『おうち時間でやりたいこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
おうち時間でやりたいこと
・小説を書きたい
・絵を描く
・お片付け
・シナリオ作成
・パソコンいじる
モンブラコン*
~~~~~~~~『おうち時間でやりたいこと』
今日はあいにくの雨ってやつである。
根性のある村人が、通販で購入したらしい日傘兼用のお洒落傘片手に散歩をしていたが、思ったより重かったらしく、ウチの前を、渋い顔と駆け足で通りすぎて行った。
「今日~チェレビちゅまんねぇ~」
弟(兄)の太ももに胸を乗せて、テレビ番組雑誌を見ていた姉が、グルンと寝返り、太ももを枕に変えた。メープル濡れ煎餅を食いながら。
「DVD借りたのなかったっけ?」
…ないわ。昨日返却したわ。登校ついでだったから借りて来なかったわ。
オレ達姉弟が住んでいるのは、山奥の超秘境村である。お店のある街まで車でおよそ三時間。
…まぁテイちゃん(兄)と姉なら、ひとっ飛び三秒なんだけど、…あいにくの肌寒い雨である。
♪︎ピ~ロピ~ロピ~…♪︎♪︎
全自動洗濯乾燥が完了した音、姉さんの最愛の膝枕は座布団に退化。
姉さんが無表情になる。
噛み砕かれた煎餅を飲み込む音が響く。
廊下を挟んで隣の広い畳の部屋に、乾きたての洗濯物をひろげるテイちゃん、コチラに背中を向けて、黙々と洗濯物を畳み始めた。
手伝おうと立ち上がったオレの足元で、姉さんが獲物を狙う肉食動物の様に体制を低くした四つん這いで、テイちゃんに近付いて行く…、
「なな何してんっ…姉さん??」
奇行が平常の姉である、そしてそれを理解している兄である。み、見守るか。
飛びかかる姉さん、角度90度で避けたテイちゃん、畳みかけの洗濯物に飛び込む形となった姉さんが、わしゃわしゃと服の山をかき集め、
「ぬ…ぬくてぇー!!!をぃクショボーズっおみゃあも来たれぃっこりはええどっ♡」
温かい洗濯物にテンション急上昇のご様子。
少し躊躇うオレの方に『おいで~』と、手を広げるテイちゃん♡
行きま~す♡で抱き付くと、軽く抱えられ洗濯物に押し倒された♡テイちゃんがオレの上に♡
やば~い♡何コレ♡やば…!ひぃっ!!
姉さんがパンツの股ん所から睨んでいる。そして洗濯物を纏った姉さんが、オレとテイちゃんの間にグリグリと入ってきたぁ。
乾いた洗濯物でじゃれ合う、
モンスター姉弟の休日でした。
ただただ、安心に暮らしたい。
お家が早く
安らげる場所になって欲しい。
そしたら、日当たりの良い窓辺に
寝転んで
風で白いカーテンレースが
膨らんだり揺れたりするのを
眺めたいなぁ。
私が、大好きだった
茶色いあの子のように…。
【お題:おうち時間でやりたいこと】
メーデーメーデー。
目覚めと同時に呟いた言葉に、特に意味はない。強いて言うなら、今日も声が出るかの確認作業だろうか。
窓の外は、依然として漆黒のまま。
特殊硝子を隔てた向こうは、人が生身で存在できない絶対零度の闇なのだということも、時々自分に言い聞かせることにしている。
生まれ育った家や土地、ひいては国が、宇宙に浮かぶ惑星の上にあるのだという事実を、突如として突きつけられたあの日。動揺する私を緊急用脱出シェルターに押し込み、必ず帰れるから大丈夫だよ、と笑みを貼り付けながら射出作業を行った兄は、どうしているだろう。生きているのだろうか、あの星で。
そうして漂流者となった私の世界は、寝ても覚めてもこのシェルターだけ。もともと数人が生活することを前提としているため、かつての私の部屋などよりは断然広く、空気の自動循環システムも備わっており、食料なども一年分はストックしてある。
なぜ、兄を引きずり込まなかったのだろう。
何百回と繰り返した問は、今日も無限の暗闇に吸い込まれて消えていった。
この生活を始めて今日で115日目。食料が尽きたり、循環システムが停止したら、すべてが終わる。
いっそのこと、ヤケ食いでもして外に飛び出してみようか、なんて考えることにももう飽きてしまって、新鮮味がない。
メーデーメーデー。
今日もこの部屋でひとり、残り時間を消費する。声が出るか確かめるのは、確証のないいつかを待ち望むから。また、誰かと会話できる日が来ることを願って。
メーデー、メーデー。
(おうち時間でやりたいこと)
おうち時間でやりたいこと
誰もいない部屋でだだ1人自分に素直になる。
ホントはどう思ってるのか。
静かな空間で考えていると、今まで自分の考えなのにわからなかったことが今考えると見えてくる。
1人は楽だ。
誰かといるのも楽しいけど
1人の時は自分を見つめ直す大事な時間だ。
おうち時間でやりたいこと
色々ある
ハギレで、何か作りたい
ぬり絵やスクラッチアート完成させたい
だけどまず
片付け!
大幅な家具配置したので
どこに何があるかまだ定まらない
住所決め区間整理
そして断捨離して
掃除して
心地良い空間を作っていかないと
おうちの外になるけど
多肉植物の植えかえもしたい
昨日素敵な花を見つけたから
購入して育てたい
お風呂は気に入った入浴剤でリラックスしたい
そうそう、気に入ったお香がもう手に入らないと思っていたら、お店にあったから、お香で香りを楽しみながら内観も良い
おうち時間は楽しい!
お題
おうち時間でやりたいこと
毎日酒飲みながら料理したい。
安くてうまい料理を考えたい。
創作したい。
おうち時間でやりたいこと。やりたいことか。小説を書きたいな。
でも最近は情熱を失ってしまった。なにもやる気がしないから一行も書いてない。これは単なる言い訳かな。
いわゆるなろう小説。ああいう小説を書きたいのだけどうまくいかない。なにを書いてもなにかのぱくりみたいになってしまう。
あの作品みたいなのを書きたいとちょっと書いてみてしばらくたってから見直して見るとまんまぱくりだったりする。
書いてる時は模倣とか影響を受けている程度にしか考えていないのだけど後で見直すとそのまんまなんだよな。才能がないというかなんだろうねこれは。
影響を受けすぎているというかやっぱり創作の才能がないのかね。そうやってだめだだめだと続けてなにも書けない今がある、と。
一作でいいから完成させてネットに投稿したいな。でも俺にはそれが遠い。
小説家にとまでは望んでいない。ただ完成させて投稿してみたいだけなのにそれができない。ままならない自分が嫌になるね。
#17 おうち時間でやりたいこと
本来、一番安心できる場所である。
しかし、出られないとなれば、そこは途端に窮屈な牢獄と化すだろう。
「ねえ、どうして?どうして外に出ちゃダメなの?」
光に溢れた部屋。
大きな窓は開け放たれているが、上品ながら頑丈な格子が嵌められ、景色を楽しむことしか出来ないようになっている。
「外はワルイモノで溢れてるからだよ。さあ、もう少し食べようね」
背中の羽は自分では手が届かないため、男の手によって丁寧に手入れされているが、使われることなく畳まれている。
空を飛ぶ鳥を見ていれば、本来の有り様は容易に察することができた。
「いつになったら、そのワルイモノはいなくなるの?」
外を見るのは好きだ。変わりない生活の中、外の世界は変化に満ちているから。
そして、ここのところ出歩く人が増えていたのにも気づいていた。つまり。
「どうして私だけ閉じこめるの?」
彼はにっこり笑った。
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おうち時間とは、必要不可欠ではない外出を控えて自宅で過ごすこと(weblio辞書より抜粋)
コロナ禍の中、広まった言葉。
ステイホームによって、外に出られない苦しさを味わった人の方が多いだろうが、
「家に居ていい」と免罪符を得た気持ちになった人もいるだろう。
という話。
【おうち時間でやりたいこと】
明け方に帰宅し、コンビニで温めてきてもらった弁当をもそもそと口に運ぶ。スマホから動画投稿サイトの一番上におすすめされていた適当な動画を再生すれば、片耳だけにつけたイヤホンからペラペラとかしましい喋り声が響いた。
ぴたりと閉まった右手のベッドルームの扉の向こうでは、同居人がぐっすりと眠っているはずだ。あと二時間もすればあいつは起きて仕事へ出かけるのだろう。互いに繁忙期が重なって、かれこれ三週間近く全く顔を合わせていなかった。
もともとが生活費を浮かせるために始めたルームシェアだ。互いに互いの自由時間に口は出さない約束で、別に互いの生活に干渉することもない。顔を合わせないことくらい、たいした話じゃないはずなのに。
(つまらない、んだよなぁ……)
冷蔵庫に入れられた作りすぎたという名目の食事だとか、あいつの嬉しそうな顔を想像して作る昼食用の弁当だとか。休日にどちらともなくリビングに集まって、くだらない映画を流しながらペラペラと感想を話し合う時間だとか。そういう一つ一つが、俺にとっては特別で大切だったのだと、そう思い知らされた。
ほとんど観てもいなかった動画を止める。右手で箸を運びながら、左手でスマホの画面を操作した。あと一週間もすれば、互いに少しは休みが取れるはずだ。たっぷりと寝過ごした昼近く、ブランチを食べながら流し見るのに良さそうな映画を探しておこう。評価はそこそこ、面白くもないがつまらなくもない、そのくらいが一番盛り上がる。ここは良かった、あそこはこうしたほうが良いだなんて、ドリップコーヒーを傾けながら批評家ぶって語り合うのだ。
少しだけ前向きに弾んだ気持ちで、サブスクに並んだ映画のネタバレなしの感想欄をタッチした。
「おうち時間でやりたいこと」
……日々おうち時間なので
お外時間、したいです
【おうち時間でやりたいこと】
こんな理不尽だらけの生きづらい世界でも
生き抜いている自分を誇りに思う。
外にいる時はあらゆることから自衛することで頭が支配されているから
セーフティールームでは自分をゆっくり愛したい。
おうち時間でやりたいこと。
それは、自分の趣味をやることではなく、はたまたゴロゴロする事でもない。
僕がやりたいこと。それは、家族とのふれあいだ。
中学校の時から好きだった女の子(現 妻)と、
僕と妻に似た元気いっぱいの子供。
僕が昔から見ていた夢のような風景が、今ここにある。これは絶対に無駄にしてはいけない。
夢だったこの幸せな時間を、楽しみたいんだ。
おうち時間でやりたいこと🏚️
今から行くわというメッセージを受け、自然と緩んだ自分の顔に気付きながらスマホを置いた。
久しぶりにお互いの休日が重なった日。俺もそれなりに忙しく過ごしているけれど、増して忙しい君は日々飛び回っているようだ。
君の好きな甘いお菓子と俺の好きな紅茶を出す準備をしながら君を待つ。
俺との時間を奪う君が抱えているそれらの存在は俺にとって大変腹立たしいものだけど、わきまえてます顔で忙しい君の側に寄り添うのです。
なんて俺って良妻賢母。
まあ、つまらない我が儘もつい言って君を困らせてしまうけれど。
今日は日々我慢していた分、たくさん構ってもらおう、構ってあげよう。そんなことを考えながら、君が来るまでの時間がゆっくりと過ぎていった。
【おうち時間でやりたいこと】
『おうち時間でやりたいこと』5/13
何もしない。
何も考えず、ぼんやりしたい
やりたいと思うのが楽しくて、
実際やってみると、思ってたのと違う。
そんな事が多いから、何もしない
適当にYouTubeを開き
オススメされた動画で時間を消費する
おうち時間でやりたいこと
否定的だったYouTube
今では暇さえあれば見ている
世の中には才能に溢れた人が溢れている
溢れまくっている
次から次へと
それを見つけられるか、ハマるかはその時のコンディション次第だが、
また今朝も笑いゴロげる様なアニメ動画を見つけてしまった
まだまだYouTube鑑賞
やめられそうにない。
おうち時間でやりたい事。やってみたいのは
童話を書きたい。色々なストーリーが出てくるのにまとまらない。一回だけ童話を送った事がある。
でも落選。でも書いたことに意義があると思っている
その童話を絵の上手い幼馴染に書いもらった。
私がもし童話を書いたら、その幼馴染に絵を描いてもらおうと思っていた。幼馴染は描いて戻ってきた。
私が思っていた通りの絵で嬉しかった。
その童話は大切に保管してある。
もう一度でいいからちゃんとした童話を書きたいから
時間が欲しい…
明日は有給休暇だ。躍る胸裡を隠し切れず、その余勢はわたしの口角を上げていただろう。有り余る心の余裕というやつが、わたしをして満員電車に付き物の狂騒さえ涼やかに通り過ぎさせる。のみならず、いくらか弾むような足取りで、わたしは軽やかに改札を出るのだった。
ファストフード店の混雑も厭わずに、わたしは列に並んでお気に入りのハンバーガーを買う。もちろん、明日は家から出たくないがために、二食分の量を袋に提げて店を出て――駅前の横断歩道の白線も、切り替わる信号の燈も、擦れ違うひとびとの顔も、街のすべてがきらめいて見えてくる。
いつも通る交番脇の交差点を折れた時だった。どういう訳か、朝には無かった工事車輌の群れが据え置かれている。もう日は沈んだというのに、脇侍の如き工員を従え、轟音を打ち鳴らして圧縮し、或いは掘削して已む様子はない。
浮かれ切ったわたしには「歩行者迂回」の言辞も苦ではなかった。明日は――もっと言えば日付が変わって直ぐ〇時になれば、待ちに待ったゲームの新作が遊べるようになるからだ。
まだこの街に暮らすようになって一年と経っていないわたしは、立ち止まって、スマホの地図アプリを開く。経路を確かめると、少し先の路地に入って、間もなく閉園時間の来る大きな庭園を抜けていくのが近道と分かった。
家に帰ったら、シャワーを浴びて食事を済ませ仮眠をとって――いや、食事を先にやっつけるか――なんて、独りで新婚夫婦のような自問自答を繰り広げながら、わたしは街燈の少ない路を歩いていく。
わたしの住まう小さなマンションは、この谷あいの住宅街を数分歩いた谷底に位置する。わたしの心は、この細く行き止まりの多い道――クルドサックというやつ――の暗さとは全く反対に、素晴らしく明るく、色で言えば差し詰め綺麗な赤色で――と考え出した頃だった。
遠くの方から、サイレンの音が聞こえてくる。消防車のそれに違いなかった。わたしは依然上機嫌で、開放された庭園の門を潜る。ほとんど照明の置かれていない元武家屋敷の園内には、多様な植物が植わっていて、ともすれば不気味な印象を与えた。
暗闇の中でより一層重い黒さと映る樹々の間から、ふと我が家のある方を見遣ると、空が妙に明るく揺らめいている。
火事だろうか――生来能天気なわたしの心裡にも一握の不安が募った。わたしの住むマンションが――いや僅かに六世帯ほどの小さなマンションだぞ――それに、わたしを除いて五世帯の内で、そのどれもが在宅という訳ではないだろうし――だが、わたしが何か失火の原因となることを仕出かしたことは?――例えば、ガスコンロを消し忘れたとか、コンセントが劣化していたとか、ケトルが壊れているのに気付かず、スイッチが入りっぱなしになっていたとか、何かのバッテリーが発火したとか――今の今まで享楽に充たされていたわたしの心は、丸っきり対蹠の色調を帯びた聯想によって疲弊し、窒息しそうになっていた。
わたしは家の方の出口へと走った。葉擦れの音が不快に響く。サイレンの音が確実に近く聞こえる。闇の中、息を切らして辿り着くと既に金属製の門は閉ざされていた。わたしはここで何かが燃えるような、焦げ臭い匂いがすることに気付いた。家の方を諦視すれば、確かに空は赤く、仄かに煙のような筋が上がっている。
わたしはその場にへたり込んだ。すると、目の前の路を慌てた様子でひとが走って行った。わたしには声を掛ける気力さえなく、その様子をただ見過ごした。
しばらく呆然としていると、不思議なことに、わたしの心がそのまま映し出されたような光景を見て、わたしはどこかで安楽を感じ始めていた。諦めというのか、類感呪術というのか、或いは魔術というのか、とにかく、わたしはゆっくりと歩きながら、もと来た道を戻ることにした。
そうして歩いていくうちに、わたしの想像の中の自宅ははっきりと燃え上がり、黒煙を上げ、消防隊員の必死の散水も空しく焼け落ちていく。囲繞する人むらは各々の手に持った端末やらカメラやらで、わたしの泣き叫ぶ姿を写真に映像に収めることだろう。そして、わたしは失った財産や時間を埋め合わせることも出来ずに、ただ新聞紙の社会面にその存在を刻むことになるのだろう。わたしは、大きな歴史の中の小さな事件として、誰にも語られることのない人生を送り続けるのだろう。
わたしは園内の坂を上りながら、静かに、声もないままに涙を流し、明日のことを考えていた。ふらふらと歩くたび、ハンバーガーの温もりが膝へぶつかった。
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おうち時間にやりたいこと
「『おうち時間にやりたいこと』、大半が『やりたいこと』止まりで実行に移せてない説」
かく言う俺が実際そうなんだわ。某所在住物書きは素直に白状し、手元のメモ帳を見た。
「筋トレ」、「読書」、「積みゲー消化」等々。
達成できたものより手つかずの項目が多く並べられた紙切れの字は、お世辞にも、綺麗とは言えない。
「……今からでも何かやるか?」
ダイエットくらいはできそう。呟く物書きはそのくせして、相変わらずポテチとチョコをつまんでいる。
――――――
毎日配信のお題を、持ちネタである3〜4個の物語のテンプレに落とし込み、ひとつの大筋として編み上げる。そんなスタイルの中の、おはなしのひとつ。
いつ回収されるとも、そもそも実際に回収できるかも分からぬ、以下は未来のお題へ向けた伏線です。
最近最近の都内某所。昨今のコロナ禍で空いた時間を利用して、人探しをする者がおりました。
それは、8年前突然失踪した、初恋の次に恋したひと。田舎出身という同い年。
話題が花やら心理学やら、堅苦しいネタばかりだったものの、以降3回恋した中で、最も誠実で、真面目で、自分に多くを捧げてくれたひとでした。
そこに気付くのがあまりにも遅かった。
「なんで見つからないんだろう」
在宅勤務の休憩時間、呟きアカウントを開いては人探しのハッシュタグを見たり、ウェブ検索にポンポン打ち込んだり。
「会いたい。もう一度、会いたいのに」
失踪当初、探偵に依頼も出しましたが、頼った事務所が悪かったか、そのひとを撮った写真が一枚も無かったせいか、足取りは掴めず調査も打ち切り。
以降、いつか本人の呟きアカウントに行き当たることを願って、あるいはどこかでバッタリ顔を合わせることを祈って、
再会と再縁を強く求め始めた3年前から、おうち時間をそのひとの捜索に割いてきました。
「附子山さん……」
珍しい名字のひとでした。
堅苦しい話ばかりの、不器用なひとでした。
「面白くない」、「解釈不一致」、「あいつ頭おかしい」。あまりの人付き合いの下手っぷりを、呟きアプリの別垢で愚痴ったこともありました。
よもやそれがバレたか、まさか。
不器用な生真面目は突然姿を消して、二度と、会うことがありませんでした。
グループチャットは退会済み。電話も解約したらしく不通。住んでいたアパートはもぬけの殻。
珍しい名字です。どうせすぐ足がつくだろうと、探して挫折して、あれから8年経過しました。
「もう一度、今度こそ、最初からやり直したい」
なんだかんだで、あのひとが一番無難で、一番正直だった。
短い短い恋を思い出しながら、今日もそのひとは、おうち時間でかつての恋人を探すのでした。
おうち時間でやりたいことってあるかな?
前までの私はいつでも寝ていたいって答えてた。
君と過ごしてからは
朝早く起きて
部屋の掃除を君と分担して
終わったら
ご褒美のアイスを一緒に食べて
録画したテレビを君と見る
本を読んだり、スマホをいじったり
お互いが違うことをしてる空間も
私は大好きになったの。
おうち時間でやりたいことは
君と隣で過ごすこと
今だけじゃなくてそれがずーっと続きますように
─────『おうち時間でやりたいこと』