好きな人に好きな人がいたら諦めるし別の人に行く
恋人と別れたら嫌いになるし怒り湧いて別の人探すし友達と遊ぶ
ドラマチックな悲恋には中々ならない
お題『失恋』
何で神様は私を作ったの?
何でこんなパーツにしたの?
何でこんか世界に生まれさせたの?
何で作ったのに放置するの?
何で教えてくれないの?
ねえ
ねえ
ねえ
ねえ、教えてよ。
「好奇心は猫をも殺す」って言葉知ってる?
私ね、殺して欲しいの
猫みたいにね
私、本気よ
嘘なんかじゃないわ
死にたい程辛いわけじゃないけど
それ程に、追い込まれてるわけじゃないけど。
ただね、知りたいの
死ぬのって、どんな感じか
私を、おかしいと思う?
思わないでしょ
だって、狂ってるのは私じゃなくてあなただもの
ふふ、怒っちゃった?
ほら、あなた、私の首に手をかけてる
殺したいんでしょ
良いわよ
私、殺されたいって言ったでしょ
そう、そのまま、
呼吸する間なんか与えないでね
決心が鈍るわ
ねえ、
でも、最期に教えてね
私はあなたが好きだったのよ
あなたは?
手のひらに残る生々しい感覚と、彼女の遺した言葉が、目の前に倒れる『それ』が夢でないことを示していた。
何で彼女はこんな僕を好きになったんだろう。何でこんな奴に殺されたがったんだろう。
初夏の暖かい空気の中、頬を濡らす雫は空を知らなかった。
お題『梅雨』
子供は無垢で良いねえ。
子供が無垢なのは頷ける。けれど、無垢とは良いことだろうか。無邪気であるとか、そういった事は全てプラスであるのだろうか。
私なりに、幼い頃を振り返ってみる。
ある雨上がりの日のことだ。学校から帰っていた私は、道に蛙を見つけ、何も考えず傘の先で潰した。
結果、蛙はくきゅ、と音を立てて無惨な姿に変貌し、私は顔を顰めた。
あれは無垢だ。
罪の意識もなく、純粋な興味のみで行われた行為は無垢そのものであり、到底咎められるものではない。悪意を持って起こった事ではないからだ。
もう一つ。
私の小学校には、気の弱い生徒がいた。
自分の意見を全く言わず、人に合わせる、早い話が引っ込み思案だった。その子はいつもオドオドしていて、幽霊みたいにふらついていた。
そのことを、誰かがこう言った。
「あの子って、おかしいよね」
『おかしい』この言葉に、大した差別意識や嘲笑などは含まれておらず、ただ自分が感じたままに言っただけである。
しかし、それ故に周りも賛同した。
お前、おかしいって。ねえやっぱりさあ、おかしくない?おかしいよね。うん、分かる。
それはどんどん伝染して行き、耐えられなくなったその子は、担任の教師に訴えた。
教師はクラスメイトを叱ったが、誰一人として心に響いてはいなかっただろう。
何故なら、悪意を持った行動でないからだ。
いじめてやろう、嫌がらせてやろうと思って笑っていた者は一人もいないのだし、むしろ面白いネタが増えたくらいの気構えだったのだ。
これも全く無垢である。
どんなに善い行いをしても、その根源に欲があればそれは無垢ではなく、打算の上の行動だ。
逆に、悪逆非道の限りを尽くしても、その根源に欲望がなければそれは無垢なのだ。
心に濁りのない者は、ひとたび道を間違えると独裁者にもなりかねない。小さいうちならまだ叱咤で済まされるだろうが、年齢を重ねるにつれて負う責任の重さも増していく。
そう考えると、大人になる前に無垢を失うのは良い設計と言えるのかもしれない。
お題『無垢』
これは、永遠に続く道。
終わることのない物語。
僕は罪を償い続け、その道を歩んで行く。
右、左。右、左。
踏みしめる道の静けさ切なさ。
あすこに見える綺麗な霧は、
僕を惑わす為の罠。
あれに捕まると、もう戻れない。
脇目も振らず何も考えず。
右、左。右、左。
それでも時たま、あの霧に包まれるのも悪くないと考える。
一人きりの暗闇に、耐えきれなくなる。
この道を延々と進んだところで、何になろうか。
僕が自らの罪を悔い改めたところであの子が救われる訳でもないのに。
馬鹿々々しい。
頭を振る。また歩み出す。
右、左。右、左。
何故かそれだけで身体は前に進む。
確かに刻まれる皺。
それは宇宙に続く道。
未来を告げる、砂の声。
右、左。右、
お題『終わりなき旅』
ごめんなさいごめんなさい
私みたいなのが生きててごめんなさい
死ぬ勇気もなくてごめんなさい
優しくしてくれるのにごめんなさい
生きててごめんなさい
ごめんなさい
すぐ謝ってごめんなさい
責任逃れしようとしてごめんなさい
なんの取り柄もなくてごめんなさい
育ちが悪くてごめんなさい
教養のなさが滲み出ちゃってごめんなさい
不快にさせてごめんなさい
許されるために謝ってるわけじゃないんです
すみません
誰に許されれば安心できるのか分からないんです
もう言葉の意味も分かってないんです
喉の通りが一番良い言葉を使ってるだけです
ごめんなさい
心を込められなくてごめんなさい
きっと、明日も生きてごめんなさい
いつか死ねるように頑張ります
ごめんなさい
ごめんなさい
殺して
お題『ごめんね』