『お気に入り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【204,お題:お気に入り】
「ねえ、その子僕のお気に入りなんだけど」
目の前を物凄い勢いでなにかが通り過ぎ
びゅおうと吹いた風が着物の袖をはためかせた
「へー、君も言うようになったものだねぇ」
ビッと互いに鋭い爪を喉元に突き付けながら凄む
1歩間違えたらこの屋敷ごと私は粉微塵にされてしまうだろう
どうか無事に事が終われと、臓物が捻切れそうな緊張感の中ひたすらそれだけ考えていた
「はっは、怖い顔するなぁ~後ろの彼女が怯えているよ?」
心の中を透かし見られた気がしてヒュッと内蔵が縮こまる
冷や汗が背を這う不快な感覚がした
「五月蝿いんだけど、早くどっか行ってくんない?」
「しっかし君がお気に入りを見つけるなんてね、新しい玩具でも欲しくなったの?」
「アンタの話を聞かない癖はいつ治るのかなぁ?...今から5秒以内に僕の視界から消えろ」
ずん、と空気が重くなる、自分にかかる重力が倍になったような気分だ
次の瞬間には乱闘が始まってもおかしくない、吐きそうな程の緊張と恐怖に目眩がした
だが、最悪な事態はギリギリ避けれたようだ
「わー怖い怖ーい、じゃ美人ちゃんまたねー!」
面倒ごとは勘弁、と思ったのか颯爽と相手は去っていった
「はぁ、マジでアイツ嫌~い」
彼はいつものとろんとした顔に戻ると、「僕えら~い!撫でて~」と子犬のように走ってきた
正直触れるどころか、同じ空間に居ることさえ憚られるほどの身分の差だが
それで機嫌を損ねてしまえばそれこそ首が飛ぶ、細心の注意を払って頭に手をやった
それにしても「お気に入り」か、彼らはとても気分屋だし根本的な解決には全くなっていないが
ほんの少し、緊張が和らいだ気がした
きれいだと思ったものは片っ端から保存する
記録に、記憶に、心に
あちこちに設えた
何を入れたかよく覚えてもいない宝箱
ふと覗き込んだ瞬間に
たくさんの「大好き」が
脳に押し寄せてくる
そんな時間も……
お気に入り
お気に入りは、いつも忘れてしまう。
お気に入りじゃない嫌なことは絶対に忘れないのに。
お気に入り
お気に入りのものはずっとずっと大切にしておきたいけれど、大切にすればするほど壊れてしまう。
私には長持ちする使い方を知らないし、大切だと思う気持ちも本当は分かっているかどうかさえ怪しい。
私のお気に入りは、もしかしたら私に大切にされていないのかもしれない。
それでも、それでも私は、大切にしているつもりなのだ。
だから今日も、私は私のお気に入りを壊すのだ。
お気に入りの物は
大切にもするけど
酷い扱いをしてしまう時もある
ごめんとは思わない
その代わり
たくさん可愛がるから
《お気に入り》
【お気に入り】
お気に入りの香りはいつも君の元からだった。
この香り、柔軟剤なのか香水なのかはわからない。
僕は君からするその香りが大好きでお気に入りだった。
でも、その香りは君の彼女のものだったこと知った今。
絶望や嫉妬、悲しみや苦しみでいっぱいだった。
僕のお気に入りの香りは、君の彼女の香りだった。
とでも言うのだろうか。
300字小説
命の恩人へ
小屋の片隅に立っている停止したロボットに声を掛ける。
彼は子供の頃の僕のお気に入りだったレンジャーロボ。レンジャー隊から払い下げられたロボットで両親の営むロッジで働いていた。そんな彼と共に僕はよく山に散策に行っていた。
青年になり僕は雪山の単独踏破を目指して、雪崩に巻き込まれた。呼吸孔を確保し、着けていた発信機を作動させたものの、襲う眠気にいけないとは思いつつも眠ってしまった。そんな僕を救難信号を受け取った彼が救出したらしい。老朽化で、あんな低温の高所までバッテリーが保つはずがないのに、僕を連れ、登山口まで下山していたという。
以来、小屋で眠る彼に報告する。
「今日、僕も君と同じレンジャーになったよ」
お題「お気に入り」
お気に入り
先生のお気に入りになりたい。
ひと目見てそう思った。
ハンサムで優しそうな顔にどこか闇深そうな笑顔を浮かべる先生のことを知りたい。手に入れたい。
それから私は事あるごとに先生に近づいた。
授業の質問をしたり、お菓子をあげたり。
そうしているうちにクラスの子に
「☆☆ちゃんは先生のお気にだよね。」
と言われるようになった。私自身もそう感じる。
ある日、私は下校時刻になると同時に机で寝たふりをした。
もちろんこれも先生と近づくためだ。
ここで先生が見回りに来るのは調査積みだった。
刻々と時間が過ぎ、私もウトウトしてきたとき、足音が聞こえた。
そして足音は私の前で止まりふわっと先生の匂いがした。
「…☆☆」
私は肩をビクッとさせて顔を上げた。
これは演技でもなんでもなかった。初めて呼び捨てで呼ばれたことに驚いたのだ。
「あ、起きた」
先生はあの闇深そうな笑顔を浮かべていた。
その笑顔はゾクッとするほどハンサムで私を見透かしているようだった。
この笑顔に何人の生徒が沼ったのだろうか。
先生は気に入ったものは必ず手に入れることのできる術を持っていた。
その術を私もかけられていたことに気がついた。
それは私が先生に感じる「知りたい」や「お気に入りになりたい」の感情よりももっと深く、先生と生徒との間では感じるはずのない、いや、感じてはいけない感情を出させるのだ。
いつから私は先生のお気に入りだったのだろうか。
もしかしたら私が思っているよりもずっと前だったのかもしれない。
私のお気に入りは、遠出したときに泊まるホテルの、ゆっくりできる朝。
ゆっくり起きて、大きな鏡を覗き込むと、そこには頬に変な枕のあとがついた私がいる。
「どうやったら治るんだろう、これ」
私のお気に入りは、バスでぼんやりぼんやりする時間。
そそくさと一番うしろの左隅っこの席に座って、あくびをかみ殺しているのを誰かに悟られないように。
「悟られるってなに?誰に?ふふ、バカみたい!」
私のお気に入りは、おじいちゃんとおばあちゃんの大きな家。
おじいちゃんとおばあちゃんはもう年をとって、その負担にならないようにと、泊まることはなくなってしまったけど。
枕元で絵本を読んでもらったこと、庭で一緒に干し柿につく虫を追い払ったこと、こっそり食べさせて貰ったみかんの味。
「おじいちゃん、おばあちゃん、久しぶり。」
どれもこれも、私の大好きな、大好きで大好きで、いつかはなくなってしまうかもしれない、私のお気に入りたちだ。
お気に入り
お気に入りのシャーペン
兄さんが勝手に使って…
多分バレてないと思ったんだろうね
お気に入り
この子はお気に入りのぬいぐるみ。小さい頃にプレゼントしてもらった。ぬいぐるみなんて子供っぽいと思って一度離れようとしたけれど、無理だった。多分この子は私の半身。死ぬまで大事にして、死んでも一緒にいるの。この子は私の宝物。
小説、漫画、アニメ、映画
作品に出会うたび
感動して泣いて笑って
お気に入りが増える
つくづくわたしは
人の想像力のに
生かされていると感じる
独りでマイペースが好きだけど
人の中でないと生きれないんだ
難しいこともあるけど
今日も新しい作品に出会ったから
それを反芻しながら
眠りにつく
『きいちゃんはわたちの1番の友達だね!』
「1番...お気に入りってこと?」
『うん!』
『きーいー、早く帰ろ〜!』
「ねぇ私はおうちゃんの1番のお気に入り何でしょ?」
『お気に入り?あぁ~なんか小さい頃言ってたっけ』
『今言ったら親友って意味でしょ?多分』
「そっか...ならよかった」
『?』
「バァーン(撃」
「さよなら私のお気に入りさん」
お気に入りのぬいぐるみを
弟に壊された
お母さんから貰った
大事な
大事な
ぬいぐるみだったのに。
『はぁ、、』
好きだったのに
でも私は
お姉ちゃん
『我慢しないとね、?』
お気に入り かぁ
先日 伊勢で見つけた
SAORI という糸織りのコースターかな
伊勢ブランド というわけではなくて
三重のとある作業所で作られたもの
赤と白と黒のシンプルな模様が
たまらなく心地いいのです
誰かが一生懸命作ったコースター
今日もせっせとコーヒー淹れてます
『お気に入り』(創作)
わたしは執着しない。
お気に入りの物はたくさんある。でも、たくさんの中の1つに過ぎない。
わたしにとって、家族も、例外ではない。
お気に入りだったけど、特別ではなかった。
そう思うことで、生きていられる。
そう思わないと、失ったものの重みに押し潰されてしまいそうだから、絶望を忘れるために、お気に入りを増やす。
大好きな、貴方の笑顔
大好きな、貴方の声
フィルムに閉じ込めて、永遠に保管出来たのなら...
---二作目---
お気に入りのワイン
お気に入りの料理
それが並んだテーブルの向かいに
大好きな君が居たのなら
これ以上に幸せな空間は無いよ
#お気に入り
215作目
自分の心に波をたてること
自分の心を温めてくれること
自分の心を踊らせてくれること
自分の心に影をさすこと
そんな色んなものがある中で一等輝くこと
お気に入り
私は学校の図書室がお気に入り。
本、委員の仲間、司書の先生。好きが詰まった場所。
もうそこに通える回数は片手で数えれるぐらいになってしまったけど …。
卒業の日には先生に手紙を渡そうかな
お気に入りのイケアのワンコ、クタクタになってきたけど、愛おしい。クタクタになりきったらどうしたらいいんだろう、とたまに不安になる。