しぎい

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4/5/2025, 3:53:59 AM

母が敬虔なカトリック信者です。話を聞いていただけますか。
……少しだけ。はい、それでもいいてす。こんな時間に駆け込んできた私も私ですから。

――今朝、ある男子生徒の死体で発見されました。その男子生徒は私が担当しているクラスの生徒の一人です。
第一発見者は、朝早くから掃除に赴いていた用務員です。

今日は特別寒かったですね。ですから早朝の校庭には朝もやが立ち込めていました。
その用務員の方は、はじめ巨大なハチの巣がぶら下がっているように見えたのだとか。その後に死体とわかったらしいのですが、そのときの用務員の方の心中を察すると、申し訳ないやら羨ましいやら……。

……あ、羨ましいというのは語弊がありますが。
申し訳ありません。なにせまだ発見から一日も経っていませんから。私もかなり気が動転しているようで。曲がりなりにも国語教師が情けない。

私は思います。冷え冷えとした朝もやがかかる中、散りかけの桜の樹の下でハチの巣よろしくぶら下がる彼は、どんな絶景にも勝る美しさだったことでしょう。想像するだけで……やめましょう。神の御前で。

彼の死の報せが入ってからというものの、私の存在が彼を追い詰めていたと、周りの教職員は口には出さずとも私を白い目で見てきました。

有象無象の生徒がひしめく中、確かにその男子生徒の美しさはいつも私を捉えて離しませんでした。そして彼もまた、私を常に視界に捉えていた。
私たちは間違いなく惹かれ合っていた。一線を越えるのにそう時間はかからなかった。

ですが考えてもみてください。わざわざ苦しい自殺の道を自ら選んで実行した彼の苦悩を。
つまり自殺に至るまでの苦悩すら、彼という人間を最も美しく完成させるための演出に過ぎないということです。それは彼を最も美しく見せる桜の下を死に場所に選んだことからも明らか。
彼を最も美しく見せる季節を知っていますか? それは桜が咲き乱れる春です。

そんな彼の選択を否定することは、彼の人生そのものも否定することに繋がる。そのことを連中は分かっていない!

……真実の愛を全うしたという自負はあるのです。短い間ですが、彼に愛を与えられたという自信も。ですが、私の中の良心の部分が「自首しろ」と叫ぶ。

慈悲深き神。どうか私の頼りない背中を押してください。良心を蹴って、前を向いて再び歩き出す勇気を私にください。

4/4/2025, 8:46:04 AM

「青春したい!」

身体を前のめりにして彼女はそう言った。
僕は、また病気が始まった、と内心溜め息をつく。

「この前、新社会人を見たの。もうきらきらしてて。それで思ったの。青春したいって」

頬杖をつきながら適当に相槌を打つ。

「何で社会人イコール青春なの? 学生なら分かるけど」

聞くと、彼女は待ってましたと言わんばかりに胸を張って答えた。

「だって、人間って感じがしたんだもの」

青春は人間の義務でしょ、と言う彼女の目に映るのは後悔ばかりで、青春特有の甘酸っぱい恋愛や熱い友情などは決して映っていなかった。

4/2/2025, 10:19:42 AM

見上げなければ終わりが見えないほどの高さの煙突から、煙がえんえんと吹き出していく。
吐き出される煙は空に溶け込んでもはや雲と同化している。

私はその光景を、まるで神秘的なものを目の当たりにしたように目を細めて見いっていた。口の中でつぶやく。

「最後まで素直になれなくてごめんね」

4/1/2025, 5:26:06 AM

人生チョロいもんでしたわー!まったねー!

3/18/2025, 3:26:32 PM

等身大の好きを身体で表現してこないで。
好きを言われなれてない私からしたら、インフルエンザで発熱するより大変なことだから。

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