「青春したい!」
身体を前のめりにして彼女はそう言った。
僕は、また病気が始まった、と内心溜め息をつく。
「この前、新社会人を見たの。もうきらきらしてて。それで思ったの。青春したいって」
頬杖をつきながら適当に相槌を打つ。
「何で社会人イコール青春なの? 学生なら分かるけど」
聞くと、彼女は待ってましたと言わんばかりに胸を張って答えた。
「だって、人間って感じがしたんだもの」
青春は人間の義務でしょ、と言う彼女の目に映るのは後悔ばかりで、青春特有の甘酸っぱい恋愛や熱い友情などは決して映っていなかった。
4/4/2025, 8:46:04 AM