シリーズもの 2/10

Open App

あじさい

貴方が紫陽花の種を植えていた。
ご丁寧に卵の殻を細かくしたものまで撒いて、
私に似合う花だろう?なんて笑っている。

「ばーか、貴方に似合うのはせいぜいシャスタデイジーだろ」
「何だそれ、初めて聞いたぞ」

────────────────────────

「ねえ、」

『小説同好会』と記された部屋で、二人の人間が向かい合って座っている。
片方の男はスマートフォンを弄りながら、
もう片方の女は作文用紙で顔を仰ぎながら。

女は先程の声掛けに反応しない男に溜息を付きながら言った。

「この花わかる人居ないだろ」

男は女の方に視線を向けて言った。

「調べれば良いだろ」

6/13/2024, 10:36:54 AM