ななせ

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6/19/2024, 8:12:44 AM

昨日見た夢。
らせん階段から、向こうのビルに飛び移るゲームを十数人でしていた。
ビルまでの距離は60センチくらいで、ジャンプすれば割と簡単に届きそうだ。
最初に何人かが軽々飛んでいって、次は私の番。
前の人の真似をして、軽く飛んだら少し力が足りなかったようで、ビルと階段の合間に落ちてしまった。
そこには人の腕くらいの太さの棒があった。私は運悪く、その棒がお腹の真ん中に刺さってしまった。
動こうにも手足は動かなかった。痺れる、や、痛い、よりも、感覚がなくなっていくことが恐ろしかった。首だけは何とか動かすことができたので、上を見あげると、飛び終えた子もそうでない子も皆んなこちらを見ていた。
その瞳孔が段々大きくなって、肉食動物の瞳みたいだなんて考えていると、
目が覚めた。


お題『落下』

6/16/2024, 10:40:59 PM

ほんの少し前のことです。一年も、経ってないと思うんですけど。
いや、それを思い出したのが少し前なんです。経験したのはもっとずっと昔、それこそ、覚えていたと言うよりもフッと浮かんだと言った方が正しいほど小さい時のことです。
小学校に上がるか上がらないかのころ、僕は母と牧場へ行きました。家から遠くて、着いた時には眠い瞳を擦っていたのを覚えてます。
その時はちょうど、乗馬を体験できるコーナーがあったので、母と一緒に乗りました。
幼児が思い浮かべる動物って、絵本みたいにデフォルメされてたり、多少は可愛くなってるじゃないですか。僕もそうで、白くて小さなポニーを想像してたら、僕よりも父よりも大きな動物がいるんですもん。めちゃくちゃ怖くって。
ちょっと涙目になりながら、手綱を握ってたんです。でも、乗ってると怖いとか考えないんですよね。僕は高いところが好きだったし、ゆっくり歩いてるから結構安定してて、むしろ楽しかったです。
安心と、遠出した疲れもあって、ウトウトしながら乗っていました。
蹄鉄のちゃりちゃり鳴る音の、あの安らぎと一時の夢。僕が、ジョッキーになったきっかけです。


お題『1年前』

6/12/2024, 10:15:38 PM






   「好き」も「嫌い」も
   あなたに会うまで、決める側だったのに。


        お題『好き嫌い』

6/12/2024, 1:36:51 AM

「外、行こうかな」
ボソッと呟いた独り言は、私に着替える気力を与えた。人前に出られるような格好ではないと思いつつ、替えたのはジーンズだけだった。
スマホも財布も何も持たずに外へ出る。これは、散歩と言うのだろうか。
出勤や買い物以外で外に出たのは、もう何ヶ月振りだろう。背中に当たる太陽の熱に、自分の貧弱さを思い知らされた。
目的もなく、ただただ歩いている。歩くことさえ意識せずに、前に足が出ていく。
こんな家もあったのかと横目で見て、人様の家をジロジロ覗くのは良くないと戒める。前にスーパーがあった場所は取り壊されて、空き地になっていた。何屋さんだろうかと思って見た店は美容室だった。
前から来る人は、私と違ってお洒落な服を着こなしている。途端に、自分の格好が恥ずかしくなった。
何とも思われていないだろうか。今、目が合ったのは気のせいじゃない。どこかおかしいのか。いや、私が見ているから見ただけなのか。
ぐるぐる考えていると、もうその人はいなかった。
人がいなくなると、途端に寂しくなる。お腹のあたりが、少し冷たくなる気がした。別に胃腸が弱いわけじゃない。今までも、度々こんなことはあった。なくなりかけていた記憶と共に、トラウマも引き出されそうになる。
もう、帰ろう。
久しぶりの外出は、別に気分転換にもならなかった。けれど、私が少し人間に近くなった気がした。


お題『街』

6/11/2024, 1:14:30 AM

あの事故でアイツを失って以来、何の意欲も湧かない。
行きたい場所なんて、前はいくらでも思いついた。アイツがいたから、どこへだって行く気になれたのに。
初めてを時、
二人ともめちゃくちゃに怒ったケンカが変な理由で終わった時、
洗剤でシャボン玉を飛ばした空、
抱きあって喜んだあの瞬間を。
温かい家庭を築きたいと笑っていた笑顔、
イタズラに乗って一緒に叱られた時、
顔を見合わせて笑ったあの頃を。
忘れてしまえたらどれほど楽だろうか
けれど、では忘れるかと問われれば首を縦に振ることはない。
忘れてはならない。例え他の何もかもを忘れてしまおうと、これだけは。
誰にも話してはならない。自分だけの宝物だから。
それでも時たま、この感情を抱えたまま生きていくことを恐ろしく思えてしまう。
こちらに気付いて駆け寄るアイツはいつまでも綺麗なまま。それを悪夢で汚しているのは他でもない自分なのだ。
ただの人間に神性なんか見出さないでまるまる見通せたら良かった
見たままの、何でもない人物として接したら良かった
アイツを好きになる度に、アイツの本当の姿から離れていく
理想の色に塗り潰されて、元々描いてあった線がどこか分からなくなってしまった
いっそ綺麗に忘れられたなら
もう一度まっさらな状態で出会えたなら
ああ、そうだ。
やりたい事の欄に、「アイツに会う」が刻まれた。


お題『やりたいこと』

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