『いつまでも捨てられないもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕には夢がある。それは小学生の頃からだ。
なぜその夢を持ったのか、そんなことは、今では分からない。なぜこの夢を追い続けているのかも分からない。
きっと、あの頃は"それ"が輝いて見えたんだと思う。
高校生になった今でも、その夢を追い続けている。
追い続けている理由は、もう分からない。
だけど、
この夢を諦めてしまったら、
過去の自分を裏切ってしまうことになる。
そう思った。だから、この「夢」は捨てられない。
そして、もう1つ、捨てられないものがある。
「憧れ」だ。
【いつまでも捨てられないもの】
部屋の片隅に落ちていた
何に使われていたのかも知らない
小さな螺子
それは何か大切な一部に思えて
いつまでも捨てられない
「…暑い」
いつからこの国はエアコンが効かない灼熱地獄になったんだろ?
ダルいし、推しの顔を見てから起きよう…
「…確かこの辺にあったはず」
自分の部屋だし、どこになにがあるかくらいわかってる。
「あった!!」
凌央くんの笑顔は、ここが灼熱地獄であることを忘れさせてくれる。
「なにか足りない…」
そうだ、やっぱり声を聞かせてもらわないと♪
枕元のスマホでもいいけど、大きい画面で見たいと思った私はタブレットを探す。
…あった…
凌央くんがおはようって話しかけてくる。
軽やかで澄んだ声は涼しい高原に私を連れて行ってくれるようだ。
「いつまでゴロゴロしてんの!早く自分の部屋片づけなさい!コレじゃゴミ屋敷でしょ」
「だって、いつまでも捨てられないんだもの!凌央くんのグッズは私の宝物なんだから」
いつまでも捨てられないもの?
「ないよ」
僕は今までも、
これからも、
そんなものはないと言い切れる
「えっお前の部屋なんもないじゃん!?」
「もう使わないものは片っ端から捨ててるから、
絶対部屋は散らからない。」
「ベッドとかないの?」
「ない、床でいい。夏だし。」
「冬は?」
「寝袋。」
「うわぁ不健康」
「必要なものはその場その場で買い足す、
それで十分。」
「冬服とかは今はどっかに仕舞ってるの?」
「ないよ。」
「捨てたのか」
「寄付した」
「偉」
「新品同然だし、寄付したほうが効率的」
「絶対残してたほうが経済的にも効率的にもいいだろ笑。その変なこだわりなんだよ笑」
「そうしたいからそうしてるだけ。」
「捨てられないこだわりってやつ?」
「そんなんじゃ……ないよ。」
お揃いのマグカップとパーカー
一緒に過ごした記憶。
8/17 「いつまでも捨てられないもの」
人には優劣があるという考え方が捨てられない。
口では学歴や年収は関係ないと言いながら、
それらが高い人には劣等感を感じるし、
低い人からミスを指摘されるとイラッとしてしまう。
自分、優生思想の奴隷かよ。情けないなあ。
いつまでも捨てられないもの、を捨てることが出来るようになり、では次はどこへ行こうかということになる。重く。ただ重く。動くには重く。そういうものを捨てられたので、あなたはどこへでも行っても良い。
─── いつまでも捨てられないもの ───
それが何なのか僕にはわからない
知りたいとも思わないし
無理に話さなくてもいいよ
君にとってそれは
大切なものかもしれない
手放すべきものなのかもしれない
それを自覚できないからつらいのかな
自覚していても同じくつらいだろう
でもそれでいいんじゃない
1秒前までの過去の君で
今のこれからの君なんだから
文化祭、
大好きな先輩が投げたピック
だいぶ削れていて使えないけど
いつも手元に置いてある
いつまでも捨てられないもの
本当は捨てたいこの気持ち
捨てきれないこの気持ち
別れた彼氏のことを思う気持ち
絶交した友達のことを思う気持ち
捨てたくても捨てられない
いつまでも捨てられない
「いつまでも捨てられないもの」
小さい頃に集めたミニチュア
久しぶりに押し入れから発掘すると、小さい頃よりも夢中になって眺めてしまう。
現実にあるものが、小さな模型となって自分の手のひらに収まってしまう。
それだけですごく特別感があるのだ。
手放そうと思っても、なぜか手放せないのだ。
そしてまた、押し入れに逆戻り。
いつまでも捨てられないもの
あなたへの気持ち
捨ててしまえば
楽になれるのに
わかってるのに
捨てきれない
still
一番最初に浮かんだのは
昔の彼との交換日記だったり、誕生日に
彼からもらったアクセサリーだったり…
でっ、書きながらなんか違うなぁ〜
なんて、ふと考えが変わった…
アクセサリーが捨てられないのは
まだ、使えそう…位な感じだし
交換日記は、先々読んだら当時を振り返って面白そうだから…で置いてるだけ
「いつまでも捨てられない物」って
そんなあっさりした理由なんだけど…
よ〜く考えてみると、もっと深くて
実際は手に触れる物とかじゃなくて
それは、「者」人なんじゃないかって…
心の奥底に刻まれた人との記憶って
忘れたようにみえて突然何かのきっかけで
思い出したりして、すごく切なくなったりそれが大好きな人だったり、大切な人
だったりすると尚更な気がした…
捨てたくても捨てられない
自分の人生と一緒に頭の片隅に生き続け
ている「者=人」が誰しも1人や2人
いるんじゃないだろうか…
いつまでも捨てられないもの
何だろう
昔から着ている洋服
昔遊んだおもちゃ
靴
何か昔から馴染みのあるやつは捨てられないよね
#06 いつまでも捨てられないもの
3月、厳しい冬の寒さも和らぎ
陽の光も暖かくなってくるこの時期。
僕は新生活を始めるための準備をしていた。
都内の大学に受かって念願の一人暮らしが始まる
ワクワクとドキドキで今にも張り裂けそうだったが
荷造りを楽しんでいることに違いは無い。
そんなとき、あるものを見つけた
「くまちゃんだ」
幼稚園に入る前、人見知りで寂しがり屋の僕に
おばあちゃんがくれたお友達。
こんなところにあったんだ。
と思いながら、大切に手に取った。
埃まみれで色素もだいぶ落ちてきていたくまちゃん
捨てようかとも思ったけど、これだけは捨てられなかった。
だって、おばあちゃんが作ってくれているのを
当時の僕は知っていたから。
久しぶりの手芸で手に怪我をしながらも
僕のために作ってくれてたから。
寂しい時、楽しい時、お母さんに叱られたとき。
どこに行くにも
このくまちゃんは僕に味方してくれた。
捨てられるはずもなく、
洗濯して新居に連れていくことにした。
この選択をしたことに僕はふとこう思った。
寂しがり屋であること、おばあちゃんが大好きだということ、そしてこれらの思い出という宝物はいつまでも捨てられないものなんだ。
しぐれ
テーマ「いつまでも捨てられないもの」
自分はいつまでも捨てられない
もし捨ててしまう時があったら
誰かにあげてみよう
読みかけの本を思い出した。
君がオススメしたたぬきやら妖怪が出てくる現代ファンタジーの小説。重なった任務や雑務、更には盆に合わさりぞろぞろとお出まししたお客様ども。
お前と僕たちが同じならば、ものは物らしく人間に使われ愛せよ乙女、小さな幸せよ、僕らに降りかかれと密かに思うのが本能ではないか。
…こいつも、いつかこうしてお盆の時期に大目玉と一緒に僕と戦う日がいつか来てしまうのだろうか、それは、困ったな、君が折ってくれた折り紙の桔梗はそっとまだ、本に挟んだままにしておく。
「いつまでも捨てられないもの」
僕は基本的に不必要な物は捨てます。
しかし,「手紙」だけはなかなか捨てられません。
もう,会う事はない方々から頂いた物は,
大切に缶にしまってあります。
捨ててもよいと思うのですが……。
「いつまでも捨てられないもの」
押し入れを片付けてたら、懐かしいものがホコリと共に出てきた。
どうやら 友達とのやり取りの手紙らしい。
一枚 一枚 ゆっくり読み返していくと温かい何かがが心に染みる。
いつかは、この手紙も捨ててしまうのかもしれないけど
私の心なかにいつまでも残るだろう
いつまでも捨てられないものがある。
心情で、という話ではない。本当に、捨てられない。
ソレを見つけたのは、台所の戸棚の中だった。
水道の調子が悪く、素人心で水道管を見てみようと普段あまり使うことのない戸棚を開いて確認していると、奥になにか光るものを見つけて、手に取ってみた。
指輪、だった。
よくあるシンプルなシルバーリング。
真新しく見えるのに、表面の所にわかりやすく傷が付いている。
「なんだこれ」
見覚えはない。引っ越してきてからもう随分経つが、前の住居人の忘れ物、だろうか。
指輪なんて感情の籠もりそうな他人の物なんてあまり持っていたくない。
その日のうちに、燃えないゴミと一緒に捨てた。
はずだった。
「…あれ?」
また、指輪を見つけた。今度はベッドの下で。
傷が付いているその指輪は、昨日見たものと同じ物のように見える。
捨てたはずだが、袋からこぼれでもしたか。
不思議に思ったが、ゴミ袋にやぶけなどないか確認して、もう一度ゴミ捨て場に持っていった。
次の日も、指輪があった。洗面台の棚の中。
自分は昨日確実に捨てたはずだ。
同じ物が2つあった?しかし傷は同じ位置に同じ向きで付いている。同じ物としか思えない。
ではなぜこんなところに。……戻ってきている?
そんな馬鹿な、気のせいだろう。
なんにせよこんなところに中古品の指輪があるのが見つかったら、彼女に変な勘違いをされてしまう。
ただでなくても最近会えていないのだ、最後に会ったのはいつだったか。
苛立ちと共にゴミ箱に追いやった。
しかし、家に帰るとまた、指輪が戻っていた。
備え付けではない、自分が買って設置した冷蔵庫のチルド室に。
さすがに気味が悪くなってきて、その場で窓から投げ捨てた。
そのはずなのに。
その次の日も、次の日も、次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も、指輪は戻ってきた。
なぜ。
気持ちが悪い。
こわい。
今まで居心地の良かった自分の家が、得体のしれない場所になってしまったように感じる。
「…そうか!」
そうだ、きっとこの場所がいけないのだ。
ひとまずここにいたくなくて、いつも通り不気味な指輪を投げ捨ててから、外出し、漫画喫茶で夜を明かすことにした。
狭い個室スペースに閉じ籠もり、鍵を掛け、スナック菓子にペットボトル、マンガで城壁を作ったら、指輪のことなんて忘れてしまえるはずだ。
気になっていた映画を見るためヘッドホンを付けて、世界を遮断した。
気付くとモニターが真っ暗になっている。眠ってしまっていたらしい。
今は何時だろうか。机の上に置いておいたはずの携帯電話を手で探ると、カツンと何かに当たる。
携帯ではない。しかし、この感触を知っている。それも最近。
冷えた円状の金属。輪を乱すような凹凸の跡。
あの指輪だ。
「ヒッ…!?」
なんで、どうしてここに、なんで、ここは家じゃない。
なのになぜ、とパニックになるかたわら、脳の冷静な部分が囁く。
お前に着いてきたのだと。
「……それで、ぼくに相談に来た、と?」
「そうだ、君、こういうのに強いんだろう?助けてくれよ!」
大きな瞳を丸める少女―に見紛う少年、いや、同じ大学生のはずだから青年と言った方が正しいか―はきょとんとまばたきをしている。
「前聞いたんだよ、うちの大学のピンク頭の可愛い子がオカルトに強くて、他の奴の悩み解決したこともあるって!君の事だろ?」
「うーん…ピンクの髪ってだけじゃなくぅ、かわいいとまで来たらぁ十中八九ぼくのことだろうね!」
えっへん、と言って腰に手を当てている青年に、例の指輪を見せる。
もう触りたくなくて、そこらにあった紙に包んで持ってきた。
「なぁ、これって呪われてるとかそういうやつだろ!?」
「うん、まぁ、呪いだね?」
歯切れが良くないのが少し気になるが、藁にでも縋る思いで彼に詰め寄る。
「これどうにかしてくれよ!もう頭がおかしくなりそうで…」
「どうにか…って言ってもなぁ…」
「なぁこれ、引き取ってくれないか?」
「えっ!?もらっちゃっていいのお?!」
最初に声を掛けた時と同じく、驚いた顔をしている。
「もう持っていなくない、二度と見たくない」
「…へえ?じゃあもらったら、何してもいいってこと?」
一瞬、躊躇う気持ちが生まれたのはなぜか。
彼の目が、猛禽類のように見えたからだろうか。
「…あ、あぁ、俺の所に二度と戻って来ないなら何でもいい」
「わーい!じゃあ、約束ね?」
鋭い嘴も爪も持ち合わせていないふわふわとした顔で彼は笑った。
帰ってきてから一晩経ち、家中くまなく探したが、例の指輪は見つからなかった。
持ち主は、彼に移ったのだ。
安堵から玄関の横で座り込む。
「はぁ…よかった…」
今度会ったらお礼をしなくては。あまりに焦っていたので、名前すら聞いていなかった。
噂をしていた奴に確認してみるか、とポケットの中の携帯電話を取り出そうとした時だった。
パリン、と何かが割れた音がした。
薄い飴細工が砕けた、ような。
「わーほんとに罠でもなんでもなかったんだねえ?」
「なん、で」
いつの間にか、玄関の外に桃色の髪の青年が立っていた。
「生前の記憶を中途半端に残してるにしても、祓除する側に自分の核渡してくる呪霊ってどんな罠ぁ?って思ったけどぉ」
その手には、何片にも砕けたあの指輪があった。
「一番大切な記憶がないと、こんな展開になっちゃうのかな?…いやでもやっぱりレアケースすぎるでしょお」
彼は何を、なにを言っているのかわからない。
生前?
記憶がない?
どういう意味だ。
彼に近付こうとしたが、己の足も、口も、喉も、なかった。
「 」
どうして。
それだけが頭を巡る中、あの指輪の欠片に残る傷跡を見て、思い出した。
あぁ、そうだ、それは彼女が
「…消えたね、痕跡とかも…なし!消滅かくにーん!任務かんりょー!
それにしても変なおばけちゃんだったなー…やっぱり指輪がキーかな?持って帰ってもっとちゃんと調べてもらおーっと」
鞄から布袋を取り出し、指輪の欠片たちを流し込む。
青年が手をかざすと、ぶつかり合って鳴っていた小さな金属音が消える。
そして、さっきの出来事など忘れたかのように振り返りもせず、桃色はその場から消え去った。
【いつまでも捨てられないもの】