『あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
かたつむりの巻き方って、
種類にもよるし、地域特性もある、らしい
(かじり読みしただけなので、記憶が定かでない)。
唐突にこんな話を持ち出すのはなぜか。
ゴジラの如く東京湾から現れた、
巨大巻き貝を見たからである。
リポーターがかしましく喋っている内容なんて、
現実味がなさすぎて全く頭に入ってこないのだ。
そうして、いくつかの建物と、めっきり歯が立たない特殊車両を押し潰した動く山からにょきりと触手のようなものが生えてきて、先端が黒っぽくて、それから四本あって。
専門家が、難しい学名を話しているようだが、あれはどう見てもカタツムリである。
イラストで紫陽花の上に描かれることの多い、半陸生の軟体動物。
ふつりとテレビの画面が消える。
部屋の電気も消えた。
重たい工事現場のような音が響いてくる。
空が青い。
左巻きって、めずらしいんだっ
あじさい
「土によって変わるんだって」
「……何が?」
「もー、ちゃんと話聞いてよー」
放課後の教室で、居残りをしながらその声をBGM代わりにしていたら、少しだけ怒ったような声で返された。
「ごめん、ごめん。で、何の話だっけ?」
「はぁ。だから、あじさいの話」
「あじさい?」
「そう。花の色がさ、育つ土の酸度によって変わるんだって」
ふーん、と相づちを打てば、目の前に座る彼女は外を眺めながら続ける。
「なんかさ、羨ましいなって思って」
「なんで?」
「だってさ、その酸度ならこの色って決まってるんだよ。何になるか決まってた方がいいじゃん」
「……でも、その色にしかなれないんだよ? たとえ、別の色になりたくても、そういう運命だって受け入れなきゃいけない。だったら、私はあじさいじゃなくて、よかったなって思う」
視線を机の上に向けると、そこにはまだ真っ白なままの進路希望調査と書かれた紙があった。
決まりきった道を歩くのはきっと難しくはないだろうけど、退屈で、それでいて何気に苦労するのだろう。
だったら、自分で決めた道を自分なりに進んでいく方が、きっと何倍もいい。置かれた場所で咲くよりも、好きな場所で、好きな色で、好きなように咲けたら、いい。
モノクロ
あなたの顔色を見て気づく
今日の私はアルカリ性
そういうあなたもきっとそう
わたしの顔もじんわりと、赤
※あじさい
花屋の前を、通ると
満開に花開いた紫陽花の鉢植えが
値下げされて、売られていた。
いま、1番美しい花は
少し寂しい。
今日も降るこの優しい雨のように。
【お題:あじさい】
昨日、小雨の降る窓辺で、こんなことを話した。
「あじさいの色は、土によって変わるんですよ。ざっくりいうと、酸性の土の場合は青色、アルカリ性だと赤色……といった具合に」
「へえ。じゃあ、紫色のは中性の土だからってことかな?」
「そのとおりです。厳密にはもっと細かく理由があるみたいですが」
じゃあ白いあじさいはどういう理屈だとか、卵の殻を撒くといつかは真っ赤になるだとか、たわいない話をぽつぽつと。
今日は朝から強い雨が降っている。昨日のことを思い出しつつも、濡れてしまったズボンの裾にうんざりとする気持ちが勝ってしまう。傘を差してきたのになあ。
「……ん?」
ふと見たスマホに、起きた時にはなかったメッセージ受信の通知が届いていた。差出人は昨日楽しくおしゃべりをしたあの人。
『おはよう! 面白いあじさい見つけたよ! これは、土の成分がミックスされているってことなのかな?』
画像が二枚添付されていた。一枚目は本文に合わせてだろう、雨の中でピンクやら水色やら薄紫やらをいっぺんに咲かせたひと株のあじさい。二枚目は、見事な紫色のあじさいの前で自撮りをしている濡れた姿。顔の隣のまあるいパープルが、まるで真横にある頬にキスをしようとしているみたいで、少しドキリとした。
『面白いあじさいですね。どれも素敵です』
一回だけ深呼吸をしてから、短い返事を打った。スマホを机に放って今度は大きく息を吐く。頭の中が届いた写真でいっぱいに塗り替えられて、ズボンの裾は気にならなくなった。
雨はまだまだ止みそうにないけれど、今日も一日頑張れそうな気がする。
「……っあ、そうだ……!」
作業に入る寸前に思い出す。そうだ、あの写真を見て思ったことが、伝え忘れたことがあったんだ。急いで追伸を送らなきゃ。
『追伸、ちゃんと傘を差して! 風邪なんて引かないでくださいね』
【あじさい】
「某地平線音楽で初遭遇のアイディアだが、青を『セイ』、紫を『シ』って読ませて、『生死』の物語に織り込むのは、バチクソ良い衝撃だったわな」
その話、「誰も嘘を言ってない」前提なら、「あじさい」が青で、スミレが紫だったわ。某所在住物書きは20年程度昔の、布教されて得たアルバムの音源を、深い懐古の情と共に聴き直していた。
「……で、あじさい?」
花言葉は「辛抱強い」に「冷酷」等々。ふーん。
物書きはスマホ画面を見て、長考に首筋をかき……
――――――
今日は「はやぶさの日」だそうですね。どうしても「はやぶさ」を書きたかった物書きが、お題「あじさい」とこじつけ、こんなおはなしを書いたようです。
昔々の6月13日、1機のはやぶさが多くの人に見守られながら、空気の摩擦に火をまとい、流れ星と同じ要領と美しさで、大気圏に突入して消えました。
「第20号科学衛星MUSES-C」とも言うそうです。「アトム」という名前だったかもしれないそうです。
なんやかんやあって「はやぶさ」と名付けられたはやぶさは、2003年に打ち上げられ、2010年の6月13日に、運用が終了しました。
はやぶさの、複数ある「おつかい」のひとつは、遠くの小惑星から小石や砂を持ってくることでしたが、その道のりは初っ端から、困難苦難の連続でした。
打ち上げ半年で太陽フレアに焼かれるわ、2年後11月には実家の地球と通信途絶するわ。道中故障とアクシデントで、もう踏んだり蹴ったりです。
それでもはやぶさは、辛抱強く目的地に辿り着いて、必要なものをガバチョと手に入れました。
なんやかんや、ここで語っては文字数の酷くなるようなことがあって、なんとか帰路についた後も、はやぶさに向けられた人の目は一部冷酷でした。
「1位じゃなきゃ駄目なんですか」でお馴染みの、当時の某事業仕分けでは、後継機開発など宇宙開発関連予算が削減。
「お前のどこに税金つぎ込む価値があるの」と、
「お前より大事な事業はいくらでもある」と、
当時の政権から無情に無駄宣言されたようなもの、だったかもしれません(断言は避けるスタイル)
それでもはやぶさは辛抱強く、当初4年だった道のりを倍近くかけ、実家の地球に向け飛び続けました。
アクシデントと故障に見舞われながら、一部の人間に価値と意義と重要性を否定されながら、それでも辛抱強く地球の近くまで来たはやぶさ。
その頃には報道や動画投稿サイト等々で、多くの人がはやぶさを知り、応援し、到着を待っていました。
体がボロボロ満身創痍で、それでも辛抱強く役目を果たし続けたはやぶさが、最期の最後に目を開き、地球を見て、何を思ったか。そもそも機械なので何も思わなかったか。
まぁ後者であることは事実なのでしょう。小惑星探査機のはやぶさには、思考のための前頭連合野も、褒めてほしいと望む側坐核もありません。
ただ6月13日、「はやぶさの日」が流れ星程度の短い間トレンド上位を横切って、
はやぶさの育ての親、プロジェクトマネージャーの故郷では、「辛抱強さ」を花言葉に持つ青や紫のあじさいが、その八割九割はツボミですが、
一部だけ、ほんの一部だけ、空を見上げて花を開き始めています……多分(断言は以下略)
多分二割、下手すれば八割九割、事実無根、実話に基づいたフィクションで成り立っているかもしれないおはなしでした。
おしまい、おしまい。
紫陽花ー。
その花は、君にぴったり似合う花でした。
美しく靡くその、漆黒の髪の色にとても似合っていました。
本当に彼女のためだけに紫陽花は、出来たのではないかと思わせる程でした。
6月のある朝。5歳の長男と2歳の次男と一緒に幼稚園バスを待っている。二人の傍らには青と紫を混ぜたような絶妙な色合いのあじさいがたくさん咲いていた。子供たちの笑顔とあじさい達がとても素敵で、思わず携帯のカメラで写真を撮った。
バスが到着し、乗り込んだ長男に手を降った後、次男と手を繋いで家へ戻った。可愛い子供達と美しいあじさいの写真はとても良く撮れていて、
「幸せだなあ」という思いが込み上げてきた。
同時に、いつかは子供たちも巣立ち、私は1人きりになるんだ。という寂しさで心が少し重くなった。
その時に思った。今こんな幸せな瞬間があったということは間違いなく事実。人生にこんな瞬間があったことを誇りに思って私はこの先も生きて行こう。
これから子供達も大きくなり、自分も老いていく。寂しさに心が押しつぶされそうな時は、今朝のことを思い出そう。そんな事を感じたひとときだった。
あれから8年。私はこの朝のことを今でも鮮明に覚えている。
テーマ「あじさい」
好き嫌いは大いにあったほうがいい。
その方が自分のことがよく分かるから。
他人でも同じだ。
誰かを分かろうとする時、その人の好きなものも嫌いなものも知りたい。
好きな物しか教えてくれない人より、嫌いなものも教えてくれる人の方が信用できるから。
そんなことを言いながら、私は嫌いなものを嫌いだとなかなか認められない。偽善者なのかな?自分のことが分かっていないのかも?自分が好きなタイプの人間にはなかなかなれない。
まだまだ課題がいっぱいだ。
テーマ「好き嫌い」
あじさい:「浮気」「移り気」「無常」
叶わないからこそ、
あなたの幸せを想って
諦めた方がいいのかもね。
君のこころに一切傷がいかないように。
その女性はいつも雨の日にやって来た。
ショートボブの黒髪にあどけなさを残した女の子。窓際の席に腰を下ろすと、いつも決まってカプチーノを注文する。バッグから文庫本を取り出し、雨に溶け込んだように読書をする。客の少ない店内で、ページをめくる小さな手が麗しかった。
カプチーノがお好きなんですか、と尋ねたのはいつだっただろうか。雨の日はカプチーノが飲みたくなるんです、と言った彼女は、と歌った方がいるんです、と付け足して微笑んだ。大人びているようで、無邪気なようで、不思議な魅力のある人だと思ったものだ。
七月になった。いよいよ夏の気配を感じる。職場である喫茶店への道を歩きながら、そういえば紫陽花を見なくなったな、と考えた。
雨の中。耐えるようにして咲く紫陽花は、見ていてなんだか物悲しい。
いつもより色褪せた世界の中で、その花の色だけが酷く主張しているからだろうか。
嫌でもその青が目に入る。
私が、過去あった出来事に耐えきれなかったことを、
責めているようにも、励ましているようにも見えて。
酷く胸が痛むのだ。
もし、あの時耐えきれたら、あの紫陽花のように、
きれいに咲けたのだろうか。
もう、もしもなんてどこにもないけど。
周りの緑が貴方を一層綺麗に見せつける
雨に濡れると化粧をしたのか、
煌めいているように見える
僕は貴方が綺麗じゃなくても煌めいていなくても
ずっと見ていたい
こんな簡単な言葉をあげれない僕は
君を見続ける事は叶わなかった
君の横にいることも
あじさい
あじさい!綺麗だよね。私は花で言ったら桜が一番好き。その次は彼岸花。それで最後に紫陽花。ああ、あとチューリップも好き。
バイトするなら花屋がいいし、小さい頃はお花屋さんになりたいって言ってたくらいには花が好き。
綺麗なのは当然だけど散り際も、佇まいも大好き。
人間なんかが触れていい生き物じゃないと思うんだ。
今度また季節の花買いに行こう
あじさい
わたしの記憶に残るのは、ガクアジサイ。周りの花が、真ん中のより大きいアジサイです。日本の中でも、一定地区に分布するようです。
伊豆半島の施設に、義父母と子供たちとみんなで泊まった時の思い出。コテージの周りにアジサイが咲いてました。それがガクアジサイでした。
ご飯の支度、子供たちの世話と、
庭のアジサイを楽しむ余裕なかったな。今度は、ゆっくり泊まって楽しみたいな。
あじさい
青い紫陽花が一番好き。
花言葉は辛抱強い愛情らしい。
私は過去に性被害に遭った。過去にいじめに遭った。どうやら原因は私らしい。
「可愛いから触った」
そう言われた。でも被害届の結果は無罪。
未成年だから。少年法に守られた。何が「触った」だ。触ったってその一言だけで済ますなと何度も怒りが込み上げた。でももう過ぎたことだ。気にしてられない。
「いじめなんてありません。あったとしたらルーレットですよwww運が悪いんだよ」
そう言われた。あぁ運が本当に悪かったんだと初めはそう思ったけど、、私で良かった。やられたのが私で良かった。正義感の強い女の子みたいな発言じゃない。
私はこのふたつのお陰で強くなった、大人になった。前向きに考えたくはないけどそうするしかない。
私以外の子が私と同じ目に遭うのも勿論絶対に嫌だ。
強制わいせつ行為の2年後に、公然わいせつに遭った。
災難だね笑と友達に笑われた。
心に何かが刺さって取れなかった物がもっと奥に突き刺さった。あぁ。経験してない人からしたらこれは災難に過ぎないのか。そんなものなのか。
わかって貰えないのは辛いけど、あいつらに大人な考えを持たせるのもまた癪に障るからこのままにしておこう
家族には幸せで一般的に言う「普通」な家庭にしてあげたかった。私が居なければと何度考えたことか、昔はそう考えてた、捨てられたい消えたい家族の前から散ってしまいたい。
でも今は捨てられたくない死ぬ時は見とって欲しい。一緒に居たい愛して欲しい。辛抱強く。
こうやって人間は生きていく中で色々な考えを持つのだろうと強く感じた。数年前まで捨てられたいと思っていた私が今は辛抱強く愛して欲しいとまで変わっている。
この心が数年後には生きたい、一緒に生きたい。に変わってると私は嬉しいなー。
雨の日、家の裏に咲いていた、青い”あじさい”
カタツムリはいなくて、覆い被さるように生えていた松の木に守られるようにひっそりと咲いていた。
とっても綺麗で、好きだなぁって思ったけれど。
気替わり、なんて言われたら、ちょっとだけ、苦手になった。
罪はないよ。ただ、こちらが勝手に思っただけ。
ただ、咲いていただけなのにね。
あじさい
あじさい
灰色の世界
降り止まない雨
そんな世界を彩ってくれた君は、あじさいのようでした
あじさい。
この梅雨の季節に生き生きとする花。
こんもりと小山のように咲き誇る。
この花をチラホラ見かけ始めると嬉しくなり、写真に収める。
紫陽花は丸い花弁の紫のイメージが強いけど、
自分にとって印象深いのは、花弁の先が尖った薄水色の紫陽花。凛とした品がある花だ。
調べたらガクアジサイという種類らしい。
にしても、道で見かける紫陽花って誰かが植えたのかな。
すごくよく見かけるから、自生してるように見えてしまう。
実際、葉っぱと茎を見ると力強くゴツい。
こんな紫陽花は今のところ全く絶滅しそうもないけれど、どうなるかわからないのが生態系。
紫陽花に限らず、咲き誇ってる花や植物。長い目で見たら貴重な品種かもしれない…。
季節感の貴重さを胸に、元気に咲き誇る花たちを目に焼き付けたいね。
#あじさい
この花の花言葉は二つある。
「辛抱強い愛」と『浮気』
私が彼にこの花を好きだと言ったら、紫陽花の植木鉢をくれた。
しかし、その彼は浮気。
こんな花を好きだから、
いつも浮気野郎に引っかかるのだろうか?
ひとつ傘の下
寄り添い合う花
あなた色に染まる
にわか雨
澱みとなって
じわりじわりと色移ろう
―あじさい