『いつまでも捨てられないもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
子どもの頃、片時も手放せなかったタオルやいつも一緒にいたぬいぐるみ、といった類のものがあったという人は、意外と多いのではないだろうか。
私の場合は布団のシーツ。赤ん坊時代からの付き合いである。
物心ついた時は既に紐のように細長くなっており、子どもの頃はいつでもずっと握りしめていた。
名前は「チューチャン」。顔を埋めて息を吸い込むと、何とも言えない安心する匂いが心を満たすのだ。
紐のようになっていたとはいえ、元シーツのためそこそこ長さと大きさはある。
そのため、外泊する際は本体からちょっぴり分身を切り取って持って行ったりもした。
行く先々で私が失くしてくるものだから、少しずつ、少しずつ、チューチャンは短くなっていった。
出会いから干支3回りくらいは経った今、
すっかりシーツとしての面影は残っておらず、一見すればただの紐であり、布もずいぶん古くなったけれど、変わらず私のそばにある。
学校を卒業した時、一人暮らしを始めた時、就職が決まった時、捨ててしまう機会は幾度もあれど、なんとなくできなかった。
赤ん坊の頃から世話になってきたからだろうか。もはやお守りのようなものかもしれない。
そうして年甲斐もなく、1日の終わりにチューチャンを通して大きく息を吸い込む。
おやすみ、また明日。
突然にやってくる情景がある
未消化だった感情が顔を出す
ちいさなわたしが叫んでいる
ここから出してと伝えている
陽のあたる場所はあたたかい
ちいさなわたしを抱きしめる
伝えてる言葉に耳を澄ませて
重たい気持ちにはさよならを
持つか持たないか自由だけど
磁石みたいに引き寄せるから
ふわふわの肌触りのよいもの
幸せに包まれていよういつも
心の中は自分にしか見えない
もし揺れ動く時が来たのなら
見つめる絶好のチャンスです
『いつまでも捨てられないもの』
ソファ。うちにあった多分ニトリか何かで買った普通のソファ。随分と昔に買って、経年劣化により元々白かった見た目も段々とボロボロになってきて、皮みたいな布が床にポロポロ溢れたりした。それでもどうしても幼い私が捨てないでと駄々を捏ねて、上から毛布をかけたりして見栄えだけ誤魔化したりしていた。
私の家に、私よりずっと早くうちにいたソファ。いわば人生の先輩、姉のような、そんな心強さがあった。
家族はみんな捨てたがっていたけど、私だけはずっと嫌がって、私がソファを守ってやろうと思っていた。
最近、家がリフォームすることになった。
気づけばソファどころか、テレビも机もなくなっていた。
私は何も思わなかった。びっくりするくらい何も思えなかった。ソファと一緒に、心まで持って行かれた。そんなふうに思えた。
今度、薄緑の洒落たソファが届くらしい。
「いつまでも捨てられないもの」
いつまでも捨てられないものは、好きなキャラクターのぬいぐるみと友達からもらったお土産。
大切な物だから、いつまでも捨てられない。
これからも大切にするだろうなと私は自室のぬいぐるみとお土産を眺めて思う。
いつまでも捨てられないものがある。
それは貴方様への恋心。
貴方様とは小さな頃から御屋敷でそれはよく遊んでいた。
ばあやのつくるプリンを食べたり、お庭にある美しい花を生けたり、何をしても隣に居る大好きな人だった。
いつまでも続くと思っていた。だが、この思考はなんとあささかで、なんと愚弄な考えだったのだろうか。
人生の機転とは俄に来るもので、私はその機転を上手く曲がりきれなかった。
お互いが15の誕生日を迎えた時だった。
貴方様に婚約者ができた。それはそれは美しいお相手だった。
失ってから気づくものは尋常じゃないほどに大きくて当時は息が出来なくなるほど泣いた。どうして私じゃないのか、そう思ってしまう夜を何度明けたことか、。
時の流れは、はやいもので、貴方様には子供ができた。それはそれはお2人に似てすごく可愛らしい赤ん坊。
微笑んでる貴方様と奥様方は悔しいほどにお似合いだった。
けれどこのぬるい感情をいつまでも引きずってては、両親に上げる顔がない。
そして私は望まぬ子を産んだ。望んでなど微塵もしていなかったが悔しいほどに愛らしい。この子がもし貴方様との子だったらどんなに喜べたことか。
あぁ神よどうかこのような感情すら捨てきれない私を見逃してはくれぬだろうか。
いつまでも捨てられないもの
過去に好きだったもの…
今はもう…色褪せた気持ち
でも…
過去にしがみついている
気がする
もう…あの頃の気持ちには
戻れないのにね
捨てられない…捨てたくない
手元から離れていくことが
つらい…さみしい
胸が締め付けられる…
物には心があるの
ずっと一緒にいようね
今日バイトでイライラしたことがある。
応援を呼ぶと○○○さんが歩いてレジまで来る。
それがすごくイライラした。
だって、私はみんなに言われた。
「お客さん待たせる訳にはいかないでしょ?」って。
それなのに○○○さんは歩いてでもいいって言うの?
それとも皆が呆れて言わないだけ?
それをひたすら考えてた。
あと、話被せてくる人苦手だなって思った。
お会計の時に「○○円です」って私が言ってる時に、クレジットでとか被せてくるお客さん。
ねえ最後まで言わせて??って思ってしまう。
この人は人の話を最後まで聞かない人なんだな、
って私は捉えてしまった。
私の人柄が悪いってのもあるんだろうけど、相手も相手で配慮して欲しいなって思った今日この頃でした。
捨てられないものは、幼稚園の頃から持ってるトトロの人形。
小さい頃からトトロが好きで、数え切れないくらいトトロを見てきたからトトロそのものにも安心感があってお気に入り。
家族からは「何十年も持ってるから捨てなさい」なんて言われるけど私にとってはこの子も大事な家族。
目標。
テーマ:いつまでも捨てられないもの
希望を掴んで 巨星墜つ
写る貴方は言葉を紡ぐ
期待を孕んだその瞳
その寵愛を その眼差しを
私は瞳に映らない
追い越すはずが 君は遙けし
誇りは希望を与えし者に
私は平和の贄となる
過去の強きの代償に 未来永劫の落魄を
墜ちて尚 星芒衰えぬ憧れよ
嗚呼輝かしき未来を見据え
どうか少しだけ此処に居て
貴方の語る空言に倦む
雲知らぬ雨の降る星月夜
私は君の寄生虫 貴方にとっては塵芥
どうか夢寐にも忘れない
この気持ちだけは見逃して
お題【いつまでも捨てられないもの】
タイトル【笞】
:いつまでも捨てられないもの
「紛い者」
人差し指を僕に伸ばして彼女は言った。
「僕の、どこが?」
わけが分からなくて苛立った顔をしそうになったところ、無理矢理笑って歪な顔になった。
「僕が偽物だって言いたいのか?」
彼女は真っ直ぐ、ただ見詰めてくるだけ。
「なあ、なんとか言えよ」
一歩踏み出そうとしたが足が動かない。
「なあって、なんか言えよ、なんで言ってくれないんだ。なあ、なあって」
喉が痛いほど震えている。大きく息を吸っても細く頼りない声しか出てこなかった。
「なんとか」
目を見開いて、ただ僕は突っ立っている。
ピン、と伸ばされた指がゆるく折り曲げられた。彼女は一度頭を下げて、また前を向いた。微笑んでいた。懐かしむように、哀れむように、寂しそうに、慈しむように。
あいじょう? 違う。これは
「愛してるよ。愛している。私はアンタのことを愛している。だから言わないと」
貴方の涙はしょっぱいのかな、甘いのかなぁ、なんて、きっとどうでもいい……貴方への愛を抱いている。
「紛い者だ」
愛している。
「紛い者だよ」
愛している。
「私は貴方を手放すときが来た。捨てる日が来たんだ。いつまでも捨てられなかったものを、私はようやく手放す日が来たのだ」
いつの間にか貴方は随分背が高くなって、顔立ちも大人びて、声も変わっていた。そうか、もう、小さく蹲っている君ではないのか。僕はもう役目を果たしたのか。貴方に僕は、もう必要ないのか。
「そっか」
笑えていたらいいなぁ。
ドン、とぶつかってくる衝撃を受け止めて、ギュッと抱きしめた。
愛している。愛してる。僕は君を愛していた。本当は紛い者でも何でもよかった。何でもよかったんだ。柔らかい部分を守ることさえ出来れば、優しい君のことを守ることができれば、それが偽物でも貼り付けたものでも誰かの焼き直しでも、それでよかった。なのに「見捨てないで」なんて。できないんだよな。分かっている。
紛い者で良かった。だってその方が、なあ、見切りをつけられる。
僕は君を愛している。君の心臓の音を僕は知ってる。君の感触を僕は知ってる。愛している。
これは愛情じゃない。貴方のそれも、僕のこれも、愛情ではない。でも愛してるんだ。それは違いない。でも僕らはこれを愛情と言えるほど愛を知らない。
甘い涙の味。
苦いビターチョコレートケーキを好むアイツとは違う、貴方は甘い涙の味が好きなんだなぁ。
もう本当に、知らない貴方がいるんだね。
貴方に僕は必要ない。
愛している。
どうかこれから貴方が歩む先が幸せなものでありますように。
ただのキーホルダー。名前のイニシャルが入っているだけのただのキーホルダー。貴方があまりにも笑って選ぶから、特別な気持ちになって買ったもの。今はもう連絡もとらないし、数年会ってない。このキーホルダーを見るたびに、貴方の笑顔が脳裏によぎり捨てられない。いつまで経っても思い出が捨てられない。
#いつまでも捨てられない
いつまでも捨てられないものには理由がある。
私は貴方が捨てられない。
私が逢いたい時には逢えないのに
私が目を覚ますときには居ないのに
ベッドの上で愛してると言って
綺麗な夜景が見える部屋に
私だけ置いて出て行くのに
それでも恋しくて、愛しくて、欲しくて
貴方をずっといつまでも捨てられない。
貴方は私を捨てられない。
一生守ると誓った指輪がありながら
一緒に朝を迎える場所がありながら
ベッドの上で愛してるとさえ言えば、
綺麗な夜景が見える部屋があれば
我儘を言わないおもちゃだから
貴方は私を捨てられない。
ねぇ、私達いつまでも捨てられないね。
「いつまでも捨てられないもの」
断捨離が苦手だ。
捨てられないのは、購入した小物を包んでいたプチプチ、アパレルショップのしっかりとしたビニールの袋や紙の手提げ袋、固まりかけたマニキュア、買ったものの渡せずじまいのどこかの観光地のおみやげ、子供が小さい頃に映画館で買った妖怪ウォッチのポップコーンケース。きりがないから書かないけど、まだまだあるよ。
ごく稀にやる気が出たときに思い切ってまとめて捨てたりもするが、捨てた直後に必要になり、ああしまったこの前捨てたばかりだと頭を抱えたりする。
取捨選択がヘタなのだと思う。
捨てられないのは物でもあり、思い出でもあると感じる。もういい。思い切って捨ててあとから後悔するぐらいなら私は思い出に囲まれて生きるよ。
他人から見たらなんの価値もないものが、自分にとってはかけがえのないものだったりすることもあるしだな。
という言い訳をしつつ、今日もカバンの中から無限に湧き出るレシートをデロデロと引き出しては丸めている。
詩(お題)
『いつまでも捨てられないもの』
いつまでも捨てられないもの
それは自分かな
諦めれば楽になれるのに
やっぱ夢見てる
いつまでも捨てられないもの
それは希望かな
結局はその他の大勢だ
なのに、大事なんだ
いつまでも捨てられないもの
それは明日かな
いつの日かやって来なくなる
だけど信じたい
出会ったあの日、
可愛いなって。
友達になれたあの日、
楽しいなって。
恋人になれたあの日、
幸せだなって。
別れたあの日から、
忘れられないなって。
君への感情がいつまで経っても
消えなくて困ってるよ。
【いつまでも捨てられないもの】
14歳
中学時代に好きになったものは
その人が大人になっても
心の中に残る淡い夢だと思っている
捨てなくてもいいんだよ
生きている希望だから
今までのあれこれを詰めたゴミ袋
捨てるのに金が掛かるとは面倒だ
誰かこいつを貰ってくれないか
サンタクロースみたいに肩にぶら下げて
徒に使う 無駄にしぶとい
くたばる寸前の人が欲しがっているでしょう
「いつまでも捨てられないもの」
彼に言いたいこと。
部屋を片付けていたら懐かしいものが出てきた。
それはあなたに貰ったものだった。
当時、別れたあと捨てるつもりだった。
でも捨てることが出来なかった。
彼がまだ好きだったから。
新しい彼ができても、あなたの事を忘れることが出来ず、いつまでも貰ったものを捨てられなかった。
それくらいあなたのことを思っていたのに......。
掃除している今で
捨てられるようにしたい。
今の彼に申し訳ないし、あなたを忘れられるチャンスだと思うから.........。
久方ぶりに帰った実家。
小さい頃から使っていた部屋に入って片付けを始める。
中学や高校の制服、教科書
本棚に入りきらない漫画と小説
わがままを言って貰った父の形見のラジカセ
昔好きだったゲームや好きなアーティストのCD
大好きな部活の先輩から卒業式に貰った造花の花束
子供の頃にクレーンゲームでとったたくさんのぬいぐるみ
初めてのバイト代で買ったノートパソコン
推しのライブチケットとたくさんのチェキ
たくさんの思い出とわたしの青春を詰め込んだ部屋
家出した時から何も変わっていない部屋
脱ぎっぱなしのパジャマも
飲みかけのアイスココアも
溢れかえったゴミ箱も
いろんな種類のお菓子が入った箱も
全部全部、あの日から時間が止まってしまったかのようにそのまま
家出した日、まさか母も姉も弟もみんな強盗に殺されちゃうなんて思いもしなかった。
ここに帰らなければ、いつまでも現実を見なければ、今もまだここで3人が暮らしているんだって思い込めた。
先日祖母がこの家を売るから必要なものを取りに来るように言った。
だからわたしは重たい腰を上げてここに戻ってきたけど、やっぱり来なければよかった。
この部屋にあるものは別にどうでもいい。けどこの家にある母の部屋も姉の部屋も弟の部屋も父の仏壇も、何もかも、わたしは捨ててほしくない。
いつまでも、捨てないでこのまま取っておいてほしい
そう、願ってしまうのだ
お題「いつまでも捨てられないもの」