いぐあな

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300字小説

命の恩人へ

 小屋の片隅に立っている停止したロボットに声を掛ける。
 彼は子供の頃の僕のお気に入りだったレンジャーロボ。レンジャー隊から払い下げられたロボットで両親の営むロッジで働いていた。そんな彼と共に僕はよく山に散策に行っていた。

 青年になり僕は雪山の単独踏破を目指して、雪崩に巻き込まれた。呼吸孔を確保し、着けていた発信機を作動させたものの、襲う眠気にいけないとは思いつつも眠ってしまった。そんな僕を救難信号を受け取った彼が救出したらしい。老朽化で、あんな低温の高所までバッテリーが保つはずがないのに、僕を連れ、登山口まで下山していたという。
 以来、小屋で眠る彼に報告する。
「今日、僕も君と同じレンジャーになったよ」

お題「お気に入り」

2/17/2024, 11:07:05 AM