『いつまでも捨てられないもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鍵箱の中に入れた物
秘密の宝物
決して外には出せない
私にとって大切な宝物
いつまでも捨てられないもの
お題『いつまでも捨てられないもの』
そういえばまだ捨ててないものがある。
それは、学生時代に付き合った最初の彼氏と揃えたペアリングだ。正直デザインは私の好みではなかった。本当は別のが良かったのに元彼は『これがいい!』と言ってそのまま押し切られる形で二人でお金を出して買った覚えがある。
あの頃は、最初の彼氏ということで『ついに私もペアリングかぁ』と有頂天になって指輪をしていたものだが、いろいろあって彼とは別れた。別れ方があまりに不誠実極まりなかったので、別れた時、おどろくほどなんの感情もわかなかったことを覚えている。
別れてもう十年くらいが経つが、指輪なので未だに捨てられてない。べつにいつでも捨てて良いのだが、どうしたものかと部屋を片付ける度に見つけて思い出すのだ。
そして片付けが終わって、しばらく忘れるを繰り返している。
いつまでも引きずる嫌な過去、恥ずかしい過去
捨てたくても捨てることが出来ない
捨てられないならいっそそんな過去と仲良くなろう
きっと何か大切なことを教えてくれてるはずだから
『いつまでも捨てられないもの』
いつまでも捨てられないものは
小さな頃の君から貰った
ビーズで作ったブレスレット
これで君のおままごとに付き合ってたね。
今も一緒にいるなんて
夢みたいだな。
─────『いつまでも捨てられないもの』
あなたは優しい人なんだろうけれど私にとって良い父親じゃなかったよね、娘を見ていたのであって私を見ていたわけじゃなかったんだね、って気づいたときのかなしさ
町中であなたに似た人を見かける度、目を背けるのをやめたい
来年の春から違う街で暮らします
題・いつまでも捨てられないもの
ジョバンニは午後の静けさの中、親友グーフォの恋人と向き合っていた。
彼女はどこか遠くを見つめグーフォの幻を追う。
「グーフォは、何年も私の中で生き続けているの」
と彼女は呟いた。
彼女のスマートフォンには彼の写真やメッセージが並んでいる。
それらを眺めれば彼と過ごした日々の一つ一つが鮮やかに蘇る。
しかしそれは彼を偲ぶ一つの手段ではあるが、無機質な数字やデータに代わってしまうことはできなかった。
彼女の胸の奥には、心に刻まれたグーフォとの思い出が、何よりも強く保存されている。
今日もまた彼を想い、水晶の涙が彼のためにポロポロと零れ落ちていく。
それは、愛する人を失った大切な記憶が永遠に彼女の心の中で生き続ける証なのだ。
「いつまでも捨てられないもの」
もう、あなたのことなんて忘れたい
あなたのことを思い出したくない
あなたの姿を思い出すと、悲しいだけだから
だから、あなたのものは全部捨てた
でも、家のキッチンとか、お風呂場とか、寝室とかにいると、あなたを思い出しちゃうから、引っ越した
でも、ふとした時にあなたを思い出す
なんでだろう、最低だったのに
あなたなんて、今思えば最悪な人だったのに
いつまで経っても捨てられない
あなたとの楽しい思い出
私の頭の中で、いつまでも輝いている
とあるオカルト漫画を二回売って二回とも買い戻している。
売る時は「もういいか」と確かに思うのに、またふつふつとあの漫画のお約束の決め台詞やぶっ飛んだ考察が恋しくなって、古本屋に向かう。
そうして読み返すたび、一番初めに読んだ時の信じていた気持ちや、二度目に買い戻して改めて読んだ時の「すごい飛躍とこじつけwww」と一歩引いてエンタメとしてみるようになった感覚が蘇る。
今は登場人物の意外な可愛らしさに萌えている。
漫画の楽しみ方も変わっていくから、ずっと捨てずに残していきたい。
そう友人に言ったら「な、なんだってー!?」と叫ばれた。
END
「いつまでも捨てられないもの」
配偶者かもしれないな。
でも、捨ててしまったが最後、ここまで飲み込んできた幾多のトゲが、今度は自分に向かうことを知っている。
【いつまでも捨てられないもの】
いつまでも捨てられないものをずるずるずるずる引き摺って。
いつまでも頭の中に残ってる。
それはいやな思い出だったり、苦い経験。
自分の発した言葉や仕草、行動で選択してきた過去。
そんなものばかりが頭の片隅にいる。
どうしたら忘れられるだろうか。
暗い、暗い、暗い。
ひたすらに暗い。
頭の中は墨で塗りたくられたように真っ黒で。
脳内に連動して気持ちまで底深くまで沈んでいく。
そんな時、私は妄想する。
どうにもならない時もあるけれど、ひたすらに考えを巡らせて。
脳内に広がる空間で空から落ちてみるんだ。
高い、高い、本当に高いところ。
地平線が見える海の上がいい。
はるか上空から身を投げ出して、パラシュートなんてつけないで。
身ひとつ、両手を目一杯に広げ、ばっと飛び出す。
ぐんぐん体は落ちていって。
厚い雲間を抜けた先は何にもない、遥か彼方まで続く広い海で。
視界に映るのは、キラキラと光る水の青。
そうだなあ。天気はやっぱり快晴がいい。
時間は明け方。清々しいほどの空気をこれでもかと吸い込んで。
新鮮な空気で肺を満たす。新しい酸素が血管をたどり、頭の先から足の先まで、体中の酸素が入れ替わる。
それほどまでの清さ。
体が生まれ変わるのを感じながら、地平線のその先を視界に映し落ちていく。
風の音しか耳に入らない空間で空と海の境界を見てると、自分の考えてることなんて本当にちっぽけなことなんだ。
つい、考え込んでしまうけれど、なんだかどうでもいいことのように思えてくる。
暗い思考は空の上へ置いてきてしまえばいい。
置いてきた先に残るのはきっと前向きで明るい、清らかな気持ちだけ。
どこかの誰かの、心に少しだけ残ればいいなと思う。
沈んでしまった時に、ちょっとだけ妄想してくれればいいなと思う。
おんなじような気持ちの誰かが綺麗な青空を、上を向いて歩ける、そんな文章が書けたらいいなって思う。
2024.08.18
いつまでも捨てられないもの
「姐さん、あたし。温かいスープが飲みたいわ」
「姐さん、あたし。新しいお洋服が欲しいの」
「姐さん、お食事前にはここを綺麗にしておいてね」
この声が耳障りだった。ずっと耳に張り付いて止まない呪いのような言葉がわたしを縛り続けてきた。解放してほしいと願うだけで何も起こらない日々を過ごすのは今日で最後になるの。
首に覆う手に力を入れた。彼女が寝息を立てるたびに、のどの奥が膨らむ音がする。少し力を入れるだけ。これは悪いことなんかじゃない。邪魔だから、要らないでしょ。あなたも。
「違うわ……きっと、こんなの間違ってる」
「起きたの、姐さん。」
「……っええ、すこし心配になっただけよ」
「そう……はやく寝てちょうだい」
そう言い残すと、彼女はふんと背を向けて、大きく肩を下ろした。わたしは扉を開けてすぐに廊下を走り、部屋のドアに強く鍵をかけた。身体中、ひどく汗をかいて、一晩中、布で汚れを落としていた。何度擦っても落ちずに、気づけば窓から溢れる陽射しが三面鏡に反射していた。
「このトマト、赤いわ。運がいいのね」
「赤くないわよ。いつもと対して変わらないでしょ」
「これ、あなたの?」
「汚い……早く拭いてよ」
「どうせなら心中でもしとくんだったわ」
「いいのよ、もう全部終わるんだから」
いつまでも捨てられないもの
どちらかというと
物持ちがいいので
気がつくと同じものを
ずっと使い続けている
きっとこれからも増えていく
いつまでも捨てられないもの
いつまでも捨てられないもの
パチンッパチンッ
「なに? 爪切り? トイレでやりなさいよ」
「いきなり上がり込んできて文句か。ここは日本だし、僕の部屋だ。気になるなら帰ってくれ」
僕の部屋にずかずか入り込み息つく暇もなく、ひなは言った。
「てか何切ってんの。それ」
「アルミホイル。爪切りを研いでるんだ」
彼女はヴァイオリンケースを床に下ろして演奏の準備を始めた。暇つぶしの会話ということだ。
初めは俺のことを毛嫌いしていたはず。しかし、今ではこんな雑談をするだけでなく毎日暇さえあれば家にくる。当然家にいない時間もあるが、家にいるときは俺の用事を考えもせず家に上がるのだ。
彼女曰く二重奏をしたいからそうしているらしい。
つまり都合の良い相手が僕だっただけ。
良い気はしないが、悪い気もしない。
「へえー爪切りって研げるのね……そんな高価な爪切りなの?」
「いや。多分数千円」
「なら——」
「貰い物なんだよ。初めてドイツに行った時、エリックに貰った。それからこれで切っていたから愛着もあるし、これじゃないとしっくりこなくてね」
「ふうーん。私なら買い換えちゃうわ」
彼女の部屋を思い出す。トロフィーすらもゴミの山になっていて、ミニマリスト並みに物がなかった。彼女からすればトロフィーの量に価値はないのだろう。
「ひなの場合はそうだろう。トロフィーもゴミの山に刺さってたし幾つかは捨てたんじゃない?」
「昔のはね。大切なのはモノじゃなくて結果よ」
その回答に納得する。
「ひなっぽいな」
「私っぽいって何。わかった気にならないで」
頬をぷくりと膨らませる。
「ごめんって。そんなことより今日も俺と弾きに来たんだろう? 早く準備を——」
俺に目もくれず淡々とひなは呟いた。
「あなたに負けた2位の賞状……私捨ててないから」
「ひなに勝ったコンクールなんてあったかなあ」
そうして記憶を辿っていると、ふと思い当たる記憶にぶつかった。かつて、僕がヴァイオリンを始めたばかりの頃出たコンクール。その時、隣に並んだ赤いドレスが目立つ栗毛の少女。
その少女の姿がひなの姿と重なった。
勝ったことがあったんだ。
その記憶がひなとの距離を縮めた気がした。
「さあ、始めましょ」
音が重なった。
いつまでも捨てられないもの
0325。
携帯電話を持ち始めたのは高校生の時だ。そこからしばらくして、スマホになったわけだが。
携帯電話の時はそこまで多くなかったが、スマホになってからは、認証の機会が圧倒的に増えた。
3月25日。初スマホに変えた当時の、彼女の誕生日。付き合ってくれと言うと、いいよ、と答えてくれた。
その日に暗証番号を0325に変えた。
あれからかなりの時間が過ぎた。
あの人はどうしているのだろうか。もう顔もはっきりとは思い出せない。
暗証番号を変えないのは、別に未練があるわけではない。忘れっぽい僕は、アレもコレも0325にしていた。要するに変えるのが面倒で……。
けど、今日を機会に新しいものに変えてみようと思う。
いや、変えるって言葉じゃ甘いな。捨てよう。0325をきっぱりと捨てよう。ふつう、暗証番号は『捨てる』とは言わないんだろうけど。
でも捨てます。捨ててみせます。めんどくさがり屋の僕の何かが、変わるきっかけになればいいな。
『捨てる』という言葉に、ちょっとだけ期待を乗せてみた、夏の朝。
追記。
台風一過、朝日ますます燦々と輝く。
閉め切っていた窓を開け、空気を入れ替える。絶好の掃除日和なり。
ホコリを払い、要らない本、要らない服、要らない暗証番号を捨てる所存で御座候。
皆々様に置かれましても、良き朝日であらんことをお祈りして、残暑見舞いとさせていただきます。
推しのCD、グッズ、雑誌。
様々なジャンルの本。
きっといつまでたっても捨てられないのだと思う。
そして……この胸にひそかに抱いている、「女優」という夢も。
いつまでも捨てられないもの
目に見えるものでは
基本的にはあまりないけど
顔があるものは何となく捨てにくい
あと長く使ったもの
目に見えないものが難しい
感情とか考え方とか
捨てたいと思うものはたくさんあるのに
そういうものに限って
いつまでもいつまでも捨てられない
大事でもなんでもないのに
捨てた方が絶対ラクなのに
捨てたいと思う事が
その存在を強くして
結果どんどん捨てられなくなっていくんだろうなぁ
あぁ嫌だ
ねぇ
100歳の少女って居るでしょ?
ファンタジーやバトルの物語に出てくる
見た目は少女なのに
実は100年以上生きている
吸血鬼とか、天使とか、
わたしとか。
無茶苦茶な事が許されるの。
あたまの中さえ ずっと夢を見ていられるのなら。
30歳になろうと
40歳になろうと
100歳になろうと。
その先は、よくわからない
だってわたしは
16歳の少女だから。
きっと
人と同じ吸血鬼はこう思ったの。
わたしは吸血鬼だから
鏡にも映らないし
闇の深い夜にしか
人の世界に姿を現さないし
醜く衰えていく
この愛らしい素顔も
歳月は意味を成さないって。
そう思い込む事にした。
そう我慢する事にした。
そうしたら美少女は
美少女吸血鬼になっていた。
おしまい。
〝いつまでも捨てられないもの〟
お菓子の空き箱、出かけた時の買い物のレシート、
小学生の時友達がくれた鉛筆のキャップ、本の帯、
自分はやたら色んな物を残したがるタイプだと思う。
もしかしたら何かリメイクできるかもと思って使用済みの紙コップなど洗ってコレクションするし、トイレットペーパーの芯なんかも集めたくなる。ガチャガチャのカプセルとかも捨てられずにいる。
空き箱やカプセルを集めるまではまだ分かるけど、レシートは自分でも「はよ捨てろよ」と思ってる、財布パンパンになるし。
でもなんか、こういう人から見たらただのゴミでも自分的にはそれすら思い出の一部というか……
たまに取り出しては1人思い出に浸るのが好きで、ついつい大事に部屋の隅に眠らせてしまう。
空き箱などは「これは何に使えるかな〜」なんて想像するのが好きで、まぁ想像するだけなんだけど……そんなんだから部屋が物で埋まっていってしまう。
ある年の私の誕生日。
ショートメールで、
🎉♥︎ ᕼᗩᑭᑭY ᗷIᖇTᕼᗞᗩY ♥︎🎉が届いた。
送り主の名前もなく。
私の名前も入っていない。
もしかしたら送信ミスかもしれないな。
たまたま同じ日が誕生日かもしれない。
でも、届いてないなんて可哀想だし、教えてあげよう。
私は、「確かに本日、私は誕生日を迎えたのですが、あなたがどなたかわかりません。もし宛先を間違えて送信しているとしたら、届けたい方へ届いていないので、連絡さていただきました」
と、返信した。
「迫田です。間違えてないと思います。お誕生日おめでとうございます。やっと届けられたようで良かったです。」
さこた。。
1人しかいない。
記憶に留めておけないほど遠い別れ。
何故今頃?
そこから本人同士である事を確認した後、しばらくそのまま近況など話した。
当時好きだった音楽の話。最近はどんなLIVEに行ってるよとか。でも、私がどうしているかを語る事はあまりなく、聞くのみに偏った。
「、、、それにしても。何故今、誕生日おめでとうなど送ってきたの?」
「まず、どうしてもあなたの電話番号は消せなかった。実は毎年送らせて貰っていてあなたの電話番号がすでに変わってしまって届いてないのだろと思いつつ、あなたとやり取りした番号だから消せなかった。あなたに会いたい。会いたくてしかたない。」
やっぱり最後は会いたいって言うのか。。
私はまったくその気がないので、冷たく返す。
「懐かしさだけで会いたいと?それなら会わない方がいいですよ。私はもうあの頃の私では無いし、もうあなたのためにしてあげられるものは何も持ってませんから。」
「時が過ぎて、あの頃のままではないのはお互い様だよ。何かして欲しいなんて思ってない。ただずっとあなたに会いたかった』
やり取りの延長が、相手の猛烈な会いたいが激しくなった。私も会いたい!なんてなれば良かったのかな?逆にもっと冷めゆくばかりで、このままだとストーカーにもなりますし。。みたいな事まで言ってしまった。
時々、ふとした瞬間に、あの人は何故、あんなに激しく会いたがったのか?消せないアドレスだけではなく、懐かしさだけでもなく、何か精神的に困っていたのだろうか?助けを求められる手段は私だけだったのだろうか?
あれから8年経過して、あの日のやり取りからピタリと音信は途絶えたけれど、会いたい理由もそこそこに、いきなり突っぱねた事を後悔している。
もう少し、話を聞かなければいけなかったのではないか?と。
神経質なあの人が、元気でいてくれている事だけ切に願う。
未練がましいと人は言うかもしれない。
それでも愛の証だとおもう。
いつまでも捨てられない過去の記憶と滑稽さ、
それでも、たしかに今を作り上げたのは過去の君。
空をみていると雨が降ったり止んだり、晴れたり、まったくもって忙しない。
帰って来て、帰って来て、願っても、もう来ない。
白いカーテンは黄ばんでしまい、
雨の降る窓際で美しかったリングは埃をかぶり、
君にもらったシャツを着る。
サイズが少し合わなくなった。
でも、もう二度と得られないと思うと
いつまで経っても捨てられない。