『お祭り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お祭り#69
キィ——
私に久々の来客だ。
「お祭りに行こうよ、早くしないと!」
そんなことを紗弥香は言った。
カーテンの締め切られた真っ暗な部屋に響いた好きな声。
私に対して言われたことではないように聞こえて身動きが取れずに固まったままで、手を引かれてやっと動き出せた。
まだ起き上がっていない頭で支度をして人の多い花火大会に来てしまった。
キラキラした夜を久しぶりに感じた。
お祭りというものは私にとってあまりいい思い出ではない。一年前、せっかくワンピースで待っていたのに、あの人は来なかった。既読もつかないままその日は終わった。
思い出したくなかった思い出まで思い出してしまった。
私って何も成長できてないのかな。
紗弥香には申し訳ないけどやっぱりまだお祭りとは仲良くできないかも。
また次来る時は笑顔でお祭りに来たいなと思ったり思わなかったりした。
いつもの帰り道、電柱に貼ってあるポスターがふと目に留まった。
それは近々この辺りで開かれるという祭りの宣伝ポスターで、安っぽい紙にフリー素材のイラストが散りばめてある。
思えば、アイツとは一緒に祭りに行ったことがない。単にアイツがそういった事に興味なさそうだったし、俺も…
…いや。俺がガキの頃は、祭りが大好きだった。毎年夏になると神社で開かれる祭りには必ず、ダチを誘って自転車を走らせたもんだ。
たぶん、俺は昔から日常に退屈していて、それゆえ非日常が好きだったんだ。祭りってのは、ガキの俺にはちょうどいい手頃な“非日常”だった。祭りでしか手に入らない食べ物を食べながら、見知った場所が別世界のように様変わりしているのを眺めるのが好きだった。
気付けば俺は、電柱のポスターをスマホのカメラに収めていた。帰ったらアイツを誘ってみよう、と思いながら再び帰路につき、そこで初めて気付いた。アイツの性格を考えると、素直に「行く」と言う可能性は低い。恐らく、いい歳して祭りなどに行きたがるのかと半笑いで言われるのがオチだ。何か策を講じる必要がある。
それで俺は、アイツを騙すことにした。祭りの日、何気ない風を装って「美味い洋食屋を見つけた」と言い、アイツを誘ってみた。俺が奢るなら良い、と言うもんだから、俺はもちろん了承した。騙し討ちする分、元より金は俺が出すつもりだったんだ。そうしてアイツは罠に掛かり、俺に連れられるまま、まんまと祭りのど真ん中まで連れて来られたって訳だ。
アイツは怪訝そうな目を俺に向けていたが、作戦が成功した俺にとってはもはやどうでもいい事だった。件の洋食屋がちょうど今臨時休業中なのは事前に調べた通りで、仕方ないから祭りの屋台で何か飯を買おうと提案した。アイツは俺の真意に気付いてか気付かずか、一つ頷いてから俺と共に人の流れに乗った。
適当に食べ物を買い、人気のない場所に座れそうな石段を見つけ、アイツと並んで腰掛けた。しばらく沈黙が流れたが、やがてアイツが「祭りに来たのは初めてだ」と零した。
祭りに行ったことがないなんて珍しいと思ったが、アイツの育った環境を思えば特段不思議なことでもなかった。アイツは、生まれてからこれまでずっと“非日常”を生きていた。まぁ、アイツにとってはそれが日常で、俺が生きてきたこれまでの方が、アイツにとっては“非日常”なのかもしれないが。
…きっと俺は、アイツに俺の“非日常”を教えたかったんだ。様変わりした街、独特な空気、俺の好きな特別を、殺伐としたアイツの“日常”に差し込んでみたかった。俺の“非日常”の中に、アイツを連れて来たかった。
隣でアイツが、りんご飴を一口齧った。
その顔は無表情に近かったが、どうやらりんご飴は口に合ったらしかった。
【お題:お祭り】
お祭りとはめんどくさいものだ。
祭りは1人で行くより、友達や知り合いと行く方が
楽しい。だから友達と一緒に行く。
でも苦手な友達から誘われたら断りにくい。
それこそ泣き虫な友達だったら
別の友達と行く。と行った時には泣くと思う。
そして仕方なく、祭りに行くと、
来年も一緒に行こうね!とまた誘われてしまう。
この雰囲気を壊したくないので、
うん!と心よくOKしてしまう。
その後来年になると言い訳を考える。
嫉妬深い人にこれは使えない。
来年の祭りも誘われ、バイトが入った!などの、
適当な理由を付けて一緒に行くのを回避する。
そうするとその子は別の友達と行くだろう。
その子が誘った別の子が自分の大親友だったら
友達を奪われる感覚になる。
人間関係とは難しいものだ。
些細な事ですれ違い、価値観の違いだけで
喧嘩になったりもする。。。
人間には絶対起こる事だ。
私は昨日実際にこうゆうことが起きた。
祭りの話で揉めたり、これはとてもめんどくさい。
正直言うと、友達と行くより、1人、または家族と
行く方が誰にも関わらないで済む。
人間関係はめんどくさい。
お祭りはめんどくさい。。
金魚すくいは難しい
ぽいを破かずにすくえたことがあっただろうか
上手にすくっている人もほとんど見たことがない
練習するといってもなかなかできることではない
大人になってからの夏祭り
昔を思い出して
母と懐かしんで挑戦した
案の定1匹もすくえず破れる
お金を払って大きなため息をつくなんて
母はというと
1匹2匹3匹4匹5匹6匹
ぽい破れる
7匹8匹9匹10匹…
誰!?
この達人は誰!?
母なのか!?本当に私の母なのか!?
なんという才能…
主婦にしておくにはもったいなすぎる
4回りも下の子供たちの中で輝きまくっている
最高にかっこいいよお母さん!!!
実家の池に放した金魚
今ではなんと50匹までに増えた
商売でもする気なのか!?
作品No.119【2024/07/28 テーマ:お祭り】
これがお祭りかぁ。
夜で暗いのに、提灯の明かりとか、人のざわめきとか、結構明るく感じるなぁ。それに、リンゴ飴とかたこ焼きとかおいしそうだし、ヨーヨー釣りとか金魚すくいは楽しそう!
いいなぁ。わたしも、お祭りっぽいことしたいなぁ。やっと来られたんだもん、目一杯楽しみたいよ。
でも、無理か。
わたしには、モノに触れることはできないし、そもそも、わたしを感じられる人なんてそういないだろうから。
結局、わたしには、お祭りを目一杯楽しむなんて、贅沢な願いなんだろうな。
さぁさァ寄ってらっしゃい。見てらっしゃい
今世紀最大の奇術団 今宵も不思議な世界へご案内
旦那サマも奥サマも、坊っちゃんもお嬢ちゃんも
みぃんな揃ってご招待。お代は見てのお帰りで__。
呼び込みに連られ大きな天幕を潜ればそこはもう、別世界
#お祭り
お祭り
7月になると、六月灯を思い出す…ただ、お宮参りするだけのお祭り…
踊りだの、山車だのは無くて、鳥居周辺の夜店を冷やかす簡素な夜祭り…せいぜい、行燈に絵を描いて、参道沿いに這わせた荒縄に、吊るして奉納するくらいで…
金魚掬いや、綿あめ、ひよこ釣り…何かし乍ら、夏の夜を過ごした…仲良しの女の子の浴衣姿に、ドキドキして、握りしめた百円玉が汗でしっとりしていた…
そんな、微かな遠い記憶がごちゃまぜになって、切なく甘い想いがこみ上げてくる…
お祭り
より、“お参り”です。
私が神社に行くのって。
それも、気まぐれにです。
それでも“憑き物が落ちる”は言い過ぎかもしれないけれど、“気が上がる”感じがします。
あ、お題を見てひとつ思い出したことがありました。
それは水風船のヨーヨー。
ちょっと長いゴムの先に小さな輪があって、そこに中指を通し、水風船をやんわり叩く。
すると、ちゃんと手に戻ってくる。柔らかくて少しひんやりした感触。この歳になってもまだ覚えてます。
始めはやんわり叩いてたのが、慣れてきたら、一点集中でばいんばいんしてしまうのがお決まり。
最後、しぼんでしまうまで遊んだものでした。
話は変わりますが、
私は”お祭り騒ぎ”が苦手です。お酒が入って思いきり騒げる人達を羨ましいとは思うのですが。
明るくてギラギラした数日間もいいけれど、それが終わった後の静けさとか、何事もなかったかのように、いつもの日常に戻る感じが好きなのです。
end
お祭り。
お祭りに
皆んなで行きたい。
お祭りには
友達がいるから
たこ焼きもらったなぁ。
暑くても
楽しみ。
お祭り
中学に入ったぐらいまでは好きだった
伝統的な雰囲気とか非日常な感じが楽しくって
かき氷のシロップがたくさんあって選べるのが好きで
浴衣を着せてもらったこともあった
だから毎年お祭りに行くのが楽しみでしょうがなかった
でも最近はあんまり進んで行かない
嫌いになったとか好きじゃなくなったっているより
少し辛くなってしまった
もちろん今でもあの空気感は大好きなのだけれど
行く友達もいないし
少し自分がこの空気に浮いてるように思えてしまうし
なんだか人酔いをしてしまったりで
いつの間にか楽しさより疲れが上回ってしまって
それでもやっぱりお祭り自体は好きだから
自分に余裕ができて
周りのことを気にせず楽しめるようになったら
浴衣を着て
かき氷にマンゴーシロップでもかけようと思う
皆んなからしたら楽しいお祭り
私からしたら嫌なお祭り
お祭りって結局のところ現地にいるより離れた場所で(あー祭りやってんなー)って感じるのがいい。でも、友達と午前中に遊んで昼に解散して夜にまた集まる感じも捨てがたい。それはさておき、銀河鉄道の夜のザネリがあたしゃ憎いよ。
『君とお祭りに来れてほんっとうに最高ッ!』
そういう君と私の顔には、
涙が伝っていた。
きっとそれは、さっき私のした。
告白のせいかな、?
そうだと嬉しいなぁ、、、。
だってさ?同性愛って辛いもん,。
それでさっき
怖かったけど、泣きそうだったけど、
勇気をだして告白してみたの。
そしたら怖がってた私がばっかみたいに
今隣にいる浴衣姿の私の彼女がさ、
勢いよく飛びついてきて、こう言ったの。
『私も、!』って。
その瞬間二人で大号泣、笑
周りの人の目なんか気にせず泣いたなぁ、、、。
そのくらい幸せだった。もちろん今もね?笑
このお祭りは一生の宝だ。
#『お祭り』
No.2
お祭り
妙な高揚感とともに人混みのなかを練り歩く。
はぐれないようにと手と手を繋ぎ、私は彼の隣を歩く。
じっとりと熱を帯びた互いの手は、蒸し暑い夜の空気に溶け合った。
「お祭り」
夏の暑い真夜中の街は明るく賑やかだ。
甘い匂い、焼く音、人の声、風の音
いろんな匂い、音がする。
最初から最後まで思い出を作ることが出来る。
最後には
花火の音が鳴り響いて、光が辺りを照らしている。
布団に寝転がってスマホをいじっていたら、昨日の夏祭りのことを、ふと思い出した。
慣れない浴衣を着て、脱げそうな草履の鼻緒を足の指で必死に引き止めながら、二人、境内の屋台を巡っていた。
お互い、好き勝手に目についた屋台に行って、約束した時間じゃないのに気づいたら合流してたりして。会うたびに大笑いした。
祭りのメインディッシュの打ち上げ花火。
始まる前に穴場に行くのは間に合わなかったので、仕方なく境内の隅っこで花火を眺めた。
綺麗だったな。
花火、もそうだけど、花火を眺めるアイツの横顔が。
一つ思い出すと、走馬灯のように色々よみがえってくる。
かき氷の溶けた残りを飲みほす、アイツの喉仏。
熱々のたこ焼きに息を吹き掛ける、アイツの唇。
生ぬるい風になびく、アイツの髪。
屋台の光を反射して煌めく、アイツの瞳。
屋台巡りの後、意図せず合流するたびに、たまらず吹き出した、あの顔。
視線をおろせば、いつもより露出した手足の首。
全部全部全部、綺麗だった。
ここまで思い出せるのはもう、変態かもしれない。
その全部を、自分は絶対に手に入れられないと分かっているくせに。
…初めから終わっていた恋心を急に自覚してしまって、勝手に涙が出てきた。
【お祭り】
『大丈夫だよ。』
そう言い、私の手を引く彼の手は、とても冷たかった。
「嫌だよ。死なないで。」
私が小学校に入る前、道路で死んでいる狐を見た。その姿が痛ましくて、気づいた時には泣いていた。その後、親に内緒で狐を庭まで運び、小さなお墓を作った。
「痛いの痛いの飛んでいけ。」
来世では辛くないように、幸せになれるよう願った。
あれから数年経った夏。私は地元の神社で毎年行われる、夏祭りに来ていた。人混みに嫌気が差し、少し離れた所に行こうとした時だった。周りの風景が一気に変わった。そこは何も無い暗闇だ。怖い。そんな感情よりも、懐かしいと思った。私は一度ここに来た事がある。
あれは確か、私が小学校低学年の頃だ。夏祭りに来ていた私は、一緒に居た兄とはぐれてしまい一人になった。そして今のような状況になった。暗くて、怖くて、蹲っていた私。そんな時、声がした。
『大丈夫だよ。僕についてきて。』
その声の主は、狐のお面をしている男の子だった。私は藁にすがる思いで、彼について行った。彼は私の手を強く握ってくれた。しかし、その手は冷たく、生きた人間だとは思えなかった。兄のもとに辿り着いた時には、彼の姿はなかった。
そんな思い出に老けていると、足元に何かあたった。私はその衝動のまま、地面に倒れ込んでしまった。
『大丈夫だよ。今回もちゃんと送り届けるから。』
あの頃と変わらぬ声がした。見てみると、そこには彼が居た。狐のお面していて、表情は分からないが、私を心配しているように見えた。
『怪我してるの?痛いの痛いの飛んでいけ。』
彼は優しいおまじないをかけてくれた。私は気付いた。
「もしかして、あの時の狐さん?」
『うん。僕の最後に君がくれた優しさを返しに来たよ。』
涙が溢れた。彼はずっと私を見守ってくれていたんだ。なんて優しさが溢れているのだろう。
「貴方に会いに来てもいいですか?」
私の言葉に彼は少し戸惑っているようだった。
「ここは生と死の境。生きてる者が来たら駄目だ。』
「じゃあもう会えないの?」
『年に一度。夏祭りの日に僕が会いに行くよ。』
私は笑った。まるで織姫と彦星だ。私が笑うと、君は小さく笑ったように見えた。
夏祭りで私は恋をした。そして、その恋は叶わない。それでも、願う。彼との時間が一分でも一秒でも続く事を。
金魚すくいの金魚の寿命なんて短いものだと思っていたけど、その夏に掬った朱色の和金は他のに比べて少し体が大きく、元気だった。
夏祭りの思い出なんて、ひらひらと儚かったりはらはらとすぐに溶けてしまったりするのに、ロドリゲスと名付けられたその金魚は逞しく生き続け、生命の力強さや生きようとする強い意志を、我々に教えてくれたのだった。
お祭り
提灯照らす道の中
人々の波の中にその人はいた
和服に狐の面を被った人
背が高いからきっと男の人だろう
笑顔が溢れる視界の中に
ただ1人、顔が見えない狐のお兄さん
「(あ。目が合った)」
私を見つけたその人は
人ごみをぬるりと交わしながらこちらへ歩いてきている
面の中の瞳が僅かに見えるだけで
何を考えているのか、なんて分からない
「きみ、私が視えているのかな?」
ゆっくりと首を縦に振る
この場に似合わない緊張感が走る
本能的に感じた危機
目の前の人物は人間では、ない
「なぜ1人でいるのか聞いても?」
「約束してたんだけど…急に来れないって言われて…」
「なるほど。なら我々は2人でひとりぼっちなわけだ」
笑ってみせた狐のお兄さんだけど
なぜか私には寂しそうに見えた
無意識に動いた両手は彼の面に触れる
するとゆっくり首を横に振って私の手を取った
「私の顔は醜いから」
「でも…」
「私自身、何年も顔を見ていないから、想像よりもっと醜いかもしれない」
優しく、それでもってはっきりとした拒絶
これ以上、彼を暴くのはお互いによくないかもしれない
何も触れる事ができない両手は彼によって虚しく下ろされた
「人間のお嬢さん、私はそろそろあちらへ帰るよ」
「また、会えますか…?
「忘れなさい。私のことは」
あぁ、この人はなんて矛盾しているんだろう
誰かと繋がりたくてこちらにやって来たのだろうに
自らそれを断ち切ろうとしてるなんて
本当に自分が分からないのかもしれない
「…いつの日か。私の命が果てる日に会いに来てください。私の思い出を一日中語ってあなたを楽しませてみせます」
返事は無かった
それでも彼は、小さく笑いながら、人ごみの中に溶けて消えた
祭りだ
家族、カップル、友達、仕事仲間
色んな関係の人々が
この1つの空間に集まっている
僕は1人だ
君は寂しそうだと思うかい?
意外と1人も楽しいものだよ
特に高台から見た気色は最高だ
提灯や屋台の暖かい光が、この広い空間を彩っている
賑わいからか、その彩りがさらに鮮やかに見えた
君は行かないのかって?
いいよ僕は
どうせ何か買えるわけでも遊べる訳でも無い
僕は人間の楽しそうな様子を見られるだけで
充分楽しいよ