『これからも、ずっと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたの言葉を、私はまだ憶えているの。
静かに腰を下ろした電車の座席。朝焼けの色がやけに朱く視界に映る。その光景はまるで夕焼けの様にも見える。ただ、日の居場所が違うだけ。淡い日の光に薬指をかざすと、指輪の縁が小さな星の様に、白く輝いた。
やがて扉が閉まり、私を乗せて電車は動き出す。中々返信の来ない携帯を触るのは気が引けて、窓の外を窺った。私を乗せた電車は進んでいるというのに、空は動かない。じっと、ただ立ち止まってそこにいる。まるで、夜を待っているかのように。私は、指輪にそっと手を触れた。あの人と私を繋ぐ、確かな形が指を通して伝わってくる。あと、一年。地平線の向こうのあの人を想って、片方の手のひらで包み込む。縁に彫られた二人のイニシャルに、指を這わせて。
アナウンスが車両内に響き渡る。いつもの駅に着いたようだ。まだ目が覚めない太陽の代わりに、白い月が空に昇っていた。夜の時の様な輝きも持たない、ただの白い岩の塊。けれど、違う様で、同じ月な事に変わりはない。不意に、あの人の笑顔が脳裏にちらついた。あの人と私の形も、学生の時とは変わったのだろう。だけど、変わらないものだって、私達の間には存在する。その事に気づかせてくれたのは、他でもないあの人の言葉だった。髪もボサボサで、ちっとも格好なんてついていなかったけれど。でも、来てくれた。逢って、私がずっと欲しかった言葉を私にくれた。互いの想いが、漸く通じ合った。その時の私は、世界で一番幸福だったに違いない。空っぽだった私の心は、確かにその言葉で満たされたのだから。
随分と長く待たされたけれど、これからその空白をゆっくりと埋めていこう。顔にかかった後れ毛を、耳に掛ける。地平線の向こうの小さな星の持ち主に、笑みを一つ残して歩き出した。
これからも変わる事のない、たった一つの想いを胸に抱いて。
これからも、ずっと桜は咲き続ける。
桜って儚いようで実は図太くて
満開の期間は短いけど、絶対1年後にはまた咲きはじめる
それを日本人は初めて見たかのように
綺麗だねと声をあげる
全部桜の思惑通りなのかも知れません
でも
それもそれで良い
桜を眺めていた
亡き曽祖父が植えた見事な一本桜を
ある年は
まだ若かった両親や幼かった兄妹と
ある年は
共に青春を謳歌した旧友と
ある年は
永遠を誓って去っていった元恋人と
そして今年は
いつの間にか大きくなった息子と
まだ小さな娘と
桜はまた一つ年輪を重ねて
私たちを見守るように満開になった
三色団子を嬉しそうに頬張る子供たちと
散ってゆく花びらを眺めながら
この幸せな時が止まれば良いのにと願う
𓏸︎︎︎︎𓈒 𓂃ずっとこのまま
これからも今までと変わらずに君といつまでも一緒に
いられると思っていたのに。
君はどうしてそんなにも早く先に行ってしまったんだろう。
私を置いて。
「でも、『これからも、ずっと』なんて、約束は出来ない」
私の告白を承諾したあと、彼はそう言った。メガネの奥から揺らぎもしない瞳で真っ直ぐ私を
見つめながら。
「今、僕は神田さんのことは悪しからず思ってる。正直告白されて嬉しい……と思う。でも知らないことばっかりだ。知っていく中で手放したくないくらい好きになるかもしれないし、逆に許せないくらい嫌いになるかもしれない。それは君の方も同じだ。僕を好きだと言ってくれるのは、今だけかもしれない。お互いに変わっていくものだから、『ずっと』なんて約束は僕には出来ないよ」
随分と慎重に予防線を張る彼を、面倒くさい人だなと思った。結婚や駆け落ちを頼んだわけじゃない。ただ交際を申し込んだだけで、永遠を誓ってほしいなんて私も思っていない。けれど、惚れた弱みと言うべきかそんなところも好きだなんて舞い上がって、深く考えずに答えた。
「それでも、今の米原くんが受けてもいいと思ってくれるなら、私は構わない。お付き合い、してくれますか?」
米原くんと出会ったのは、大学の教養の授業。全然違う学部なのに、なぜかどの講義でもいて、自然と顔を覚えてしまった。専門と関係ない先生の話を熱心に書きとめながら聴いているところが、なんだか目についた。
風邪で講義を休んだ翌週、初めて彼と話した。いつもいるのにいなかったから、と言って、私の分のノートのコピーをぶっきらぼうに渡してくれた。
それから、先生よりも彼を見ている時間の方が長い日があることに気づいた。
年次が上がれば専門が違う彼とは会う機会もなくなってしまう。そう焦って、期末の試験のあとに呼び止めた。付き合ってくれませんかって。
大学の近くのカフェでお茶をしたり、図書館に行ったり、たったそれだけのことが、彼と一緒だと大切な思い出になった。
好奇心旺盛な彼は見かけによらずアウトドアもドライブもミュージアムもコンサートもなんでも楽しめる人だった。私の好きなことにも付き合ってくれるし、彼の好きなことは新鮮で面白かった。飽きっぽいだけだよ、なんて彼はそう言うけれど。
「今日はまだ、僕のこと好き?」
時々彼はそう尋ねた。
「好きだよ。裕太くんは?」
「……うん。好きだよ」
あの告白の日から何年が経っただろう。あの頃のように舞い上がった気持ちはなくなったけど、彼の隣は穏やかで心地よくて、離れがたい場所になっていた。
後輩の企画を一緒に仕上げていたら、待ち合わせより30分遅れてしまった。けれど彼はいつもの店のいつもの席で待っていて、いつも通り優しかった。
けれど、食事が落ち着いた頃に切り出された言葉は、全然いつも通りではなかった。
「歩美さん、僕とこれからも一緒にいてくれませんか」
彼の手の中に収まる小さなリングケースは空っぽだった。サイズやデザインを私に任せてくれるということか。つくづく彼らしい慎重さだ。
メガネの奥の彼の瞳は熱っぽく揺れていて、じっと結ばれて返事を待つ唇は震えている。
「裕太くん」
「はい」
「『これからも、ずっと』とは、私には約束は出来ない」
彼は目を見開く。
「一緒に暮らしたことがないから、沢山合わないことや許せないことが出てくるだろうし、まだ知らない互いの家族ともきっと、上手くやれない時もある。貴方は朝が弱くて綺麗好きで、私は早起きだけど片付けが苦手だし、ほかにもたぶん、毎日信じられないことばかりだと思うんだ。子どもとか、仕事とか、一人で決められないことが増えていったら、また合わないことが沢山あるんだろうな」
私はあの時の彼以上に、思いつく限りの予防線を張る。じっと唇を結んだまま、彼は聞いていた。
「それでも、一緒にいたいと思う『今日』を積み重ねてくれますか?」
目一杯懸念を並べて、最後にそう答えた。質問に質問で返してしまったや。
「努力します」
「ふふっ。勿論って言ってくれないところが、貴方らしいなあ」
『詰替えシャンプー
この前買ったの、忘れてたー!
まーた買っちゃった!
…まあ、
どうせすぐ無くなるし?
別にいいか。
洗面台のとこに置いとこ』
…という現象。
去年も今年も、
きっと来年も
これからも、
ずっと。
今年も池の鯉が孵化した
毎年毎年鯉は孵化する
その鯉は動きが素早くすぐに石垣に
身を隠す
だがじっとしていると素早く泳ぎだす
これからもずっと元気に
泳いでほしい
これからも、ずっと
ある日、わたしは人間の家族に引き取られた。
最初はとても緊張したけど、彼らが優しく接してくれたから、すぐに懐いた。
そんなある日、彼らが言った言葉で不安を感じた。
「これからも、ずっと。いっしょにいるよ」と。
わたしは人間が何を意図して言っていたのかが分からない。彼らが“ずっといっしょにいる”って言うからには、わたしはずっといっしょにいなくてはいけないのかな?もしそれが辛くなってしまった時にはどうしたらいいんだろう…そう思っていた。
そんな時、彼らがわたしを大切にしてくれることに気が付いた。いつもエサを用意してくれたり、病院に連れて行ってくれて。彼らが言った「ずっと一緒にいる」という言葉は、わたしに安心感を与える言葉だったんだ。
だから、彼らの言葉を信じようと決めた。これからも、ずっとここにいて、彼らと一緒に過ごす時間を大切にしようと思った。そして、彼らがわたしを愛してくれる限り、わたしは君たち人間を愛し続けることができるんだ。
ニャ。
これからも、ずっと
なんだっけ、誰から言われたんだっけ
言われた時は嬉しかった気がする
でも、思い出せない
忘れてしまったのだろうか
そんな気も、しない
最初から言われていないのかもしれない
これからも、ずっと
叶わなかった願いなのだろうか
あまりにも当たり前のように言われたから
覚えていない、だけかもしれない
これからどうしよう?
もう居場所なんてない
そう思ってた。
だけどキミだけは違った
「ありがとう。居場所を残しといてくれて」
この言葉にキミは笑って
「おかえり」
そう言ってくれた。
嬉しかった。
キミもみんなと同じように
僕のことをいないように扱うのかと思ってたから
もしキミがこれからも、ずっと
そばにいてくれるなら
今みたいに「おかえり」って言って
待ってて欲しい
─────『これからも、ずっと』
これからも、ずっと
小学生の頃、友達になった子は大人になっても
この関係でいられると思った。
私のせいで、友達は離れてしまった。
現在友達は二桁いかないし、5人もいない。
たったの、3人。
友達が少なくても幸せだって証明できた。
私のことを全て受け入れた友達、ありがとう。
#これからも、ずっと
夜桜を見に行こう
毎年の恒例
一年に一度だけ、あなたを自然に誘える口実
桜の木の下のベンチに腰かける
見頃を終え、残り少ない花びらにライトが当たる
雨が降り始め、そろそろタイムオーバー
あなたと一緒にいられる時間はもう終わり
もう、思いを伝えるタイミングを逃してしまったな
涙がこぼれないように見上げると、花びらが一枚ほほに触れた。
雨も少し強まり。ライトが切れた。
頬の花びらをつまみ、見つめる。
「また、来年だね」
立ち上がろうとした私の頬に触れるあなたの手のひら。
見つめる私に近づくあなたの優しい唇。
切なさから嬉しさに変わった涙は、雨と一緒に流れ落ちた。
変わらない
変わってくれる
それとも代わりに
でも。このままでも
これからも、ずっと
あなたと過ごす日常が
わたしの中であたりまえになって
あなたの中でもあたりまえになって
だけど
そのあたりまえに甘えるでなく
特別なものなのだと
大切にしたい
これからも、ずっと
『これからも、ずっと』
「ね、ねぇ」
どこか気恥ずかしそうに聞いてくる彼女にどうしたのかと聞いてみる。
「あのね…まだ私、貴方の傍にいても良いんだよね?」
何を今更、彼女と出会ってもう5年目だと言うのに…まだそんな事聞いてくるんだと僕は彼女に笑いかけてから『当たり前だろ、僕はこれからもずっと一緒にいたいって思ってたんだけど?』と言った。
すると彼女はパァッと顔をさっきよりも明るくして。
「本当に?嬉しい!」
と頬を赤らめて言ってきた。
この顔が僕は好きだ。
これからもずっと、守っていこうと思った。
4月6日
公園に居たら同じクラスだった同級生にあった
少し喋った事があるやつだったけど
なんかぎこちなかった
自分も少しぎこちなかったと思う
一言喋って
あいつはそのまま自転車に乗って通り過ぎて行った
小学校もそうだったけどなんか卒業した途端ぎこちなくなるんだよな
つい最近まで話してたのに
なんか、学校だけとか塾だけとかの繋がりなんだけど
本当にそれだけの関係なのかと毎回分からせられる
まぁ、もう入学式だし
そこで友達作ればなんてこと無いんだけど
『少しだけ永遠』
膝小僧擦りむいて 強めの風が頬を撫でまわす
永い坂道で少し疲れたんだ キッチンでお茶を淹れるよ そこに君がいて君たちもいる そんな当たり前のことが奇跡だなんてね 笑い合ってお茶をこぼした
このままずっとなんてわがままかな? 少しだけ永遠なんて言葉を頼りにして また次の朝を待っている
これからもずっと、自分らしくいるために、惑わされた日々を大切にしまおう。
朝。
ふと目が覚める。時計を見れば5時半を指していた。
自慢では無いが目覚めはいい方だ。特に仕事が朝早い時ほど起床時間より早く起きる。一応アラームはセットするが、朝ごはんを食べている時に止めることの方が多い。
それでも今日は特に用事もない休日。早起きする必要などない。
でも早起きは三文の徳という。ならしっかりと徳を貰おうではないか。
そうして隣で寝ている君を見る。ベットで一緒に寝ていたが共有していたブランケットはすでに君だけのものみたいだ。早く起きたのは意外と君のせいなのかもしれない。
「なら仕方ないなぁ。」
思わずつぶやいてしまうが特に気にしてはいない。夜行性で朝が苦手な君はちょっとやそっとじゃ起きやしない。なんなら起こそうとしても起きてくれない。だから朝だけは好きにできる。
そして僕は後ろからゆっくりと抱きしめる。いつもは恥ずかしがる君も今は大人しく腕の中で眠っている。
なんて幸せなんだろうか。少しの肌寒さも君の体温で癒され安堵に変わる。そうなれば休日特有の眠気もやってくるものでして、
「やっぱ寝るか。」
そうして君の寝息を子守唄にして二度寝する僕。
でも知ってるよ。
本当は君が起きていて、朝だけは僕を甘えさせてくれていることも。
それでも恥ずかしいから目も合わせないことも。
気づいてない振りをしてあげるから、
これからも、ずっと。
一緒がいいな。
『これからも、ずっと』
目を開けて何時もの天井にリュウガは安心しそして腕に感じる重みにさらに安心する。
『朝から幸せ過ぎるな~』
リュウガははにかみながら起こさないように少し体をずらして腕の上で眠っている魂魄妖夢の頭を優しく撫でる。撫でる度に幸福に満たされる自分に
『いつまでもこうしていたいな』
と言うと
「ダメですよ」
と言われてリュウガは驚いた。すると腕の上で眠っていると思っていた妖夢が目を開けていた。
「おはよう。リュウガ」
『…おはようって何時から?』
「撫で始めた時ですよ」
妖夢は体を起こして寝巻きの乱れを直していた。その時リュウガは妖夢の首筋に残る赤い跡見てそこに指で触れて
『夕べはお楽しみでしたね』
とからかいながら言うと妖夢はちょっと考えてすぐに顔が真っ赤になって傍らに置いていた楼観剣を握り
ヒュン❗とリュウガが眠っていた場所に振り落とされた。
リュウガは瞬時に飛び退いてた。
『おいおい。昨日結婚してすぐに未亡人になるつもりか?』
「リュウガなら避けると分かっていますから…悔しいけど」
『悪かったよ。今日は俺が朝飯作るから幽々子様起こしてこいよ』
「分かりました。あと後で鍛練にも付き合って下さいよ」
『夜の?』
と言った瞬間に妖夢の楼観剣がまたリュウガに振り落とされた。リュウガは避けながら
いつまでも妖夢とずっと幸せでいたいなと
終わり