-いと-

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5/27/2024, 9:27:29 AM


新月のある日、夜空に願い事をした。
「同級生に会えますように。」
数日後、町中を歩いていたら、偶然同級生に会った。自分よりも背が高いが、顔は当時のまま。懐かしい気持ちに浸った。もう2度と会えないのではないか、と思っていた。ずっと話していても時間が足りなかった。また会おう、と約束をしてこの日は別れた。
半月が見える頃、同級生とカフェで待ち合わせをした。このカフェは自分の行きつけの場所だった。彼の行きつけも同じだったことに驚いた。自分はエスプレッソとチュロス、彼はココアとチョコドーナツを頼んだ。彼はココアの中に粉砂糖を入れて飲んだ。流石甘党…いや、甘すぎるだろ。この日はのんびりと話し、次は買い物に行こう、と誘ってくれた。
満月の頃、待ち合わせ場所のお店に行った。だが、時間になっても彼が来ない。しばらく待ってみることにした。どれだけ待っていても来ないので、1人で買い物をして自分は帰った。
何度メールを送っても、彼の既読がつかない。自分は諦めることにした。
「また会えればよかったのに…」
月に向かって呟いた。

※フィクション
【お題:月に願いを】

5/25/2024, 12:34:10 PM

振られた。放課後の2人きりの教室。前から気になっていた人。友達としての関係だったが、ずっとこのままなのは嫌だった。相手だって、「好き」って言ってくれたのに。どうして…。

振った。放課後の教室。ずっと友達のままでいたかった。だから断った。今頃、彼女の心は土砂降りだろう。「好き」とは言った。だけど、自分のプライドが許さなかった。「女」である自分が「彼女」を好きになるなんて…。好きになってしまうなんて…。

※フィクション
【お題:降り止まない雨】

5/23/2024, 10:56:10 PM

あと2週間で定期考査…。課題の範囲が多い。勉強しなきゃいけないことは分かっている。なのにやる気が出ない。この期間に限って、部屋の掃除がしたくなるのはあるあるだろう。普段から部屋をきれいにしろという話なのだが…。高い目標は立てたいが、高ければ高いほどやる気の量が減ってしまう。「自分には目標達成できない」とネガティブになってしまう。テスト期間も課題の量も既に決まっていることなので、どうすることもできない。逃げれる方法なんてないのだろう。ただ頑張るしか無い…。

【お題:逃れられない】

5/23/2024, 9:45:35 AM

「お見舞いに来てくれてありがとう」
透き通った彼女の声。病人とは思えない姿にいつも驚く。彼女は癌で、手術をすれば治る可能性があるらしいが、本人は拒否している。これからも生きたい、と思えないのだという。
「ゼリー持ってきた。あと、頼まれたものも。」
そう言って、袋に入ったゼリーと、鞄に入れた毛糸と編み棒を渡す。彼女は太陽のような笑顔で、ありがとう、と言った。そんな彼女を見るのが好きだ。持ってきたものは、喜んで受け取ってくれる。そんな彼女の性格が好きだ。
「あっ、そういえば課題残ってた…。今日はもう帰る。またお見舞い来るから。じゃあ。」
「バイバイ!絶対来てよね?」

「要態が急変しました。今すぐ来てくれませんか?」
「分かりました。すぐ行きます。」
電話が来たのは翌日の早朝。癌が悪化したらしい。急いで着替え、自転車を飛ばす。病院に着く頃にはもう遅かった。彼女は眠っていた。目を覚ますのではないか、と思うくらい自然で美しい寝顔。息はしていなかった。もっと彼女と話をしたかったのに…。

※フィクション
【お題:また明日】

5/21/2024, 1:10:41 PM

また今日もしてしまった。鞄に財布は入っていた。レジでお金を払うつもりだった。なぜ「万引き」をしてしまったのか自分でも分からない。無意識のうちに、手に取った品物を鞄の中に入れていた。悪いことだと自覚している。見つからないよう、足早にスーパーを去る。定員に見つかってしまったのは、何回目だろうか。
「なぜ万引きなんてしたんだ?」
「分かりません…。無意識なんです…。」
そんなの言い訳だ、分かっているのに口が勝手に動く。そんな自分が嫌だ。透明人間にでもなって、今すぐ消えてしまいたい。
「…とにかく、2度としないように!!」
やりたくて万引きをしている訳じゃない。同じことを繰り返さないよう努力している。なのになぜ…?
もしも自分が消えてしまえば。ここのスーパーに迷惑をかけないで済む。理由のない万引きが減る(理由があっても絶対ダメ!!!)。=街の平和が守られる。自分自身が透明になることは難しい。透明に限りなく近い形になれるよう、風呂場へ行き、練炭を炊いた。後はこのまま待つだけ…

※フィクション
【お題:透明】

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