木弓るん

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あじさい

雨に濡れる花が初夏の始まりを告げる
傘を閉じ、見上げた空は透き通った青
差す光に導かれて
街も、私の暮らしもうつろっていく

久しぶりに通った道は
いつの間にかあちこちが空き地になっていて
ところどころ
新しい建物が建つお知らせ看板が立っている

あのころ君と歩いたこの道
その時のおもかげはもう残っていない
その時の気持ちも
もう私には残っていない

街並みも環境もうつろっていく
人の心もうつろいゆくものだ
振り返らない私のうしろで
変わらないあじさいの花だけが
泣いているように雫をこぼしていた

6/13/2024, 10:43:11 AM