たった一件のLINEの通知だけで
貴方なんじゃないかと
期待してしまうの
《一件のLINE》
「運命の人とは赤い糸で結ばれているんだよ。」
そうやって、小さい頃から教えられてきた。
でも、運命の人は、二人いるとも聞いたことがある。
だから私は、一人目との糸はいつかは切れてしまう普通の糸、二人目との糸は、今すぐにでも切れてしまいそうだけど、切れることのない糸で結ばれていると考えている。
意味として、
一人目との糸は、当たり前だった存在との別れがどれだけ辛いかを教えてくれる人の糸。
二人目との糸は、毎日喧嘩をしていても、お互いに寄り添いあってくれる人の糸だ。
「俺達はきっと、二人目の糸で結ばれているよな」
「だと良いけどね笑」
そうやって、笑いあっていた頃が懐かしい。
去年、彼は自ら命を絶った。
勝手だよね。ほんとに。
彼は、当たり前だった存在との別れが
どれだけ辛いかを教えてくれた。
《赤い糸》
彼は、ビールの泡を立てることが、とても上手だ。
「ビール、注いでくれない?」
「いいよ」と、彼は慣れた手でビールを空けて、私はジョッキを両手で持つ。どんどんジョッキへと、ビールが注がれていく。注がれていくに連れて、彼が持つビール缶が、どんどん上へと上がっていく。
「どうぞ」
彼はドヤ顔で私を見た。本当に上手だから、何も言えなくて悔しい。
泡が今にでも溢れ出しそうだ。ジョッキのギリギリで耐えている。
「なぜ俺がこんなにも泡を立てるか、知ってるか」
確かになんでだろう。少し考えてみた。
「じゃあ、俺が告白した時の空を覚えているか」と、私に聞く。理解してしまった瞬間、私の口が開いたままになってしまった。
「あの時、ビールの泡のような入道雲が浮かんでいたからだよ。」
《入道雲》
「乾杯!」
私達は毎年の夏、棒アイスをくっつけ合って、乾杯をするのが習慣だった。
いつだっただろう。彼が青い空に旅立ったのは。
今日も、青い空が広がっている。雲一つなく、見事な快晴だ。
偶然にも、今日の私のアイスの色は青だった。
「なーんだ、すぐそこにいたんだ。」
私は空と言う名の棒アイスと私の棒アイスをまるでくっつけ合うかのように、棒アイスを青い空に重ね合わせた。
「乾杯_。」
《夏》
君と最後に会った日
クズだと分かっているのに
なぜか引き止めたくてしょうがなかった。
きっと私は
本当に君のことを愛していたのでしょう。
この傷は、深くて浅い。
《君と最後に会った日》