『さよならを言う前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
題:さよならを言う前に
「ねぇ、ほんとにもうさよならなの?」
『うん。』
「さようならって言う前にさ、なんかやっと来たいこととかしたい事とかないわけ?」
『あー、
さよならを言う前に
洗濯物を干しておきたい
さよならを言う前に
洗い物をしておきたい
さよならを言う前に
限定コスメを買っておきたい
さよならを言う前に
ディズニーランドに行っておきたい
さよならを言う前に…』
「あのさ、まだあるの?」
『うん。まだあるよ、たくさん』
「そっかぁ。じゃ、さよならはまた今度ね」
『え?』
「こっち見て」
『ん?』
「【また明日】」
『……うん。【また明日】』
「さよなら」
その言葉を聞いた瞬間、頭に浮かんだ言葉は
「違うだろ」だった
浮かんだと同時に叫んでいた。
驚いた顔をしていたけれど最後は笑って
「そうだね」と言った
そして、あなたは━━━。
【さよならを言う前に】
#1 妄想家
さよならを言う前に
彼がここを去ると言ったのは、あまりにも突然のことだった。いつも通り彼と遊んで、たまにはちょっと冒険して。そんな普通がずっと続くと思っていた。
「じゃあ、そろそろ……」
そう切り出した彼の表情は、相変わらずわからなかった。真っ白いのっぺらぼうの仮面をして、自分の事を何も悟らせない人だった。私は彼の手を握る。
「待って。少しだけ、もう少しだけ、話してちゃダメ?」
胸が詰まって、言葉が詰まる。楽しかった、とかありがとう、とかの月並みな言葉しか出てこなかった。
それでも優しく頷いて、彼は耳を傾けてくれた。
こんなに別れが惜しくなるなんて、思いもしなかった。一緒に過ごしたのはたったのひと月なのに。
とうとう言葉が出てこなくなって、手を握ったまま俯いていると、
「大丈夫。そんなに心配しなくても約束するよ。俺は帰ってくる。いつかの春、またここを訪れる。」
「本当に……?」
私はとうとう泣き出してしまっていた。彼は私を安心させるように、手を握り返してくれた。
手を離して、彼を見送る。
「それじゃ、さよなら。また会おう。」
「うん、さようなら……!」
さよならを言う前に気づいた恋は、ひどく苦しいものだった。それでいい。もう少しだけ、この気持ちを背負っていたい。
卒業式の後、少しでいいので時間もらえますか?
って聞いたらあなたは笑顔でOKしてくれたよね。
私が伝えたいこと絶対に分かってないでしょ。
ねぇ、私のことどう思ってるの?
恋愛対象ではないことだけは分かってる。
あなたに恋人がいるのかは分からないまま。
恋人がいるのならまだ諦められたかもしれない。
私の気持ちを伝えないまま終わるのは嫌だ。
あなたに引かれるかもしれないのは分かってる。
それでもいいの。
あなたのことを諦めようと思って
いろいろ努力したんだよ?
彼氏を作ったり、
あなたの悪いところを頑張って探してみたり。
でもダメだった。
だから決めたの。
もう会うこともなくなるし、自分の気持ちを
整理するためにも、卒業式に告白しようって。
伝えたいことはたくさんある。
でもね、伝えきるには時間が足りない。
今まで本当にありがとうございました。
私はずっと先生のことが大好きでした。
迷惑かもしれないけど、絶対伝えたかったんです。
さようなら。
それを伝えるだけで私は精一杯だった。
あなたの前では最後まで笑顔でいたかったら。
あなたの前を去ってから、
涙が枯れるんじゃないかってぐらい泣いた。
同性で、あなたは先生で私は生徒で。
絶対叶わないって分かってても、
私は諦められなかった。
先生、世界で1番大好きです。
#さよならを言う前に
君にさよならを言う前に
心の準備がいくつも必要だった
一緒に歌を歌ったこと
並んで歩いたこと
何気ない話で時間が過ぎていったこと
いつでも思い出して寂しさを誤魔化せるように
言いたくない、さよならはまだしたくない
それでも君は去っていく
だから後悔しないように
精一杯の笑顔で、さよならを君に
(さよならを言う前に)
さよならを言う前に
してた約束、全部やってから…
って、本当は言いたかった
その約束全部はたしたら、さよならはせずに済んだから
ひとつだけ言わせておくれ
さよならは終わりではない
明日に繋がるのだ
#さよならを言う前に
わたしの夢は、マークスとタピオカを飲みに行くこと。
え?もうちょいあるだろって?やだ、わたしにはこれでいいの。
(だってわたしは、一週間後に起きる大事件、平和ボケしてるアクシーとの戦いで死ぬから。)
「…マー、クス…」
わたしが視た未来の通りの末。わたしは震えながらでも声を絞り出した。
「タピオカ…、いっしょ、に…のみっ」
パンッ
彼女が撃たれた。鋭い音が鳴った。俺は棒立ちしたまんま。
早くしないと、動かなければ、と思考が急いだ。
眼の前の俺を睨む男。
俺は思考するのをやめた。
狼らしく、人間らしく。
「うああ"あああ!!」
_2023.8.20「さよならを言う前に」
お前を殺す。
さよならを言う前に
少年と村のお狐様のお話。
「僕ね、余命があと一ヶ月なんだ」
「は‥?」
僕が笑ってそう言えば目の前の彼は心底信じられないような顔をしていた。そよ風が僕らの間を通り抜け落ちた葉っぱを乗せて彼方遠くまで吹いていった。
去年の夏休みの間、僕は母の実家に泊まりに行った。何度か行ったことはあるが、都会暮らしの自分にとって田舎は世界観がガラリと変わり、見慣れないものばかりでワクワクしていた。そこの近くの人気のない神社で僕と彼は出会った。
月のように綺麗な長い髪に、それに似合うフワフワの耳と尻尾。澄んだ海の瞳を持つその人はとても美しかった。
彼はこの町を守る"お狐様"らしくずっとこの神社から離れていないのだそう。確かに人間とは思えないくらいの綺麗な顔立ちで、思わずぼんやりと見惚れてしまうほどだ。
僕は暇な時はその神社に行って彼と話していた。彼は最初警戒していたが、次第に心を開いてくれて一週間もすればすっかり仲良くなった。
夏休みが終わる頃、東京に帰る前に僕は例の神社に向かう。僕が帰らなくちゃいけないと言うと、彼は驚いたような顔をしていた。そしてすぐに悲しそうな表情を浮かべた。
「そうか‥」
視線をずらして言う彼に僕は心が苦しくなった。
「でも、来年の夏! ここに来るから!! また君に会いに行くよ!」
だから、一人じゃないよ。僕がそう言うと彼は目を見開きクスリと笑った。
「お前はいつも元気だなぁ。いつか、本当に遠くに行くんじゃないかと心配になるよ」
「そんな事ないよ! 僕ね、大人になったら此処に住もうと思って考えてるんだ。そしたら、いつでも会えるでしょ?」
「そうかそうか。それは頼もしいな。クフフ‥約束だぞ?」
「うん、約束!」
◇
目の前に居る痩せ細った人間は俺の顔を見て力のない笑みを見せた。一年前に出会った時とは全く違い、あの朗らかな雰囲気が今ではススキのように欠けてしまっている。
余命が一ヶ月?
最初、彼の言っている意味が分からず困惑してしまった。すると彼は「あのね」と小さな声を漏らした。
「帰ったあと、体調が悪くなっちゃってね。‥‥‥最初は風邪を拗らせたのかなって思ったんだけど一向に治らなくて。それで病院に行ったら、不治の病だったんだって」
「‥‥」
「不思議なんだよね。あと、一ヶ月で死ぬって言うのにどうしてこんなにピンピンしてるのかなって。それで思ったの」
一拍置いて彼は言った。
「きっと君との最後のお別れの時間を神様が残してくれたんだって」
あぁ、嘘だ。嘘だろう?
嘘だと言ってくれよ。
どうして、彼がこんな目に‥!
「泣かないで‥。でも、ごめんね。ずっと一緒にいるって、もう君を一人にしないって約束したのに‥‥」
ゲホッゲホッ。
彼が激しく咳き込み始める。
元気だなんて嘘じゃないか。
彼を怒ってやりたい気持ちと心配が重なり言葉に詰まる。俺はどうする事も出来ず、ただ、彼の細い背中を優しく摩る。前までは程よい肉付きの体格だったのが今では別人へと痩せ、華奢とは言えないくらい寂しい背中だ。
「‥‥ありがとう。君は、優しいね」
「なぁ、ナツカ。俺を一人にしないでくれ‥。俺は、お前を失ったら、一体どうしたら‥‥」
彼—ナツカは「ふふ」と微かに微笑んだ。
「でも心配しないで。君は一人じゃないよ。僕のお婆ちゃんや近所のおじさんとか言ってたよ。君のこと。『この町には、心優しいお狐様が見守ってるんだよ』って。僕、その話を聞いてこの神社に来たの。そしたら、君に会えた」
「ナツカ‥‥」
「僕は君に会えて良かったよ。短い間だったけれど、もっと早く君に会えてたら良かったのにな‥‥」
オレンジ色の空がナツカを照らす。日が暮れ、鴉の鳴き声が響き渡る。茶色く透き通ったナツカの髪の毛は橙色に染まりかけ不意にも綺麗だと思ってしまった。ナツカはふわりと笑った。
「君は‥いつ見ても美しいね。夕焼けに見る君は更に綺麗だなぁ」
「‥‥‥」
「いつか、生まれ変わったら会いに行くね。必ず‥絶対‥」
そう言ってナツカは俺の髪を優しく撫でた。
保証のない約束をしても意味がないと言うのに、俺はどうしてここまでになっても信じようとするのだろう。
でも、確かにあったのは、
信じたかったと言う最後の願いだけだった。
「じゃあ、また、明日来るね」
「あぁ。此処ら辺は夏でも夜は冷える、暖かくして寝ろよ」
「うん。君が言うならそうだね。じゃあ」
「さようなら」
ナツカはそう言ってゆっくり神社の階段を降りていく。俺は彼の背中が小さくなるまで後ろから見ていた。
「さようなら‥‥。ナツカ」
また明日、会おうな。
でも、この夏が終わってしまえば。
そしていつか、本当の本当に—————。
題.さよならを言う前に
君に遺していく物のことを
少しだけ、考えてしまった。
そろそろ時間切れになる
悲しまないで
さよならを言った瞬間
君の中から
僕の記憶はなくなる
大丈夫
悲しみは続かない
僕は忘れないよ
楽しかった時間を
〜さよならを言う前に〜
1秒間に1億回?数億回?
詳しく覚えてないけれど
それくらいの凄まじさで
パラレルを移動しているのが
現実と呼ばれているこの世界
すぐ隣に
別のパラレルがあるのを
感じ取っている
目の前の人も
1秒前のその人とは別人
さよならの前に、ありがとうを伝えたい。あなたに出会えてよかった。ありがとう。
『さよならを言う前に』
バタバタッ!!
病室の廊下を走る音が響く
ガラッ!!
女性は勢いよく病室のドアを開ける
「おじいちゃん!」
彼女は息を切らしながらも祖父の名前を呼んだ
彼女の祖父は数年前からがんにかかっており、余命宣告もされていた。
つい先程病院の方から連絡があり、会社を飛び出して向かった
「おじいちゃん!」
すると祖父が口を開いた。
『わしももう長くはない。だから聞いてくれ』
「うん。なに?」
『わしのパソコンを風呂に沈めといてくれ…
ばあさんに見つかってはいけないのがあるんじゃ…』
「うん?わかったよ」
彼女は涙ながら祖父の手をぎゅっと握りしめていた。
そうして祖父は天国へと旅立ったのであった
作 有栖川
#さよならを言う前に
最後の一本
あなたと同じ銘柄のタバコに火をつける
煙を吐き出し、火元を見つめる
風で進むタバコの火が好きだと言った私の言葉に
線香花火のような感性で楽しんでいるんだねとあなたは言った
花火大会で始まった運命の恋
非現実的な夜空の彩りは、私たちの恋を後押しした
永遠と信じた恋だった
いつの時も、永遠はすり減り、いつの間にか一瞬となっている
打ち上げ花火は、線香花火となり、小さな玉がパチン、パチンと火花を散らしていた
長く伸びたタバコの灰を灰皿に落とすと、火元から折れ、ジュッと音を立てて消えた
同時に、心の中の線香花火の玉がポトンと落ちた
空の箱を握り潰し、あなたのもとへ向かう
人生で一番大きく美しい大輪の花は、音だけ残し溶けて消えていった
毎日書いて今日で200日になりました
日常では話題に上らない思いのあれこれ
突然の別れをいくつも経験し
もっと話したかったと悔やむことばかり
言葉にならないまま最期は一筋の煙となるけれど
いつか来る さよならを言う日より前に
どう感じどう考えてきたのか
書いてみようと思わせてくれた場所でした
今後は「読んで♡をそっと送る習慣」として
みなさまの作品を楽しみにしつつ
たまに書きます
いつも読んで下さりありがとうございました
「さよならを言う前に」
#200
引越しの前日。
悲しげに海辺に座る私と、
隣で何も言わず海を眺める私の好きな人。
キミともう会えない、話せない。
だったら今してやった方が後悔も残らず
君のもとから離れられるのだろうか。
そんなことを考えてたら、いつの間にか体が動いて
さよならを言う前に、言ってしまう前に。
「……ねぇ」
私はキミに口付けた。
「…さよなら」
またひとつ、私の胸に傷が増える。
『さよならを言う前に』
「さよなら」って日常ではあまり言わないし聞かない。
会社から帰る時には「お疲れ様です」
お客さんとの会議が終わった時には「ありがとうございました」
帰省した実家から帰る時には「ばいばーい」
最近聞いた「さよなら」は、おかあさんといっしょのコンサートが閉幕するときの、うたのおねえさん、おにいさん、他出演者一同が手を振りながらの「さようなら〜」
二度と会えなくてもなんら支障はないけど、会えたらいいねっていう場面でしか「さよなら」って使わないのかな。
知らんけど。
#「さよなら」を言う前に
デタラメばかりの言葉を並べ
あなたをうんざりさせて
最後にキスしてとねだるの
そうすると決めていた
さよならを言う前に
さよならを言う前に、
ありがとうと言えたなら、
その出会いは無駄ではなかったと
思えるだろう。
「大好きだよ…また来世で…」
そう言って、静かに眠る君にキスをした。
#さよならを言う前に
#2