-いと-

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また今日もしてしまった。鞄に財布は入っていた。レジでお金を払うつもりだった。なぜ「万引き」をしてしまったのか自分でも分からない。無意識のうちに、手に取った品物を鞄の中に入れていた。悪いことだと自覚している。見つからないよう、足早にスーパーを去る。定員に見つかってしまったのは、何回目だろうか。
「なぜ万引きなんてしたんだ?」
「分かりません…。無意識なんです…。」
そんなの言い訳だ、分かっているのに口が勝手に動く。そんな自分が嫌だ。透明人間にでもなって、今すぐ消えてしまいたい。
「…とにかく、2度としないように!!」
やりたくて万引きをしている訳じゃない。同じことを繰り返さないよう努力している。なのになぜ…?
もしも自分が消えてしまえば。ここのスーパーに迷惑をかけないで済む。理由のない万引きが減る(理由があっても絶対ダメ!!!)。=街の平和が守られる。自分自身が透明になることは難しい。透明に限りなく近い形になれるよう、風呂場へ行き、練炭を炊いた。後はこのまま待つだけ…

※フィクション
【お題:透明】

5/21/2024, 1:10:41 PM