ななせ

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5/6/2024, 10:40:24 PM

明日世界が終わるなら。
何だか、あのゲームを思い出して笑ってしまった。
でも、きっと何も出来ないんだろうと思う。
絶対に成し遂げたいこともないし、最後もこうやってスマホを見ながら終わるんだろう
どうせ死ぬのに変わりはないし、死ぬための準備もしなくて良くなったし、むしろ感謝するかもしれない。
でも、嫌いなあいつと一緒に死ぬのは何だか嫌だから、少し前に死んでしまおうか。
どうせみんな死ぬのだからと、犯罪も横行するのかもな。警察はそれを止めるだろうか。被害者も、それを止めるだろうか。
どうせ、みんな死んでしまうのに
その日は誰か、働くだろうか
給料も払われないだろうけど、誰も困らない
だって明日にはいないから。
バスも電車も遊園地のアトラクションも
何も動かないのだとしたら、何をして過ごすのだろうか。
車で海へ行く?
最後まで働く人もいるだろうし、そこで何か買って食べるのも良い。
そもそも、世界が終わるなんてどんな状況だろう。
日本という国が終わる、ならまだ考えようもあるが、世界が終わるとなるとちょっと考えようがない
粉々に砕けてしまうのか
ばっかり二つに割れるのか
隕石やら何やらがぶつかってしまうのか
そんなの、中々に貴重な経験になる
太古の人間には考えもつかなかった…ああ、ノストラダムスの予言で身構えていた人もいるかもしれない
そうなると、ノストラダムスは世界滅亡を少し早く言ってしまっただけになるのか
たった一言だけで、こんなにも書いてしまう
私はもしかすると、世界が滅亡するのを待ち望んでいるようだ。


お題『明日世界が終わるなら』

5/6/2024, 1:00:54 AM

愛は何より綺麗な物で、恋はキラキラしている物。
とにかく、僕のイメージはそんなものだった。今までの彼女だって、話しているだけで心が暖かくなったし、泣いていたら大慌てで慰めた。家族に向けるのとは少し違うけど、やっぱり綺麗なものだった。
君と出逢って初めて、執着に似た愛を感じた。腸がぐつぐつ煮える音を聞いた。
何で僕以外を見て笑ってるんだ
どうして僕は貶されても彼から目が離せないんだろう
その癖、君は僕を見ると嬉しそうに笑うんだ
僕を詰っている時の顔が一番輝いていることに気付いているんだろうか
僕の方が背も高くて力も強いのに、
押さえ付けられたらひとたまりもないのに、
何で彼はこうも高慢そうに振る舞えるんだろう?
そこまで考えてハッとする。
駄目だ、こんな事を考えてはいけない
これが愛と言うつもりはないけれど
それなら一体、
愛じゃないなら何なのだろう
愛は古くなると執着になると言う。
こんな感情、手遅れになる前に捨てておけば良かった。
君に言ったら、「出来ない癖に」と笑われた。
本当に何でもお見通しだ
しかもそれさえ嫌では無いと思っている
ああ本当に、君と出逢ったそのせいで!


お題『君と出逢って』

5/5/2024, 1:17:12 AM

瞳を閉じる。
何も考えず、ただ聴覚だけを研ぎ澄ます。
そうすると、より鋭敏に、より小さな音まで耳に入れることができる。
だと言うのに、私の部屋は味気ない。
時計の秒針が進む音と、耳を突くような静寂。私が立てる衣擦れも、何の温もりも与えてくれない。
あの人の部屋は賑やかだった。
安い扇風機がバラバラ鳴って、椅子が軋んで音を立てる。窓から入ってくる風で、観葉植物の葉がざわめく。生きている音に溢れている部屋。
うるさいくらいなその部屋が心地よくて、よく入り浸っていた。
けれど、もうあの部屋に入ることはできない。
薄いマットレスも、背表紙が日差しで色褪せた本も、ところどころに染みを作ったカーペットも、全て無くなってしまった。
部屋の主である自分よりも長い間いる私に、苦笑しながらも鍵を掛けないでいたあの人も、もう見ることはできない。
あの部屋だった場所を、私の部屋にした。それなのに、ちっとも温かくはない。
当初は煙草の匂いが染み付いていたのに、今では何の香りもしなくなり、大の大人にはちょっと似合わなかったクリーム色の壁も、塗り替えられて真っ白になっている。
閉じていた瞳を開いて、部屋を見渡した。
必要最低限の家具しかない、殺風景な部屋。耳だか記憶だか、あの人の声が聞こえる。
きっと、温かかったのは音だけではない。けれど、それに気付くには遅すぎた。
ひとまず、植物でも買ってみようか。
あの人の声を、まだ忘れないうちに。


お題『耳を澄ますと』

5/4/2024, 1:10:45 AM

さく、さく。
雪は音を吸収すると言うのは、どうやら本当らしい。聞こえるのは、靴が雪を踏む音と、前を歩く彼の吐息だけ。どうせまた積もると分かっていても、新雪を踏み汚すのは何だか気が引けて、彼の足跡に重ねるようにして山を登った。
互いを敵と思い憎み合っているわけでは無いが、決して仲が良いとは言えない彼と僕。何なら、彼は僕を見下してさえいる。そんな彼が、ある日僕に助けを求めたのだ。
彼は、物置から大きな袋を引っ張ってきて、「俺が殺した」と一言だけ言った。袋の中身を、僕は確かめようとしなかった。
「じゃあ、隠さなきゃね」
そう言った僕に、彼は酷く驚いていた。
初めは焼却炉に投げ込んでしまおうかと思っていたけど、人間を焼くのにどれ程の時間がかかるのかも分からなかったし、だいいち家庭にある物ではそう高火力は出ないだろうと考えて辞めた。
幼い浅知恵で、それでも、子供の中では優秀な頭脳を散々使って考え付いたのがこれだった。古典的な方法が、一番見付かりにくいだろうと彼も賛同した。
そして、冒頭に戻る。
春になって、雪が溶けても見えないように深く穴を掘った。いくら相手が抵抗しないからと言って、僕たちは子供だ。埋めるのには苦労した。
外に出た際は鼻が赤くなっていた彼は、顔を扇いでマフラーも外している。暑そうだからと、地面の真っ白い雪を掬って彼の頬に当てると、流石に冷たかったようで怒られてしまった。
袋に土を掛けて、雪がかき消してくれるように祈って山を下りた。こんな吹雪の中、わざわざ山に登るような物好きもいないだろう。
降りながら、今度は後ろにいる彼が僕を呼び止める。
「今回のこと、誰にも言うんじゃあないぜ」
弱味を握られている方だとは思えないほど傲慢な仕草で鼻を鳴らした。
もちろん言うつもりなんてこれっぽっちも無かった。僕はそこまで口が軽くないし、そもそも僕も共犯なのだ。警察に言ったところで、一緒に捕まってしまう。
僕が困ったように笑うと、より疑るような目線を寄越した。
でも、僕は嬉しかった。
彼が都合の悪い時に、真っ先に僕を呼んでくれたこと。誰にも言えないと零した話を、僕には話してくれたこと。
「誰にも言うな」って言われた時、少し心臓が跳ねた。二人で秘密を共有してるみたいで、──いや、その通りだけど──彼の特別な存在になれたような気がしたんだ。
二人で一つになるのは御免だけど、君が堕ちるところに、僕も行けるように。
家に帰ると、父さんがおかえりと言って微笑んだ。
人が一人消えても、何事も無く世界は進んでいた。


お題『二人だけの秘密』

5/2/2024, 11:26:58 PM

私、あなたがだーい好き!
ちょっぴりイジワルなところも、ぶっきらぼうだけど優しいところも、全部ぜんぶ。
永遠にあなたと過ごしたいって…ちょっと重いかな?

「今までごめん」って、なにそれ
謝らないでよ
心を入れ替えたなんて嘘でしょ
いつもの冗談でしょ?
あなたそんな人じゃなかったじゃない
私は私じゃなきゃ駄目なあなたが好きだったのに
辞めて
やめて
いつもみたいに、泣くまで罵ってよ。
殴って、目を腫らした私を見て舌打ちしてよ
何でそんなこと
酷いわ
そんなあなたはあなたじゃない
お前、誰だ?
あの人をどこに隠したふざけるな
あの人の容姿を真似したって私には分かるんだから
教えろ
教えろ
教えろ
もういい、
お前を殺して、あの人を探し出してやる


お題『優しくしないで』

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