『お金より大事なもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お金よりも大事なもの
君が毎朝作ってるっていう、
卵焼きが上手く巻けること。
君が言うには、卵焼きってのは「焦っちゃあいけない」ものらしい。
君が散歩中、自然とひとつになれること。
そのときくらいは、煩わしさなんてものに構わない君であったらいいと思う。
君の呼吸感をとなりに、君の"目"を知れたなら。
うん。もっといい。
君のお気に入りの、そのハンカチが、
ずっとくたびれないことだとか。
君が散々迷った末、泣く泣く諦めた品を頭に、潤ませた表情で「絶対、また来ようね」と言ったお店を、記したメモだとか。
僕が君の人生の重みを抱きつづけること。
施設の一室で、少女は虚ろに窓の外を見つめていた。
まだ小学生くらいの幼さの残る少女だ。まだ親の愛を必要とするだろうに、少女の元には月に一度、思い出したように母親が見舞いにくる程度だ。
見舞いに来たとしても、親子の間に会話はない。母親は淡々と持ち込んだ衣服などの日用品を補充、あるいは交換し、職員と義務的な会話をしてすぐに去っていく。
疎まれている程ではないが、あからさまに少女と関わることを避けている。唯一の救いは、少女はもう母親すら認識できていないことだろうか。
「可哀そうにねぇ」
口では憐みながらも、職員の多くは少女の身に起きた悲劇に興味を隠しきれてはいない。
少女の心を壊したある事件。母親が訪れる度、職員たちは心配を装いながらも事件の詳細を知ろうと声をかけている。不謹慎ではあるものの、あまりにも現実離れした出来事は、好奇心を掻き立ててしまうのだろう。
少女には姉が一人いた。
姉妹仲は良かったという。年が離れているためか、両親に代わって姉が世話を焼いていたらしい。
その姉が、半年前に亡くなった。
病気や事故ではない。少女の住む村の奥、山の中腹にある淵の底で沈んでいるのが見つかった。
全身にはきつくカーテンが巻かれ、身動きひとつ取れない状態であった。ただ不可解なのは、村の者は始め、皆口を揃えて決まりを守らなかった報いだと姉を蔑み、犯人を捜そうとしなかったことだ。
少女の姉が亡くなった夜。村では月待ちという一年の豊穣を願う古くからの風習が執り行われていた。そのためその淵の周囲には、村の大人たちが集まっていたという。
その月待ちでは、少女の姉を含む子供たちは朝まで家から一歩も出ずに過ごすらしい。その決まり事を破り外に出たため、祟られたのだと村の誰しもが言っていた。
だが、その認識は最近になり変わった。誰が流したのか、少女の姉に対し邪な思いを抱く者の仕業だという噂が囁かれるようになったからだ。
噂は大地に染み込む水のように村全体に広がり、猜疑心を育て上げる。互いを疑い、事あるごとに諍いとなって、村を出て行く者も多いようだ。
少女の母親も、数週間前に村を出ていた。しかし見舞いに訪れる頻度が変わらないのは、少女に対しても疑いを持っているからなのかもしれない。
「可愛そうにねぇ」
職員たちは囁く。悲しげに、それでいて楽しげに。
そんな言葉を少女は気にせず空を見上げ、月を待っていた。
夜の暗闇に浮かぶ白の月を、少女は無心で見つめていた。
その眉が僅かに寄る。昼間と異なり、少女の目に浮かぶのは深い悲しみと寂しさだった。
「お姉ちゃん」
かさついた唇が、愛しい人を呼ぶ。答えのない虚しさに、握り締めていた手に力が籠る。
少女の中にある最後の日の記憶は所々が抜け落ち、酷く曖昧だ。
はっきりと覚えているのは、鐘が鳴るぎりぎりに姉が帰ってきたこと。いくら麓の学校に通っていて時間がかかるとはいえ、鐘が鳴ってしまえばどんなに頼み込まれても家の鍵を開けることはできない。だからこそ安堵したと共に、姉の危機感のなさに怒ったのを覚えている。それは決まり事だからというよりも、月待ちが始まることを知らせる鐘が鳴ってしまえば、少女の意識が保っていられないことが原因だった。
鐘が鳴るのを聞いて、そして気づけば朝を迎えている。鐘の音を聞いた後、寝るまでの記憶が欠落しているのだ。今までは特に気にすることはなかったが、こうして姉を失った今は、その欠落が酷く憎らしい。
あの日、姉の側にいることができたのなら、失うこともなかったのだろうか。今も髪を梳いてくれたのだろうか。
もしも姉の手を離さなければ、月に奪われることもなかったのか。
「月……」
忌々しいとばかりに少女は月を睨みつける。
少女は知っていた。姉は月に攫われたのだと。不要な体を捨て、月と共に村を去ったのだと。
月待ちの儀によって、村の者への富を与える代わりにその身を蝕まれ続けていた月。その全てを喰らいつくされる前に、誰の手も届かない場所へ姉を連れて行ってしまった憎い月。
一人残されて、少女は恨めしい気持ちで唇を噛んだ。
「寂しい」
ぽつりと、思いが溢れ落ちる。
姉を失ってから、少女はずっと寂しかった。現実から目を背け、拒否するほどに、寂しくて苦しかった。
「お姉ちゃん」
答える声はない。それでも呼ばずにはいられない。
「寂しいよ、お姉ちゃん」
少女の頬を流れ落ちる滴が、月の光を反射し煌めいた。
「相変わらず、甘えたがりなのだから」
困ったものだと、笑う声がした。
「お姉ちゃんっ!?」
はっとして、振り返る。
だが少女の目が恋しい人の姿を捉えるより早く、誰かの胸の中へと抱き込まれた。
懐かしい匂い。優しく髪を撫でる手つき。見えずともそれが誰なのか分かり、少女はその背に腕を回してしがみついた。
「お姉ちゃん。お姉ちゃんっ」
「本当に困った子だ……いや、困ったのは両親の方か。このまま人間として生きていられるよう手を回したというのに、結局は富の方が大事という訳か」
姉が何を言っているのか、少女には理解できない。理解できなくともよかった。おそらくは少女のために何かをしてくれたのだろう。だがそれよりも姉と離れないように、少女は泣きながら必死で縋りついていた。
「他者を出し抜き、富を独占しようとする思いが根底にある故、この結末は必然であった。それは其方らの親も変わらぬ。戻れはせぬがそれを理解せず、妹御を新たな月に召し上げることを諦めてはおらぬ」
「――そうか」
知らぬ男の声。反射的に少女は抱き着く腕の力をさらに強めた。
「そんなにしがみつかなくても、どこにも行きはしないよ。ただ、そうだね。これからどうするのか、選ばなくてはいけない」
「えらぶ……?」
姉の言葉を、少女はしゃくり上げながら繰り返す。
顔は上げられなかった。今姉の顔を見てしまっては、求めるものを何一つ答えられなくなってしまうような気がしていた。
「そうだよ。ここに残るか、私たちと来るか……母さんと父さんは、お前を使って富……つまりはお金を得ようと動いている。あの二人も村の皆と同じで、富以上に大切なものはないんだ。だからここに残るのならば全く別の、お前を愛してくれる場所に連れて行くことになるが……」
「お姉ちゃんと一緒がいいっ!」
最後まで待たず、少女は叫ぶように声を上げていた。
くすりと笑う声。少女の答えを予想していたのだろう。姉は穏やかさの中に哀しみを混ぜた声音で、少女に告げる。
「私たちと来るならば、それは人間としての死を意味することになる。それでもいいの?」
「いいっ!お姉ちゃんと一緒がいいの!」
「困った子だ。目を見てくれれば、上手く誘導ができたというのに」
「其方の妹だ。一筋縄ではいかぬよ。一度決めたことを曲げぬ強さは、よく似ている」
苦笑。顔を上げるよう促され、少女は嫌々と首を振る。だがこのままでは何も変わらないと理解しているのだろう。小さく息を吐き、恐る恐る顔を上げて姉と目を合わせた。
瞬間、少女の意識が微睡み始める。姉の服を握り締めていた手の力が抜け、力なく落ちていく。
「お休み……大丈夫。心配しなくとも、一緒がいいと望まれたんだ。置いていくことはしないよ」
優しい声が聞こえた。
その言葉に安堵して、少女は深く眠りについた。
翌朝。
職員が部屋へ訪れると、そこには穏やかな顔で眠りにつく少女の姿があった。
初めて見る、幸せそうな微笑み。とても良い夢を、最後に見ていたのだろう。
慌ただしく動き回る職員に囲まれながら、少女は眠り続けている。
深く、深く。
もう二度と、覚めない夢を見続けている。
いつからか語られるようになった昔話。
とある村の住人は皆強欲で、偶然捕まえた月から光を剥ぎ取り、それを金に換えて暮らしていた。
しかしある日、一人の少女が月を連れて逃げ出した。人のままでは空を飛べぬと体を捨て去り、月と共に空へと消えていった。
残された村人は大慌て。急いで追いかけるも、すでに月と少女は天高く昇り、もう二度と届くことはない。
怒った村人は、今度は少女の妹を使って金を得ようとした。少女と妹は村の中で一等美しく、元より月の全てを金に換えたら姉妹を使おうと企んでいた。
それに困った姉は、月と共に妹を守るため策を講じることにした。
数日後、村の様相は一変する。
あちらこちらで喧騒が起き、色々なものが飛び交い壊れていく。村人たちは互いを疑い、罵り合い、そうして村は壊れていった。
不和の種は、一つの噂。
妹を連れて金を独り占めしようとする者がいるらしい。そんなちっぽけな種は、だが金より大切なものを知らなかった村人にとって何よりも脅威だった。
種は芽となり葉を広げ、蕾をつけて花を咲かせた。黒々とした欲にまみれた花は村に毒を撒き、全て狩りつくしてしまった。
こうして誰もいなくなった村で、妹は姉と月と共にいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
20260308 『お金より大事なもの』
【お金より大事なもの】
お金より大事なもの。
愛?家族?友達?恋人?
聞いた人の数だけ例は出てくるだろう。
でも、
「お金より大事なものってある?」と聞かれて、
『お金以上のもの』が思い浮かべられたのなら、
"自分が今、そういう考えになれる場所にいる"
ということを自覚して、ありがたさを噛み締めたい。
私は
「お金よりも大切なもの」という答えを探す
通学中や通働中
部活中や仕事中
毎日探す
暑い日や雨の日、雪の日でも
探す
永遠と続くメビウスのわのように
右腕が大事だった。テセウスの船を知ってる?私はどこまで私じゃなくなったら逸脱するのだろうか。
絵が好きだった。この手のひらを幸せに使って絵を描いていた。いつか思う。事故で私は絵を描けなくなったら、右腕がなくなったら、脳に異常をきたしたら、どこまで私といえるのか。私は化け物になりたい。私は絵を描きたい。でも絵を描いている人なんて星の数いてその中で太陽になるなんて一握りで………
太陽は暖かった。草原は腐るほど良い匂いがした。地面の湿った土に手を重ねるとほろほろと笑うように崩れていった。わははは、私は何がしたかったんだろうか。幸せになりたい。幸せに、なりたい。
お金より大事なもの
あの人といつもの店で洋食のハンバーグを食べる
あの人と一緒にショッピングモールに出かける
あの人とゲームをする
お金がないと全てできないこと、けれどそのお金を払ってでもあなたと一緒にいたい。
お金より大事なもの
それはもう命一択だ
命がなかったら何も始まらないからね
「お金より大切なもの」
お金より大切なものって言うと、愛とか家族とか恋人がよくあげられる。
もちろん、それらも大切だと思うけど私が最初に思い浮かぶのは平和だ。鳥が飛ぶ青い空、子供たちの笑い声が響く昼下がり、雨の音に癒される夜。そんな何でもないけど毎日穏やかに過ごせる平和な日々は、お金よりも大切で未来に残していくものなんじゃないかなって思う。
たとえ綺麗事だと言われようと、私は平和を祈り大切にしたい。
お金より大事なもの
シリーズ小説ですが過去作手直し中なのでタグ表記控えます。お題はぶっ込んでます。
今日は枯葉くん(サブ)の視点寄りで^^;
病棟の裏手にある大きな木。その太枝の上で座っていた体を横に倒しだらりと仰向けになって空でも見上げてみる。雨の日が多くなるのは嫌いだったがこの時期は寒さで視界が澄むせいか空が高く見えた。
「…くろちゃん遅いな」
どれくらいここで過ごしたのか、体勢はそのままに首だけひねり頭の上の枝先を見た。小風にも今にも飛ばされそうな枯れ葉がそこにぶらさがっている。その先の窓を見ると反射した窓に自分の姿は映らなかったが先日の並んだてるてる坊主を思い出し、嬉しさに顔がにやけた。
「随分と、嬉しそうな顔をしているな」
慣れしたんだ声と心地の良い風に「ナツヒコ」が来たのだとわかり、目線を空の方へと戻すと金の刺繍が入った薄手の布を揺らしながら鳥のように枝にふわりと降りてきた。
「狭い、体を起こせ。お前も、もう子供ではないのだから」
そう言いながら見下ろしてくる顔が何故だがおもしろく感じて思わず笑ってしまい、ナツヒコの眉間の皺がさらに深くなった。
「…古葉はまだ残っているな」
枝先の枯れ葉を目で確かめるように見たあと、そのままナツヒコは木の幹にもたれかかるように腕を組んだ。それを見て自分も体を起こし枝に座った足を小さく揺らせた。
「…しばらく来なかったね」
「つい先の祭りで、財のことしか頭に無い阿呆にしばらく付き合わされた」
口を尖らせて「楽しそう」と言うと、風が頬を撫でてきてくすぐったかった。
「…目元が腫れているな、喜んでいたのではないのか?」
ナツヒコは目を少し大きくして意外そうな顔をしていて、心配してくれているのが一目でわかった。
「…聞いてほしい話があるんだ」
笑った顔を作りたかったのに、上手くできなかった。
(後書き。)
シリーズとしての話の崩壊はとりま置いておいて、あまりの描写の下手さに今更ながら基礎勉してみたけど…変わった^^;?若葉マーク
みんなが持っているおもちゃ
あのキャラクターのプリントされた服
部活で使う道具の選手モデル
ラメの入ったペン
新しいゲームソフト
流行りのスニーカー
いちばん新しいスマートフォン
みんな知ってるアーティストのライブ
1泊2日の旅行
美味しいイタリアンレストラン
いい匂いのハンドソープ
オシャレな部屋
趣味の合うパートナー
腕時計
車
家
土地
家族
仕事
社会
肩書き
政治
生活
半額シール
いつしか始まった重ねる逢瀬。
週に一度決まった曜日、決まった時間、決まった場所できみを抱く。
なめらかな肌に指を滑らせその肌に沿ってくちびるを落としていく。
「あんたもよく飽きないねー」
変わらぬ物言いに反して頬はほんのり赤みを帯びている。
その腹部からうえへ膨らみのないその胸をたどり肩口をなぞって首筋へ。
優しくそっと口付ける。
それから耳へスライドし、くすぐったいのかちょっと嫌がる素振りをされた。
それから顎先を少し甘噛みすると軽く睨まれる。
「あんたってちょっと変態っぽいよね」
嫌そうなちょっと恥ずかしいのを誤魔化すようなその顔もいいと思う。
軽く俺の肩を押して来たその手を解いてよく喋るそのくちびるに自分のそれを近付けて少し止まる。
触れる。触れない。そんな曖昧な隙間。
お互いの熱なんてもうすでに伝わっているその距離。
そっと近付くと身を引かれる。
懲りずにまた近付こうとすると横を向かれた。
「だからキスはすんなって」
「なんで?」
「何ででも!!」
「こんなに身体を重ねているのに?」
その肩を抱きしめて目の前の髪に顔を埋める。
「…それでもそれだけはダメだ」
なんで始まったんだったっけな。
この関係。
週に一度決まった曜日、決まった時間、決まった場所できみを抱く。
そして俺はきみにお金を渡す。
俺はきみを買えるけどココロまでは買えないね。
(お金より大事なもの)
お金より大切なもの
それは、自身の命より重い
家族の命。
『お金より大切なもの』
お金より大事なもの
自分が自分で在れること――。
「こちらで、マスターがお待ちです。」
メイド服を着た無表情な少女がドアを開けた。声も無機質なために、生きているのかも怪しくなる。ツインテールの黒髪に吸い込まれそうな深い赤色の目をした少女は、まるで人形のようだっだ。
通された部屋の中に窓は無かったが明るく、オシャレな絨毯が敷いてある。高級感のある大きなテーブルを挟んで、これまた高級そうなソファが向かい合っていた。そこに俺とヴィさんは隣合って座らされる。向かい側に一人の女性が座っており、その後ろにメイドさんが待機した。
驚いた。と心の中で呟く。聞いた話で勝手に男性のシルフだと思っていたが、どうやらここのマスターは女性のシルフだったみたいだ。しかも精霊にはあまり関係無いのかもしれないが、失明している。銀の絹糸の様な美しい髪を肩に流した彼女の位は精霊族の中でも特に上位階級らしく、いかにも高貴な服を纏いそれ相応の強さを感じられた。
彼女に見惚れていると、メイドさんから何処か寒い視線を向けられたので、慌てて咳払いをする。
「俺は、『プレイヤー』のユウトと言います。こちらが、『導き人』のヴィリアーネさん。」
「ええ、存じておりますわ。」
俺の下手な自己紹介に気分を害することもなく、マスターは柔和に微笑む。だがその表情とは裏腹に声には塔のマスターらしい威厳があり、下級層を纏めるには十分そうだった。
「私はこの塔のマスターをしております、ユークリッド・アンディールと申します。この塔の危機を救って頂いた事、重ねて感謝申し上げます、ユウト様。」
マスターとメイドさんが頭を下げたので、俺は慌てて上げさせた。恩が出来てもあくまで対等に立つつもりの様だ。俺にとっても其方の方が話しやすいし、何よりもしこの話が成功して、これからも付き合っていくとすれば、俺の下に入ろうとされる方が困る。頼れる味方は、対等で強い方が良いのだ。
「有難うございます。...それで、今回の事について、謝礼は何をお望みですか?」
来た、とユウトは思わず手を握り締めた。この時のために、ここまで苦労してきたのだ。絶対に交渉を成立させなければならない。
「この塔での重役、礼金、その他出来る範囲であればユウト様のお望みのものをお出し出来ますが...。」
「なら」
少し間を置いて、出来るだけ慎重に答える。
「アイリス、という少女を、ご存知では無いでしょうか。」
その瞬間、今まで明るかった部屋が、急に暗くなった気がした。室温が下がり、空気が張り詰める。満面の笑みを浮かべるマスター、そしてメイドさんから、激しい殺気が放たれていた。
ーやばい、持ち出し方を間違えたか?ー
俺は真顔の下で内心冷や汗をかいた。ヴィさんなんか持ち前の穏やかな顔が、若干引きつっている。
だが一番俺の思考を奪ったのは、別の事実だった。メイドさんの方が、殺気の重さが大きかったのだ。つまりマスターよりも強い。しかしこの塔でマスターよりも強い精霊は居ないはずであった。ただ一人、『アイリス』を除いては。
「...何処から、それを?」
暫くして、マスターが沈黙を破る。目が笑っていない。
終わらないので、途中まで出しておきます。
題材【お金より大事なもの】より
"お金より大事なもの"
不等号数直線で表せば範囲の網にかかる宝が
『お金より大事なもの』
そんなもの
ないと思ってた
遠く離れてやっと
当たり前の尊さに
気が付いた
お金より大事なもの
自分にとって、お金より大事なものは
1人の時間…かな。
お金ももちろん大事だけれど
1人で泣いたりぼーっとする時間も必要だから。
俺の幼馴染は守銭奴である。それも、かなり重度の。
口を開けば金のこと、大事なものを問えば、1に金、2に金と答えるような奴だ。
俺はずっと、彼のことを意地の悪い男だと思っていた。
ずる賢くて、金のためならなんだってする、狐みたいな奴。
近頃じゃ危ない商売に片足を突っ込みかけているようだが、持ち前の危機察知能力からなのか深入りはしていないらしい。
そんな彼に、まさか、金を投げうってでも守りたいものがあったなんて知らなかった。察しはつくだろうが、奴にとって俺は、金より価値のあるものだったらしい。
今思えば、夜道を一人で出歩くのは、いくら男だからといって危険すぎる選択だっただろう。
頭のネジが外れた奴らの本領は、日が沈んでからだ。
人通りの少ない道、新月で街灯もない田舎で、ぽつりと一人出歩くいかにも出不精そうな若い男。
格好の餌食である。その推測は外れることなく、俺は抵抗する間もなく横付けしてきた車に引きずり込まれた。
財布と携帯は奪われ、口に猿轡を噛まされ、手足は太い縄でぐるぐる巻きにされて縛られた。お手本のような誘拐で、でも当事者となった自分にとっては恐怖以外の何物でもなかった。
俺のような陰気で誰からも気にかけられないような見た目をした人間は、いなくなってもしばらくの間気付かれず、熱心に探し回る面倒な者もいない。そう思われた。
が、予想外にいたのだ。先述の、守銭奴の幼馴染。奴が、全財産、全権力をフル活用して俺を探している、と。誘拐犯共の焦ったような囁き声が聞こえた。
面倒事になる前にさっさと俺を金にしてしまいたかったのか、俺は適当に何度か殴られて意識を落とされた後、好き者の集まる悪趣味な売買現場に運ばれた、らしい。意識がない状態だった俺は全く覚えていないが。
どうやらそこで幼馴染は、生活に支障が出ないギリギリの額だけを残して、全財産を使って俺を買い戻したらしい。意識が戻った時目の前にあった奴の顔は、珍しく泣きそうで、けれど安堵していて、笑ったような怒ったような、あるいは泣いているようなおかしな顔をしていた。
俺の殴られた傷に気が付いた彼を窘めるのは少々骨が折れたが、俺が彼に後ろから全力で張り付かれて自由を奪われるのを代償としてなんとか押さえた。
想像以上の幼馴染の執着に鳥肌が立つ一方で、あれだけ金が好きな、金が代名詞のような男の一番が自分である事実に口角が緩むのはどうしても抑えられなかった。
テーマ:お金より大事なもの
たぶん、ほとんどの問題は、お金で解決できる気がする。だからお金はある方がいい。そのほとんどの問題から外れるものは、人から得られて自分ではどうしようもないもの。
それだけは、お金では買えない。むしろお金がたくさんありすぎることで、困ったことだって起きるかもしれない。
お金より大事なもの。何をもって幸せと思うかは、人によって違う。お金なんかなくったって、この人がいれば幸せだ。こう思えることかもしれない。それが、たとえひとときの夢だったとしても、そのくらい心が動く時は、とても貴重でかけがえのないものだと思う。
「お金より大事なもの」
躓き転倒に注意する
高所作業、安全帯徹底する
ペンキ作業、目、口、等には、保護メガネ
脚立の上に立たない!