いつまでも捨てられないものがある。
それは貴方様への恋心。
貴方様とは小さな頃から御屋敷でそれはよく遊んでいた。
ばあやのつくるプリンを食べたり、お庭にある美しい花を生けたり、何をしても隣に居る大好きな人だった。
いつまでも続くと思っていた。だが、この思考はなんとあささかで、なんと愚弄な考えだったのだろうか。
人生の機転とは俄に来るもので、私はその機転を上手く曲がりきれなかった。
お互いが15の誕生日を迎えた時だった。
貴方様に婚約者ができた。それはそれは美しいお相手だった。
失ってから気づくものは尋常じゃないほどに大きくて当時は息が出来なくなるほど泣いた。どうして私じゃないのか、そう思ってしまう夜を何度明けたことか、。
時の流れは、はやいもので、貴方様には子供ができた。それはそれはお2人に似てすごく可愛らしい赤ん坊。
微笑んでる貴方様と奥様方は悔しいほどにお似合いだった。
けれどこのぬるい感情をいつまでも引きずってては、両親に上げる顔がない。
そして私は望まぬ子を産んだ。望んでなど微塵もしていなかったが悔しいほどに愛らしい。この子がもし貴方様との子だったらどんなに喜べたことか。
あぁ神よどうかこのような感情すら捨てきれない私を見逃してはくれぬだろうか。
8/17/2024, 6:32:25 PM