『いつまでも降り止まない、雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雲がなくても降り止まぬ雨
お題『いつまでも降り止まない、雨』
長き梅雨が過ぎ、空は明るくなってきた。
花や草、車、建物は雨の雫を落とし、生き物は元気に外に出る。
雲は跡形もなく消え、太陽は地上を優しく見つめるように照らす。
しかし、一人だけ雨の中に取り残された人がいた。彼は先の見えない未来に希望を見出だせず、悲しい表情を浮かべ、水溜まりを見つめている。
水溜まりに映った自分の顔は、雨雲のようにどす黒い。見れば見るほど情けなくなり、悲しくなり、涙が溢れてきた。
彼はまるで雨雲のように大量の雨を降らせた。水溜まりに映るもう一つの世界に。
空がどれだけ雲がない心地いい天気でも、彼の心は降り止まぬ雨でいっぱいだ。
彼の梅雨は、いつ終わるのだろう。
夏休み。
一年に一度、家族で旅に出る。
五人も子どもがいるものだから、
誰かが熱を出さないか、
妹の喘息の発作が起きないか、
見張ったところで、なんの効力もないのだが
兄弟の様子に変化が起きないか
じぃっと見つめる日々が続く。
そして無事に出発前夜を迎えると、
ティッシュを丸めて糸でくくり
てるてる坊主の集団を
カーテンレールに整列させることになる。
平成初期のあの頃は
梅雨明けとともに
入道雲がひっくり返りそうなほど
大きく高くそびえ立つものだった。
クーラーの効きの悪い三菱パジェロのルーフに
父がどこから調達したのか、
銀色に光る大きな金具を取り付け、
浮き輪やらゴムボートやらを詰め込んだ
大きなボストンバッグをくくりつけた。
長い長い渋滞を超え、
高速道路の向こうに海が見えれば、
私達の車酔いも一気に吹き飛び、
誰かが
♪うーみーはひろいーなと歌いだせば、
必ず5人の大合唱になる。
どの瞳も夏の光に透けて、
はしばみ色に瞬く。
助手席の母の満足げな微笑みと、
運転席の父の口笛が
私達をいよいよ勢い付かせ、
思いつく限り、次から次へ歌い続ける。
でもあの夏は。
目指す方向へ、走れば走るほど、
空が色彩を失い、
とうとうフロントガラスに
小さな粒がついたかと思うと、
驚く速さで、左右に走っていった。
ワイパーが早まる度に
私達の興奮は、面白いほど萎んでいった。
海が見えるはずの時にはもう、
打ち付ける雨で、外の様子は滲んで見えなかった。
ただ、車の走る音が大きいせいで
外界の雨は、無音で
どこかで別世界のようだった。
小さな弟妹はとうに眠ってしまい、
寝息だけがスースー温度を持って響き、
どこか、自分も夢を見ている気にさえなっていた。
タイヤが、リズミカルにアスファルトの継ぎ目で
低い音を立てる。
その音を聴く気持ちの準備をしていた
次の一瞬浮遊感を感じた。
父があっ。と大きな声を上げた。
ビクッと弟が目を開けた。
後ろ!と怒鳴る父の声で、
最後部に座っている私は、リアウィンドウに額をつけた。
紺と白のしましまの何かが
コロコロ転がり、雨にけぶって見えなくなった。
あっという間の出来事だった。
あれが、私達の浮き輪がパンパンに詰まったバッグだと思い出した時には、
妙に落ち着いて、諦めるしかないことを知っていた。
路肩に車を停め、
母がドアを開けたとき、
雨の匂いと大音量が、車の中まで侵入してきた。
そのバケツどころか、海をひっくり返したような
圧倒的な量の水に、その音に。
愉快としか言えない感情が湧き上がってきた。
あーあ。
大きな声で私が言うと、
姉も、あーあ。と応じた。
あーあ。
あーあ。
あーあ。
あーあ。
いえば言うほど愉快になった。
あの夏は。
台風が直撃した小さな民宿で。
窓ガラス一枚隔てた安全地帯から
荒れ狂いうねる波を、
父の8ミリで、ひたすら撮影して過ごした。
結局、撮った本人も吐き気を催すので
五分と見返されることなく
上書きされたのだと思うけれど。
退屈した記憶は一切ないのである。
いつまでも降り止まない、雨
そうだね、雨は降り止まない
それに雨が降らなくても雪が降る
雨にならなくても
空には雲が浮かんでいて
この地球を廻っている
雨は降り止まない
全体的に見ればそれはそう
ただ地球が無くなれば
地球の雨はなくなる
止むことになる
雨が降り止まないことは
それなりに重要で
水は循環していることで
清さを保っている
人間も血は止まらないし
脳も休まない
何かしらの活動はしている
雨は降り止まないけど
それは全体的にでしか過ぎない
個々の空とは別問題
天気は日によるから
晴れたり曇ったり雨が降ってたり
人間は天気にも左右されるけど
やっぱり1番は自身の状態からくる
それが一時的な状態だと知っていること
いまは雨が降り止まない
もしかしたら
これからも雨は降り止まないかも
それなら人間には傘がある
雨が降らない場所に
移動することだって
人間には出来る
雨が降り止まなくて
移動も出来ないなら
本を読んだりゲームしたり
いろんな人達のおかげで
色々なコンテンツが機能しているから
暇なら好きなことをしたらいい
選べる範囲内でにはなるけど
きっと気がついたら雨は上がってるよ
雨は降り続ける。傘を差しても私の髪や服に雨は降る。それでも普段なら気にしないけど、傘が壊れたこんな日は少しの雨でも重たく冷たく私に浸透する。支配されたみたいに動きが鈍くなる。あの人は傘を指してさっそうと歩く、あっちのグループは相乗りしていく。私は隅っこでずぶ濡れになって街を眺めていた。疲れた。
わたしの心はどこか静かな庭の中にあって
そこは永遠にぽつりぽつりと雨が降る
庭に踏み込んで
わたしに傘を傾けてくれる人もいたけれど
腕がいたいと出ていってしまった
それに、冷たく濡れたわたしに傘なんて
いまさら差し出されても意味はない
ただ、貴方だけは違った
傘を差し出すわけでも
顔を拭う布を渡すこともなかった
この冷たさが君を苦しめているなら
いつか日が出てくるまでここにいよう
ただ隣で一緒に雨に打たれていた
この雨が降り止んだら貴方は
どこかへ消えてしまうのだろうか
日の光を見せたい気持ちと
失いたくない気持ちがせめぎ合う
勇気の出せないこの庭はいつまでも
静かに冷たい雨を降らせていた
いつまでも降り止まない、雨
「いつまでも降り止まない、雨」
心の中でいつまでも振り続ける雨は
いつしか身体を伝い透明な水となる
心の中で湧いた醜い感情がまるで
濾過されるよう
綺麗な水はどんどん体の外を流れていく
濾過された残りカスを糧に
私はまた雨を呼ぶ
また雨が降ってきた…
「お母さん…雨止まないね…」
「そうね〜」
「早く止まないかな…」
「いつか止むわよ…絶対に…」
小さい頃に母と話したそう話したことを思い出した…
あの時の母の顔は、切なそうだった。
今にも泣きそうな母を見て、必死に楽しい話題を話した
あの頃に戻りたい…お母さんが、お父さんを捨てる前に…
お母さんは不思議な人で、
天気予報を見てなくても天気を当ててた…90%の確率で…
もしかして天気の子?ってふざけて聞いたら
かもね〜って言われたし不思議な人だ
今日は…お母さんの誕生日で…
最近知った…お母さんの心と天気は…
早く会いたい…帰ろ…
(ただいま!お母さん!誕生日おめでとう!)
無視か…お母さん…泣いてる…
独りで寂しい?…
声は聞こえないけど…側にいるよ…
最近ずっと晴れを見てない…
『お母さん!誕生日おめでとう!もう泣かないで』
聞こえてないかもしれないけど…叫んだ…
「晴花?そこに居るの?」
空には1年振りの晴れで綺麗な虹がかかっていた
いつまでも降り止まない、雨
日本が格差社会になって久しい。格差社会を生きる方法はあるのであろうが、それは次回に譲りたい。そもそも日本は戦後の勤労意識の芽生えのもと、働けば豊かになると考え、みんなが豊かな中流社会を築き上げた。物質的な繁栄の社会であったのかもしれない。しかし、精神的なものを求める人たちもいたのであろう。エコノミック・アニマルを止めた人たちとの間に格差ができた。格差とは価値観の違いととらえることもできる。同じ価値観を持つことは安心につながる。不安のなかから生まれる安心はないものかと考えてしまう。
いつまでも降り止まない、雨__
雨が降るのは神様が泣いてるからなんだってさ、
て事は雨は神様の涙ってことだよね
争いの絶えないこの世界に対して
神様はどう思ってるんだろう。
きっと、
本当に神様がいるのなら
雨は止むことなく降り続けているだろうね。
『雨、降ってきちゃったね......』
この言葉には少しの期待が込められていた。
今日は待ちに待った初デートの日。でも、その辺のカップルの初デートとはわけが違う。本当に待ちに待った。
わたし達はTwitterで出会った。所謂“ネット恋愛”ってやつ。これだけ聞くと、えっ...と思う人もいるかもしれない。否定的な意見があるのも頷ける。ネットなんて顔も分からないし、何だって偽れるような世界。そんな世界で出会った人間に恋愛感情を向けるなんてそんなことあるのか?わたしもそう思っていた。
最初は気の合う歳の近いフォロワーさん、というだけ。一緒にゲームをしたり雑談をしたりという具合で仲良くさせてもらってはいたものの、そんな繋がりはよくあることだし、特段気にしているわけではなかった。年単位でそんな関係が続いた。インターネットの住人には分かってもらえると思うが、ネットの相手だからこそできる話もある。時には深い話で語り明かす夜もあった。
わたしはいつの間にか彼を恋愛対象として見ていた。わたしは人を好きになりやすいタイプというわけではない。今までまともに好きになった人間なんてほとんどいないと言ってもいいくらいだ。そんなわたしが?しかも会ったことも無い人を?でも所詮はネット。いくら仲良くなったって画面の中の人だ。そんなに深い感情を抱いてはいけない。葛藤はあったが、わたしは彼に対して出来るだけ今まで通り接し、自分の感情を殺すことに努めた。
そんな時、彼に通話に誘われた。いつもの事だ。通話が始まっていつも通り適当な挨拶をする。いつもとは違う異様な雰囲気だった。上手く言えないけど確実に何かが違っていた。一体何を言われるんだろうと身構える。すると少し間が空いて彼の口が開いた。
「...俺さ、白のこと好きなんだよね。」
この一言をきっかけにわたし達のお付き合い(仮)はスタートした。といってもこの時点でわたし達はまだ会ったこともない。だから『(仮)』である。お互いの好意を確認しただけ、とでも言おうか。
そして待ちに待った初デートの日。今にも雨が降り出しそうな、あいにくの天気である。彼は大きなキャリーケースを引きながらわたしの前に現れた。初対面だけど初対面じゃないような、不思議な感覚。いつもの通話のときみたいな調子は出なくて、どこかよそよそしくなる。内容の無い会話をした気がするけれど、本当に覚えていない。会う前に脳内でいろんなシュミレーションをしたのにいざ会ってみると全て真っ白になった。
どうしても彼に触れてみたかった。そこにいるんだって感じたかった。でもなかなかそうはいかない。急に手を繋いだりしていいものだろうか...なんて中学生みたいな事も考えた。
すると、ぽつりぽつり雨が降ってきた。
『雨、降ってきちゃったね......』
期待を込めて呟く。傘もってるよ、と彼。傘を忘れたふりをして彼の傘に入れてもらった。さりげなく彼の腕を掴む。あぁ、本当にここにいる。自分の好意を認識してから今日まで、かなりの時間があった。それもあって今この瞬間があまりにも幸せで永遠に続けばいいのにとまで思った。
デート中、天気はずっと雨。わたしは人生でこれほどまでに雨が止まないでほしいと願ったことはあっただろうか。
初デートの夜、彼は改めてわたしに好きだと伝えてくれた。わたしも好きを伝えた。この日、わたし達は正式にお付き合いを始めた。
彼と付き合い始めて数年。今でもあの初デートは鮮明に思い出せる。
いつまでも降り止まない、雨
いつまでも降り止むな、雨
「悲しくてやりきれない」
この曲が救いになるほど、
辛い日々
雨の中でも明日は晴れると信じて
空を見ながら落ちる水
「いつまでも降り止まない、雨」
あなたは、ずっと雨は止まないと。
そう信じているようだ。
変わらないことなんてないよ。
変化していくことは、少しこわいことだけど。
風が吹いて
雲が流れて
きっと日差しが降りそそぐ
気が向いたら、そんなこともあるかもしれないって
思ってくれたら嬉しいな。
雨上がりの香りが、私は大好きだょ。
いつまでも降り止まない、雨
雨は嫌いだ。
傘を差したくないから。
傘は邪魔だ。
5秒でビシャビシャになるくらいの強さにならないとささない。
もう、煩いくらいだ。
私の心の内を支配するのは、いつまでも降り続く雨。
期待という名の、豪雨。
私は自由にのびのびと生きたいだけなのに。
周りからの期待なんてどうでもいいのに。
誰もそれを許してくれない。
私の中に、晴れの日なんてものは存在しない。
でも、いつかは訪れるのだろうか。
こんな私にも、晴れの日が。
〜いつまでも降り止まない、雨〜
やまないのね。
女の呟きが部屋に転がる。いいや、やんでいるとも、と答えた。凪いだ女の瞳は海の底のようで、恐ろしい。たおやかに微笑む薔薇の唇が、女の強さをたたえていて、怖い。
「かわいそうなひと」
清廉な、美しい声で憐れみを与えた女。滑らかでか細い人差し指が、伸びてきて頬を撫でた。ぬぐうような仕草だが濡れてはいない。
それでも女はやめない。何度も何度も恍惚とした表情で、頬を愛撫する。撫でて爪を立ててひっかいて、顎の輪郭を確かめるようになぞった。
「あめをやめないで」
拙く、熱を孕んだ懇願がぶつけられる。
「やんだら、あいせない」
唇が頬を食む。舌をちろりとのぞかせて、猫のようになめる。
あめは、もう、やめられない。
【いつまでも降り止まない、雨】
行き場のない衝動をこの静かな雨でかき消そうとする。いつまでも降り止まない、雨。起きてからずっと曇りっぱなし、暗い空。それらすべてが仕方ないからというように俺の涙を隠そうとする。
「泣いてんの。」
「気にする必要はないでしょ。」
「必要は、ね。」
察したように、無言で一枚のちり紙を差し出される。求めてはない。湿気で少しだけ湿っている気がするちり紙に喜んでもいいかな。君が泣かせたんだ。振られたわけじゃないけど、振られたみたいなもんだろ。告白されて了解してるところを見たんだから。ずっと、好きだった。
「気づいてなかったでしょ、演技。お願いしたんだ、振り向かせたくて。」
きょとんしている間に口を奪われた。
「これで、気づいてよ。」
みるみると顔が赤くなっていくのを自覚した。
「そろそろ気づいていいかもしれん。なぁ、俺もお前のことずっと好きだった。」
流れるようなお互いの好き。もう一度、唇を奪われた。振り止まない雨が俺たちの熱い体温を必死に隠そうとしていた。
お題:いつまでも降り止まない、雨
(BL風味)
突然の雨はすぐに通り過ぎることもなく、遠慮を忘れたように振り続けて。
たまたま天気予報を観忘れたばかりに……折り畳み傘すら入っていない鞄を恨めしそうに覗き込み、盛大な溜息を吐き出した。
「どうすっかなぁ……」
通りすがりに逃げ込んだ喫茶店。濡れた髪を拭きながら、誰にともなく呟く。
ちらりとガラス越しに外を窺えば、灰色の空の下では誰もが当たり前のように傘をさしている。
つまり、ずぶ濡れの間抜けは自分ひとりということだ……再確認すると情けなさに眉尻が下がった。
「ん?」
引き続き外をぼんやり眺めていると、自分と同じように傘を持たず、鞄で雨を凌ごうとするスーツ姿の間抜けがもうひとり。
その男は自分に気づくと「あ」と口を開き、一度姿を消した。
チリンチリン。ドアが開いて、足音が近づく。
「やっぱり! いやぁ、仲間がいて良かったです」
「ずぶ濡れの間抜け仲間か?」
間抜け仲間は仕事仲間でもあった。用意周到にタオルで髪を拭いているが、肝心の傘を忘れた抜けた奴だ。
突っ込んで深い関わりはなかったが真面目で丁寧で、かなり出来る奴、というのが先程までの印象だった。先程までの、だか。
「ここのプリンアラモード美味しいんですよ。あ、ホットケーキもオススメですよ」
「なんだ、よく来るのか?」
「ええ。せっかくだからお互い暗い気分を忘れて、美味しいものでも食べましょう」
あまり関わってこなかったが改めて人当たりのいい奴だ。自分にはない爽やかな笑顔で、女子にも人気があるらしい。
と、そんな奴の首筋に、つぅっと水滴が伝うのを見つけた。
(ちゃんと拭けてない……意外と雑だな)
よく見れば色白のそこをゆっくりと這う雫。どういう訳だかそこから目が離せない。
そうして水滴は服の中へと……
「どうしました?」
「あっ!? い、いや……もう少し拭いた方がいいぞ」
「?」
今、自分は何を見ていた?
水も滴るいい男とは言うが、ろくに関わっていない仕事仲間を前に、見惚れて……?
きょとんとまばたきをする目は睫毛が長く、薄く開いた唇が色っぽいだなんて。
テーブルの上で組んだ両手の指が綺麗だなんて。
(実は結構色気あったんだなコイツ……)
ああ、気づいてしまった。
一度そうなってしまえば、ちょっとした仕草ひとつに心臓がとくんと跳ねて。
「とびきり苦いコーヒーが飲みてえな……」
「じゃあ僕はコーヒーとチョコレートサンデーを」
そうだ。きっとこの雨が悪い。一時の迷いに過ぎないんだ。
邪念を振り払い、注文を済ませると、また二人きりで向き合う。
何も知らずにニコニコ嬉しそうな顔が憎らしいなんて、言いがかりもいいところだろう。
「機嫌直してくださいよ。一口あげますから」
「いらんわ!」
俺を惑わせた雨はまだ、止まない。
休みで家から出ない日に雨だと
なんとも言えず、いい気分になる
窓越しに雨の降る景色を見たり
雨音を聞くためにテレビを消すこともある
仕事などで外に出る日に雨だと
とにかく本当に心底もやもやする
そしてしっかり頭も痛い
台風よ、頼むから平日に来ないでくれ
たん、とたん。
屋根を叩く雨音に、私は窓の外を見やる。まだ梅雨入り前だと言うのに、今年は少しどころじゃあなく雨の日が多い気がする。
「……ふむ」
少し考えて、私はゆっくりと椅子から立ち上がる。そして、部屋のサッシを開けていく。
「……これでよし」
腕を組んで、私はうなずく。結構軒の下が大きいから、雨は吹き込んでは来ないはず。そう考えてサッシを開けたけど、本当に雨は吹き込んで来ない。そして、少しひんやりとした風が、部屋の凝った空気をかき混ぜていく。それに満足して、私は大きく伸びをした。
いつまでも降りやまない雨。それは、小気味良く屋根を叩いて、今も降り続いている。
「止まない雨はない、って昔、誰かが言ったらしいっすよ」
「もう何年も降ってるのに?」
「太陽を見たことがない子供がいるんだってさ」
「地球はどうなっちまったのかねェ」
20230526/いつまでも降り止まない、雨