『あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
しとしとしとしと。
降る雨が花や葉に当たり、優しい音を奏でる。
そこに二人の足音が加わった。
今日は花見に来た。雨とともに見ると良いと思う花見に。
両端には色とりどりの紫陽花が連なっている。
少し途切れてはまた見事な紫陽花たち。
「足元、気をつけてね」
ぬかるみを渡った後、青年が恋人に手を差し伸べた。
「はい、ありがとうございます」
彼女は嬉しそうに微笑んで、青年の手を取って、ゆっくりとぬかるみを超える。
彼女は、そのまま後ろを振り返ると、先程まで歩いていた紫陽花の道が連なっていた。
しとしとしとしと。
動かない彼女を怪訝に思い、離さなかった手に力を込める。それに気がついた恋人は振り返った。
「雨が降ると低気圧で、頭痛くなるんですけれど……」
「うん」
彼の声を聞いた後、彼女は再び言葉を止める。
しとしとしとしと。
「雨の音が音楽みたいで、安心感がありますね」
ここで言葉を返すのは無粋かな。そう思った青年は、恋人の手を握って、しばらく紫陽花と雨が奏でる音楽と、その景色を堪能した。
おわり
お題:あじさい
薄紅色のキミに
そっと傘を差す
相合傘だね
なんて微笑みかけると
そっと陽射しが顔をだした
雨粒の化粧で艷めくキミに
お嬢さんまたの機会がございましたら
お相手願いますねと
手を振り歩き出す
隣の家の庭にあじさいが咲いている。雨降ってテンションの上がらない梅雨を楽しめる花だ。
日々忙しなく動いてきてそろそろ疲れが溜まる頃、そもそも湿度で不快指数が上がる日々。仕事は増えるし祝日は無いそんな日々が続く。ポジティブなことを書いてきた私も疲れが溜まってきて日々失敗が増えてきた。なんならここ最近は自分語りばかりが増えて最高に良くない。自分語りするなら壁打ちしてるべきだろうに。
メンタルが弱った時こそ筋トレをすべきとの意見を見つけた。筋トレのモチベも下がってきたところだ。なにか筋トレもしつつ自分も楽しめる何かを探して動画サイトの奥地へ向かった。結果、推しのリングフィットアドベンチャーを見ながら筋トレをすることにした。走ってる時はとか、フィットバトルでスクワットしてる間はとか、区切ってプランクをしたり、一緒にスクワットしたりしている。私の推しが基本的に体力に自信があるからか負荷をしっかりめにしているのもあってパワーを感じられて良い。
精神面が落ち着いているとは言いきれないがいろんなことをしたフィードバックが来たと思って回復しつつ次のプランを考えることにする。夏にやりたいことをいい加減決めないといけないからね。
……あ、また自分語りしてしまった。
あじさい
少しずつ衣装替えをする
お洒落で移り気な装飾花
雨降りの歩道
色とりどりの団欒
僕はあなたに
白いあじさいを贈る
紫陽花の花びらだと思っていたところが、実は葉っぱだということを彼は教えてくれた。
私は、彼のそういうところが好きだ。
彼は、老若男女問わず人気のアイドルである。
同世代にも関わらず、どこか古風な言動とそれに合った名前である。
一方で、ギターを弾き、ジージャンや革ジャン好む一面もある。
私が想像するTHE 漢といった男である。
そんな彼がある日、ファンに向けたブログで書いていた内容が紫陽花の花の話であった。
私の身近にいる男性はあまり花に興味がないため、自然と「男の人は花に興味がない」という偏見を持っていた。
だからこそ、彼が花のことを書いていて驚いた。
いや、彼は以前から花について触れることがあった。
とあるラジオで、祝いの花を彼が貰った際に、当時の季節ではあまり手に入らない花が花束に入っていたことに気付いて、
「これ、今ではあまり出回ってないんだよ!?」
と言っていた。
何気ない彼からの一言に、私は胸の奥をぎゅっと掴まれた気がした。
その頃、偶然にも、私自身も花束を購入しており、入れて欲しい色があるとお願いをしたが「今、市場で出回っていないので入れられません」と断られてしまっていたから尚更、彼の気付きに感動したのかもしれない。
些細な出来事であるが、私が彼を好きな理由がこういう所にあるのだと改めて感じた瞬間である。
きっと、私はこれから、紫陽花を見るたびに彼の言葉を思い出し、その度に彼をより好きになるのだろう。
紫陽花は、青が辛抱強い感情、ピンクが元気な女性、白が寛容と色によって花言葉がある。
そんな、色によって違う顔を見せるような人になりたいな〜
「あじさい」
(2024/06/13 19:51:29)
あじさい
子供の頃あじさいの色合いが好きという理由で
交換ノートのペンネームを「紫陽花」にしていたのだが
画数が多いことが嫌になり「あじさい」になり
あだ名が「あじ」になり
最終的に文字を書くことも面倒になり魚を描いていた
同じ理由で愛猫の「ミケランジェロ」も
「ミケ」になり「ミー」「ミーさん」「殿下」「殿」
などと原型がなくなっていった
しかもシャム猫
今日は良い事も悪い事もあった
日記として全部書き残しても良いのだが、この名前達のように
こだわりがあったはずなのに、姿を変え圧縮され
親しまれるようになっていくのだろう
いや親しみというとちと違うか
血肉?生臭い言葉しか思いつかん
紫陽花ってそういえば死体が埋まってると色を変えるんだよな
たしか青色に……
周りを見渡す 一面の青い紫陽花
一面に死体があるかもしれねえ
ないです
おわり
紫陽花は漢字に紫が入っている。
でも紫らしい紫の紫陽花を見る機会は中々ない。
ピンクに近い赤の紫陽花は僕のことを応援してくれるぽんぽんのようで素敵だ。
青色の紫陽花は晴れの日の空が地面に落っこちてきたようでこれまた素敵だ。
紫陽花には花という字も入っている。
でも、僕らが綺麗綺麗と言っている紫陽花は花の萼(がく)と呼ばれる部分だ。
紫陽花は服でも褒めてもらっているような気分なんだろうか?
「君もなかなか素敵じゃん。」
夕暮れの空のような紫色の紫陽花に笑いかけたら、雫がころりと葉っぱを転がっていった。
『あじさい』
紫陽花の花が咲く頃、
君たちは何をしているかな?
頑張りすぎじゃない?
心は疲れてない?
たまには休むことも大切だよ。
紫陽花の花でも見て、
心を休ませてあげてね。
あじさい
紫陽花の花の色は決まっていない。
赤、青、ピンク、水色、紫、薄紫、白。
他にもあったっけ?わからない。
梅雨の季節、道端を彩っている。
私は白系だけどよく見るとピンクと水色と薄紫が混じっているのが好きだ。
優しい色だから。
もちろん他のもきれいだけどね。
「あ、この家の紫陽花も咲き出した。」
どこの紫陽花が咲き始めたか見ながら歩く。
ここのは白。
ここのはたくさん混在してる。
今日も紫陽花は梅雨の時期を楽しませてくれる。
あじさい
雨に濡れる花が初夏の始まりを告げる
傘を閉じ、見上げた空は透き通った青
差す光に導かれて
街も、私の暮らしもうつろっていく
久しぶりに通った道は
いつの間にかあちこちが空き地になっていて
ところどころ
新しい建物が建つお知らせ看板が立っている
あのころ君と歩いたこの道
その時のおもかげはもう残っていない
その時の気持ちも
もう私には残っていない
街並みも環境もうつろっていく
人の心もうつろいゆくものだ
振り返らない私のうしろで
変わらないあじさいの花だけが
泣いているように雫をこぼしていた
あじさいは綺麗なのに毒がある
人間は見た目も良くなく毒もある
あじさい
色とりどりのあじさいがある。
子供達はあじさいの美しさになど目もくれず、カタツムリを探している。
私もたまには幼心に返ってみようか。
あじさい
ハート型の紫陽花がよく話題になっている。
普通に咲いてるだけで充分きれいなのに。
君はその身体を濡らす。
そして。僕を誘う。
僕のこころの空白を埋める。
毎日、見る度にすがたを変える。
とても、可憐で、綺麗で。
次の月にはもういなかった。
そんな紫陽花。浮ついた気持ち。
最近、通り道にあじさいの花が咲き始めた。もうすぐ雨の多い、ジメジメした季節がやってくると思うと少し憂鬱になる。しかし、彼は雨の季節が好きらしく、私とは対照的にワクワクしている様子だ。
「あなたはなぜ雨が好きなの?」
「うーん、静かに過ごせるからですかね。それに、あじさいの花が綺麗ですから…」
そう言って、彼は道端に咲いていた青や紫のあじさいを指さした。それを見て、私は少しモヤモヤした気持ちになる。
「あじさいの花言葉って知ってる?移り気とか、浮気とか、あまりいい意味がないんだよね…」
こんなに綺麗なのにね、と落ち込んだ表情で言うと、彼はああ、なるほどと頷きながらも、すぐにこう返した。
「では、白いあじさいの花言葉を知っていますか?どの色にも染まらないことから、一途な愛情という意味があるんですよ」
彼の返しに私は驚いた。確かに、彼は昔から私の事を一途に想ってくれている。雨が好きなことと、一途に想ってくれることから、彼には白いあじさいが似合うと思った。
テーマ「あじさい」
あじさい
貴方が紫陽花の種を植えていた。
ご丁寧に卵の殻を細かくしたものまで撒いて、
私に似合う花だろう?なんて笑っている。
「ばーか、貴方に似合うのはせいぜいシャスタデイジーだろ」
「何だそれ、初めて聞いたぞ」
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「ねえ、」
『小説同好会』と記された部屋で、二人の人間が向かい合って座っている。
片方の男はスマートフォンを弄りながら、
もう片方の女は作文用紙で顔を仰ぎながら。
女は先程の声掛けに反応しない男に溜息を付きながら言った。
「この花わかる人居ないだろ」
男は女の方に視線を向けて言った。
「調べれば良いだろ」
【あじさい】
あじさいは、色んな色があり、綺麗だ。可憐な色、涼しげな色、濃い色…と、どれも思わず見惚れてしまう程に綺麗だ。だが、あじさいには毒がある。それは、まるで人間が毒を吐くのと一緒だと思った。でも、何か違う…なんだ…一緒だと思うのに、心が否定する。
ああ、そうか。あじさいには、毒があるが、それとは反対に見とれてしまう程綺麗な色を持っている。人間はそんな綺麗な色など持っていない。
あじさいは、毒があるが、それは綺麗な色を利用して、人を惹き付ける理由にしてうまく使っている。毒は、悪い毒じゃないんだ。
あじさいの毒は、人を惹き付けるのだ。
【あじさい】
あじさいは綺麗だ。可憐な色、濃い色、涼し気な色…どれも見惚れる程綺麗だ。だが、あじさいには毒がある。私はそれを知ってこう思った。「表と裏」人間には表と裏がある。それは、表ではいい面をしていて、裏では毒を吐いている。というようなものだ。まるで、あじさいだと思った。でも、何かが違う。何か一つが引っかかる。それはなんだろう。
ああ、やっと分かった。あじさいは、見惚れてしまう程綺麗な色を持っている。だが、人間は毒を吐くだけで綺麗な色には染まらない。だから、違ったんだ。
あじさいが咲いている所を見てしまえば、まるで人間の恋のように見惚れる。それが、あじさいの人を惹きつける魅力なのだ。