリギリ聞こえていないであろう声量で言うと、ここで待ってろ、とレジへ向かい会計を済ませ、靴が入った袋を片手に戻る。
「……では、帰ろう」
「だな。他にこれといった用事はねぇし」
緩慢な動きで店の外に出て、ゆっくりと街の中を歩いた。
海の音が聞こえる 貝殻 から
話し声が聞こえてきたのは数日前の事
昨日、勇気を出して話し掛けてみた。
どうやら、あちらは戦争が起きているらしい。
この不思議な貝殻を巡って…
姫と呼ばれる君は貝殻を持って必死に逃げていたが
ついに今日捕まってしまったようだ
民の命と引き換えに貝殻を要求されているが
貝殻を渡しても君の命と民の命どちらも助からない事を君は知っている…
「それでいい…」最後に聞こえたのは男の重い声
『それでいい』 2024.04.04
「それでいい」
「あー、うん。それでいいよ。」
「いや、それでいいんじゃないの?」
「それでいいから、早くして。」
そんな事言わないでよ。
「それでいい」
じゃなくて
「それがいい」
こっちの方が、意志をちゃんと表してくれている気がして、私は嬉しいな。
まあ、場合とかによるけどね。
それでいい。
それでいいと
言ってたのは
過去の出来事。
今は
それがいいと
手を伸ばそう。
毎日が幸せになる為に。
『それでいい』#1
朝になる。目が覚める。ふかふかした広いベッドではない。硬い、まではいかないけれど狭いベッドで目覚める。朝食はパン。高いジャムを使う訳でも、テーブルにたくさんのご馳走が並ぶわけでもない。
食器も綺麗な柄なんてついていない。いつも使う鏡だってシンプル。
でも君と狭いベッドでくっついて寝るのが好きだし、質素でも2人で楽しく朝食を食べるのが好きだし、鏡を見ながら寝癖を直し合うのも好きだ。
別に高い物でも、綺麗な物を使ってるわけでもないけどそれでいい。それがいい。君が価値のある物にしてくれるから。
#佐橋と鷹宮 (BL)
Side:Aoi Sahashi
「なぁなぁ、もしいつかオレに彼女ができたらどうする?」
「もしそうなったら、お前を裏切り者として呪ってやろうかな」
「え〜、何じゃそりゃ〜!」
「冗談だってば」
放課後、僕はいつものように親友と軽口を叩き合っていた。
僕らは最初は恋愛に興味は無い者同士で意気投合していたのだけれど、最近の彼は彼女欲しい側への寝返りを匂わせ始めた。
そして僕の気持ちも…変わり始めている。
「ねぇ」
「ん?」
恋愛対象がどちらなのか、もしくはどれでもないのかは今の時代何もおかしいことではない。
そうだと分かっていても、本当の気持ちを伝えるのは怖いものだ。最悪の場合、親友を失うことになるかもしれないから。
「…ごめん、やっぱり何でもない」
「何だよ〜、もったいぶらずに教えろって〜!」
嗚呼、いっそ言ってしまえたらいいのに。それでも当たって砕けろ精神になれない僕は臆病者だろうか。
そして明日も明後日も、きっと僕は彼のいい''親友''のままでいる。
…今はまだ、それでいいのかもしれない。
【お題:それでいい】
◾︎今回のおはなしに出てきた人◾︎
・鷹宮 颯人 (たかみや はやと) 攻め 高1
・佐橋 碧生 (さはし あおい) 受け 高1
痛みがなくなればもう少しマシな答えも出せただろう。などとこの期に及んで言い訳をしている。それでいい、それでいいとお前は私を抱きしめる。これが私の悲しみである。慈しみである。愛と呼び変えることが可能ならそれでいい。こうして何も掬わないのだから。私の言葉だよ。お前がいるなら私はもう充分だ。それでいい。この痛みに換えてまで、充ちなくてもいい。
【それでいい】
それでいい
それでいいんだ
まだ生きたいって思って
治療を続けたって多くてもあと半年で散る命で
未来に希望がなくても
それでいいんだ
君が生きたいと思えたこと
君が生まれてきてくれたこと
私と出会ったこと
君を好きになったこと
そのすべてが奇跡なんだから
「それでいい」
私が私であること。
何を基準に私を判別しているのか。
この世の中はわからないことだらけ。
分からないままでも進んでいくしか道は無い。
それでいい。このまま先へ。ずっと先へ。
「じゃあね、隆彦。また来るから」
ーーーもう来なくていいよ。
去っていく真梨の背中を見つめながら、心の中で呟く。
今日で35回目。
真梨はいつも遠いところから毎月俺に会いにきてくれる。
来月来たら36回目。
俺が死んでからちょうど3年だ。
もういいんじゃないか、真梨。
俺が事故で死んだのは、真梨が俺を外に誘ったせいじゃない。
そういう運命だっただけなんだ。
誰も悪くなかったんだよ。
ーーー大事な彼女だった真梨の横に他の男が立つのは今でも嫌だ。
それでも、真梨が俺の墓の前であんな表情を浮かべ続けるくらいなら、それでいい。
俺を忘れてもいいし、俺に会いに来なくてもいいから、また前みたいに笑っていてくれないだろうか。
真梨がここに来なくなるまで、俺は墓石とともにこの場所にいようと思う。
真梨の気持ちを受け止めるために。
そして、会う度に同じ言葉を紡ごう。
真梨はもう自分を責めなくていい。
幸せになってくれていいんだ。
俺のことは忘れて。
もうここには来なくていい。
きっとそれでいい。
それでいいんだ。
そうじゃなきゃ、いけないんだ。
テーマ『それでいい』
1回でも浮気をしてしまうと
相手も今しているんじゃないかって
疑ってしまうね
疑えるような立場に居ないことは分かっていても
何も信じられなくなる
自分が悪い
それでいい
それでいい
貴方は私から離れてしまった
それでいい
今よりいい女になるキッカケになってくれたから
私の選択は間違ってたか、もっと追えばよかったか
間違ってなんかない、追わなくてもよかった
いい加減ハッキリさせなきゃいけなかったから
追ってしまえば、きっと縋ってるかのようで自分で自分の首を締める行為になってしまっていたから
その時の選択が最もいい選択だったんだ
後悔なんかしなくていい
それでいい、それでよかった
気持ちに踏ん切りがついたことでもっといい男に出会えるチャンスができたんだから
嬉しく思います
もうすぐ始まる新しい環境での生活。期待もあるけれど、不安もある。むしろ、不安の方が強いくらいだ。正直、自分でも自信がある訳では無いから。
でも、それでいい。自分は自分のままで。少しづつでも進めていれば、それでいい。一歩に満たなくても、半歩でも、半歩に満たなくても。それでも、本当に少しでもいい。それでも、前に進めているのなら、それで、いい。
そうやって、少しづつでも進んだその先でいつか振り返った時、きっと見えている景色が今とは違っているから。
何が自分の手の中に残るかなんて分からない。もしかしたら、何も残らないかもしれないけれど、それでもいい。手の中に何も残っていなくても、きっと心の中には何かが残るから。
そうやって、自分を少しづつ肯定して、生きていく。
それでいい。そのまま自分の思うがままに進んでいけばいい。
テーマ:それでいい
それでいい(意味がわかると怖い話?)
あるところに1人の男性がいた
男の周りの人間は彼の言うことに肯定的だった
「それでいい」「大丈夫」と
だが、ある時から周りの人間が、ひとり、またふたり、さんにん、と失踪して行った
ついに、さいごのひとりが失踪した
そして目が覚めた時には誰もいなくっていた
さて、本当に怖いのは目に見えないものかそれとも…
私には普通ということがわからない。人よりズレているのか、それらは果たして名称がつけられるものなのか、不安と葛藤を抱えたまま、子供のまま社会にお邪魔した。介護施設にて4日程経つ。何をどこから覚えるべきか、私には全くわからないし、何がわからないのかわからないという状況は、強ち珍しくもないだろう。人に頼り求めるか、文学の世界で正解を探すか、自分なりに考え抜いてみるか、全て実行するにしてもなにからすべきかわからない。しかし、今はそれでいい。見たものを思い出せるようにメモを取り、やり方を教えていただいたことは確実に覚えていく。そうすることで少しずつ、普通の人に近づけるかもしれないから。
それでいいんだよ。
君はなにも偽らなくても
僕はすきだから、
2024/4/4 「それでいい」
「それでいい」
自己受容を勉強してるけど…
感情があるから振り回される。色んなことに。
事実としてあればいいだけ
感情を切り離して考えれば苦しくない。
そして、あなたはそのままでいい。
それでいい。
そのまま、そのままで、嫌でも成長するんだから。
嫌な感情は、天気でいう雨と一緒。
当たり前な感情。それを認めて、薄れていくのを待ったり、相談したり、ノートに書いたり。
当たり前な感情は事実として自分の中で許してあげる。
ただそれでいい。
「怒ってますよ」野人吠えるもむなし聖人アントニオ「おまえはそれでいいや」
自分の選択した道を悔やみ続ける。
他人に対して劣等感を抱き続ける。
迫り来る試練に対し焦燥感で胸がいっぱいになる。
そう、それでいい。
人を下に見たら、自分というものはなくなるから。
人より上に立ってしまうと、自分を過剰評価してしまうから。
だから、全てが決まるあの日までは、
自己評価は低いままでいい。
‥なんて、強がったって、ただ辛いだけだ。
私は、ただの凡人にすぎないのだろう。
今までの栄光なんて、盾にすらならない。