『さよならを言う前に』
バタバタッ!!
病室の廊下を走る音が響く
ガラッ!!
女性は勢いよく病室のドアを開ける
「おじいちゃん!」
彼女は息を切らしながらも祖父の名前を呼んだ
彼女の祖父は数年前からがんにかかっており、余命宣告もされていた。
つい先程病院の方から連絡があり、会社を飛び出して向かった
「おじいちゃん!」
すると祖父が口を開いた。
『わしももう長くはない。だから聞いてくれ』
「うん。なに?」
『わしのパソコンを風呂に沈めといてくれ…
ばあさんに見つかってはいけないのがあるんじゃ…』
「うん?わかったよ」
彼女は涙ながら祖父の手をぎゅっと握りしめていた。
そうして祖父は天国へと旅立ったのであった
作 有栖川
8/20/2023, 10:27:54 AM