#さよならを言う前に
最後の一本
あなたと同じ銘柄のタバコに火をつける
煙を吐き出し、火元を見つめる
風で進むタバコの火が好きだと言った私の言葉に
線香花火のような感性で楽しんでいるんだねとあなたは言った
花火大会で始まった運命の恋
非現実的な夜空の彩りは、私たちの恋を後押しした
永遠と信じた恋だった
いつの時も、永遠はすり減り、いつの間にか一瞬となっている
打ち上げ花火は、線香花火となり、小さな玉がパチン、パチンと火花を散らしていた
長く伸びたタバコの灰を灰皿に落とすと、火元から折れ、ジュッと音を立てて消えた
同時に、心の中の線香花火の玉がポトンと落ちた
空の箱を握り潰し、あなたのもとへ向かう
人生で一番大きく美しい大輪の花は、音だけ残し溶けて消えていった
8/20/2023, 10:27:29 AM