『きらめき』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたの姿が光ってみえる。
きらきら、きらきら。
ああ、もうお別れの時間なんだな。
ここには時計がなく、再会の時間をゆったりと過ごせるを代わりに、召喚霊魂の降臨可能時間が残り10分になると、霊魂の輪郭は少しずつ輝きだす。そして最後には光の粒になって消滅し、元の世界へ戻ってしまう。
今日、日頃の善行で積んだ徳すべてを神様へ渡して、私はあなたとの再会を願い出た。長年の思いは叶ったけれど、やっぱり、ちっとも足りやしない。いっそ私もあなたと同じ世界へ飛んでいってしまいたい。
けれど、それだけは、地獄へは堕ちて来てくれるなとあなたが最後に告げた言葉がまだ私を繋ぎとめている限りは、叶わない願いなのだ。
触れ合えない手と手、お互いの両の手のひらをぴたりと重ねて残された時間を慈しむ。
さようなら。
きらきらと消えていくあなた。
いつか、また、あいましょう。
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きらめき
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所感:
徳を捨てたってことは。
ああ、今日は彼の誕生日だった。
そう気がついたのは二十三時三十分のことだった。
一年に一度のこの日を忘れて今日を終えようとしていたのは、彼と出会ってから初めてのことだ。
出会ってからも別れてからも。彼の誕生日を忘れたことはなかった。きっと彼は私の誕生日なんてとっくの昔に忘れて、三六五日の中の一日として過ごしているだろう。
今さら彼のことを考えて悲しくなったり切なくなったり、しない。ましてや、会いたいなんて思っていない。いや、もしばったりと街中で会って向こうが声をかけて来たら、それはそれで嫌な気持ちはしないかもしれない。
だけど彼はそんなことはしないだろう。少し考えただけで、それは確信できるし、少しでもそんなシチュエーションを頭に思い浮かべただけで、自分に対する裏切りのような気がする。
彼は出会った時からきらきらと眩しくて、輝いていた。好奇心の溢れるその瞳にみつめられると全部見透かされているようだった。
私は彼に夢中になって、精一杯背伸びをして彼に釣り合う自分でいたいと思っていたけれど、いつになっても彼に見せたい自分と本当の自分の溝が埋まらなくて、ただ辛いばかりだった。
彼がどんな私を求めていたのかなんて、今になっても分からない。臆病な私はなにも確かめられなかったから。
彼と離れてから自分で自分を宥めすかして、甘やかして、慈しんで、ようやくここまで辿り着いた。
次の誕生日には忘れてこの一日を過ごして、そしてそのうちに気にも留めなくなるだろう。
それでも、彼と過ごした時間の少しはきらめく思い出として胸の中に残るかもしれない。
それも、悪くはない気がする。
きらめき
#44 きらめき
[明滅]
一つ一つの命の輝き。
花の如く、咲き誇り、瞬く間に散ってゆく。
一瞬一瞬の光の煌めき。
それは一生懸命に命を燃やした魂か。
これでもかと苦労して
報われることなく散った数多の魂か。
今私たちがここに在るのは、
報われることなく散った幾多の魂の御蔭。
限りある命。
感謝して、大切に使わせて頂く。
紺色の夜空に流れる星を見つけ、駆けだした。
もっと速く。あの星に追いつけるほどに疾く。
けれどもどんなに速く走ろうと、星は遠く離れていき。瞬きのままに消え失せた。
限界を迎えた手足が動くのを止め、その場に崩れ落ちる。
荒い息を整えながら、仰向けになり見上げた空は、どこまでも遠い。
もう何度繰り返したのだろうか。届くはずのない星を追いかける、この意味のない行為を。
十を超え、百を超えて。もう千すら超えただろうか。もう分からない。
届かない。今までも、これからも。それこそ永遠に届かなくなってしまった。
本当は諦めてしまうべきだと知っている。星を見ないように目を閉じてしまうのは簡単で。けれど追いかける事を止めてしまうのはとても恐かった。
星がまた一つ流れて行く。
あともう一度。もう一度だけ追いかけたら、今度こそ終わりにしよう。
ゆっくりと体を起こし、星を探す。燦めく無数の星が、今は何故かぼやけて見えた。
星が流れる。
それを追いかけようとして。けれど流れて行く先が、自分の方だと気づいて足を止める。
近づいてくる。自分には追いつけなかった、風のような、光のような疾さで星が向かってくる。
強い白の光に目を灼かれ、思わず閉じる。
赤に染まる暗闇の中、ずっと追いかけていた声が聞こえた。
「もしもし。聞こえてないかもしれないけれど、ひとつ言っておきたいから勝手に言うわ」
淡々とした声音。どんな時も冷静に状況を判断していた常に前を行く頼もしい背を思う。
振り返る事のない、油断していればすぐに見えなくなってしまう、流星のように燦めき先へ行く彼女の背はいつだって自分の憧れであり、目標だった。
「私はこれからも進み続けるわ。あなたがいなくても、一人きりになっても立ち止まったりはしない。それが私だから。だからこれでさようなら」
一方的な言葉は、いかにも彼女らしい。
くすり、と笑みを溢し、ゆっくりと目を開けた。
白の世界の遙か遠くに、追いかけ続けた彼女の背。最後まで振り返る事がないのだなと思うと、寂しさよりも安堵に似た気持ちがこみ上げ、そっとその背に向けて呟いた。
「うん。どこまでも先に進んで行って。誰よりも憧れた、燦めく星のようなあなたでいてね。次があるとしたら、きっとまた追いかけるから。だから今はさようなら」
別れを口にして、そして初めて自分から彼女に対して背を向けた。
白の世界から離れていき、元の紺色の夜の世界まで歩いていく。久しぶりにゆっくりと歩いたような気がして、なんだかとても不思議な感覚だった。
道の先、小さな少女に目を止めて。
お迎えを待たせていたなと、少しだけ小走りになる。
「ごめんなさい。待たせてしまった」
「いいの…もう、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
小首を傾げて問われた言葉に、苦笑して答える。
もうだいぶ待たせてしまっていたのに、文句ではなく心配の言葉なのが申し訳ない。
差し出された手に、手を重ね。導かれるままに歩き出す。
「追いつきたかったな」
不意に、ぽつりと溢れた本音。
立ち止まりこちらを見上げる少女に、なんでもないと首を振った。
「ごめん。大丈夫だから。ただやっぱり追いつけなかったのは少し悔しくて」
「悔しい?」
「悔しい。だから次に行く」
たとえその先で会えなくても構わない。
このまま進む事の出来ないこの場所で、追いつけない星を追いかけるよりはずっといいから。
彼女は先に進むのだと、立ち止まる事はしないと言ったのだから。
だからちゃんと前に進まなければ。
「行こう。悔しさも憧れも全部、ここに置いていくから。大丈夫、ちゃんと一人で進めるから」
もうこんな所で迷わない。そう笑って告げれば、少女は頷いて手を引き歩き始める。
今度は止まらない。空を見上げて星を探す事もない。
進むために邪魔なものは捨てていける。
少女に手を引かれる先。その暗闇は、どこか優しくて。
終わりとはこんなにも穏やかなのかと、初めて知る夜の暖かさに目を細めた。
20240905 『きらめき』
「君は本当の夜空を見たことがあるかい?」
そう聞かれたのは私が大学2年生の頃、教授の展望台のお手伝いに来た時だった。
「そりゃ見たことありますよ。誰でも。」
至極当然の文字を貼り付けたような顔でそう返した。すると教授が悪戯っぽい笑みを浮かべながら「本当かな」と言いながら望遠鏡の席を私に貸してくれた。
私は天文学ではなく地学が専攻だったので星については少し齧った程度で実際に望遠鏡で天体観測をするのは初めてだった。
のぞいた時私は望遠鏡ではなく万華鏡を誤って見たしまったと勘違いしてしまったくらいその景色は美しかった。
一等星や二等星など光がバラバラで色もバラバラに夜空に散りばめられている様子は宝石箱をひっくり返したようだった。
この経験から私は地学から転科届を提出して天文学を専攻するようになった。
そしてそれから数年経ち私が天文学者になると私は2年ぶりに教授に会った。
教授はあの日と何も変わらずに穏やかな笑みを浮かべていた。
「どうかな。天文学者になって」教授がそう聞いてきた。
「毎日、楽しいです」と返す。
それから数回の会話を挟んで私と教授は別れた。
今も浮かべる教授の顔はいつもあの夜空と結びついてきらめいている。
お題きらめき
ここまで読んでいただきありがとうございます。
最近不定期で申し訳ないです。
貴方のきらめきを求めて、届かないことのわかりきった空に、非力な手を伸ばしていた。おぉ神よ、愚かなわたしをおゆるしください。
No.18【きらめき】
今、きらめきを感じることができず、
お題は保留とさせてください
-きらめき-
「おい、ちょっと顔貸せ」
私が「先生の星になる」と宣言するより前の放課後。水泳部の練習の後、颯人先輩に呼び出された。
またいじめられるのではと危惧する同級生もいたが、最近は先輩の態度が軟化していたこともあって、大丈夫だと言ったら心配しつつも送り出してくれた。
2人きりになると先輩から切り出した。
「先生の様子が変だ」
単刀直入とはこのことか、と謎に感心してしまう私がいる。
「お前と何かあったのか?」
あったといえばあった。けど、どう説明したものか。
「これは聞いた話だが、先生はこの前の日曜日、どっかの美女とランチデートしてたらしい」
「えっ」
一瞬芽生えた嫉妬心。しかし、もうその資格はないことを思い出して必死に堪えた。
「俺らもうかうかしてられねぇな」
「えっと、私はもう……」
「なんだ、諦めたのか」
先輩の言葉がグサッと胸に刺さる。
「俺にとっては願ったり叶ったりだが、お前はそれでいいのか?」
「……」
いい……と言うべき。でも言えない。言いたくない。
私の沈黙を、先輩は肯定と受け取ったらしかった。
「あっそ。じゃあ先生の特別な星になるのは俺だな」
「星?」
「占いで言われたらしい。2つの星を失うが、1つの輝く星を手に入れるって。お前は失われる星ってことだな」
失われる星……。
なりたいわけはないのだ。でもこれ以上先生の重石になりたくないし、不安に耐えられるのかもわからない。
「なんで諦めたのかは聞かないが、」
「いえ、聞いてください!」
私が先輩の言葉を遮ると、先輩は驚いた表情をした。
「恋人って、お互いを安心させられる存在だと思うんです。でも私と先生が素直に愛情表現することは、世間的に許されませんよね。だから不安になるし、怖いんです。本当に幸せになれるのか、先生を幸せにできるのか。同世代の人と付き合ったほうが、先生にとって幸せなんじゃないかって考えちゃうんです」
私が夢中でまくし立てた台詞を反芻するように、先輩は視線を落として考えている様子だった。
少しして、ゆっくりと口を開いた。
「先生にとっての幸せが何なのかは、先生にしかわからない。だから俺やお前が悩むべき点じゃない。それを考えるのは先生の仕事だ」
なるほど……
「そう言われれば、そうですね」
「問題はお前の幸せとやらだが、ひとつ訊く。お前は何の不安もなくただ楽しいだけの関係が本当の幸せだと思ってるのか?」
「それは……」
「俺はそうは思わない。試練を乗り越えてこそ絆は強くなる。愛は深くなる。そう思う。不安や不満があるなら、話し合って解決する。それが恋人同士が進むべき道じゃないのか」
「……先輩って、恋人いたことあるんですか」
冷静に考えたら少し失礼な質問が出てしまったが、私の恋愛観がコペルニクス的転回を果たそうとしている時だ、許してほしい。
「どういう意味だよ! てか、それは今関係ねぇ。どうなんだ、先生と仲直りする気あんのか!?」
「はい。先輩のおかげで目が覚めました。ありがとうございました!」
私は走って帰ろうとして、数歩目で立ち止まり振り返った。
「でも先輩、もしも先生がすでに吹っ切ってたらどうすれば……」
「うっせーな、それくらい自分で考えろ!」
「えぇ〜、だってデートしてたんでしょ……やっぱり私なんか」
「てめぇ意外とネガティブ思考だな。俺は知らねーよ、ライバルの手助けなんか御免こうむるぜ」
先輩はそう言って頭の後ろで手を組み、立ち去ろうとした。その後ろ姿に向かって叫ぶ。
「だったらなんで、先生が変だなんて教えたんですか!?」
「うっせ。ただの香水の礼だ、ボケ」
先輩は今度こそ去って行った。
こうして私は、先生に恐る恐るLINEしたわけだ。この先輩がいなければ絶対に無理だった。
この日から先輩の存在が、私の中でほのかに煌めき始めたのだった。
テーマ「きらめき」
「きらめき」
空を見上げる。星々の瞬き。
街を見下ろす。摩天楼の輝き。
地平線を見つめる。太陽が夜を切り裂き、朝を赤く染める。
夢を見る。ぼんやりとした灯火。
過去を想う。思い出たちの囁き。
今を問う。この時を、私を導き、照らすものは何か。
誰かの微笑み。静かな微睡み。柔らかな勇気。
小さき虹の朝露。短き命。儚き決意。
それらは全て、きらめき。
きらめきが連なり、やがて導きとなる。
そして、未来を彩り、輝かせる。
どうか私が、あなたの穏やかなきらめきとなれますように。
「きらめき」
色んなところに「きらめき」がある。
それをそのままキレイだど見れる時と見れない時がある。
キレイだと見れる時は、そのままの気持ちでいればいい。
キレイだと見れずに、「あんなの」なんで悪態言いそうになったら、自分のことを労わってやろう。
疲れてるのかな、褒めて欲しいのかな、
「きらめき」
砂浜でシーグラスを見つけたときのような。
心のきらめきをいつも持ち続けたい。
どうも皆さんこんにちは、玲人(れいと)です。
至急教えて欲しいです。
友達が輝いて見えるのですが、何故でしょうか。
遡ること数時間前。今日はいつもの四人で集まってゲームをする約束をしていた。
いつもと変わらないと思ってた。
「わ、今回私一位だ!...玲人大丈夫?頭痛いの?」
そう言って彼女は俺の顔を覗き込んでくる。
「大丈夫...!その、ちょっとね...!」
頭を抱えていたから心配されてしまったのだろう。申し訳ない。
いつからだっただろう。彼女の周りだけキラキラしていて、目を向けるのが難しくなっていた。
(なんで...)
今、まだ彼女しか来ていない。二人とも早く来て。
「えっと、なんか悩んでる?話聞こうか?」
「だ、大丈夫!!大丈夫だよ!」
「そう...?」
そう言うと画面に顔を戻す。
(ああぁ......なんか後ろに花も見えるよ...もうキラキラしないで...!!)
「玲人」
うぅ、と心の中で唸っていると名前を呼ばれる。そろ、とそちらを向くと頭に、ぽすんと何か乗せられた。
「......?」
それはゆっくり頭を左右する。
「...えっと」
「大丈夫」
彼女はにこっと笑う。
「玲人は頑張ってるよ。何で悩んでるかわかんないけど、玲人は頑張ってる。もしよかったら、私にも相談してほしいな。大切な友達だからね」
ふわりと笑う彼女からキラキラと光が溢れている。
バクッ、と胸から変な音がした。
「......うぐ」
「え、玲人!?」
俺は眩しくて思わず目を瞑って、そのまま胸を押さえて横に転がった。
頭の上で彼女の心配している声が聞こえる。
最悪です。輝いて見えるかつ、心臓が速いまま収まりません。
誰かたすけて。
お題 「きらめき」
出演 玲人 葉瀬
きらめき
夏の晴れた日の木漏れ日の中のきらめき
風に揺れたモノクロ写真も色を付ける
煌
君は名前の通り光り輝いていて
みんなの憧れだ。
僕も思った。
こんなにも名前の通りに生きてる人を見るのは初めてだと。
でも、どんどん関わっていく中で感じたんだ。
君はそんな風に生きたいと思っていないということを。
他人に縛られるのはもうやめようよ。
光も陰も関係ない。
自分らしく生きていれば、
君が幸せでいてくれれば、
それでいいんだ。
他人の評価なんて気にしなくていい。って
僕はそう思うよ。
ーきらめき
今日のお題…
「きらめき」ってなんだっけ?
あんまり私はそんな言葉を普段使わない。
私は密かにスマホのネット検索で
『きらめき』と入力し
調べてみた。
「きらきらと光り輝くこと。また、その輝き」
と出てきた。
なんで調べたん?
わかるやろ!笑
って思った方もおられると思います。
私も検索結果を見た時に
まさに、調べたことが
少しバカバカしく思えた。
せめて他の単語を検索すれば良かった。
きっと私は「きらめき」を調べた時に
「きらきらと」っていうワードがあったから
ちょっと恥ずかしくなったんだと思う。
私は普段、例えば光り輝く何かを見た時
「キラキラしてる!」っていうタイプだから。
「これが好き」と目が輝いてたあの私
まだそこにいて 確かめたいから
貝殻は水面に浮かぶ海月じゃない
溶けない亡骸 抱えていたい
六等星の粒さえ落ちそうな夜
マンションの屋上で待ってた
#きらめき
「煌」と「燦」の違いはなんだろうと考える。
前者は燃え盛る炎がもたらす光、人知の及ばぬ繁栄というべきか。
後者もまたきらめき。こちらは鮮やかさで人を魅了する方向が強いらしい。
『星降る夜の走り書き』
きらめき
きらめき
どこかで見た一瞬のきらめきを
今も探して
星や宝石とかもきらめいて見えるけど
車の赤ライトや人の笑顔にもきらめきは現れるの
美しい貴女の心も貴女の死に顔も
きっと きらめいて見えるの 私。
きらめき
大丈夫
君の瞳は
まだ光を失っていない