新雪の上に指で書いたI love…
でも、その先は書けなかった。
だってあの娘は親友の…
会うときはいつもあいつと一緒。
ちょっとした気遣いや優しさがかえってつらい。
あいつは良いヤツだけど
卒業してから徐々にふたりから距離を置いた。
あれから…何年かした冬。
思いがけない彼女との再会。
聞きにくいあいつとのその後。
彼女は唐突につぶやいた。
彼とはダメだった。仕事の転勤で遠距離。
寂しさに耐えられなかった。
今さら虫が良いって言われるけど
本当はあなたのことがずっと。
白い散歩道で、俺の頭が真っ白になる。
その気持ちは俺も
新雪に指で書くI love…
今ならその先が書ける。
前回の続き(1/27)
[居酒屋で再会する片桐と須藤]
40年前に開かずの部屋を見た私たちは、校長や教頭に口外禁止を要求された。
さらにこの先の人生の安泰を約束する代わりに、彼らに協力することになった。
開かずの部屋は"地下世界への入口"だったのだ。
学校の地下200メートル下に地下鉄が走っており、駅に通じていた。歴代の校長は、そこの駅長も兼務しているという。
勿論、一般社会には一切知らされていない極秘事項だ。
地上の移動手段は人・モノ共に混雑を極め、こういった手段がとられている。公にはできない物資の輸送や要人の往来にも利用されるので、まさしくウラ世界。
須藤はこれらを管理・運営する政府の裏機関に入った。事の真相を知りたいのが一番の理由だったが、納得いかないことがあるからだと言う。
「この国は世界イチ税金が高い。その理由がこんな一部の既得権層だけが利用する、地下世界の運営のために使われてる。おかしいだろ?」
須藤の言い分は至極真っ当だ。裏仕事とはいえ、国の機関で働く身としては風通しの良い社会を実現したい。
私がこの小学校の校長に赴任することも、機関のリストを事前に入手して知ったと言う。そしてこの機会に私に話しておきたかった事を伝える。
「片桐、俺と一緒にこの地下世界を一般に開放しないか?俺はその為に機関の中で地位を上げて同志を募り、今まで尽力してきた」
私が教師を経て校長に選ばれたのも、彼らの既得権を存続させる為なのだろう。私だって、彼らの安泰を条件に校長になったつもりなど毛頭ない。
「須藤の活動がここまで踏み込んでいたとは。私も何か協力できるなら是非手を貸したい」
その後、私たちはそれぞれ地上と地下で、これらの事実を広めていく活動を行っていく。
勿論、既得権層の抵抗は激しく、時には妨害や圧力・生命を脅かされることが幾度もあった。だが、その度に支持者は集まり、やがては全国に波及していく。
この活動はお互いの家系を引き継いで続けられた。
[50年後]
あの小学校は巨大なショッピングモールに様変わりし、いまや街の観光拠点に。
地下鉄は一般開放されて、ビジネスマンや旅行客の快速・特急の足に盛んに利用されている。物流効率も飛躍的に改善された。
[ショッピングモールに併設された図書館]
ほらアヤコ。お母さん、買い物終わったから帰ろう。本は受付でダウンロードできるから
┐(´~`;)┌
お母さん。あの入口の銅像は何?
あれがね。この街の象徴"片桐さんと須藤さん"。ここが昔、小学校だった時にここで本を読んで育ったの。
今年で生誕100年祭やってるから、商品もお買い得なのよね(^^ゞ
入口には本の貸出と受け付ける2人の小学生の銅像が建っている。
[ある小学校の図書室]
おい片桐。もう5時になるから、あとは家で読めよ。貸出票出しな。
図書委員の須藤が、西陽が差す窓側で読みふける少年を呼ぶ。
片桐は閉館までいつも待ってくれる彼の優しさに感謝していた。
図書室を出ると、隣の備品室の引戸が少し開いていることに気づき…思わず須藤が覗き込む。"開かずの間"で有名だからだ。
中で後ろ姿の誰かがしゃがんでいたが、
「須藤?」片桐の呼び声に振り向く。
「あ、しまった…鍵を…」
校長先生だった。そして戸を開け二人を凝視する。何か見てはならないものを見たようだ。
[40年後。同小学校]
片桐は、この小学校の校長に赴任してきた。彼は自分がこの運命の場所に戻ってきたことは偶然ではないと感じた。
校長室からあの図書室と備品室は近い場所に。校舎はリフォームはされていたが、当時とほぼ変わらない。
あの開かずの戸の前に立つと、後ろから教職員が
「校長、お電話です。須藤様という方から」
校長室で受話器を取る
「久しぶりだな。校長着任おめでとう」
「最後に会ったのは、お互い大学に進学した後の同窓会…以来か?」
懐かしさで話が弾むと同時に、この場所に来て彼からの連絡。やはり偶然ではないと直感した。
「片桐。再会も兼ねて飲まないか?そして、あの時の話もしたい…この学校の秘密について」
須藤は私がここに着任することを知っていた?あの開かずの間についての話なら望むところだ。
昔の友人と再会する夢。でも会ったからといって、特別懐かしむわけでもない。夢の中ではごく日常的な感じで、自分も学生服を着ているから過去を振り返ってるだけだったり?
巨大な一輪車を漕いでいる夢。車輪がとてつもなく大きくて、街一帯を見下ろせるくらいの高さ。まるで展望台からの視点。だから下を見ると途端に怖くなってバランスが取れなくなる((゚□゚;))
以前に勤めた仕事に就いている夢。営業で住宅地を回っているんだけど、決まって天気が荒れている。雷で空がピカピカ光って、高い建物のそばに寄ろうとしている。
皆で海岸から海を見ている夢。何人かと一緒に眺めているのだけど、誰一人知らない。なぜ赤の他人と仲良く一緒にいるのかも不明。海岸の土は赤茶けていて、空もピンク色で夕焼けとも違う異様な色。
たいていの夢は記憶には残っておらず、覚えている範囲でこれくらいですf(^_^;
アルバムを開けば、あの頃へトリップ
家族みんなで並んで撮った、貴重な一枚
タイムカプセルを掘り起こせば、あの頃へトリップ
未来の自分に宛てた手紙は、予言通りかな?
卒業文集をめくれば、あの頃へトリップ
クラスメイト達は、いまどうしてるだろう
部屋の奥にあったカセットテープを再生したら、あの頃へトリップ
仲間とドライブした時によく聴いてたな
街での偶然の再会は、あの頃へトリップ
昔はここで、よく一緒に歩いたっけ
タイムマシンは、思い出の片隅に埋もれている
見つけたら、またあの頃へトリップ